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<ミャンマーで今、何が?> Vol.345
2019.12.23
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■国際司法裁判所におけるスーチーの闘い(1)
・01: ガンビアから提議された訴訟事件
・02: 素朴な疑問から、取り掛かりたい
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:ガンビアから提議された訴訟事件
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ミャンマーにとって国難ともいえる、この災難をメルマガ一本にまとめることは不可能と判断した。何回で終了するか分からぬが、連続番号でお届けしたい。
箸休めの要領で、時には別の話題を、途中で挟むかもしれない。
気まぐれなメルマガと、ご容赦願いたい。
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日刊英字紙GNLMの2019年12月9日(月)版にオランダ・ハーグに旅立つスーチーの写真が第一面に掲載されている。
12月15日(日)版にハーグからネイピードに戻ったスーチーの写真が同様に第一面に掲載されている。
その間の、10日、11日、12日、13日そして14日のGNLM紙には連日スーチーの写真が大きく第一面で取り上げられている。もちろん国際論争としての詳細な報道は第三面以下に写真付で掲載されている。
約一週間分のこれら日刊英字紙が、足の踏み場も無いほど私のワンルームの室内に広げられている。かなりの文量だが、これらを熟読吟味し、分析した上で、日本の読者にお届けせねばならない。
ニセ教師を務める今、陰暦12月の異称“師走”を実感として味わっている。専門外の日本語で、その文化についてまで踏み込まねばならぬ。その一方でミャンマーの国難に付いて冷静に分析しなければならない。悪友たちからは蛇の道へ誘われる。二日酔いでも、気合を入れ直さねばならない。人生はサドンデスだからだ。
メルマガの作業過程に問題はない。確立されているので手順に狂いはない。日刊英字紙GNLMはもちろんのこと、もうひとつの日刊英字紙であるMT紙も街角の新聞屋に座り込みジックリと読み込む。そして関連記事があればMT紙を購入し自宅に戻る。
それだけではない。
それにYouTubeが加わった。提訴したガンビアの状況、それを受けて立つスーチーの祖国・ミャンマーの状況と、ここヤンゴンでそれらの動画を見ることが出来る。現代テクノロジーの恩恵である。
厖大な動画資料に接することができる時代になった。唯一の敵は停電だけである。
マスコミにヤル気さえあれば、ヤンゴンにいるだけで真実の追求は可能だ。
ということは東京にいれば、データの分量はさらに膨れ上がり、より真実に迫れる。
英語の諺「There is a will, there is a way!」である。
日本のマスコミは、ミャンマーのニュース、スーチーの行動など、まったくの関心外である。ヤンゴンに住む日本人にとっても、忘年会や新年会の段取り、長期休暇の予定で忙しいことだろう。
若き生徒たちの手助けでスマホ、パソコン、ネットの操作を教わっている。
その最中にYouTubeと遭遇した。目くるめくYouTubeの世界に今頃エキサイトしている。
恥ずかしながら晩年になって、夢中になっている。
スーチーは自宅拘禁から解放されると、即座にインターネット接続の申請を当局に提出した。そしてその時点からインターネット、Eメールの勉強を始めた。スーチーが凡人と異なるのはソコである。
このメルマガの創刊号である2012/07/04配信Prep.No.1<ミャンマーで今、何が?>から一部を引用してみたい。
「2010年11月13日、スーチーさんは約15年間の自宅軟禁を正式に解除された。スーチーさんは解放されると政府からモニターされることを承知の上でインターネットを自宅に設置する。ということは当時65歳のスーチーさんがその日からパソコンおよびインターネットを学習し始めたという風には読めないだろうか。そして徐々に海外からのインタビューも許される。西側マスコミからの電話インタビューが殺到するようになる。“自宅監禁中は海外ニュースを一日6時間ラジオで聞くのが私の義務でした”と語っている。監禁中は世界の歴史書、人物伝、宗教書、特に仏教書を読み漁ったという。・・・読書で内面を鍛えると同時にラジオで“今”という時代を見つめるスーチーさんの強靭な精神力が見えてくる。」
(注)当時は“さん”付けで彼女を呼んだ。その後は歴史上の人物となる彼女を“スーチー”と呼び捨てにしている。私の師匠を含めて、公に書籍を出版した人、歴史上の人物は敬語を省くことに方針変更した。ご了承いただきたい。
スーチーとは十年も周回遅れの私は、今頃になって、YouTubeで広い世界を見聞し始めたばかりである。実に恥ずかしい。
BBCニュース、CNNニュース、アルジェジーラ英語版、Foxニュース、NHKニュース、Sky News、その他にもテレ東NEWS、虎ノ門ニュース、林原チャネル、羽鳥慎一モーニングショー、実践実学大学、SakuraSoTV、ホリエモン、上杉隆、中田敦彦、武田邦彦、及川幸久、東京の外国人記者クラブでの記者会見、まだまだある。好き嫌いではなしに極右・極左の賛否両論もおもしろい、手当たり次第の挑戦である。
日本人のメンタリティについても考えさせられた。学び&教えられたことは無限にある。心臓がパクパク喘ぐ中、三途の川を渡るまで時間が残されていない。急がなくっちゃ、という心境だ。それにしても、私の人生は無学・無教養の酔生夢死であった。
それらを照らし合わせながら、ハーグの国際司法裁判所でのガンビアからの申し立て、そしてスーチーの反論を、ジックリと読み取らねばならない。
たったONEイッシューの国際訴訟事件であるが、奥行きは深い。どこから手をつけるか判然としない。
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・02:素朴な疑問から、取り掛かりたい
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ヤンゴンに来て「ミャンマー方式」があることを知った。
高級ホテル一階部分だけがなんとか工事完了。二階以上は埃だらけの工事中である。
オーナーも現場監督も一階部分と玄関先だけを磨きに磨く、インスタント調教のスタッフを着せる、新聞広告も出し、僧侶まで招いて新規開店を強行する。これをミャンマーではソフト・オープニングと称する。
繰り返すが、二階以上の上階はガランドウで埃だらけの工事中である。
だがミャンマーのビジネス根性は、一階だけでも運営すれば、現金収入の道が開ける。日本方式だと、全館の完工までには、まだまだ時間が掛かる。下手すると次の雨期明けまでスケジュールは延期せねばならない。本社からはガミガミ言われ、追加予算も許可されず、現場責任者は頭を抱えノイローゼとなる。
私の心神はミャンマー人とハーモナイズして、混濁していく。
日本人のビジネス判断は石橋を叩いても本社の了解が取れない。その間に、中国方式および韓国方式が、美味しいところすべてを持っていく。
法律が完備されてないのでリスクが大きいと逃げ口上を考える。
法律が完備された日本ならリスクはないはずだ。
どうして法律も完備されていない国へ進出するのだろうか。ソコのところが分からない。
だから日本人社会からは吊るし上げられ、護送船団方式にはついていけない。
最近、父親が内航船の船長だったという人物に出会った。話も壷を得ている。本も読んでいる。この人物ならラテン語のコトワザ「When in Rome, do as the Romans do」を実行できそうな男だ、と失礼ながらそう判断した。
このコトワザを知る日本人は多い。だが実行している日本人は少ない。
海外に雄飛する業界は多い。日本のコトワザ「郷に入りては郷に従え」を実行している日本人は絶滅危機種である。だから私は、日本人部落からは総スカンを食らっている。
日本人が興味を示さぬミャンマーの国難について、根本から本質を考え直すことにした。
“ガンビア”って何?がそれである。
ミャンマーを相手取って国際司法裁判所に訴訟を起こしたガンビアとはナニモノか調べてみた。メルカトル図法による平面の世界地図では実態は分からない。地球儀を持ち出して球体として捉えないと読めない。
ガンビアとは地球の裏側に位置するアフリカ大陸西端部の共和国の名前である。
それではそのガンビア共和国がなぜ地球の裏側のミャンマーを訴えるたのだろう?
地理的にミャンマーに近いバングラデッシュやアセアン諸国、あるいはインド・中国から訴訟を受けるのなら、このボンクラでも分かる。
東西南北研究所の調査・分析はそこから始めることとした。
ブリタニカ国際大百科事典で“ガンビア共和国”を調べてみた。「西は大西洋にのぞむ」とある。ミャンマー近くのベンガル湾でもインド洋でもない。地球の裏側の大西洋に面した国である。突然訴訟を起こされれば、スーチーでなくとも鳩が豆鉄砲を食ったようなものだ。
糸口が無いか、さらに大百科でガンビアを追いかけた。
「1455年ポルトガル人が到来。1588年ポルトガル人はガンビア川における独占通商権をイギリス商人に売却。以後イギリスの勢力下に入った。1681年頃からフランス人が進出、両国が領有を争ったが、1783年のベルサイユ条約により、イギリス支配に帰した。・・・1894年単独のイギリス保護領となった。1965年独立。1970年共和国となった。主産業は落花生栽培で、経済は落花生とその加工品の輸出に依存。・・・国民の90%以上がイスラム教徒で公用語は英語。」と書いてある。
実に貴重な手掛かりだ。歴史は雄弁に物語る。
歴史を知らぬ人間はバカにされる。評論家やマスコミにこの人種は多い。
用心して読み解かねばならない。
西欧の白人諸国がどれほど自己中心的だったかイギリスのブリタニカ国際大百科事典にそう書いてある。ポルトガル人も、イギリス商人も、そしてフランス人も。
海運会社の端くれに身を置いたとき、大航海時代の歴史を憧れと共に勉強しなおした。だが、それは歴史のサニーサイドを眺めたに過ぎなかった。どれほどのダークサイドが語られていなかったのか、今頃気付かされた。
特に海賊版DVDで「AMAZING GRACE」を見たときの衝撃は忘れられない。
Vol.292(2019.01.14)から立て続けに8回ぐらい連続してこのメルマガでお伝えした。
今のクリスマスシーズンによく歌われる「アメージング・グレース」のエピソードと平行して僅か24歳で大英帝国の首相となったウィリアム・ピット(小)の老獪な議会戦術の物語である。
イギリスの特権階級が暴利を貪っていたアフリカの奴隷貿易を禁止する法案を世界に先駆けて通過させた。
後世のイギリス人が名誉ある良心を誇ることができるのは、このピット首相ゆえである。
その一方で、有色人種のインド人やビルマ人は非人道的な植民地としての苦難の歴史を歩むことになる。
大英帝国は反政府ゲリラとして闘ったスーチーの曽祖父の首を切り落とし村民たちへのさらし者とした。さいとうナンペイ著「アウンサン物語2015」によれば、父親であるアウンサン将軍も大英帝国の陰謀で暗殺された。スーチーはその事実を歴史から厳粛に学びながら、仇を許すという高邁な思想に到達している。
一般にスーチーは非暴力主義のガンジーの弟子のひとりとして捉えられているが、このメルマガでは仇を許すという心境に至ったとき、スーチーの哲学はガンジーの思想を越えたと分析している。
これらすべてをひっくるめて、スーチーは日本の外務大臣にミャンマーは複雑なんですと説明したが、話は経済発展・経済協力で終始したという。
アウンサン将軍がどうして日本軍を裏切り、大英帝国に寝返ったのか、歴史から学ばない外交は外交ではないような気がする。国益すら裏切ることになりはしないか?
話がまた横道だ。
日本大百科全書(ニッポニカ)でさらにガンビアを調べてみた。
「1965年2月18日イギリス連邦内での独立国となった。国土は新潟県より狭い。落花生が作付面積の80%で、ラッカセイ・モノカルチャーの国。他の西アフリカ諸国同様にレバノン商人が活躍する。公用語は英語で、宗教は90%がイスラム教。」などの追加情報を得た。
国内に問題を抱える相当の貧困国である。その貧困国がなぜ地球の裏側のミャンマーとスーチーを国際司法裁判所というひのき舞台に訴え出たのかというシンプルな疑問が生じる。Why?
老獪学をイギリスから学習中の学徒としては、イギリスの影がチラチラ見える。
イギリス連邦内での独立、そして公用語は英語である。ガンビアはイスラム教が大多数を占める。その本質は判明していないが、スーチーの第二の故郷といってもよいオックスフォード大学が突然スーチー批判を始めた。
その件と照らし合わせて、公用語が英語で、しかもイギリス連邦内での独立国、これはコントロールし易い。しかもイスラム国ならば、ラカイン州のロヒンギャー問題でスーチーを攻撃するには正当性もある。貧乏国であるところがミソだ。とてつもないタップリの報奨金を匂わせれば、飛びついてくることだろう。このところは老獪術に則った推測記事である。
これらを頭の片隅に置き、オランダ・ハーグにおける新聞記事を読み漁っていきたい。
日本は至近距離である北朝鮮からのミサイル、ミャンマーは地球の裏側からの狙い撃ち、国の最高指導者としてはどちらの対応が迫力あるのだろう。ヤジウマが気を揉むところでもある。
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