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<ミャンマーで今、何が?> Vol.477
2022.01.14
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■ 今日こそは原稿を発信
・01: 2022年新年
・02: 愚かなクーデター
・03: 暗いニュース
・04: 『旱魃との闘い』
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:2022年新年
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正月三が日が明けたら1月4日だった。それは今年最初の休日、独立記念日である。
1948年1月4日午前4時20分ラングーン下街のYCDC市庁舎前広場にて大英帝国のユニオンジャックが降ろされ、新生独立国家ビルマ連邦国旗が掲揚された。
70年以上も昔の話である。正にその場所に現在は独立記念塔が白く聳え建っている。
余談だが歴史を遡ると、ビルマの下街が建設された当時、そこにはビクトリア女王の像が植民地ビルマを睥睨するように鎮座していた。
その記念日を基準にして、今年は一ヶ月もせずに2月1日がやってくる。国民にとっては喪服のクーデター“一周忌”である。
叛乱軍はこの“一周忌”を正当化すべく、必死の画策を検討中のはずだ。
例えば、1月7・8日と2日間ネイピードに馬鹿面下げてやってきた男がいる。カンボジアのフンセン首相である。専用機のタラップを降りる69歳の足元はおぼつかなかった。肩書きはASEANグループの議長だが、その任期は国名アルファベット順に毎年一年で交代する。一国の首脳が公式にミャンマーを訪れるのは、クーデター政権を認めることになる。国内外から非難轟々の訪問であった。アセアン議長とはいえ、アセアン内部でも露骨に不快感が示された。特にインドネシア大統領の叱責は厳しかった。
ご承知と思うがカンボジアは先々代シアヌーク殿下の時代から北京共産党政権の庇護下にあり、1985年から長期首相を務めるフンセンは政敵を抹殺し自国内を恐怖に陥れ、独裁国家を確立した。現在陸軍司令官である自分の息子を自身の首相職後継者に指名した。昨年末突然の発表で世界は仰天した。その非民主的国家運営は北朝鮮とまったく同様である。国家運営を自分のファミリーで掌握しようとしている。政治を稼業としてファミリーの二代目・三代目に地盤を継がせ家族で独占するのは世界の風潮なのだろうか?
ミャンマー国内では、貧乏な庶民がローソクで食事の準備をするなか、ネイピードでは煌々と24時間電気を点けっ放し、カンボジアからの国賓を迎賓館で大歓待していた。
公表されたギフト交換の写真撮影には写っていないが、単主絵時代の慣習から邪推すれば、特大サイズのヒスイやルビー、場合によってはダイアモンドなどで国連のトップ幹部や海外元首を篭絡するのは当たり前だった。ミャンマーはインドと並び宝石も産出する。MAHの薄っぺらな狙いは、アセアン連合の一角をこの賓客を通じて切り崩すことにある。フンセンのだぶだぶの背広ポケットに何が入れられたか想像するところから、複雑国家の政治は読み解かねばならない。ニュースは字面を読むのではなく、行間を読み取るのが常識だと、このメルマガでは何度も警告してきた。
同様の手法で読み解くと、スーチーは非公開の軍事裁判で4年間の投獄を命じられた。MAHはその日のうちに刑期を2年間に減じる恩赦を行った。何の法的手続きも経ずにである。法律を私物化する危険な徴候である。こうして朝令暮改が跋扈する国にミャンマーはなった。
総選挙にて国民の支持を受けた正当な肩書きを剥奪されたスーチーとWin Myint元大統領には、軍事法廷で山ほどの罪状が科されている。
ブロードウェイのミュージカル「レ・ミゼラブル」を思い起こす。パン一斤で4年間、さらに15年間計19年間も投獄されたジャンバルジャンの物語だ。
スーチーと元大統領の全罪状を一括して審議するなら話は分かる。男の腐った肝っ玉の小さい小者は、罪状を小出しにして、恩赦のあとさらに4年の実刑を追加した。つい先日のことである。しかも非公開裁判で弁護士の接見も許可されない。それだけに非合法で、非民主的、人権無視と国内外から強く非難されている。その国際感覚がMAHには理解できない。士官学校を水準以下の成績で何とか卒業したこの小者は、小学生も理解する物事の善悪が完全にすっぽ抜けている。仏教では不殺生(ふせっしょう)を五戒の最初に唱えさせられる。
スーチーの罪状を小出しに時間稼ぎをして、最終的には100年以上の刑期を二人に科すことは、どのマスコミも予測している。すべては情緒不安定なMAHの気分次第で大きく針は揺れる。だが時間稼ぎにはMAHなりの理由がある。
自分を三軍の最高司令官にしてくれた単主絵はMAHを特例として、定年を60歳から65歳に延長してくれた。形式だけの法整備である。
ミャンマーにおける役人の定年は60歳で、高位の軍人といえどもこれは鉄則である。
1956年7月3日生まれのMAHは今年7月で66歳になる。小者にとり頭の痛い問題である。軍令で何事もひっくり返せる時間は半年の180日しか残されていない。だが叛乱軍の最高司令官である今ならば何でも出来そうだ。さぁー!そこで小者はどう動く? どちらにせよ、小人には小人の知恵しか浮かばない。
シナリオとしては、本人が語る2年後に“国民総選挙”を強行する。スーチーの支持母体は非合法ゲリラ組織と発布された。目論見通り国軍の支持母体が総選挙の大半を制する。それまでにスーチーと元大統領は100年、場合によっては1000年ぐらいの国家反逆罪で投獄される。筋書き通りにいけばスーチーと元大統領は議員バッジを剥奪されたタダの人となる。公職から放逐されると、二人には何の権力もない。そこで慈悲深い“恩赦”(*英語ではPardon)が全世界に公表される。スーチーとWin Myint元大統領は無罪放免となりありきたりの庶民となる。
ついでに説明すると、MAHは最高司令官であると同時に現在は“首相”の肩書きを名乗っている。これこそ彼の肝っ玉の小さいところで、本心は国家元首に相当する“大統領”を名乗りたいところだ。だがWin Myint元大統領と、実質的な国家元首であるスーチーの存在に怯えて“大統領”とは名乗れないでいる。
ついでに話を飛躍させると、デビッド・リーン監督の映画『戦場にかける橋』はビルマと日本に関係する物語である。即座にあれは日本を貶める映画と断定する日本人もいるが、老獪学を学習中のノンポリとしては同意できない。映画の中では日本人将校がイギリス人のPOWたちに歌うことを禁止した。そこで捕虜たちは口笛を吹いて行進した。ノンポリがこよなく愛するのはシニカルな英国人のユーモアである。生真面目な日本人にないユーモアである。
都市伝説ではこの口笛には詩が隠されているという。英国人は極東の日本人をあまり知らなかった。だから身近な西部戦線の宿敵を歌の文句とした。
それをご紹介したい。
「ヒトラーにはキンタマは1個しかなく ゲーリングは2個あったが凄く小さかった ヒムラーも同じようなモノだ 老いぼれゲッベルスはタマは1個もなかった」
ウソだと思うなら2021年1月9日王立海兵隊のバンド演奏で確認いただきたい。YouTube『Colonel Bogey“The River Kwai March”』で楽しめる。再生回数はなんと112万回である。そこいらのユーチューバーなど足元にも及ばない。
この詩を無断借用して、MAHのナニを1個にするか、2個にするか、それともゼロか、どなたか作詞願えないだろうか?
老獪学を学習中の身としては、戦争捕虜という絶望的な境遇ですら、ユーモアを無くさないその心意気に軍配をあげたい。そしてもう一度この口笛行進を映画の中でを楽しんでいただきたい。
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・02:愚かなクーデター
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日本が大雪に見舞われる中、ヤンゴンは日毎に夏がやってくる。
2月といえば、南半球に旅していた太陽が戻ってくる。当地では2月は当たり前のHot Summer。3月になると気温がじりじり上がるHotter Summer。そして4月になると我慢できないHottest Summerで、待望の水祭りとなる。だが灼熱地獄は終わらない。5月にダメ押しのSuper Hottest Summerがやってくる。人体に危険なほどの太陽光線で日中は人通りが激減し、行商人も樹木の木陰にへたり込む。野良犬までもが駐車中の車の下に日陰を見つける。欧米の旅行者だけがヘソ出しルックでサニーサイドを歩き、地元の人間は間違いなく日陰を歩く。
いま国民は現金不足で困っている。現金収入の道がほとんど閉ざされているからだ。特定銀行の限られたATMで現金が引き出せるとのウワサが流れる。開店前から長蛇の列となる。蓄えた現金が日毎に目減りしていく。物価高騰も頭痛の種だ。安い買い物を求めて朝市・夕方市に庶民は殺到する。そこでも目に見えて市場価格は値上がりしている。
経済学を知らぬ叛乱軍政府は昨年のクーデター直後の2月3日に中央銀行に保管された外貨・680万USドルを市場価格で売却しミャンマーチャットに換えた。怒りの溜まった市場を冷却するためである。その後毎月一回数千万ドル単位の外貨を売却して、その場しのぎを行っている。その累計は2021年大晦日時点で4億4千3百万ドルに達した。焼け石に水の素人経済学を実行している。可哀想なのは庶民である。当然ドル高・チャット安を引き起こし、輸入超過の貿易収支は壊滅的となっている。
ロシアの戦闘機など国民には不要な買い物だ。ワクチン関連医療機器をロシアや中国から買わされ、ビジネスを知らぬがゆえに国家財政を破綻させようとしている。経済を知らぬ最高司令官がアグロ産品の輸出に励めと発破をかけたり、中央銀行総裁に換金レートの安定化を指示している。号令ひとつで発砲する兵隊とは訳が違う。経済が号令で動かせると思ったら大間違いだ。ネウィンがビルマ式社会主義で国家経済を破綻させた。MAHはそれを上回る大馬鹿者である。
ミャンマーは石油以外に天然ガスも産出する。利権を持つ国軍および国軍企業がその採掘権を海外巨大資本に安値で売りまくった。その結果が製品価格の高騰として輸入価格に跳ね返り、国軍は頭を抱えている。それどころか責任転嫁して、天然ガスの高騰により電力が十分に供給できないと公式に説明している。オマエはどこまでアホなのか? 華美な軍事パレードをヤル暇があったら、そして鉄砲を磨く暇があったら、経済のケの字でも勉強しろと言いたい。
ついでに言えば、今回のクーデターが引き起こした国家の総合的経済損失がどれほど莫大か、叛乱部隊である国軍は、試算して提出する義務がある。スーチーの言うトランスペアレンシーである。MAHに面会する外国首脳は、この点を徹底的に追及すべきではないだろうか。面会する要人の最低限の務めではないか。
スーチーの粗探しに一心不乱のようだが、国連や民主国家からは総スカンを喰い、支援する国はこの地球上でカンボジアとロシアぐらいだ。
それだけではない。国家およびその財産をロシアに売り渡し、国家叛逆罪を犯してまでも軍事独裁政権の正当性はどこにある。重ねて詰問したい。
いまはスマホですべてが暴かれる時代である。スマホで盗撮が出来る時代である。スマホで知的なゲリラ戦略が練れる時代でもある。それに加えて、アーカイブに残されたビデオ・書類が全世界に公開される時代となった。そのスピードは年々加速されている。
軍事独裁政権といえども、高官の悪巧みや蓄財プライバシーが国内で隠蔽できると思ったら大間違いだ。暴かれるのは時間の問題である。WiFi・ネット・給電の遮断など姑息な手段だ。だから中国にそしてロシアにカモにされるのだ。
アメリカとのハッカーゲームを自由に操るプーチンに教授してもらうとよい。チッポケなミャンマーを軍事力で牛耳るなど、小人のお遊びだ。
無抵抗の婦女子・幼児まで殺戮した血にまみれた自分の手を見つめるがよい。ベンガル湾の水を使い尽くしてもマクベス同様に洗い流すことはできない。殺された千数百人の家族・友人・恋人たちの怨みはマリアナ海溝よりも深い。彼らの嘆く「この世の最後まで・・絶対に赦さない」の地響きに耳を澄ますことだ。
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・03:暗いニュース
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大雪に見舞われているとはいえ、日本からは明るい見通しのお年賀をたくさん頂戴した。WiFi不通の時間帯に電話も頂いたようだ。
だがヤンゴンで見聞する現状はかなり深刻で悲惨である。鬱になりそうだ。
返事を出す気にも、メルマガを準備する気にもなれない。不義理をお詫びします。
だが今日こそは何とか原稿発信したい。
ちなみにここ数日のメモを記す
・1月10日(月)午前9時55分停電開始
・1月11日(火)午前9時15分停電開始
・1月12日(水)午前8時55分停電開始
・1月13日(木)午前6時35分停電開始
それから平均3時間で停電は終わる。昨日は4時間続いた。この時間帯は最終原稿を整理して昼ごろまでに発信するように努力するが、正月以降その気勢がそがれてしまい、今日に至ってしまった。
メモ書きはこれだけではない。各家庭が夕餉の準備に忙しい時間、同様の停電が発生する。灯りはロウソクで凌げるが、炊飯器もトースターも電気で料理する。梁山泊の生徒たちもお手上げだ。仕方なしにバイクの出前を頼む。ロウソクでの食事はロマンチックだが、現ナマが飛ぶように出て行く。蚊帳つりベッドは生徒たちに占拠され、フロアーに筵とヨガマットで毛布に包まり蚊の攻撃を避ける。毎日が寝不足だ。生徒に支えられワタシの事務所はまだ恵まれたほうだ。
梁山泊だけに色んな情報が飛び込んでくる。彼女らの身近な人が亡くなった。会ったことのある人もいる。最近この手の話ばかりである。しかもワタシより数十歳も若い。暗闇の中で“死”について考える。その人の人生について考える。
キリスト教系のゲストハウスがある。そこで下働きをする薄汚れた格好の男がいる。そこでは唯一のムスレムであった。内緒だが酒が大好きだった。クリスマスの季節、館内ではパーティが繰り広げられる。年に一回だけこの時季イスラム教の掟を破り安ウィスキーを一本、新聞紙に包み紙袋で目隠しし、彼にプレゼントしていた。礼は言わない。友人と外食すると食いきれないことがある。余った料理を包んでもらい、このムスレムに持ち帰った。この男がアラーのもとに旅立った。たった二日前に挨拶を交わしたばかりだった。コロナかどうかは判らない。イスラムの慈善団体が遺体を引き取りに来たという。今の季節、遺体の腐敗は足が速い。イスラムは土葬である。焼却炉には放り込まれないが、土中に穴を掘り投げ込まれるだけだ。
こういう悲話は1人だけではない。大手マスコミの報道には取り上げられないが、身近ではしょっちゅう起きている。生徒の1人は2022年こそと婚約者との結婚を予定していた。昨年からお互いの両親・家族の不幸が立て続けで二人とも貯金を吐き出し借金まで背負い込んだ。ケンカばかりで破局になりかねないと嘆いている。MAHと国軍の罪は大きい。
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・04:『旱魃との闘い』
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気が重くなる話しがヒタヒタと押し寄せてくる。MAHに付き合うのは止めにしよう。
日中ならネコの額のQガーデンで野良仕事に専念する。非合法の札幌農学校をヤンゴンに移殖出来ないか夢想している。国軍の監視の目を逃れた商売を兼ねた老獪な事業である。柔軟な頭の生徒たちとなら不可能ではない。四重苦を乗り越えYouTubeで徹底的に分析した。
そこで出合ったのが『The Battle Against Drought(Hindi)』であった。このYouTubeを探し当てるまでに何十本検索・鑑賞しただろう。100本を超えているかもしれない。
前回お届けした物語はほんの導入部分である。その神髄というか、本能寺はまったく別のところにある。
インドもミャンマーも複雑国家である。あれで話が終わる訳がない。
アアミール・カーンと仲間たちの老獪な戦略は巧妙に練られている。並みのユーチューバーや、ハリウッドの脚本家・演出家を出し抜いている。
マハラシュトラ州の都市部で稼ぐエリートたちがバスを連ねて無私のボランティアに駆け付けた。老獪な戦略に乗せられたのだ。ムンバイとデカン高原の中間に位置する灼熱の乾燥地帯に駆り出すほど感動したからだ。ミャンマー同様にモンスーン雨季の前、灼熱は40-45℃に達する。高山は山肌が露出し、風が吹けばホコリが舞い上がる。地面はひび割れを起こしている。
今の時間は1月14日(金)午前5時30分。そろそろヤバイ時間に近づいている。中途半端だが、ここで中断し発信したい。
本日午後1時から、情報省が内外記者を対象にライブで記者会見を行うと発表した。海外記者といっても許可された報道会社は限られている。
生徒たちと話し合ったが、ノンポリの分析では「国家安全委員会の懸命の努力にもかかわらず、海外からの政治的圧力により、国民は電力のみならず、物価高、自国通貨の価値下落、などなどの窮乏生活を強いられることになる。政府と一致団結してこの窮乏生活を乗り切ろう」などの責任転嫁演説ではないかと予測する。
東西南北研究所
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