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<ミャンマーで今、何が?> Vol.272
2018.10.12
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
イアン・フレミング原作の映画007シリーズ
・01: 黒澤監督の映画
・02: 007映画の原作者とこの映画の粗筋
・03: サンダーボール作戦の楽しみ方
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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01: 黒澤監督の映画
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FBIには内緒だが、DVDのコレクションは千枚をはるかに越えてしまった。人気の韓国映画やポルノ、単に暴力、ゲーム感覚の映画は入っていない。その分類方法に長いこと悩んできた。MSエクセルで整理すれば簡単だとのアドバイスももらった。
だが、問題はそれほど単純ではない。
例えば、黒澤明監督の作品はほぼ全作品揃っている。「姿三四郎」「生きる」「羅生門」「七人の侍」「天国と地獄」「赤ひげ」「影武者」「まあだだよ」などなど。
悩んでいるのは、これらの作品名が黒澤作品だと最初から分かっていれば簡単だが、「姿三四郎」はスポーツ、または日本武術に分類できるし、「羅生門」は芥川龍之介の文学作品でもある。武士、脅迫事件、医者、密偵などの分類も考えられる。
話は脱線しますが、黒澤監督の全作品がここヤンゴンで入手できるとは、信じられますか?
そして、「七人の侍」だけでなく、それらの作品群は全世界の映画人に大きな影響を与えた。その多様性は、日本のマンガ映画をはるかに凌いでいる。
閑話休題。
国会図書館の分類法、超整理術、など手当たり次第に当たってみたが、メルマガ作成のデータベースとしては不満足だ。若い頃、散々利用させてもらった八幡山の“大宅文庫”には到底かなわない。当研究所の理想もソコにある。
そうして見ると、スウェーデンの博物学者、カール・フォン・リンネが考案した二命名法がいかに画期的だったかに、改めて驚嘆する。将来発見されるであろう動・植物、バクテリアの新種にも対応できる。
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02: 007映画の原作者とこの映画の粗筋
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当メルマガのバックナンバーを整理するうちに、当時まだ見えなかったこと、執筆者が誤解していたことなど、無知を発見し赤面の至りである。
例えば、ミャンマーの少数民族を135+ビルマ族=合計136としていた。実際はビルマ族を含めて合計135民族となっている。これには議論の対象とされるロヒンギャは含まれていない。
同様に、007映画シリーズの「007は二度死ぬ」と「007サンダーボール作戦」を混同していたので、ここの詳述して訂正し、そしてお詫びします。
このシリーズの原作者はご存知イアン・フレミング。老獪な英国が産み出したイギリスのスパイ冒険小説の作家である。経歴は陸軍士官学校に学び、外交官を志望したが試験に落第。1939年には海軍予備隊に志願し、第二次世界大戦中は海軍情報部に関係した。
イギリスのスパイ小説家には、サマーセット・モーム(第一次世界大戦中は諜報関係の仕事につき、「スパイ物語」や「人間の絆」を書いた)、グレアム・グリーン(映画化された「第三の男」)などの伝統があるが、イアン・フレミングはその流れを汲むといってもよい。だが、時代が冷戦時代、あるいはその前ということで、極度にロシアや中国を悪玉に仕上げて、今鑑賞すると荒唐無稽なアイデアに笑ってしまう。
これらの先輩の伝統をさらに発展させて、現実味のあるスパイ小説に仕立て上げたのが同じくイギリス人作家のジョン・ル・カレである。彼の経歴を見ると、イギリス生まれだが、スイスのベルン大学を卒業、オックスフォード大学で法律を学び、名門イートン校で教鞭をとり、その後、外務省書記官となり、旧西ドイツのボンに赴任。ハンブルグの領事も務めた。典型的なイギリス人としてのエリートコースを歩んでいる。
代表作にはご存知「寒い国から帰ってきたスパイ」「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」「パナマの仕立屋」などがある。これら一群の作品群、そしてその原作はほとんど映画化されている。さらには原作者の経歴を洗って見ると、イギリスが如何に老獪であるかが見えてくる。しかも、その老獪さが、スーチーの言うかなりの複雑系である。日本で学んだ、何でもかんでも一括りにした、コンビニ的分類学が如何に幼稚であるか、深刻に教えてくれる。
またまた脱線してしまった。
話をテレンス・ヤング監督1965年製作の「007サンダーボール作戦」に戻そう。
この映画もジェームズ・ボンド役を嬉しいことにショーン・コネリーが演じている。
スタートは定番の、一眼レフに見立てた瞳がボンドを捕らえる。その一瞬の隙も無く、ボンドが腰を屈め、こちらに向かって片手撃ち、一発命中。画面が上から下へ、真っ赤な血で染まっていく。血塗られた瞳が左右に揺れ、目線が下へ・・・
洒落た導入部門だ。
ボンドの敵役が射撃され、脳内がじっくりと血に染まり、崩れようとしていく。観客ひとりひとりが敵役の役割りを負わされ、自分が撃たれた気になり、しょっぱなから映画に引き込まれる。見事な演出だ。
この映画の粗筋はこうだ。
ロンドン郊外の軍事飛行場から発進したNATO(北大西洋条約機構)No.759機 が消えてしまった。同機には白い安全箱に格納されたMOSタイプ原爆No.456/4572個が搭載されている。
これは予定されたバルカン半島上空45,000フィートを中心とした通常巡航で、NATO加盟国は全力を挙げて必死の捜索を行ったが、その巡航全域からは墜落または不時着を示す証拠は何一つ発見されなかった。
ロンドンのダウニング街10番地にある英国の首相官邸はSPECTREから今朝脅迫テープを受け取った。即座に、首相指示により内務大臣、情報大臣、NATO将軍を含めた緊急主要会議が召集された。
「NATO機の原爆2個をSPECTREは現在所有している。7日以内に米貨2億8千万ドルに相当する英貨1憶ポンドをNATOが支払わなければ、英国または米国の主要都市が破壊されるだろう。身代金は格納庫に納めた、無垢の白ダイヤで支払うこと。そして支払場所はミャンマーの南西沖合いにあるマグイ諸島沖とする。この内容を了解した合図として、明日午後6時にビッグベンを7回鳴らすこと」となっていた。
緊急会議の散会後、陪席していた情報部トップのMと、主人公ジェームス・ボンドがその場に残り、さらに極秘書類・写真類が手渡され、殺しを許可する“00”番号を与えられたボンドは特殊任務を指示される。
西インド諸島北部バハマのナッソーが怪しいと意見を述べ、CIAなど関係諜報機関の協力をMに具申し、ボンド本人もナッソーに飛ぶ。
当然悪はほろび、善玉であるジェームス・ボンドの勝利で終わるのだが、興味のある方はもう一度、このDVDを楽しんでいただきたい。
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03: サンダーボール作戦の楽しみ方
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このシリーズ物を楽しむには、是非とも日本語の字幕を消して、英語字幕で楽しんでほしい。名作「カザブランカ」などもそうだが、限られたスペースの中で話し言葉を完全に和訳するのは不可能である。だから、耳と目で追いかけると、かなりの英会話が省略されて、日本語字幕となっている。これだと、英語の洒落がまったく堪能できない。
ジェームス・ボンドと秘書のマネーペニーなどは、かなり際どく、しかも洒落た大人の会話を交わしている。今回の特殊任務のコード名は“サンダーボール”だが、他のシリーズではコード名は“アイ・ラブ・ユー”だった。それをマネーペニーがボンドに伝え、しかも作戦コード名を間違えては大変だから、もう一度私に対して言ってみて、とボンドに迫る。
他の例で言えば、どこかのカジノでポーカーをやっていたとする。もう一枚カードが欲しいときには、ディーラーに対してヒット(ミー)、いらなければステイと言う。もう一枚カードが配られるかとヒット(ミー)と言った途端に鉄拳が飛んでくる。バカバカしいほどの駄洒落が頻繁に出てくる。
階級社会の英国ではボンドですら、上司のMに対しては、“イエス・サー”と慇懃に返答する。そのアクセントが米国人と英国人とでは天と地の差がある。
最新の作品は細かい点にも凝っているが、初期の作品はひどかった。秋葉原のジャンクショップで購入したようなチャチな配線の箱が、立派なスパイ道具として登場する。
だが、アノ時代に実現不可能なような飛び道具が、特に軍事分野において実現化している。例えば、水陸両用車両、ホーバークラフト、無人飛行のドローン機、GPS(全地球測位システム)、暗視インフラレッド・カメラ、殺人用注射針、などなどである。疑えば、冷戦の時代を通じて両サイドの軍部に熱烈な007ファンが居たという証明かもしれない。
意外なところで、このシリーズには日本も登場するが、今回のようにミャンマーのマグイ諸島も重要な役どころを担っている。ということは、全地球上のかなりの部分を植民地化した大英帝国の情報局あるいは外務省には、未だもって他国政府が追いつけないほど深遠な丸秘情報が埋まっているものと考えねばならないだろう。考古学の世界から、映画産業の世界まで、それだけではない。金融情報も、良質なマスコミ情報も蓄積されているだろう。それら全部をひっくるめて、老獪な英国である。野次馬的要素が大きい当研究所も、今頃になって「老獪な英国」という分類項目を設けた。
007の映画が終了すると、ロンドンのPINEWOODスタジオの名前である。これはアメリカのハリウッドに匹敵し、アメリカの映画産業はココを参考にしたともいえる。同様にアメリカの金融街ウォール・ストリートはロンドンのシティがモデルとなっている。そして西インド諸島に散在するタックス・ヘイブンはほとんどが英国の旧植民地である。
だが、今の英国は、サトウキビ奴隷、綿花奴隷の過去には一言も触れずに、優雅に振舞っている。その老獪さが、このメルマガの絶好の研究対象となりそうだ。
その意味でもDVDのドキュメンタリは大いに役立っている。
なんとも締まらぬ内容となってしまった。
次回はもう少し骨のある記事に挑戦したい。
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