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<ミャンマーで今、何が?> Vol.50
2013.6.26
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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・AAA:(政治)
A1:シュエマン下院議長が米国で語る
・BBB:(経済)
B1:韓国政府がヤンゴン川に友好橋を架設
・CCC:(生活一般)
C1:ミャンマー外国人記者クラブで新執行役員を選出
C2:国防省指名の国会議員の若返りが目立つ
C3:植樹祭が各地で行われる
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・AAA:(政治)
A1:シュエマン下院議長が米国で語る
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シュエマン下院議長は米国下院議長の招待に応じてミャンマーの友好親善議員団5名(その一人はNLD党議員)を率いて6月8日から約10日間の米国視察を行った。
米国の首都ワシントンDCでは国務省高官そして多数の議会関係者と精力的に会談し、米国の民主主義制度と法制度そして議会の役割について学び、ニューヨークではグーグル本社を訪問、国連本部では潘基文国連事務総長と会見し、昼食を挟んで国連各機関の長官・高官と意見交換し、その会見・会談は上院議員を含めて多数に及んだ。西海岸のサンフランシスコでは米国で生活する同胞のミャンマー人たちとの質疑応答を含めて、アジア基金のキーパーソンとの意見交換も行った。
ミャンマー国内ではマスコミのインタビューに直接答える機会は少ないが、米国では欧米マスコミからの突っ込んだ質問にも丁寧に答えていた。
2015年の大統領選挙では、大統領職を務めたいとの強い意思を改めて表明した。そしてマスコミの目を引いたのは、政権は移譲されなかったが1990年のNLDの大勝、2012年4月1日の補欠選挙におけるスーチー党首の国民的人気の再燃を計算してか、シュエマンが党首を務めるUSDPとスーチー党首が率いるNLDとの連携の可能性も排除せず、‘ありうる’と語ったことである。
そしてシュエマン議長は現在彼の率いるUSDPはNLDのアウンサンスーチー党首とは協力して議会運営を行っているとAP通信社に語っている。軍事政権時代の2008年に制定された現行憲法が改正されれば、2015年の総選挙は自由で公平な選挙になると予測されており、USDPがブザマな大敗を喫する可能性もある。その一方でスーチー党首が大統領選挙に出馬するには現憲法の改正が必須で、NLDにとっては現在大多数を占める軍関係議員の協力は絶対に必要である。そこでシュエマン下院議長が発言したのは、NLD党首にとっても、USDP党首にとっても、政治的な決着としての連携は‘ありうる’ということになる。
ウィキリークの公表によれば、駐ヤンゴンの米国大使館が2007年3月に発信した外交電文では、シュエマンはタンシュエの信頼を受けた中将で、軍の序列では第3位を占め、同国の次の独裁者と目され、2008年にはミサイルの技術提携で極秘裏に北朝鮮を訪問したとされている。
しかし、時代は変わりシュエマンは同国の改革推進者であると自ら発言し、テインセイン大統領以上にスーチー党首に親しいと見なされている。そして最近、シュエマンはUSDP党首の地位をテインセイン大統領から譲られ、その影響力は依然パワーを保持する軍内部でも絶大なものとなっている。したがって、軍の賛意を得るにはシュエマンの協力が必要ということになる。
今回のワシントン訪問ではシュエマン一行は盛大な歓迎を受け、ジョン・マッケイン共和党上院議員、ヒラリークリントン元国務長官など大物政治家との会見が目白押しとなった。そしてあるシンクタンクが催した公開フォーラムではシュエマン議長ひとりがすべて発言したと言われている。
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・BBB:(経済)
B1:韓国政府がヤンゴン川に友好橋を架設
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ヤンゴンの市街地図は西から東へと真横に流れるヤンゴン川を最南端部としてその開拓の展開は北方に広がっていく。しかし、韓国政府はこのヤンゴン川を跨ぎ対岸南部のダラー地区と連結する韓緬友好橋を建設すると発表した。現在は唯一の交通機関であるフェリーボートを利用して50,000人近くの人たちが毎日ダラー地区からヤンゴン市へ通勤している。
今回来緬した韓国の副首相一行は土地が豊富で労働力も十分にあるヤンゴン南方に位置するダラー地区での住宅・工業団地の建設と友好橋の架設を提案し韓国の投資家たちを呼び込む計画である。日本のコンソーシアムがヤンゴン南東部のティラワ深海港工業地区に挑戦するのと対照的にヤンゴン南部に韓国の起業家を主体とした工業団地がここに出現することになる。このプロジェクトを予見してかどうか、ダラー地区の土地価格は今年初めから30%の値上がりを示し、昨年の同時期と比較すると約2倍の値上がりとなっている。
ただし、同地区はヤンゴン川沿いであるため入港船舶の水深が限られること、そしてデルタ地帯であるためモンスーン雨季の洪水、および場合によっては海水侵入が懸念される地区でもある。このため同地区の開発は取り残されてきたが、韓国の最新土木技術の導入でこれまでの難問が一気に解消されることを期待したい。
そして韓国政府は2013年から2017年に掛けて5億ドルのローン貸与を約束した。公式統計によれば、1988年にミャンマーが外国投資を受け付けて以来、2013年3月現在で、韓国は77件のプロジェクトに29億ドルを投資し、これは全体の7.07%となり、外国投資の中では第4位となっている。韓緬両国間の相互貿易は2012年で573.4百万となり、その内ミャンマーの韓国向け輸出は237.58百万ドル、輸入は335.82百万ドルとなっている。
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・CCC:(生活一般)
C1:ミャンマー外国人記者クラブで新執行役員を選出
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ミャンマー外国人記者クラブの第24回年次総会が6月22日ヤンゴンで開催され、2013-14年会計年度の新執行役員が次の通り選出された。
日経新聞の現地責任者をパトロンとし、ロイターが会長職を、新華社とAP通信が副会長、TBSが書記、AFP社の2名が共同書記、NHKとNTVが財務監査、フジTVと産経新聞が国際関係担当役員となった。新華社の中国人を除いてそれ以外はすべてミャンマー人の代表がその職に任命された。
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C2:国防省指名の国会議員の若返りが目立つ
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国会議員の25%は国民投票によらず国防省総司令官が適宜指名し、形式的に選挙委員会の承認を得て公示されている。最新の6月24日付選挙委員会広報によれば6名が交代し、その内5名は旧中佐に代わって少佐が、1名は旧少佐に代わって少尉が交代すると公示された。あまり目を引かぬ広報ではあるが、軍政権側も国会議員の若返りを図っていることが読み取れる。
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C3:植樹祭が各地で行われる
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ミャンマーは日本の約1.8倍もある広大な国土である。しかも、その最北端はヒマラヤ山系の東端に位置し、チベットと国境を接する地点には富士山よりも高い標高5,881mのカカボラジ山がその雄を誇っている。中国は国境を接する雲南省とミャンマーの歴史的な関係は盛んに吹聴するが、チベット(チベット西蔵自治区)と国境を接していることはまったく語らない。その雪解け水はミャンマー北部山系の清流を集めてイラワジの大河となり、そして地下水となってミャンマーの国土を北から南に貫通している。そして最南端のビクトリア・ポイントまでの南北の国土全長は2,000kmを超える。
そして国土中央部の乾燥地帯を除いてミャンマー全土の大半がモンスー雨季の影響を強く受ける。インド洋・ベンガル湾洋上で沸騰した海水が湿った上昇気流となり、南西の季節風に乗ってインド・バングラデッシュのみならずミャンマーにも大量の雨をもたらす。日本ではその雨の一粒・二粒が梅雨となるが、ミャンマーでは例年、5月末から9月末までの4ヶ月間どっぷりとモンスーン雨季に浸る。インド・バングラデッシュからは田畑の浸水被害、大河流域の土手の決壊、家屋の崩壊などが季節のニュースとして伝えられるが、ミャンマーも同じような自然災害に曝されている。しかし、この自然の営みの中でこの季節に最も生き生きとしているのが植物相である。これまで太陽の灼熱の中で息も絶え絶えだった草花、樹木がホコリを洗い流し生き生きと葉を茂らせている。
それを知るミャンマーの人々は、都市化していくヤンゴンのみならず、地方の町村でも、この季節になると樹木の植林を‘ツリー・プランティング・セレモニー’と称してお役所単位で、学校単位で、あるいは寺院の一角で挙行する。その地方・地方で選択する樹種は異なっても必ずモンスーン雨季に入ってからこの行事は行われる。名も聞いたことがない遠くの村々でも大勢の人たちが参加して何百本の植林が行われる。その地方の植物相を反映した樹木なのだろう。NLM紙のほんのわずかなスペースだが、どこの村で何月何日、地方のお役人・中学生が参加して何百本の樹が植えられたと小さな記事となる。日本のように毎日水遣りの世話をする必要もない。植林したら土だけしっかり固めておけば、あとは天からの慈雨とお天道様が育ててくれる。ミャンマーの風物詩である。
欧米系マスコミからは軍事政権の広報紙と歴史的に冷たく扱われてきたNLM紙だが、時折紙上に現れるその標語で最も洒落た言葉が“The best time to plant a tree was 20 years ago. Second best time is now”とある。不粋だが「植樹するに最善の時期は20年前だった。だが、次の最適の時は今である」と訳しておこう。
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