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                <ミャンマーで今、何が?> Vol.97
                 
                2014.06.04
                 
                 
                http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
                 
                 
                 
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                ■コンニャク物語 
                  
                  
                 ・01:待ち焦がれたモンスーン雨季
                 
                 
                 ・02:コンニャク博士
                 
                 
                 ・03:中国の奥の院はミャンマーだった
                 
                 
                 ・04:製品への第一歩
                 
                 
                 ・05:製品への第二歩
                 
                 
                 ・06:コンニャク博士の七つ道具と品質検査
                 
                 
                 ・07:板コンニャク製品とコンニャクゼリーづくりの実演
                 
                 
                 ・08:未来のコンニャク      
                       
                                            
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                01:待ち焦がれたモンスーン雨季
                 
                 
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                猛暑の5月末から遠雷が響きわたり、6月に入ると夕方に限って驟雨がやってきた。そして6月中旬の今、本格的な雨季入りを気象庁も確認した。
                 
                 
                勝手なもので、猛暑には雨季を恋しがり、あれほど待ち望んだ雨季なのに、洗濯物が乾かない、スポンジケーキにカビが生えただの。不平不満を口にする。これが人の世だ。だが、「植物」はワイルドな人生を自然とともに楽しんでいる。大木の緑も、つる草も。今のこの瞬間に輝いて見える。
                 
                 
                それを熟知するミャンマーの人たちは、この季節になると植林作業に精を出す。チーク、ユーカリ、ニーム、レインツリーなどの大木のみならず、花を愛でるブーゲンビリアや、枝もたわわに実るフルーツの樹まで、この国は植物天国である。
                 
                 
                地下になるコンニャク芋もそのひとつである。
                 
                 
                 
                 
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                02:コンニャク博士
                 
                 
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                この道40年というコンニャク博士が年に数回、日本からやってくる。中国、台湾、インドネシアと東南アジアで引っ張り凧の先生だ。教えを請いに訪日するミャンマー人を日本産コンニャクの本場、群馬県下仁田にまで案内し、コンニャク芋生産農家、コンニャク製造工場、食品加工工場などを紹介し、懇切丁寧な職人の名人芸まで披露してくれる。
                 
                 
                ヤンゴンに来られるたびにご相伴するので、門前の小僧習わぬ経ではないが、こちとらまでコンニャク談義をぶちかますようになってしまった。今回はその受け売りである。
                 
                 
                 
                 
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                03:中国の奥の院はミャンマーだった
                 
                 
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                三国志演義や水滸伝の影響を受けた日本人にとり、四川省、雲南省は西のかなたの深山幽谷の地。その山並みをさらに西に分け入ると、そこが秘境ミャンマーの地。その秘境から持ち出したヒスイや伽羅が、中国産として日本に持ち込まれた。白髪三千丈の宣伝力を日本人は盲目的に信じてしまったが、正倉院の蘭奢待を含めて、ミャンマー原産の可能性が大だという。
                 
                 
                日本の食文化のルーツもこれまでは雲南省止まりであったが、ミャンマーの開国で、茶、味噌、豆腐、納豆、そしてコンニャク芋もひょっとしてミャンマーが本家本物のルーツではとの再評価が期待されている。
                 
                 
                長年の現地調査によればミャンマー全国で野生種のコンニャク芋が採れると、コンニャク博士は語る。ミャンマー入国のたびに、数多くの人たちが博士のところに品質判定を依頼し、さまざまな生産地のコンニャク芋を持参する。シャン州、カチン州、イラワジデルタ、南のダウェーと、その産地は千差万別である。芋の色合いも、茶色、黄色、白色と豊富だ。
                 
                 
                最近の調査によれば、野生種の自然に生育したコンニャク芋はほとんど掘りつくされ、一部の事業家が大量栽培に踏み切ったばかりのようだ、と博士は語る。
                 
                 
                 
                 
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                04:製品への第一歩
                 
                 
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                掘り起こしたコンニャク芋は、表面をよく水洗いし、外側の皮付きのままスライスする。そして10月以降の快晴続きのミャンマーの気候なら、天日干しがお勧めだ。生産性からいって、火力に頼らない自然乾燥が、コスト的にもミャンマーに相応しい。そして硫黄分の付着も避けられる。乾燥度はパリパリのポテトチップ状が理想的で、湿気が残っているとカビを発生注意したい。目安としては約三日間の天日乾燥だが、夜間は露に曝されるのを避け、屋内に取り込むこと。この段階をコンニャクチップと称する。これを異物が入り込まないように、そして湿気を吸わないようにビニール袋に入れて暗室に保管する。だが、ミャンマーの衛生環境でこの保管がことのほか難しい。
                 
                 
                 
                 
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                05:製品への第二歩
                 
                 
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                この乾燥チップを携帯用粉砕機(グラインダー)にかけて微粉にする。この粉砕機はすぐれもので薬草を粉末にしたり、茶葉を抹茶にすることもできる。
                 
                 
                そのコンニャクの微粉を木綿の子袋に封じ込めて、裏庭などで徹底的に叩き出す。木綿のメッシュサイズは名人の見極めが必要だが、コンニャク博士はその勘所を教えてくれる。理論的には木綿のメッシュを通り抜けてホコリの様に出て行くのは、芋の皮、たんぱく質、腐敗物質、不純物などで、木綿の子袋に残るのが水晶のようなコンニャクマンナンである。これを電子秤で計測し、微粉量に対するマンナン成分の歩留まりを算出する。これを15倍ほどの拡大鏡で覗くとコンニャク博士の分析診断が下される。
                 
                 
                ミャンマー産品によくあることだが、チップを二・三年間劣悪な保管状況下に置いたままにしておくと、毛髪や昆虫の死骸が混入していたり、カビが生じていたり、腐敗したチップが変色していたりと、拡大鏡は病状を物語ってくれる。しかし、良質のコンニャク芋を的確な処理をして持参すると、ダイヤモンドのような水晶が輝いて見える。
                 
                 
                この産地別コンニャク・パウダーを持ち込んだミャンマーの人たちに拡大鏡を見せながら、コンニャク博士が懇切丁寧なレクチャーを行うと、ミャンマーの人たちは真剣に聴講する。
                 
                 
                 
                 
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                06:コンニャク博士の七つ道具と品質検査
                 
                 
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                組立式スライサー、粉砕機、木綿の子袋、LEDライト付き拡大鏡、電子秤、温度計、茶碗と箸の2セット。
                 
                 
                ミャンマーの人たちにとって最大の関心事は自分たちの産品が日本市場に受入れてもらえる品質かどうかである。
                 
                 
                そこで行う品質検査はコンニャク博士独特のものである。
                 
                 
                しかも、外から持ち込む検査器具は七つ道具のひとつ、茶碗と箸の2セットだけである。
                 
                だが、比較のために日本産の良質のコンニャク粉を同時に使用する。
                 
                 
                ミャンマーの気温は高いので、きれいな飲料水を2つの茶碗に入れておくと約30℃近くになる。
                 
                 
                ひとつは日本産、もうひとつはミャンマー産のコンニャク粉を入れ、あとはお箸で攪拌するだけ。良質のコンニャクマンナンが含まれていると、まもなく茶碗の中はゼリー状となり、やがてはゼリーの塊をお箸二本で持ち上げることができる。ここに至るまでの時間を計測するのである。
                 
                 
                劣質だと一時間攪拌してもゼリー状にならない。ここのところがコンニャク博士の判定基準となっているようだ。
                 
                 
                この実演は東南アジア一帯では好評で、ミャンマーのあちこちでも、コンニャク生産者が自分たちで参加できる体験セミナーとなっている。
                 
                 
                 
                 
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                07:板コンニャク製品とコンニャクゼリーづくりの実演
                 
                 
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                コンニャク博士のパフォーマンスには第二部がある。合格したコンニャク粉を使用して、いよいよコンニャクの製品作りだ。
                 
                 
                食品製品を扱うだけに、キッチンの衛生状況に対するコンニャク博士の要求は厳しい。
                 
                キッチンテーブル上もこぼれた粉、水などは、すぐにティッシュでふき取る。蚊・ハエの対策も考慮しなければならない。
                 
                 
                使用した食器、グラス類は、即座に洗浄し、キッチンテーブルは常に整理整頓されている。これがコンニャク博士の職人技でもある。
                 
                 
                そして日本人にはお馴染みの板コンニャク、糸コンニャクがあっという間に出来上がるが、これは職人芸の秘伝中の秘伝なので、このメルマガ誌上では公開しない。
                 
                 
                そして今、ミャンマーのご夫人たちに大好評のコンニャクを利用したフルーツゼリー、コーヒーゼリー、バースデーケーキの第三部に入っていく。中には奥さんや子供たちを喜ばせようと、その秘訣を熱心にノートに書きとめ、デジカメに納めるご主人も多い。
                 
                 
                 
                 
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                08:未来のコンニャク
                 
                 
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                ヤンゴンにはこの二年ほどで日本人経営の和食店舗が増えてきた。そこの日本人マスターにヤンゴンで製造した試作品を届けると、是非購入したいとの反応がある。これをミャンマーのコンニャク芋生産農家にフィードバックすると、輸出だけでなく、この地だけでの消費者市場に目を輝かす。
                 
                 
                コンニャク製品はその大半が水分で、カロリー含有は非常に少ない。しかも、コンニャク粉の80%が植物繊維ということから、肥満防止、血中コレステロールや中性脂肪の低下、腸の働きを活発にし体内の老廃物を排出する効果もある。
                 
                 
                さらには、コンニャク加工段階で水酸化カルシウムを凝固材として使用するため、アルカリ性食品であり、カルシウム不足を補うことにもなる。最近の研究では美肌効果のあるセラミドが多量に含まれていることが発見され、日本の伝統食品、コンニャクが見直されることになりそうだ。
                 
                 
                日本市場一国だけを対象にしたビジネスだと、日本の好不況と運命を共にすることになる。だが、コンニャクゼリーをはじめとして、カレーに混ぜたコンニャク感触などで、インド・中東という新市場に、挑戦するのも悪くない、肥満防止を宣伝文句に欧米市場に挑戦してもよい。外から何かを持ち込むのではなく、メイド・イン・ミャンマーだけの産物で、ミャンマーの人たちが世界市場に挑戦していくことを応援していきたい。
                 
                 
                コンニャク博士の指導は、コンニャクイモの選別から、プランテーション栽培、芋の掘り出し、保存、加工、市場出荷、など日本の職人技が輝き、川上から川下までと多岐にわたる。
                 
                 
                だが、ここミャンマーを触媒・起点として、これまでの中国・日本に輸出する東回りだけではなく、今度はインド・中東経由で欧米と西回りの新規ビジネスをミャンマーの若い世代に編み出してほしいものである。
                 
                 
                   
                   
                       
                        
                                                    
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                 magmyanmar@fis-net.co.jp 
                 
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