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<ミャンマーで今、何が?> Vol.340
2019.12.6
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■日本語学校で教師?笑ってください!
今週は小項目は設けない。体力消耗で草臥れてしまったからだ。
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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朝10時から、夕方4時までの授業だったが、一日でクタクタとなった。
生徒の年齢構成は20歳が最年少、最年長は33歳。すべて男子生徒。
海外経験は二人いる。一人はシンガポールの叔父を頼って職探しに行ったが、ミャンマー政府からの正式の就労許可を取っていなかったので、一ヶ月でミャンマーに戻ってきた。
もう一人は韓国で4年働き、貧乏な両親にすべて送金し、一銭もなくなった。
次は日本語を学んで日本で稼ぎたいという具体的な目的で入学したそうだ。
大社長の話では、9人のうち6人が正規の生徒で、残り3人は友人の社長の息子とその友達2名。この3名は、他の日本語学校に通っているが、私の話を聞き、最初の二日間だけ参加したいという、言ってみれば冷やかしの客だ。
第3回目の授業から6人体制に戻るので、これなら一人の教師で目が届く限度一杯の人数である。教室の広さも、合計10人で満席で余席はない。来週から6人体制が再出発だ。
一人の生徒が私のスマホより大型画面のスマホをセットしてくれた。これで動画はバッチリとれる。次回USBを持参すれば、それに落してくれるという。容量のギガバイト数も教えてくれた。この動画があれば、授業運びのまずさを徹底的に分析出来る。四六のガマの心境である。
スティーブン・ジョッブやホリエモンに限らず、失敗が大成功のもとと成功者の大半は語っている。この動画で、たっぷりと脂汗をかきたい。語学授業の出発点はそこからだ。マンツーマンに近い英語教育のノウハウと合体させれば、独特で強力な教育方法が確立できる。
この動画撮影をセットしてくれた学生はマンダレー出身の21歳。家族は8人。有名なヤダナボン大学出身で、カレッジで日本語も勉強しN4合格。彼一人ヤンゴンに移住。私の苦手なPC・スマホに強い。
実はこの生徒が、私と交信(コミュニケート)出来る唯一の学生である。日本語で話が通じないと英語で試みる。最後は大げさなジェスチャーで、あるいは下手な絵を白板に書く。ありとあらゆる手段を使えば、彼とは交信できる。そして残り8人への通訳係とした。
狡猾で老獪なボケ頭は、コイツは使えると即座に判断し、邪悪な考えが湧水のごとく出てきた。
これらについては機会があれば説明する。私が日本語授業を引き受けた真の理由はココにある。だが大社長を含め敵は、私の本能寺を知らない。
大英帝国の老獪学を勉強中ではあるが、それ以前に、孫子の兵書は現代人の常識である。一般教養と言ってもよい。「彼を知り己を知らば百戦あやうからず」
「彼」とは私にとって生徒一人ひとりのデータである。私は生徒一人ひとりを徹底的に調べつくす。昔怖れられた特高警察よりも、ミャンマーの秘密警察よりも、徹底的に調べ尽くす。しかし、拷問という方法はとらない。真綿で首を絞めると言った方が適切だ。あるいは熱湯をぶっ掛けるのではなく、ドジョウ鍋と同じく冷や水からゆっくりと煮立てていく。生徒は自分のデータ流出を気付いていない。これらはグーグル・アマゾン・フェースブックなどから学んだスパイ技術である。
日本語学校のマニュアルでは、履歴書を揃えるぐらいで、あるいはN試験何級と区別することに終始している。私の語学校ではN試験何級などクソ喰らえである。大社長にも最初から断ってある。N試験は期待するな、だがそれらをはるかに凌ぐ実力をつけさせたいと。
日本という国、文科省という大本が間違った方向へ崩壊しているときに、それを見極めるのが大切だと、私は思っている。比喩を用いれば、自分の立つプレートテクトニクスが巨大海溝に潜り込もうとしているときに、気付かないドジョウ鍋の湯加減である。
それに気付かずに「バカだチョンだ!」と罵倒されるヤンゴンの若者に私は大声援を送りたい。暫くは我慢だ。いつの日か日の目を見せてやりたい。それが残り時間が無い私の天職と思っている。
ダッチロール状態の経済大国と比べて、複雑な世界の動きを掌握する能力に恵まれたリーダーに導かれるこの貧乏国家は幸せだ。Myanmar-Felixと呼びたい。語る言葉も、表現する方法も知らないイノセントな若者たちでこの国はいっぱいだ。モゴックの宝石よりも、レアメタルなどよりも、彼らこそ豊富で貴重なこの国の天然資源である。
話がまたまた横道に逸れた。軌道修正しよう。
日本語学校の教室内だった。
私が日本語で話す。3人は何とか理解できる。そして2人はあやふやに分かった顔をする。そこでダメ押しのジェスチャーを交え、黒板にこれまた下手なポンチ絵を描く。それで何とか理解組みとなる。残り4人が問題児だ。その問題児ひとりを白板前に立たせ、私が言いたいことのジェスチャーをさせる。本当に手取り足とりでアクションをさせる。しつこいがもう一度、最初から自分ひとりでそのジェスチャーをさせる。仲間たちからは冷やかしの笑いが起こる。
私は更にしつこい。二番目の問題児に代わってもらう。
見よう見まねで、不器用なジェスチャーがはじまる。くすくす笑いがアチコチから起こる。だが、どうも私の意図するところを演じてくれた。
こうなると問題児3と4は簡単だ。私にとっては赤子の手を捻るようなものだ。
外国に行って日本語だ文法などは全く役に立たないことを頭に叩き込む。
ついでにくすくす笑いも利用させてもらう。
舞台の演者に、失敗してお客に笑われるのこそラッキーと思えと教える。
笑われるだけでなく、演者の自分も笑えと教える。その笑顔が外国では絶対に必要と理解させる。失敗したら自分から先に笑えと。ところが工場の訓練でも、学校そのものが、失敗したくせにヘラヘラ笑ってやがる。焼きを入れてやろう、と訓練する。ダメ人間を作る外国人監督がこの国で蔓延っている。
偏屈オジサンの語学学習大原則は先に述べた。
第一が、スマイル=笑い、である。第二がジェスチャー、言葉が未熟なら大げさな身振り手振りで示せ。この二つは初日第一回目の授業でほぼ理解できた。だが油断しないことだ。彼らはすぐ忘れてしまう。授業の途中で、しつこいほど、これを繰り返す。それが教師の仕事である。マニュアルに従って採点するだけなら、学校の小使さんにでも出来る。
週に二日、12月3日と5日は、久しぶりに内容濃い時間を経験させてもらった。大社長に感謝している。この人物はこの国で生き延びる極意、ロー・プロファイルに徹すると言うことを実践している人物である。一日は近くのガーデンレストランに連れ出してくれた。そこで一時間近くジックリと話し込んだ。
上はこの国の超トップレベルから、庶民レベルまで熟知しているし、直接間接のコネもある。だが、自分は密林の兵士のように、迷彩色で身体を包み、顔にも泥を塗りたくって、川面からそっと目だけ出す。そして敵陣近くで流れる浮き草の中からジックリと周りを観察する。
古くからの旧友だが、個人的なことは私はあまりさらけ出してこなかった。この昼休みはそれも吐露した。この国ではインスタントな金儲けはしたくない。当初は印刷関係を利用して、情報提供をビジネスにしたいと狙っていたが、時代が大変革を起こしているのを実感している。
これからは紙への印刷ではなく、YouTubeなどの媒体を利用して、個人的な小資本でコストゼロでも可能だ。これは日本での話。政党の名前が語るように日本は第二の「維新革命」を模索している。だが、日本人ビジネスマンはメルマガが指摘するとおり、ほぼ東経90度のミャンマーと東経145度の日本という狭い世間しか見ていない。意識的にもミャンマーははるかにインターナショナルで、日本は相変わらずスモールワールドの島国である。
ミャンマーは今、先の見えない第一回目の明治維新の真っ最中で、日本とは150年のタイムラグがある。大社長がやっているように紙印刷はまだまだ続く。この落差を利用しての両国でのビジネスチャンスはある。この大社長は日本の主要大学2つをこなし、そのネットワークはミャンマーでも凄いが、日本の学界・団体をはじめ中途半端ではない。ミャンマーと聞くとすぐ出てくる有名な著書の作家とも懇親である。私との会話はすべて日本語で、正直日本語は私よりも達者だ。私の意図もイチを言う前に10以上を察してくれる。
日本ではKAIZEN―カイゼンでニューモデルが安易に作られる。ドイツ・英国と異なるところだ。だから印刷機械でも新モデルが出ると中古になってしまう。ミャンマーだけでなく、周辺国を含め、中古は値段も下がりウェルカムです。自分は出版業務に携わっているので、多数の学者・作家・詩人から印刷業者・組合まだ知人は多い。アナタが希望するならその中心人物を紹介します。すべては売り手と買い手に任せて、アナタは細かいことには巻き込まれないほうがよい。それがコツです。コミッションだけでかなりのカネになるはずです、紹介はするがワタシは一銭も要らないし、責任も持たない。買い手と売り手が直接信頼が出来るか差しでお互いを見極めることです、と問わずもがなの謎掛けを本人は楽しむ。パートナーが気に入れば話を進めてみよう。
最初は日本語学校の先生だった。
日本で地殻変動が起こっているように、世界中で起こっている。それが見える人と見えない人が要る。ワタシの足元にも微震を感じる。
第一回目の授業の最後に記念撮影を取らせた。
個人秘密情報の名前リストの順番で彼らは映っている。前列の椅子にはボケた白髪頭。
第二回目までに一日しかない。この日は多忙だった。そして草臥れた。
第二回目の授業が開始する。
形式的な朝礼挨拶のあと、各人を前に呼び出し大判の写真を手渡す。
裏には各人の名前、そしてささやかな贈呈者の名前とサイン、それから記念となる日付。
ヤンゴンに長居して何になると馬鹿にされるが、その間に蓄積したノウハウのひとつがこの写真手渡し作戦である。連中は一発でワタシのことを覚える。その効果が悪いほうに出てしまった。
第二回で授業参観終わりと言っていた生徒三人が約束を破って、別の日本語学校を辞めて、続けてワタシの授業に参加したいと心変わりしてしまった。
約束が違うが、大社長には鷹揚なハッタリをかまし、ワタシは構わないと言ってしまった。
もうひとつ問題が有ると大社長は言う。彼らは三か月分前払いで授業料を払い込んでしまったという。ワタシはボランティアだから授業料無料で構わないが、何とか知恵をつけて按分で支払い済みを回収できる考えてやんなさいよと言った。これはワタシの問題ではない。
第二回目の授業は、「いろはにほへと」で7音のリズム、「ちりぬるを」で5音のリズム、これをたっぷりと仕込んだ。各人ストップウォッチでスタート・・・ストップ、ノートに記録、リセット。スタート・・・ストップ、ノートに記録。これを延々と強要する。
授業中は私語の禁止、隣席との会話これも禁止としているが、最初は隣の席がつかえると、あさけり笑い、お互いに顔を見合わせて冗談。それの繰り返し。最初はそれに文句も唱えず、ジックリと観察。彼らの性分を見分ける。規律を守った生徒は「いろはにほへと・・・ゑいもせず」を読了した回数がはるかに多い。すでに50回を越えている。あざけり組みはまだ20回もこなしていない。ここらから意地悪ジイサンに作戦を変更する。こうやって一部生徒に変化が現れる。
5・7語調であれば日本の伝統文化、HAIKUに限る。
中央官庁そして文科省などというものは、日本文化を知らない。ワタシはこのミャンマーに滅び行く伝統文化を移植したい。
第二回目の授業わずか一時間で「ふるいけや〜〜(5)かわずとびこむ〜(7)みずのおと(5)」このイノセントな生徒全員が覚えてしまった。最初は恥ずかしげだった生徒が、胸を張って朗々と歌詠みする。ダメな生徒は起立させて背中をどやしつける。かといって軽くだ。
この瞬間を日本のメディアが目撃すれば、拷問だと目くじら立てることだろう。今のマスコミはそのレベルである。
国連総会でミャンマー叩き、スーチー批難を申請したイスラム同盟組織(OIC)を代弁するGambiaも賢明な読者は直ぐにお分かりのとおり、正にそのレベルである。お義理の読者は目下整理除外中なので、“違いの分かる”メルマガ読者しか残らないと私は信じている。
スーチー姉御の凄さは、オランダ・ハーグの国際司法裁判所に、ミャンマー最高の弁護団を自ら引き連れて、世界のひのき舞台で大論陣を広げる格好良さにある。今の若者は知らないだろうが、緋牡丹お竜に匹敵するカッコよさがある。
今、世界先進国と自称する国家で、国のリーダー自身が国際司法裁判所に乗り込み一席ぶつ勇気の片鱗でもあるだろうか。私の知る国家なら、官僚トップにすべてを任せて口先だけの激励をするか、超スーパー大国に裏口から影響力を行使してもらうのが精一杯のような気がする。
スーチーが抱える唯一の大問題は、令和天皇即位式典の機会に国賓としてご招待した三笠宮瑤子女王の12月11日からのご来緬と突然のハーグ行きがダブってしまったことだ。招待者として失礼があってはならぬ。しかし、今降りかかる国難はリーダーとして全力を尽くすべきだ。
複雑国家のリーダーは苦悩する。単純国家のマスコミは、このような事情は報道せず、国賓として招待しながら招待者が日本の皇族をすっぱかして外遊に出かけるとはケシカランと息巻くことだろう。
ミャンマーの一般大衆はオランダの国際舞台で啖呵を切るミャンマー版緋牡丹お竜の熱演を見守っているところである。多分日本のマスコミは全く無関心だろうが。
またまた話が脱線だ。
これから9名の生徒一人ひとりを綿密に分析せねばならない。経済先進国のようにAI技術とか最先端のマシーン利用はできない。正直手作業でやる。これだと突然の停電にもびくともしない。とにかくこれだけで多大の時間をとられてしまう。老獪術を学ぶと忙しくて参ってしまう。
それだけではない。
生徒の一人がChikungunya Virusに罹ってしまった。だが一向に良くならないので、他の病院で調べた。医者は今度はPsonasis Virusだという。Wikipediaで両ビールスの一般的な知識は学習済みだ。だが二人の医者の判断に信頼が置けない。
もし読者の中で、ヤンゴンの国連機関等で、これら伝染病を診察してくれるキーパーソンをご存知なら紹介願いたい。
そのほかにもダウン症のベービー生後6ヶ月がマンダレーから運び込まれ、ヤンゴンからバスで2時間の有名漢方医に通い始めたが、私自身の知識として、これも医学時点、ウィキペディアで勉強しなければと思うが、今は時間が無い。
今月中ごろには、シャン州有力者の団体のクリスマス忘年会に招待されている。この仲間内でも兄弟の付き合いをしていた二人があの世に行ってしまった。
舞台で一曲歌わされるかもしれない。故人たちを偲んでエルビスの“Blue Christmas”でも唸ろうか?だが練習に時間は掛けられない。
ということで、今週号も尻切れトンボになってしまった。
追伸:たった今、日本から返ってきたばかりのお医者さんを是非紹介したい、一杯吞まないか?との電話が入った。日本語も英語も達者だと言う。聞いてみたいことが沢山ある。ラッキー! だが、ここミャンマーでは「最善を期待する。だが、最悪に備えよ!」これがアウンサン将軍の言葉だ。
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