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<ミャンマーで今、何が?> Vol.349
2020.01.06

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■宿題を抱えながら、話しは更に脱線

 ・01: 複雑国家ミャンマー

 ・02: フルベッキとは英語で“バーベック”

 ・03: 与党のご意見番?

 ・04: 疑惑持ち込み禁止

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:複雑国家ミャンマー

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「何も持ち込まない。何も持ち出さない。」
この原則を守らずに世界の多様な民族の文化が白人文明によって破壊されてきた。
ミャンマーは今、その岐路にたたされている。だから日本式新年の挨拶は、安易に使用したくない。多くのメールを頂戴し、不義理をしているが、ご理解いただけると嬉しい。

ミャンマーには135のエスニック・グループが共存している。そのうち大多数の人口を誇るグループから順番に7つだけ、光栄にも“州”としての領土が与えられた。シャン・カチン・チン・ラカイン・モンなどのようにである。彼らは基本的にミャンマーの国境周辺に配置されている。

最大民族のビルマ族はヤンゴン・マンダレーなどのようにミャンマーの中央部の領土を支配してきた。その歴史的経緯があるから、少数民族の一部は軍事政権の時代から中央政府に信を置かず、武力によって自治を獲得すると、平和交渉には応じていない。

それゆえにミャンマーは国名にあるとおり連邦制を採用し、それを実現するのが国父アウンサン将軍の夢であり、そして21世紀の今、その娘ド・アウンサンスーチーの率いる新政府にとっての悲願となっている。

軍事政権時代は認められなかったが、民主化・新政権に移行するに従い、各小数民族の新年あるいはクリスマスが国の祝日として公に配慮されるようになった。かといって135の民族がすべて配慮されるわけではない。そこに多様民族国家の悩みがある。スーチーが某国外務大臣に言った「ミャンマーは複雑なんです!」は意味が深い。

それを口をポカーンと開けて経済発展の話しか出来なければ、外務大臣を通じてその国の教育レベルあるいは教養が疑われても仕方がない。

ミャンマーの暦を見ても、目先の連休の数しか数えない外国人は多い。カレンダーに配慮された各主要民族への思いやりを読み取って欲しい。

ミャンマーには二人の副大統領が置かれている。
上級副大統領は国防軍の最高司令官ミンアウンラインが指名したMyint Sweで、もうひとりはスーチーが指名したHenry Van Thioである。二人とも民族的にはビルマ族ではない。少数民族の出身である。そこに行き着くまでにスーチーの軍部との水面下での激しい交渉があったことを、最近は駐ミャンマーの外交官ですら知らない。

その辺りの裏事情を知らずに、自国大使館のご機嫌を伺いビジネス優先で乗り込むビジネスマンは多い。その結果、誤ったルートでコネをつくり、予想通りの千日手に堕ち込む。自分で勉強しないから当然の結果と言えるだろう。

習近平を批難する暇があったら、孫子の兵法「彼を知り己を知らば百戦あやうからず」ぐらいは学習しておくべきではないだろうか。ついでに司馬遷の“史記”ぐらいは読むマネをして欲しい。寺子屋で学んだ学童たちは長じて、それらの素養を身につけていった。それが日本人をつくり上げていった。智恵子抄をパクらせてもらえば「今、日本には本当の日本人が居ない。」

その祝日に、ミャンマーの大統領が祝福のメッセージを贈り、国家相談役のスーチーが祝福のスピーチを行う。それだけではない。副大統領のHenry Van Thio夫婦が中央政府の主要大臣を引き連れて州都に駆け付け地元の主要人物夫妻たちと共に喜び合う。それを新年として祝う場合もあれば、クリスマスとして祝う場合もある。これをスーチーは「ミャンマーは複雑なんです!」と表現した。



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・02:フルベッキとは英語で“バーベック”

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ミャンマーでは1月1日は新年の祝日だったが、翌2日からは普通の出勤日である。もう仕事は始まっている。今の国際化時代、日本が特別なのである。それはそれで尊重しよう。それを日本独自の文化と呼んでも構わない。だが、その日本文化というものは高々150年の歴史でしかない。

このヤンゴンから日本を眺めるとつくづく考え込んでしまう。
佐賀県に住む慧眼の士から学びヤンゴンまで持参してもらった貴書「日本のフルベッキ」に没頭し、日本人とは何か?その原点を探索しているところである。

その原点は間違いなく、日本の夜明け維新前夜にある。
それを解きほぐしてくれるのが「無国籍の宣教師フルベッキの生涯」と副題が付いたこの名著である。定価8000円で、発行部数はわずかに限定500部となっている。

この原著はW.E.グリフィスで、それを訳編した村瀬寿代と佐賀の発行者・洋学堂書店店主のご苦労が滲み出た名著である。

日本の現代史は、コンパクトに大東亜戦争の敗戦(1945年8月15日)から説き起こされるが、それでは木を見て森を見ずのそしりを免れることはできない。
だが日本の夜明け、維新前夜から説き起こしたところで、僅か150年ソコソコの歴史でしかない。

2019年の除夜の鐘から2020年の元旦まで継ぎ目のない時の流れと同様に、150年ソコソコの時の流れも間断なく綿々と続いてきた。ということは150年前の維新があり、そして21世紀の今日があるということである。踏み込んで言えば、その節々に右へ行くか、左に行くかの選択肢を経て今日の日本を造ってきたと言うことになる。

それは伊藤博文が造ったのでもなく、東条英機が造ったのでもない。
我々の祖父母に埋め込まれたDNAが選択し行動した結果であり、また同時に我々自身の血管に流れる同じDNAが選択し、行動する現在進行形そのものである。

本当にそれでよかったのだろうか?
そして本当にそれでよいのであろうか?

スーチーは現在その選択と行動を現在進行形で進めている。



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・03:与党のご意見番?

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12月24日(火)の日刊英字紙GNLMの第一面に「国家相談役、日本の政治家訪問団と両者関係、発展計画について会見」と大見出しで、“昨日ヤンゴンにて、参議院議員山口ナツオに率いられた一行(含む駐ミャンマー日本大使)と記念撮影に納まる国家相談役・アウンサンスーチー”の大きな写真(全員で7名)が掲載された。

ここで注目すべきは、一行が公明党関係であることと、スーチーがネイピードの官邸を選ばずにヤンゴンの私邸で会見したことである。アナタならこの記事をどう読み解きますか?

翌25日(水)の同紙第2面にミャンマーの下院議長U T Khun Myatと現政権と連立を組む公明党党首の会談が首都ネイピードの公邸で行われ、その写真も掲載されている。

同様に一行はネイピードの投資海外経済関係省に大臣を訪ね、駐ミャンマー日本大使も同席して、その会談模様が写真つきで掲載された。

私はここヤンゴンに住むようになってからはこと宗教に関する偏見は持たぬようにしている。日本では最も多忙な今の時季になぜ?という疑問が頭をもたげたが、深追いはしなかった。

スーチーはこの日はイラワジデルタにおける架かった新大橋の開通式出席で同紙第一面を大きく飾っている。



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・04:疑惑持ち込み禁止

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驚いたのは年も押し迫った12月29日(日)のGNLM紙である。
「Shin Rai職業訓練学校の礎石打込式が国家相談役および日本の首相夫人臨席のもと行われた」と題した記事と写真で第一面が埋め尽くされた。

南ダゴンのLaydaukkanでシンライ国際職業訓練校の起工式が行われた。このシンライが日本語の“信頼”から来るのか、別の語源があるのかは不明である。そしてヤンゴン地区の大物政治家がずらりと列席している。

スーチーは感謝の言葉をスピーチで語っているが、老練なスーチーはもとより、ミャンマーのマスメディア、それどころか駐ミャンマーの外交団は日本の動きには敏感で、日本のモリトモ学園、カケイ学園の問題は一般常識として認識している。

それだけに驚いたのは東西南北研究所だけではない。
同紙第2面でも全ページを割いてアキエ夫人とスーチーの一対一の会見が写真掲載され、第3面も二人が並んで記念撮影した写真、およびそれぞれの記念植樹の模様が掲載されている。スーチーはマンゴーの木、首相夫人は桜の木の植樹である。

どうして公明党が、どうして話題の首相夫人が、どうして年末の忙しい時期に、どうしてこのヤンゴンにと、考えると夜も寝られなくなった。この二つは関係があるのであろうか?行間からもヒントは臭ってこない。

年末から年初にかけては、マングローブ関係を整理しようと思っていたが、上記の新聞ネタに振り回され、オタオタ・オロオロしているところである。

それにしてもスーチーは凄い、どの国に対しても等距離外交に徹している。
隣国の外務大臣に対して“無礼だ!”などという勇ましいコトバは吐かない。

恥ずかしいのはこのメルマガだ。哲学もポリシーも無く、酔生夢死の人生で2020年まで生き延びてしまった。どこかの長期政権と同じく、はた迷惑な話しだ。

もうしばらく近所迷惑を続けることになりそうだ。


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