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<ミャンマーで今、何が?> Vol.66
2013.10.17
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■脱税でミャンマーのトップ企業に調査
・01:脱税でミャンマーのトップ企業に調査
・02:SingTel社がミャンマーに投資
・03:フォード自動車がミャンマーに販売会社を設立
・04:タタ電力会社がミャンマーで石炭による火力発電を検討
・05:台湾・ミャンマーの第一回ビジネス・サミットを開催
・06:タイと中国がミャンマーで風力発電
・07:国際的な建設・電力・鉱山事業の展覧会をヤンゴンで開催
・08:オレだよの逸見さん
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01:脱税でミャンマーのトップ企業に調査
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ミャンマーの財閥は建設部門を基盤として巨大化したことは何度も説明したが、このたび、大手の建設会社を含むトップ企業に脱税の疑いで調査が入ったと10月4日、ウィンセイン財務大臣がネイピードで語った。
政府が受け取る税金にはばらつきがあり、現在査察当局はトゥーラ・タウンルウィンの指揮で大手会社の脱税調査に入った。政府は脱税に対しては法律に従い必要な処罰を行う。
今後正常な納入システムが定着すれば、国庫の収入も増えていくと同大臣は語った。
大手会社Forever GroupおよびShwe Than Lwin Mediaに脱税の容疑で査察が入ったとの噂が広く流れていた。建設会社としては1,000社以上が登録されているが、納税会社のリストに掲載されているのはわずかに35社のみとなっている。したがって、Shine、Father Land、Mother Land、Naing Group、Taw Win Family Group、Dagon International Companyなどの大手の建設会社が高額納税会社として掲載されていないことに非難の声が上がっていた。
ミャンマーでは税金逃れが常態化しており、この傾向は悪徳将軍から特権を与えられた政商のみが公共事業の美味い汁を吸い、その庇護まで受けられるという汚職構造が確立していた。だから大手会社ほどこの傾向が顕著で、この点を欧米諸国は指摘して、ミャンマーは汚職国家であるとの批判が高かった。その汚名を払拭すべくテインセイン大統領は、今年の1月に第三のウェーブとしてミャンマーの汚職をぶっ潰すとテインセイン大統領は宣言した。だが、小泉首相ほどの迫力も無く、汚職撲滅は遅々として進展しなかった。それだけミャンマー社会の深層部に汚職構造が巣食っていたともいえる。
しかし、その第一歩が9ヶ月経ってやっと動き始めた。
汚職撲滅の指揮を執る財務省のトゥーラ・タウンルウィンの人物は不明だが、“トゥーラ”と言うのは本人の名前ではなくライオンを意味する勇猛な軍人に捧げられた敬称である。軍隊の大作戦で突撃部隊の指揮を執るのは大抵この勇猛な肩書きを持った人物であることが多い。将兵を使いこなせる上級仕官であるのと同時に、周りから恐れられる肩書きであるからだ。その上級将校の配置・配属を自由に差配できるのが将軍である。これこそ軍人出身のテインセイン大統領の得意分野で、これまでの画期的なミャンマー改革はその差配で推進してきた。逆にスーチーさんが大統領になったときに苦労するのが軍人という駒の動かし方だと危惧される。軍人にも参謀となる有能な軍人もいれば、勇猛さだけの軍人もいる。もうひとつ余計な話をすれば、スーチーさんのライバルと見做されるシュエマン下院議長もその正式名称は“トゥーラ・ウ・シュエマン”で、ウはご承知、民間人としての敬称である。
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02:SingTel社がミャンマーに投資
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シンガポールのSingTel社は10月4日ミャンマーの通信分野に投資すべくネイピードの担当局と話し合いを開始した。
SingTel社はミャンマーのテレ通信ライセンス獲得競争では敗退したものの、Ooredoo社およびTelenor社とネットワーク拡張作業の分野で協力し、ミャンマーの衛星通信システムの建設に参入するとしている。
シンガポールに本社のあるSingTel社は東南アジア最大のテレコム会社で、マレーシア・タイ・インド・フィリピン・オーストラリア・インドネシア・バングラデシュ・パキスタン・スリランカでその事業を展開している。そして同社はミャンマーでもまもなく事業を開始できると語っている。
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03:フォード自動車がミャンマーに販売会社を設立
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フォード自動車がヤンゴンに同社ブランドの販売第一号店を開設した。北米、欧州、タイなど同社の国際的な生産拠点から新車が輸入されることになっている。乗用車、トラック、SUVなどフォード自動車が誇る新品の全車種を数ヶ月以内にミャンマーの店頭に展示したいと語った。同社の国際戦略によれば、2020年までにはアジア・太平洋地域での成長率は60-70%に達すると見込んでいる。
今年4月に、フォード車は人材管理の専門会社RMA Groupおよびミャンマーの大手複合企業Capital Diamond Star Groupの子会社Capital Automotive Ltdと契約を締結し、当初は、技術、販売、サービスそれぞれの部門を教育する人材開発・訓練の専門家を派遣すると発表した。
ミャンマー人の人材開発には日本企業もこれまで苦労してきたが、米国方式というまったく違う形態の人材開発・訓練部隊がミャンマーの労働市場に参入してくる。ミャンマーの若者にとっては一皮向けた新しい刺激となることだろう。
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04:タタ電力会社がミャンマーで石炭による火力発電を検討
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10月7日に発表されたこの企画は2019-20年には稼動する予定で、実現すればタタ・グループにとって東南アジアで始めてのプロジェクトとなる。すでにミャンマー政府との間でMoU(覚書)を取り交わし、輸入石炭を火力発電所で使用する予定となっている。
タタ電力会社は海外事業に積極的で、現在、ブータン・グルジア・ザンビアでの水力発電を建設中である。それに加えて、南アフリカでは2基の風力発電も開発中とのことである。
この火力発電所はイラワジ地区のNgayok Kaungが候補地に挙がっているが、出力数などの詳細はまだ未定とされている。
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05:台湾・ミャンマーの第一回ビジネス・サミットを開催
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ミャンマー外務省は台湾・ミャンマー間の歴史的な第一回共同ビジネス・サミットを11月4日にヤンゴンで開催すると10月9日発表した。
代表団は中国国際経済協力協会(CIECA)が組織し、台湾を代表する鉄鋼、セメント、保険業界などの大手会社が参加することになっている。
台湾からのビジネスマンはこれまでも個人的な関わりでミャンマーに参入していたが、今回の代表団はかなり大掛かりなものになると期待されている。
ミャンマー・台湾の関係は中国共産党に対峙する国民党時代にさかのぼり、ミャンマーの国境地帯には国民党の残党が潜伏し、その後ミャンマーの少数民族と結婚し、当地に居残ったものも相当数いると噂されてきた。共産党を毛嫌いしたネウィン時代も歴史に残されているが、ミャンマーも欧米の経済制裁で四面楚歌となり、敵の敵は友人だとその後の軍事政権は北京共産党と手を結ぶようになった。その圧力で台湾との表立った外交は断絶したが、ここに来て台湾コネを復活させたことは新たなパワーゲームが始まったと見てよいだろう。当然、北京中国に対するカウンター・バランスである。
一方、ヤンゴン市内の中国人を観察しても、当然ながら中国共産党系と台湾系に分かれている。<ムガール帝国最後のエンペラー>でも説明したが、インド人の顔付きでもヒンドゥー教徒とムスレム(イスラム教教徒)ではまったく異なる。そして同じムスレムでもウルドゥー語を話すか、ベンガル語を話すかでは、その考え方はまったく異なる。この点を理解してインド人とビジネスを開始するか、しないかは大きな差となって跳ね返ってくるだろう。
中国人にしても同様である。ヤンゴンの街角で友達となった中国人の出自を無視して“彼は華僑だ”程度の理解でビジネスを開始すると後でひどい目に会う。ヤンゴンの中華街で出会う中国人にはラフに分けると広東系と福建省系となるが、同じ福建語を話しても海峡を隔てた大陸系と台湾系に分かれる。そして出身地が中国大陸であっても中国共産党を毛嫌いする人たちは大勢いる。ベトナムでも共産党を嫌って脱出した人たちは多数いる。だから、同じ中国人だからという発想はビジネスを開始するに当たっては要注意である。さらに中国人が複雑系なのは自分の親族が北京にもいて、台湾にもいるという懐の深さにある。最近の日本の雑誌では尖閣問題を出発点として中国バッシングが流行しているようだが、そしてその前にソーシャル・ネットワークを利用しての日本バッシングをやられたとの一元的な見方があるが、中国人の面白さはモノの見方の多元的なことである。それを楽しむには華僑と友人になりその中身をトコトン教えてもらうことである。その考え方は欧米人以上にグローバルである。それだけに、今回のミャンマー・台湾のビジネス・サミットは興味をそそられるが、それ以上に凄いとしか言いようの無いのが、テインセイン大統領の一国の舵取りである。テインセイン大統領の前任者で、しかも自身のボスでもあった軍事政権のトップが武器の供与、ふんだんな資金供与、賄賂漬けなどで中国政府からあれほど面倒を見てもらい、懐柔されながら、後任者の新大統領はミッゾーン・ダムの中止、パトロン中国を裏切るように欧米に対する開国の画策、台湾との交易再開など、中国を苛立たせる重要な外交政策を平然とやってのけるそのしたたかさは一国のトップとして見習うべきことが多々あるように思われる。
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06:タイと中国がミャンマーで風力発電
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タイのGunkul Engineering Public Company Ltd社と中国のChina Three Gorges Company社がミャンマーの数ヶ所で風力発電の検討を行うことで合意したとミャンマーの電力省が発表した。
Gunkul Engineeringはタニンタリ地区、モン、カヤー、シャン各州で合計2,930メガワットの風力発電を建設する可能性調査を行う予定にしており、China Three Gorgesはイラワジ・ヤンゴン地区、およびチン・ラカイン州で1,102メガワットの風力発電の建設を検討することにしている。
もしコスト的に採算が取れると判断したら、ミャンマーで最初の風力発電が推進されることになる。現在、欧米の経済制裁が解除され、これから外国企業の参入が期待されるが、外国投資家から見た場合そのもっとも大きな阻害要因はこの国の電力不足である。
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07:国際的な建設・電力・鉱山事業の展覧会をヤンゴンで開催
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ミャンマー商工会議所はバンコクの主催者と共同で建設・電力・鉱山事業の展覧会を10月31日から3日間ヤンゴンで開催する。国際的な大手企業がオーストラリア・ドイツ・韓国・シンガポール・バングラデシュ・カナダ・中国・インド・インドネシア・イタリア・マレーシア・ミャンマー・南アフリカ・スリランカ・スイス・台湾・タイ・トルコ・UAE・英国から参加し、建設・電力・鉱山事業の大型機械が出品されるとELEVEN NEWS社が伝えている。
(*このような国際事業に中国と台湾が併記されることなど、これまでは中国のゴリ押しでアンビリーバブルであった。そこで考えるのだが、世界各国のミャンマーに援助・指導してあげるなどは思い上がった申し入れではないのだろうか。米国や日本ですら御しきれない中国を手玉に取るテインセイン大統領のしたたかな交渉術は世界の超一流で、逆に世界中がミャンマーに指導を請うべきではないのだろうか。ちなみにテインセイン大統領には武勇に優れただけの“トゥーラ”の称号は与えられていない。あくまでもそれを使いこなす大将軍では?)
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08:オレだよの逸見さん
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ヤンゴンの街中いたるところで携帯が流行している。2-3年前には金持ちの特権階級のみに許された所有物であった。最近は中高生からサイカーの運転手まで得意げに持っている。これが民主主義だと誤解している人も大勢いる。政治改革、経済改革、そして次には話題の通信革命が安い値段で手に入った。
劇場でけたたましい呼び出し音が鳴ったり、分別ありそうな大人が漫画チックな呼び出し音で得意になったりしている。これらはすべて許そう。マナーモードと目くじらを立てることも無いだろう。ここはヤンゴンなのだから。大いに通信革命を謳歌してほしい。
ところがひとつだけ問題がある。これまで逸見さんという友人には一度も出会ったことは無かった。だが、逸見さんという名前の友人がヤンゴンで何十人と増えた。電話に出ると、初っ端から “逸見だよ、オレ”と名乗るのである。得意げに “ワタシ逸見”と言って話し始める。
何のことは無い。英語で“It’ me!(イッツ・ミー!=逸見)”と、決して自分の名前を名乗っていないのである。このカラクリが分かってから、ワタシのマナーモードで懇々と目くじらを立てていたが、ある時発見したのは、声を聞いただけで誰か判別できなければ本当の友人ではないということだ。そしてミャンマーの近代史に照らし合わせると、秘密警察から盗聴されている前提で、安易に自分の名前や相手の名前を録音テープに残すなという彼らの知恵なのかもしれない。この後天的な知恵によって、声のトーンだけで、自分のベターハーフなのか、愛人なのかを一瞬にして判断できるというものだ。
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