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<ミャンマーで今、何が?> Vol.393
2020.11.20
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■リアルなサバイバルゲーム!
・01: 2020年11月19日(木)午後8時発表
・02: 感染病の世界史
・03: 科学そして医学の進歩
・04: 自分に出来るコロナ対策
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:2020年11月19日(木)午後8時発表
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陽性感染者数合計:74,882名
新感染者数合計:1,560名
死者数合計:1,676名
退院者数合計:55,633名
現在検査中:17,573名
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
繰り返すが10月22日の感染者数は4万人突破、死者数が千人に近づいているといるとお伝えした。現状は一月足らずで上記の通り、急上昇カーブを描いている。だが心配したミャンマーの感染者爆発は、こんなレベルではない。さらに桁違いの感染者数と死者数を懸念している。
だがミャンマーだけ心配しても“樹を見て森を見ず”である。
海外に目を移すと、感染者および死者数の猛威は制御不能の様相を呈しはじめた。
そこで疑問が出てきた。
インフラが整い、産業革命も成し遂げ、経済水準も高く、一般の教育水準も高く、医療設備も完備され、世界の一流医薬品会社や感染症専門のドクターが揃っている先進国で、爆発が発生している。この状況をミャンマーの学生たちにどうやって説明したらよいだろう。
創造力も、想像力も乏しい自分の頭で考えても時間の無駄だ。
人類は大勢の愚者を作り出すと同時に一握りの賢者も産み出してきた。
その愚者と賢者のありとあらゆる歴史的データを、詰め込んだのがYouTubeである。利用の仕方を誤るとYouTubeはパンドラの箱となる。学習中の生半可さでは危うい。
それでもコピー&ペーストに挑戦してみよう。運を天に任せて!
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・02:感染病の世界史
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感染病の世界史をアトランダムに拾ってみた。
源氏一族を政界から一掃し栄華を極めた平清盛は1181年3月熱病で歿した。日宋貿易で中国大陸からもたらされたマラリアが原因と推定される。
イタリアの大詩人ダンテは1321年「神曲」を完成させた直後、ベネチアに向かう途中マラリアに罹患し死去。ラベンナに葬られた。
カイバル峠を越えインドにまでその大帝国を築いたマケドニアのアレクサンドロス大王は紀元前323年5月末熱病に罹り翌6月10日にバビロンで死去した。高温・多湿なインドに棲息するハマダラ蚊によるマラリアが原因とされている。
大航海時代を経て南米原産のキナの樹皮から特効薬キニーネが製造された。それまでマラリアは猛威を振るった。横道に逸れるが、ミャンマーの軍事政権はキニーネ入りウィスキーを大量に製造して兵隊に持たせ辺境地帯のジャングル戦に臨ませた。そのウィスキーしか飲まない地元友人もいる。
西暦542〜543年エジプトから東地中海沿岸一帯にペストが猛威を振るいビザンツ帝国の人口が半減した。14世紀には黒死病(*ペスト)がヨーロッパ各地で人口を激減させ、封建社会の変動に多大な影響を与えた。
コロンブス交換:大航海時代以来、ユーラシア・アフリカ世界とアメリカ新大陸が交流したため、食物・動植物・奴隷・疫病など多様な文化要素が交換された。これをコロンブスのアメリカ到達にちなみ「コロンブス交換」という。
特に感染症は相互に免疫がなく、甚大な被害を出した。梅毒もその顕著な例で、15世紀末からヨーロッパの宮廷に浸透し、交易路に沿ってアジアに広がり、鉄砲伝来より早く1512年に日本でも感染者が出たと記録されている。余談だが、モーツアルト、シューベルト、アル・カポネも梅毒の被害者である。
その他、結核は曹操、ショパン、正岡子規が感染被害者で、1918〜1919年に大流行したスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザではドイツの社会学者・経済学者マックス・ウェーバーが亡くなっている。
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・03:科学そして医学の進歩
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もちろん人類は病気を克服する努力もしてきた。
オランダの博物学者レーウェンフックはガラス玉を磨いて製作した顕微鏡で赤血球、精子、細菌などを観察し、微生物学の成立に貢献した。
ルイ・パスツールは腐敗に関連しての滅菌法を発見し、ワインの風味を損なわずに行う低温殺菌法はパスツールの名にちなんでパスチャライズと呼ばれる。ということは、香りが高く、味は濃厚で滑らか、黄金色をした最高級の白ワインである貴腐ワインもパスツールのお世話になっているのだろう。
致死率の高かった狂犬病の研究を通じて免疫学の確立に貢献し、弱毒化した微生物の接種によって免疫が得られることを発見した。
1887年パリに設立されたパスツール研究所は免疫学の殿堂として多くの研究者を輩出した。
ロベルト・コッホは炭疽菌を初め結核菌、コレラ菌を発見した。細菌の純粋培養法、そして染色などを開発し、細菌と感染症の科学的関係を確立し、感染症研究の祖として医学の発展に貢献した。
1891年ベルリンに設立されたコッホ研究所には世界中から研究者が集まり、コッホの指導を受けた。破傷風菌純粋培養およびペスト菌の発見で知られる北里柴三郎はコッホの弟子である。そして北里の門下生である志賀潔も赤痢菌の発見者として知られる。
天然痘ワクチンの開発者として知られるイギリス人のジェンナーについても忘れてはいけないし、細菌学、感染症学に関連して、医学の発展には多くの研究者が貢献している。
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・04:自分に出来るコロナ対策
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そこで世界的電子生物学者であるイギリスのRichard Dawkins著「The Selfish Gene(利己的遺伝子)」(1976年)のコロナ対策に入っていきたい。
ウィルスは数十億年生きている。ホモサピエンスの歴史はわずかに20万年である。パンデミックスは自然現象であり、これを人類がコントロールできると思ったら大間違いで、自然消滅を待つ以外に方法はない。せいぜい英知を絞り、犠牲を最小限に抑えることぐらいしか出来ない。
ナゼこのパンデミックスが怖いかというと一つには特効薬が無いこと。天然痘のように薬さえあれば治せる感染症もある。だがインフルエンザは型がいっぱいあり進化する。
今度のウィルスは分からないことが沢山あり、それが怖い。
猛毒を持ちながら進化する。敵として非常に賢いので、ウィルスに感染しても症状が出ない。本人も気がつかない。熱が出るとか、発疹があるとかの症状なら病院に運んで治療が出来る。軽症のまま治ってしまう人も沢山ある。今回の場合は敵が見えない。これが今回のウィルスの怖さである。
話を「コロンブス交換」に戻すと、人類は新大陸の免疫のない大勢のひとびとを犠牲にして、新大陸の産物“とうもろこし”“じゃがいも”“さつまいも”という貴重な食料を手に入れ、人生は豊かになった。そうして多くの人口を養うことが出来るようになった。その結果が地球規模での人口増に繋がっている。
もう一つは再生を意味する13世紀末から15世紀末にイタリアに起こり、ついで全ヨーロッパに波及した芸術上および思想上の革新運動ルネサンスである。これは黒死病といわれたペストが切っ掛けになっている。
イタリアを初めヨーロッパの旧社会を覆っていたのは、教会を主体とする旧弊な考えであった。幾ら“神”に祈祷を捧げても、“教会”で念仏を唱えても、黒死病の爆発は身辺に迫ってきた。そこで人類は神ではない“ヒューマン”主体が大切と気付いた。
ヒューマニティとかヒューマン・ライトは同じ派生語である。日本語では人文主義と翻訳された。そしてイタリアからヨーロッパに渡ると宗教改革に発展していった。旧教であるカソリックから、新教であるキリスト教をプロテスタントと呼ぶのはヨーロッパにおける歴史を経験しての上でのことである。
旧領主の象徴が教会であった。旧教に対して反対表明の抗議運動をプロテスタントと呼んだ。だが明治初期の翻訳輸入文化は宗教に対する抗議運動の歴史も知らずにプロテスタントと呼び、その後のヒューマン・ライトも人権と翻訳して、そのまま受け入れている。
このメルマガを初めとして、しっくりいかない人間がヒューマン・ライトに異議を申し立てるのも当然である。
だが今は21世紀である。パンデミックスに何も協力できない普通の人たちはひたすらStay-At-Homeの命令を守り自宅で懸命に過ごすことである。その一方で、医療業務に貢献している人たち、毎日の必需品・食料などを供給してくれる人たち、その運搬・運送に貢献する人たち、これら大勢の貢献者に感謝の念を捧げ、ひたすらパンデミックスが自然消滅するのを待つしかない。
これにより歴史が示すとおり大勢の死者が出るようであれば、為政者は弱者をサポートし、現金・食料・医薬品・消毒剤などを配布して万全の対策を講ずるべきである。中にはフェース・マスクやフルフェース、医薬品を買い占めた不心得者がいるが、これらは厳罰に処すべきである。
一方で庶民の中からテレワークやZOOMを活用し、濃密通勤を避けた自宅勤務で、次世代はITリテラシーが格段に上達するかもしれない。これについていけない私のようなガラパゴスは自然淘汰されるのがオチである。ロンリー・プラネットの老齢化にわずかでも貢献できれば、こんな素晴らしいことはない。
ルネサンスを振り返るにはフランス人、アルベルト・カミューの「ペスト」ではあまりにも短絡的である。ここはやはりイタリアの人文主義者ジョバンニ・ボッカッチョの
「デカメロン」で奥行きの深い人生物語を楽しみたい。
Stay-At-Homeで時間はたっぷりあるはずだ。
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ただいまのヤンゴン時間は11月20日(金)午前10時15分。日本時間はすでに同日午後12時45分。
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