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<ミャンマーで今、何が?> Vol.433
2021.05.24
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■若者たちよ、海外を頼るな!!
・01: コロナ数字報道2021年05月22(日)現在
・02: 戒厳令下のヤンゴン
・03: ミャンマーを無視する外国人
・04: ミャンマー人の第三国頼り
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:コロナ数字報道2021年05月23(日)現在
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陽性感染者数合計:143,234名
新感染者数:6名
退院者数合計:132,194名
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
日刊英字紙GNLMでは、死者数合計および現在検査中の数字は報じていない
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・02:戒厳令下のヤンゴン
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ヤンゴンでは読書三昧に没頭している。かといって屋根裏部屋を一歩も出ない訳ではない。問答無用で射殺されるリスクが夜間の戒厳令にはある。そこで買い物客で賑わう早朝朝市でその日の安全度を計る。四方にアンテナを張り巡らせば、近隣の緊張度合いが肌感覚で分かる。
戒厳令は一旦早朝に解除される。
最近鳴りをひそめた市民のデモ隊だが、動くとすれば戒厳令解除後である。あくまでも法律を遵守するので日中の行動が基本となる。一方国軍や警察隊は幌を被った大型トラックで昼も夜も移動可能である。
深夜・早朝に行動を起こし、戒厳令解除前に姿を消す作戦が国軍の常套手段となっている。
2005年11月国軍が突然ネイピードに首都を移管した。そこでヤンゴンには各省庁の敷地や建物が数多く残されている。
その跡地こそ深夜に移動させた大型トラックや国軍兵士・警察隊の隠れ蓑となっている。
それだけではない。政府系病院、全国の各種大学・高校・小中学校も一夜で兵站基地に早変わりできる。深夜は戒厳令で大通りは人っ子一人通らない。一個師団の移動ですら自由自在だ。
日本だと戦時中を思わせるが、町内には小単位で揉め事などを調停する相談事務所が設置されていた。クーデター後その“親方”が国軍へ密告するインフォーマーに全員取り替えられた。反政府行為を国軍および警察へ通報するスパイ組織である。
この“親方”グループは十手持ちと同様だ。この岡っ引きたちは街角に屯するサイカー、街角の雑貨屋、露天商、路上のモヒンガー店、新聞ジャーナル販売所、路上喫茶などのオヤジとは昵懇だ。猛暑の時間帯を避けて朝と夕方一回りしては、町内のウワサを収集している。
ウワサといって馬鹿にしてはいけない。あの家庭の夫婦はそれぞれに愛人がいて、娘が大学を卒業するまでそれをひた隠しにしたい。とっくに承知の娘は、両親にそれを悟られたくないと知らん振りをしているとか。
あすこの息子は出来が悪く、高校10年生で受験する大学入試資格テストに3年続けて失敗した。
かと言って就職先など皆無だ。無職でぶらぶらしている。だがデモ隊が動き始めると、SNSで情報を仕入れデモに参加しているようだ。帰宅すると親子喧嘩が始まる。
どこそこの奥さんは肝炎を内緒にしてどこそこのホテルに勤めている。
その夫はどこの誰から3000Lakh(*インドの貨幣単位で10万のこと。ミャンマーでも“ラック”と発音され、好んで使用される)借金したが、返済できずに自宅を売り払うことになりそうだ。ミャンマーのウワサは百花繚乱で、しかも微に入り細をうがっている。
日本ではその余裕はないが、ミャンマーではちょっとした小金持ちはお手伝いさんを数人抱えている。大半は故郷から呼び寄せる。そして家事・買い物・子供の世話以外にも、自宅前に駐車させた自家用車を毎朝水洗いさせている。Skeleton in the cupboardの秘密は彼女たちから漏洩する。
ヤンゴンの横丁はナンバー・ストリートと呼ばれ、アパートの住人が自家用車をビルの前に路上駐車させているので、道路の両側は車で満杯だ。下街で夜間その自家用車のガラス窓が叩き割られた。数台どころか一台残らずその横丁の全車輌が被害にあった。
恒例となっていた午後8時のなべ釜音楽会はクーデター政権に対する反抗として警官が警告を発した。下街のあるナンバー・ストリートが当日のスケープゴートとなった。乱暴狼藉を働いたのは明らかに警察のパトロール隊である。町内の親方グループが夜間の先導役を勤める。
クーデター政権を正当化する法令・細則がパッチ当てのごとく頻繁にアナウンスされる。
文句を言えば、さらなる嫌がらせが待っている。住民は泣き寝入りに追い込まれる。
真実とウワサが近隣一帯を駆け巡り、翌日からなべ釜狂想曲は完全に鳴りを鎮めてしまった。
このようにクーデター政府軍の手法は非常に陰険で効果的である。警官と弁護士を信じるお人好しはこのミャンマーには一人もいない。何年前になるだろう。下街のオーキッドホテルに売春婦を連れ込んだ日本人が受付で大騒ぎを起こした。酒の勢いもあったのだろう。
“警察を呼べ!”と大見得を切る事件に発展した。まずパスポートが取り上げられ、これでヤンゴン出国は不可能となった。有能な弁護士は上得意の顧客を逃がしてはならじと、裁判官と結託してアリ地獄に誘導してくれる。気がつくと半年が過ぎ、裁判は何一つ進展していない。
どの国の司法制度も自国民の利益を優先する。一年近く掛かって和解のニュースが流れた。当然ながら相手ペースでの和解である。日本人社会からもミャンマー人からも物笑いの種にされた。帰国後の本社内での処分、本宅での家庭内争議が面白おかしくウワサされた。
ミャンマーを知らずして取り合えずミャンマーにやってくる外国人は多い。ビジネスは「彼を知り己を知らば百戦あやうからず」が基本だ。自国の流儀で通用すると安易な自称ビジネスマンは多い。孫子の兵法までとは言わないが、渡航先の実情ぐらいスマホで事前に勉強できるはずだ。
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・03:ミャンマーを無視する外国人
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独文学者・竹山道雄の『ビルマの竪琴』はビルマを知らずして書き上げた戦後すぐの名作だ。二度も映画化されている。だが上座部仏教を誤って伝えた作品で、この作品の登場人物はほとんどが日本人と英国人である。肝心のビルマ人が描かれていない。
それと同じことは21世紀の今でも繰り返されている。出家の修行もせずに僧侶となり、戦友の供養のために竪琴を奏でる。上座部仏教では「歌舞観聴」を十戒の一つとして厳しく禁じている。日本人の心情とは真逆で、ミャンマー人は作品の水島上等兵を破戒僧と看做している。
このように宗教が形骸化した日本では仏教という言葉で上座部も大乗仏教もひと括りにするが、そこから両国、両者の誤解がスタートしがちだ。これはビジネスマンのみならず日本のジャーナリズム界にも言える。
今回のフリーランス・ジャーナリストの二度逮捕、インセイン刑務所での拘束および取り調べ、一ヶ月弱でのスピード釈放も、日本の報道陣はニュースソースが非常に貧弱だということが見えてくる。
特にFCCJ(*日本外国人特派員協会)での1時間14分にわたるQ&Aでの、日本人ジャーナリストが抱く関心事、海外特にインドネシアのジャーナリストの注目する関心事はまったく別のものであった。
FCCJでの会見は日本語・英語での通訳つきで見れるのでミャンマーに興味をもたれる方には是非ともお勧めしたい。それにしてもこのFCCJの通訳は非常に的確な英語を機関銃のように発信するので、英語の学徒には非常に参考となる。
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・04:ミャンマー人の第三国頼り
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話を早朝散歩に戻したい。
屋根裏部屋とは渋沢敬三のアチック・ミューゼアムから無断借用した言葉だが、この元日本銀行総裁と深い因縁話のある地元友人と偶然この朝市近くで出くわした。突然名前を呼ばれキョロキョロすると信号待ちの長い車列の中に旧友がハンドルを握っていた。一声かける間も無く車列は去って行った。
だが今は便利な世の中だ。スマホで追い掛けることが出来る。電話でだが旧交を温めることができた。彼は多彩な人物でアウンサン将軍が書き残した『Burma’s Challenge 1946』という自叙伝との因縁話もある日本語の達者な不思議な人物だ。
二人の共通の友人である謎の人物“さいとう・ナンペイ”はアウンサン将軍の自叙伝にインスパイアされ『アウンサン物語2015』に取り組み、ミャンマーの歴史を手探りで調べていった。この人物が日本人かシャン州出身かは謎のままである。
ビルマの歴史にはアウンサン将軍⇒ネウィン⇒単主絵⇒MAHという短絡的な国軍トップの系譜があるが、それだけで今現在のミャンマーのクーデターを説明したら森を見て樹をみていないことになる。その話は追々説明するとして先ずは『アウンサン物語2015』を糸口としたい。
その中にクーデター下のミャンマーとダブって考えさせらる意味深なエピソードがある。
第19話「ラングーン脱出の検証」である。
少し長いが全文を下記のとおり引用した。
アウンサンとラーミャインは中国服を着込み、英国官憲の目をかいくぐり、ノルウェー船ハイリー号(海利号)の上甲板船客として、ラングーンを脱出した。1940年8月8日のことであった。同船は中国・サイアム(*隣国タイの旧名)航路に従事する貨客船である。
この説明ですんなり納得していただければ、それで良し。しかし好奇心の強い、別の言葉で言えば、疑り深い読者のために、もう少し詳しく説明しておいたほうがよさそうだ。
アウンサンとラーミャイン、二人の密出国前夜の状況についてである。
当時タキン・アウンサンはドバマ協会の役員として全国各地を飛び回り、反植民地主義・民族統一・ビルマ独立を果敢に訴えていた。
「植民地主義者どもを叩き出すため、国民は団結しよう!」という演説がイギリス植民地政府をかんかんに怒らせた。
アウンサンは5チャットの懸賞金でビルマ全土に指名手配された。5チャットというのは印刷ミスではない。田辺寿夫の解説によれば、わざと小額にしてアウンサンを小モノ扱いしたという。
サザビーズやクリスティーズのオークションなら、この金額は高額の値がついたに違いない。当時ビルマで頭角を現し、将来大化けが期待できる人物だからだ。だが英国官憲のいやらしいところはまさにこの5チャットにある。イギリス植民地政府が老獪だったと述べたが、これこそまさにそのお手本である。
同じく指名手配中であったラーミャインにも危険が迫っていた。ビルマ石油会社労働組合職長を務め反英国の闘士だったからだ。当時の英国官憲の監視は厳しく、追ってはそこまで迫っていた。一刻の猶予もない。
そこで独立支援を第三国に仰ぎ、二人が援助国の感触を探る案が、タキン党本部で決定された。かといって当ても勝算もなかった。老獪さに対抗するには第三者頼りはあまりにも安易過ぎるのではないか。読者はどう判断されるであろう。
2014年の今でも、ミャンマー政府の、そしてミャンマー企業の、それを構成するミャンマー人の第三者頼りは、あちこちで顔を覗かせる。これはミャンマー人のDNAなのだろうか。
話を戻すと、当時、日本船の動静はすべて英国官憲にマークされ、日本船での密航はほとんど不可能であった。そこでノルウェー船が選ばれたようだ。
以上が第19話の全文である。たったこれだけである。
ただいまのヤンゴン時間5月24日(木)午前11時45分。
これから発信トライします。
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