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<ミャンマーで今、何が?> Vol.425
2021.04.14
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■独裁政権といっても多種多様

 ・01: GNLM紙は3月1日以降コロナ統計数字を一切発表せず!

 ・02: 明智光秀の心境

 ・03: ストロングマンの経歴

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:2021年03月02(火)午後8時発表(前回のまま)

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陽性感染者数合計:141,965名
新感染者数:49名
死者数合計:3,199名
退院者数合計:131,534名
現在検査中:名(*数字判明せず)
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
(GNLM紙は2月一杯は前日のコロナ数字を掲載していた。だが3月に入ってからはコロナの統計数字を一切発表せず。国民の健康無視どころか、国民の生命を大量虐殺しはじめた。自国民のジェノサイドを糾弾すべきである。ジェノサイドとは大量殺人のことである)



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・02:明智光秀の心境

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日本語は繊細で微妙な表現に適している。
しかも主語を明示しない文章である。欧米が読み取るには年季が必要だ。
この文章の責任者は誰なんだ?

だからスパイ作戦に適した言語は日本語だと気付いた。
それを過信したのが旧日本帝国のインテリジェンス情報管理部隊である。

日本の最高機密用の“パープル(*紫)暗号”が解読されたのは、ルーマニア系ユダヤ人で暗号の天才といわれたウィリアム・フリードマンによってであった。“ニイタカヤマノボレ”も“トラ・トラ・トラ”もすべて彼によって解読された。

真珠湾攻撃はすでに解読されていたのである。秘密文書がすべて開示され今になって言えるのだが、そうであるなら宣戦布告は英文タイプなどせず、日本語原文で手渡すべきだった。
そうすれば「ジャップの騙まし討ち!」など汚名を着せられずに済んだ。

参考RWクラーク著『THE MAN WHO BROKE PURPLE(*日本名:暗号の天才)』(新潮選書)

だから油断大敵なのである。過信してはいけない。細心の注意が必要だ。
日本はミャンマーの国防軍ともスーチーとも特別のパイプがあると寝ぼけた情報を流すマスコミがいる。根拠はまったくない。

さいとうナンペイ著『アウンサン物語2015』を引用しよう。
1945年3月17日、ビルマ国軍は日本軍が苦闘している中部ビルマ戦線に出動するため、盛大な出陣式をシュエダゴンパゴダ脇のゴルフ場(*現在の革命記念公園)で行った。

「兵士諸君。今日ここに我々が集まり、出陣式を行う目的は、祖国の独立を妨害し、危機に陥れようとする一番近くの敵に闘いを挑むためである。・・・ビルマの敵を殲滅することを心から願っている」。60秒足らずの短い訓示であった。

列席していた日本の政府幹部連中は“一番近くの敵”という意味深な言葉を聞き流している。
それは今日まで続いている。
話を戻そう。

ミャンマーは昨日4月13日(火)から4日間のティンジャン連休と暦に記載されている。だが今年は叛乱軍政府への抗議として市民・国民はティンジャンを祝福せず、“静かなティンジャン”で過ごすと表明した。昨年のコロナに続いて2年連続のティンジャン行事キャンセルとなった。

これに付随してノンポリ・メルマガが注目している大事な伝統行事がある。それはティンジャン終了翌日の4月17日(土)、ミャンマー歴新年の元旦である。小鳥を空に逃がし、魚を池や川に放流する仏教独特の積善行為のみに注目していたら、今回のクーデターの真相を見逃してしまう。

新年の晴れ着を着て老若男女は、これまでにお世話になった両親、祖父母、学校の先生、社会に出てからの昔の上司などを順繰りに訪ね、叩頭の礼を尽くし、若輩者たちがお世話になった方の健康を皆で賀する。

ミャンマーでは誕生日にも同様の寄り合いそして敬老精神は、洗髪をしてあげたり、マッサージを施したりと、若輩者が話し合っての自発的なもので、精神的に根付いたものである。
仕事が忙しくてバラの花束を贈っておいたヨ!という形式的なものではない。

それだけにミャンマー歴代の独裁政権で最強の権勢を誇った単主絵の今年の新年の行事を覗いてみたい誘惑に駆られる。誰と誰が駆けつけるのか? 誰が音頭を取り、どういう序列で行事が粛々と進むのか? 野次馬のメルマガとしては興味深々である。

実はクーデターの翌日2月2日が単主絵の誕生日であった。
そこにこのメルマガは注目した。
軍事独裁政権の大御所・単主絵の誕生会が開催されてはヤバイとMAHは判断した。

何一つ根拠はない。だからここからはノンポリの推理となる。
国防軍軍事政権と言っても一枚岩ではない。だが2008年憲法上のミャンマーにおける今現在の最高司令官はMAHである。ミャンマー最高の権力者で、世が乱世ならば憲法上クーデターもMAHに権限が与えられている。その乱世をMAH自身が創作・自演した。

単主絵に何らかの異変が起きMAHは浅はかにも明智光秀の心境になった、が推論である。
世にいわれる「明智の三日天下」。だがMAHは叛乱軍政権を一年間に限定すると発表した。舌の根の乾かぬうちに二年間に延長された。長期展望のないパッチ当てがMAHの慌てぶりを示す大きな特徴である。

過去のネウィンでも、単主絵でも、ミャンマーの伝統行事の一端は誰かの口から必ず漏れた。あるいはメディアがスクープとして流してくれた。だから2月2日の誕生会は大いに期待していた。

だが2ヶ月たってもウワサは何一つ流れてこない。ひょっとして誕生会は開催されなかったのでは? いや誕生会が開催されると不都合なことがある。誰にとって? もちろんミツヒデだ! ぎりぎりの前日2月1日未明になってミツヒデは謀反を起こした。だから長期展望などまったくない。

それならそれで意味がある。時間を逆算して仮定の推論に挑戦した。単主絵に異変が起きた。
ティンジャン月の今月始めに起きたルビー・マートの火災事故も非常に奇妙である。叛乱軍政府は待っていましたとばかりに即座に暴徒の仕業と断定した。

事件発生は戒厳令下の午前2時に発生した。
ヤンゴンの善良な市民なら絶対に外出しない時間帯だ。誰何なしに撃ち殺されてもオカシクない。CDM運動に熱心な若者だとしても、国防軍が経営するルビー・マートを襲うのは終身刑に相当する自殺行為で、いまどきの賢明な若者はこんなバカな真似は絶対にしない。

ルビー・マートはボージョー・アウンサン通りのAsia Plaza Hotelとサクラタワーの中間という一等地に位置する。国軍・警察車輌が常駐し最もセキュリティが厳重な地区である。あの深夜の時間帯に堂々とルビー・マートに近寄れるのは軍関係者または警察関係者以外には不可能だ。

火災後の灰燼からすると、国防軍発表の放火用ガソリンや爆発物使用は間違いないだろう。となるとそれらの運搬車輌が必要となる。そのような不審車が何ヶ所もある深夜の検問ポイントを密かにかい潜れたとする国防軍発表には疑問が残る。

まったくの同じ時刻にインヤレイクホテル近くのガンダマー卸売りセンターで放火・爆発事件が発生している。ここももちろん一等地で超高級なショッピングモールである。これだけ材料が揃いすぎると、仕掛け人の陽動作戦と見ざるを得ない。

もうひとつヤンゴンで囁かれ、信じられているウワサがある。
このルビー・マートは国防軍というよりも単主絵の孫が大株主というウワサがもっぱらで、ヤンゴンっ子の多くはそう信じている。

もしこれが事実なら国軍関係者がミャンマー最強のストロングマン最愛の孫のCash Boxに放火するなど到底考えられない。そこがミソである。そこで“もし”を重箱ほどに積み重ねてみた。

単主絵の意識が朦朧としてきたら、あるいは単主絵に異常が・・、それをいち早く察知し、決断を下せるのは誰だろう?

ストロングマンの重臣で、彼自身および彼の家族からも信が篤いこと。信が篤いだけに連絡将校を常に配備し、ストロングマンの微かな異変も察知出来る人間。
答えは自ずから出てくる。

話を早朝散歩に切り替えよう。健康にもよい。帰宅してからの快便も心地良い。
午前2時という放火当日は国軍・警察のセキュリティーが厳しく、どの方向からもルビー・マートへの接近は1km向うで遮断され、近寄れなかった。あまりの厳重さにウワサに真実味が増してきた。

翌日新聞片手に再度早朝散歩に挑戦した。相変わらず国軍・警察官を満載した車輌は各所で駐屯していた。トラック後部座席に座る全員がカービン銃を膝の間に立てているのが不気味だった。車の周りにもヘルメットを被り銃を構えたセキュリティが数人屯している。

指を折り曲げテクテク歩くハンドサインをおどけてやってみた。私の得意技だ。銃で早く行け!と合図してくれた。得意の日本語アクセントで「ティーズーティンバデー!」と言うと、ポリス顔がニコリと笑ってくれた。これで私の安全は保障された。

スマホ写真は危険だが網膜には十分に焼き付けた。
ルビー・マート東西南北四方の外壁は立ち残っていた。天井屋根を含めて内部は見事なほど完全に消失していた。当地の建築は外壁にレンガを使用し、内部は木材なので、ここは典型的なミャンマー型火災現場であった。

このルビー・マートを巡るウワサは幾つも聞かされた。
ウワサの取捨選択にもコツがある。
ハナからバカバカしいのもあれば、不思議に納得出来るものもある。

深夜に国軍か警察が貨物トラックを正面玄関に横付けした。慣れた手つきで現金をはじめ高価な商品を搬出した。その直後に火の手が上がり、大きな爆発が起こったという、現場中継のようなウワサだ。

これとソックリの事件がヤンゴンでは何度も発生している。ウワサには真実味がある。この手の大手デパートだと数人のセキュリティが必ず寝泊りしている。そして不思議なことに火災による死亡者はひとりも発生していない。ヤンゴンの七不思議のひとつである。



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・03:ストロングマンの経歴

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今回は小者でなく超大物の話としたい。
1933年(*1935年説もある)2月2日マンダレー管区チャウセ(*Kyaukse)出身で今年88歳の勘定となる。1992年から2011年までSPDC(*国家平和発展委員会)議長を務めた。

公式には2011年3月30日に国家元首の地位をテインセインに、最高司令官の地位をミンアウンラインに移管しすべての役職から引退した。後継者は自分のペットから選び、本人は厳然たる権力をいまでも維持しているとウワサされている。(*最新ののWikipedia)

チャウセの高校を卒業するとメイティーラの郵便局員として就職。その後ビルマ陸軍に志願し、仕官訓練学校の第9期初年兵となった。1958年新規に設立された陸軍省教育&心理戦幹部に抜擢され、ソ連のKGB(*情報インテリジェンス局)が運営する陸軍士官特別コースに1958年4-11月参加している。

あのブルドッグ面で、ほとんど人前には出ない。もちろん人前で話すことはほとんどない。某国大使が天敵スーチーの名前を出した途端に不機嫌になり、無言で退席したというのも欧米外交団の間では有名な話しだ。

このストロングマンをガサツで粗野な男と判断するのは間違っている。
若き日の軍隊経歴から判断すべきだ。幹部候補生の中でも抜群の頭脳とメルマガは判断した。KGBのエリート学校で8ヶ月間、当然授業はロシア語の筈だ。このストロングマンを見損なってはいけない。

帰国後は心理作戦部隊の司令官として順調に昇進し、1963年12月には中央政治大学の指導官、部隊の司令官などを歴任。そして1969-1971年再びソ連の超エリート校であるFrunze Military Academyの上級司令官参謀コースを卒業している。

ノンポリが注目するのは、英国MI6の諜報部員ジェームス・ボンドに匹敵する経歴の持ち主ということである。007と異なるのは老獪な出世欲が異常な程であったことである。

ネウィン独裁政権のなかでLow Profile(*目立たないように振舞うこと)で二番手に伸し上がり、大親分であったネウィンを真綿で絞め殺すように始末した。2002年12月;国営メディアでは報道されず、遺族による死亡広告で知らされた。

その一族も徹底的に処分された。
ネウィン最愛の娘の亭主および三人の孫(*男子)は国家反逆罪として100年近くの罪状で監獄にぶち込んだ。テインセイン大統領時代に政治犯出所の陰に隠れてこの4人は恩赦された。

それを自分の手は汚さずに、陣頭指揮は当時のキンニュン首相に任せた。
ネウィン一家を完全に葬ると、突然キンニュン首相を飛行場で逮捕した。キンニュンが牛耳っていた国軍外部の情報局およびその一派が全員監獄にぶち込まれ、軍政No.3のキンニュン首相は政治的に抹殺され、その一派は壊滅させられた。

これらの修羅場を演出するのはKGB学校卒業の優等生でなければ無理だろう。
非情な指令を与えて競わせる。
そのなかで必死に勝ち抜いてきたのがテインセインとMAHである。

テインセインが民主化推進の大統領として世界的脚光を浴びるとストロングマン腹心の“トゥーラ”シュエマンは露骨に大統領への意欲を表明した。
KGB流権力闘争を熟知したストロングマンはあっさりとシュエマンを切り捨てた。

そのストロングマンに心酔し、死んでも構わないと忠臣を誓ってきたのがテインセインとMAHである。だがテインセインは民主化初代大統領としての大役は全うした。
残るのがMAHである。だが問題は器が小さすぎる。それが問題で怖い。

次回はその辺りを取り上げたい。
ティンジャン初日の昨13日(月)は午後2時頃、ここ下街でも20分ほど大降りの雨が続いた。実に珍しいことである。天までが市民に味方していると友人は語った。近くのボーガレイゼイでも裏道は黄金のPadaukの花が地面を覆い尽くしている。

朝市の女性たちが後ろ髪をPadaukで飾り、町にはPadaukの匂いが充満している。
日本の友人がパダウの花に関するエッセイを転送してくれた。ご紹介したい。
http://www.el.tufs.ac.jp/prseas/html/pc/News20210407_231420.html
https://www.facebook.com/MyanmarHarpMedia/

ただいまのヤンゴン時間4月13日(火)午前11時40分。
これから発信トライ。




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