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<ミャンマーで今、何が?> Vol.352
2020.01.24
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■ネイピードの夢、ヤンゴンの夢!!
・01: たった二紙でも世界は覗ける
・02: 蛇足ながら上記を解説
・03: 話を更に深読みしていきたい
・04: ノンポリのメルマガが一歩踏み込む
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:たった二紙でも世界は覗ける
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日刊英字新聞二紙を片手に路上喫茶へ向かう。
朝の時間はまだ7時前である。路上喫茶は8時ごろから混みはじめる。
その間に、私の仕事の一部は片付けられる。
二紙の見出しを流し読みし、特筆すべき情報を把握する。
気になる記事が幾つか検索されていく。
死ぬほど甘ったるいミルクティーを飲みながら、それらをすべて熟読する。
例えば、この数日間、気になる情報を列挙してみたい。
い:第三者国際調査委員会の最終報告書が大統領に手交された
ろ:スーチーがICOE代表団を接見
は:2008年憲法見直し共同委員会、2020年第3回会合
に:大統領府、ICOE報告書の内容を記者発表。
ほ:国軍がICOEの最終報告書に対し声明を発表
へ:托鉢用の鉢(はつ)が手作りから機械に(インワ地区)
と:貨物満載のバスにAAテログループが放火、運転手火傷で病院へ
ち:4大学にYBSバスの運航が許可
り:NTTが海底ケーブルに投資(シンガポールおよびインド向け)
ぬ:潜水艦仕官学校に日本で初の女性入学
る:ロイコウでの第4回“サクラ”植樹祭
を:米上院大統領弾劾裁判における次の手
わ:ギリシャ初の女性大統領誕生
か:ミャンマーの外資が一回使用のプラスチックに規制
よ:フェースブックがミャンマーでの使用者数提出を拒否
た:無責任な旅行者がミャンマーをゴミの山に!
れ:国家相談役担当大臣がICJ判決聴取にチームを引き連れオランダへ
そ:AAテログループが人道的見地から二人の捕縛兵を釈放
つ:ラカイン州での虐待行為は処分すると国軍が約束
ね:ICJ裁定はジェノサイド事件にはソク影響するものではない:人権団体
な:ミャンマーの総選挙は今年末。信頼回復にフェースブックが稼動
ら:各国中央銀行がデジタル通貨の可能性を共同研究
む:2019年の映画売り上げはディズニーが独占
などなどだが、省略した項目はもちろん幾らもある。
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・02:蛇足ながら上記を解説
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ICOEとはガンビアのジェノサイド提訴に関して、ミャンマー政府が独自に依頼した第三者国際調査委員会のこと。ガンビアの主張するジェノサイド(大量虐殺行為)を証明する確たる証拠は見出せなかった。だが引き続き監視を継続すべしとする461ページの報告書が今月1月12日にミャンマー国大統領とスーチー国家相談役に提出された。
ICJとはオランダ・ハーグにある国際司法裁判所のこと。
昨年12月スーチーが代表とする弁護団はその裁判所における三日間の公聴会で、ガンビアの主張は確たる証拠がなく棄却すべきであると強硬な論陣を張った。
その判決は今日1月23日(木)に同ICJから発表される。
スーチーは出席しないが、国家相談役担当大臣がチームを率いて出席した。
AAテログループとは正式には“Arakan Rohingya Salvaion Army”、ラカイン州でミャンマーの中央政府・国軍に対する反乱分子のことである。
ICJの判決発表直前にプロパガンダ作戦の一環としてミャンマー国軍の二人の捕縛兵を釈放したものと思われる。
ミャンマー側およびスーチーの主張は明白で、2017年8月25日にミャンマー国軍が確保した30ヵ所の山岳駐屯地が同日同刻に急襲され、火器弾薬などが大量に略奪された。この組織的襲撃からミャンマー国軍はAAテログループの犯行と判断し、同8月25日から2017年9月5日まで広範囲にわたり山岳地帯で必死の追撃・反撃を展開した。
バックナンバーをひっくり返してもらえば、かなり詳細な情報をメルマガに掲載したはずである。海外のマスコミが考える、整備された大都会・市町村ではない。山岳地帯にへばりつくようにミャンマー人仏教徒、イスラム教徒、ヒンドゥー教徒、クリスチャンなどの村落が離れ離れに散在している。中には混在して平和裏に生活している村落もある。
駐在のおまわりさんが居る訳でもない。だが土塁を築いた国軍の駐屯地が山岳地帯の峰峰に散在する。住民の話す言語もバラバラ。だから村落・部落が異なると会話は成り立たない。
事実を調査・確認するにも、兵士に警護された役人やおまわりが来れば、裏山に逃げて隠れるのがここでは当たり前。
アナタは一人ではない、二人・三人の通訳を介して会話した経験がおありですか? その往復作業が熱帯のジャングルで延々と続く。ミャンマーだけではないが、少数民族と対応する場合には老獪な繊細さが必要です。
話しは大きく飛躍して、偏見と取られるかもしれないが、スークにおけるムスレムの乞食と商売人、それに対して朝市・夜市における仏教徒の乞食と商売人を文化人類学的に比較したことがありますか?
仏教徒は日本人に似て、非常にシンプルで、粘り強さがない。それは乞食も商売人も同じだ。
ムスレムの商売人は、日本人と見ると10倍の値段を吹っかける。トンデモナイと去ろうとするが追いかけてきて、幾らだったら買うかとシツコク商品を薦める。試してみると分かるが半額でも三分の一の値段でも商売を諦めない。ソコから彼らのビジネスがはじまり、ビジネスの醍醐味はソコからはじまる。
父の名をアブドゥーラー、母をアーミナと呼んだムハンマドはメッカで生まれた。そして610年のある夜、ヒラー山の洞窟で天啓を受けアラーの神の預言者としての自覚を得た。すなわちイスラム教の始祖となった。
そのムハンマドは紛れもない商人の出自である。
だから彼らの言葉は巧みで老獪である。ミャンマーの仏教徒やシンプルな日本人を手玉に取ることぐらい朝飯前である。乞食ですら、この世で最も哀れな物乞いを演じることができる。
“千夜一夜”の原本で学ばなくても良い。最近は読書離れが激しいそうだから。
だが海賊版DVDからディズニーの“アラビアン・ナイト”ぐらいは教養の一環として鑑賞して欲しい。スークでは老獪な英国人ですら手玉に取られているのだから。
今回の国際司法裁判所は合計17名のパネリストで成り立っている。
その委員長の名前はムハンマドの父親アブドゥーラーと同じ名前である。ということはこの委員長はイスラム教徒であることは間違いない。
もちろんその委員会の決定は満場一致で採択された。だから民主的であるのは間違いない。そしてスーチーも国連の組織およびその決定には敬意を払わざるを得ない。
だがここでメルマガとして言及したいのは、国連のメンバーとなっている196カ国の主権は平等で一票を投じることができる。それを民主主義と称している。だが拒否権という特権を使用できる五大国の影響力は大きい。それらのネジレ現象の中で被害者意識を扇動するグループ化も無視できない。
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・03:話を更に深読みしていきたい
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今、ヤンゴン時間2020年1月24日午前3時である。
オランダ・ハーグの国際司法裁判所での判決が発表されたはずである。時差がある。
グーグル検索でその結果を覗いてみたい。実に便利な世の中になったものだ。
アフリカのムスレムが多数を占める小国ガンビアが“世界57カ国のイスラム協力組織”を代表してラカイン州でのロヒンギャーに対するジェノサイド(大量虐殺)を批難し、ミャンマー連邦とそれを代表するスーチーを国際司法裁判所に告訴した。
ミャンマーは「集団殺害罪の防止および処罰に関する1948年条約」を批准し署名している。
その判決は昨23日に発表された。
「大量虐殺問題の最終結審に国際司法裁判所は努力するが、それには何年も要する。だがロヒンギャーに害が及ばぬよう早急に予防措置をとることをミャンマー政府に命令した。」
さらに「ミャンマー政府はジェノサイドの関する知りえたすべての証拠を提出し、施行した予防措置を4ヶ月以内に国際司法裁判所に提出するよう命じた。」
同国の事実上の指導者であるアウンサンスーチーは同日付で一片の書類をフィナンシャル・タイムス紙に提出し、隣国バングラデッシュで聞き取りした調査では、暴力の訴えは誇張したものであると反論した。そして国連人権理事会の事実確認の調査は不確かなものであるとしている。
スーチーの主張はすべて拒絶された。
これからは国際世論がどう動くをジックリと見学したい。
だがスーチーはミャンマー国内で最も知的な政治指導者である。そして今年末には総選挙において、スーチー政権の前半5年間の評価が下される。
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・02:ノンポリのメルマガが一歩踏み込む
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小さい記事だが、AAテログループが貨物満載のバスに放火し、運転手に火傷を負わせた。死者は出なかったが、運転手は病院に入院した。このバスはヤンゴンからラカイン州へ向かうバスである。しかもラカイン州に入ってから放火事件は起きた。このようにAAグループはゲリラ攻撃を散発的に仕掛けてくる。
国際司法裁判所という世界のひのき舞台でラカイン州のジェノサイドが取り上げられてから、ミャンマー国軍は軍部の事情調査結果を記者会見を開き公表するようになった。そしてその事実があれば当事者を処罰するとの見解も発表している。
スーチーは国民の全員に平等な法律と規則の施行を敷いた。
そしてあらゆる場面での透明性を実行してきた。
今回のロヒンギャー問題は、スーチーの権限が及ばない基本的にミャンマー国防軍の管轄下にある。
本来はスーチーは自分は当事者ではないと逃げることもできた。
だが敢えて火中の栗を拾うために、スーチーはオランダのハーグまで出廷した。
世界中のマスコミのさらし者になるのは当然読めていた。そこでミャンマーの国軍を擁護する論陣を張った。
陸海空三軍の上級最高司令官であるミンアウンラインにオランダのハーグに出廷する勇気と弁論能力があるかどうかは知らない。だがスーチーに借りを作ったのは間違いない。
今回の判決で4ヶ月以内にロヒンギャーに対してジェノサイドの予防措置を講じて、できる限りの証拠書類提出を国際司法裁判所からスーチーは命じられた。
スーチーはそれをそのまま4ヶ月限定でミンアウンラインに命じることができる。
拒否すればミンアウンライン自身を国際司法裁判所に送り出し“火あぶりの刑”も可能だ。
スーチーは老獪学の大家である。メルマガでは考え付かない秘策があると見るべきだ。
国際世論すべてを敵に廻して、ミャンマーの伏魔殿・国防軍を崩す。
国防軍といっても、下っ端の雑魚ではない。スーチーが狙うのはその親玉である。
タンシュエの体力は衰えてきた。その目が白濁するのも時間の問題だろう。
国際司法裁判所が提示した“4ヵ月後”は絶妙なタイミングである。
今は一月末、4ヵ月後は5月末となる。モンスーン雨季となる。
タンシュエの衰退は、ミンアウンラインのみならずすべての将兵の動揺を招く。
ミンアウンラインを通じて国防軍の一画が崩れる。
ほんの一角で構わない。
そうすれば不可能と思われたミャンマーの2008年憲法が改正できる。
スーチーが新憲法の要件を満たし、大統領候補として今年の末を迎えることが可能となる。
だがこのメルマガはへそ曲がりである。
スーチーだけが成し得た一世一代の“国家相談役”で歴史を終えるのも悪くない。
安っぽい“大統領”にならないスーチーも悪くない。
これこそ「大阪の夢、京の夢」である。
それをミャンマー版にアレンジしてみよう。
「ネイピードの夢、ヤンゴンの夢」となる。
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