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<ミャンマーで今、何が?> Vol.269
2018.10.2
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■支離滅裂な言い訳の羅列です
・01: 少年老い易く学成り難し
・02: 大型台風JEBIの日本上陸
・03: 昔懐かしい耳洗浄
・04: 単に経済発展だけでは解決できない問題
・05: 若者を対象とした教育の原点とは?
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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02: 大型台風JEBIの日本上陸
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9月6日(木)GNLM紙は、25年ぶりに日本を襲った強烈なJebi台風の経過を詳細に伝。同紙は徳島上陸前日の警戒警報から3日間連続でこの台風情報を詳細に掲載してくれた。連日、4分の一から約半分の紙面を割いての海外ニュースである。
政治経済に限らず、日本関連のニュースがこの政府系の日刊英字紙に頻出するようになった。ということは、一般の人が日本の台風情報を知り、家族のことまで心配してくれる。
北海道地震についても連日掲載され、同様に心配してくれる。現在、北海道で働くミャンマー人は500名もいるとの新情報まで伝わってくる。ミャンマーが井の中の蛙だったときは、日本の位置すら不確かだったのに、今では一般民衆の頭に、北海道、本州、四国、九州に沖縄を加えた日本地図がインプットされようとしている。ミャンマーの情報革命はそこまで進化している。
そして10日(月)のスポーツ欄では、“台風・洪水・地震に打ちひしがれた日本に、ナオミ・オオサカの快挙”としてUS女子オープン・テニスが最終ページを飾っている。そして11日(火)のスポーツ欄は、対戦相手のセリーナ・ウィリアムスに17,000米ドルの罰金が科されたことまで、詳述されている。
ミャンマーにとっての海外情報も新華社だけでないと前回お伝えした。今では、AP、UP、AFP、ロイター、共同など質の高いニュースが自由に報道される。ミャンマーは確実に変革している。海外がロヒンギャーに注目する中、ミャンマー人の知的好奇心は世界に飛び出した。ミャンマーを見下していると、彼らに追い越される日が来るだろう。
支那には伝説上の黄帝がいた。病気に掛かる以前の未病を治すことに、黄帝は心血を注いだ。パラドックスのようだが、いま指導者に求められるのは、このような哲学ではないだろうか。戦争が始まって武器を作るのでは遅すぎる、病気になってから薬草を植えても遅い。だから、病気にかかる前に未病を治すのだと。
原稿準備が遅れてしまったが、読者の皆様ご一家のご無事をヤンゴンから祈願いたします。
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03: 昔懐かしい耳洗浄
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WiFiが上手く接続できない。原因が判明し部品を交換した瞬間、事務所一帯が今度は停電だ。接続確認ができないまま、考え込んだ。ヤンゴンでも電気依存の生活になってしまった。ビールでも飲んでひと寝入りする手もあるが、昼メシにはまだ時間がある。近くのヘアサロンへ行き時間をつぶす。シャンプーされたときに懐かしい予感がした。
最近のミャンマー・ブームでご来緬の諸氏はご存じないかも知れない。だが、15年前のゴルフ場でビックリしたことがある。プレー後、シャンプー用ベッドに横になり、頭を横向きにされ、耳の中に満タンになるまで水を注ぎ、綿棒で耳の中をくすぐってくれる。最後は耳朶でフタをして、頭を軽くシェーク、そして水を外に排出してくれる。子供時代の母親の膝枕を想い出し、ジェームス・ボンドのドライ・マティーニを想い出した。
猛暑なだけに、ほてった身体に心地よく、脳髄の中まで洗浄された気がした。ペットボトルが出回ってない時代の話である。水が清潔かどうか訊くのは野暮だ。最初は緊張したが、一発で虜囚になった。ありがたい、もう一方の耳にも注水してくれる。それが病み付きになった。鼓膜がおかしくなったことなど一度もない。
このとき、海外での生き方を教えてもらった。エッ!耳に水を入れる? 郷に入っては郷に従うである。プールサイドで、片足トントンを見かけると、笑ってしまう。チョコッと水が入って大騒ぎするのが先進国の外国人、チョコッとどころか満タンにして楽しむのがミャンマー方式。この国独自の愉悦が、ヘアサロンから消えて久しい。外人部隊の教育ママか、国連WHOの仕業に違いない。
猛暑でゆだりそうだと、日本からニュースが入る。ミャンマーの逆商売として、この秘伝ワザを日本へ宅配したい。
ワタシの話は例の通り、さらに横道に逸れる。
タクシーのダッシュボードに目をやると、仏教徒、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、そしてクリスチャンも識別できる。と言って運チャンがその宗教とは限らない。軽率に判断しないことだ。オーナーが別に居る場合も結構多い。車内での会話は、その辺りから探りを入れる。あるとき、その運チャンが話題のロヒンギャと判明したことがある。こちらを日本の観光客と勘違いしたようだ。でも、こういう偶然はある。
さあ、面白くなってきた。ヤンゴンには何千人のロヒンギャが居住していて、ヤンゴンのどこそこに毎週金曜日には何千人と集結して礼拝するという。ヤンゴンの公安関係は当然把握している筈で、各国大使館も把握している筈だ。大使館とは、諜報機関が暗躍する前線基地でもある。目耳を全開にすれば、駐在武官並みの情報収集が出来る。世の中は知らないことだらけだ。
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04: 単に経済発展だけでは解決できない問題
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新鮮な野菜類の仕込みに、近くのボーガレイゼイに行く。ゼイとは市場のことで、ここは早朝から朝市が立つ。7-8時頃が最もにぎやかだが、午前10時を過ぎると、店を引き払い、掃き掃除をして、朝市街は何事もなかったように、普通の道路に戻る。
日本の鮨屋が典型的な例だが、食材は一日分だけを仕入れる。昔の日本も、今のミャンマーも同じだ。食文化では粗野なアメリカンが一週間分買い溜めして、冷風が行き渡らないほど大型冷凍庫に詰め込む。それをアメリカン・ドリームと勘違いして、日本・韓国・中国がマネをする。それを更にミャンマーのリッチ・ファミリーがマネをする。
この朝市は、一年365日休まない。正月も水祭りもない。多分午前4時には起床して、川向こうのダラーからヤンゴン川を渡しで、あるいはヤンゴン環状線の郊外から、新鮮な魚・肉・果物・花卉・野菜などを列車に満載でやってくる。家族・親族で手伝えるものは総出となる。何もない路上に陣取り、ビニールシートなどで区画して、持ち込んだ食材などを並べる。特に豪雨が叩きつける今のシーズン(約4ヶ月間も続く)は、早朝から男性も女性も、手伝う子供たちもビショ濡れだ。繰り返すが、一日も休み無しの365日続く。ミャンマーの一部を見て、ミャンマー人は怠惰だとお説教する外国人も居るが、皆が寝静まっているこの時間帯、しかも連日の豪雨を想像すると、必死に人生を生きているのが理解できる。
その光景に出くわすと、外国勢が推し進める大ヤンゴンの発展が果たして、ヤンゴンにとってハッピーなのかどうか考え込んでしまう。スーチー政権は新政権初期からSMEを保護するよう、外国の投資家に訴えてきた。SMEとは、スモール・ミーデアム・エンタプライズの略称で、当地のレベルでの“中小企業”を指す。海外の大企業が、いわゆるグローバライゼーションで怒涛のごとく侵略してくると、国内で芽生えたばかりの家族単位の商売が、ひとたまりも無く飲み込まれてしまうという危惧だ。
それらの実態を調査するため、タイ・マレーシア・シンガポール・ベトナム・ラオス・中国・インドなどへ代表団が派遣される。スーチー自身も9月11日ベトナム入りした。アセアンを対象とした例のワールド・エコノミック・フォーラム(WEF)出席のためだ。スーチーの海外旅行は最初は国賓としての公式式典が主だった。だが、最近のスーチーはワーキング・ビジットと称して作業実務旅行に徹している。
隣国タイを訪問しても、ここには公式就労ビザを取得してのミャンマー人もいれば、アングラ・ブローカーに送り出された不法なミャンマー人出稼ぎもいる。弱みに付け込まれて彼らの就労環境は劣悪だ。その改善をタイの外務省、労働省と打ち合わせする。スーチーは隣国との友好関係を発展させると同時に、法的裏づけの無い出稼ぎ労働者のセキュリティ確保や帰国問題にも配慮している。
スーチーが最近口にするFRIENDSは、世界各国に散らばっている。世界は複雑化しているので、米国と一口にいってもブッシュ時代、オバマ時代、トランプ時代と、設立した時代によっても主義主張および基金の出所は異なる。そういう世界中の友好団体がミャンマーのSMEや、監督官庁の若手スタッフを受け入れ、基礎知識の習得や、実技研修・教育の場を設けてくれる。
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05: 若者を対象とした教育の原点とは?
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海外視察に出かけた明治維新前後の日本を想定すると分かりやすい。それにプラスして戦後の日本・ドイツの高度成長とそれをモデルにして学ぼうとしているのが、今のミャンマーでもある。プラス面だけを学習するのではない。その反対のマイナス面も学習しろと、スーチーは指摘する。先進国の経済優先で生じた負の経験を反面教師にするつもりだ。その落差は大きく見えにくいが、米国加州の大規模農業・ワイナリーを反面教師にすれば、地下水が枯渇し、塩害問題が発生し、広大な地域での山火事が頻繁に起る。これを負の経験として、ミャンマーの若手官僚は学び取ろうとしている。後発組はシミュレーションすることで、10年25年を飛び越えて結果を知ることが出来る。
海外での学習には日本語同様に、ミャンマー語は役に立たない。その場合の世界共通言語は英語に限る。
確かに、ドイツ語、フランス語、スペイン語、日本語、韓国語、中国語なども希少価値で、ビジネス上の需要は少なくない。だがインターネットの時代、若者が知識を吸収するには英語はユニバーサルに強力な武器となる。
メルマガ「ミャンマーで今、何が?」がどうしてこんな話題を取り上げるかというと、スーチーがラカイン同様に最優先課題にしているのが、この「若者に対する教育」であるからだ。海外の文部省・教育省が作り上げた教科書はミャンマーの風土には適さない。独自の「教育思想」を持つべきだと言うのが、当研究所の私見である。
この難問は、当研究所が長いこと抱いてきた、答えのない宿題でもある。
とくにサドンデスという死の病を抱えてからオタオタするのは手遅れである。少年老い易く学成り難しを体験した後で、熟慮中である。
その英語の学び方を、目下このヤンゴンで、若者たちと取り組んでいる。ワタシには、日本で受けてきたお粗末な英語教育の経験が豊富にある。これは反面教師として使える。日本では英単語の詰め込み、英文法、そして意味を解釈する読解力の途中で、ワタシは完全に落伍した。この経験は非常に貴重だったと、今では反芻している。
海外留学の経験は無いが、米国のL.A.を中心に数ヶ月間滞在したことがある。主にメキシコ人労働者を中心に無料で教えるボランティアの張り紙を見た。夜間に限ってだが、州立・公立学校が教室を提供してくれる。教師の記憶は無いが、先天的に陽気なアミーゴとの付き合いは楽しかった。今、思い出すとアメリカでは下層の職種に従事していた。受験用単語はまったく役に立たない。彼らのジョークは易しい単語が早口で連発される。頭の中で、それらを文章につなげると、ブロークンもいいところだ。それが文部省英語で鍛えられたワタシには、逆に難しかった。
目がパッチリしたマリアも陽気だった。人生を笑い飛ばして生きている。夫に逃げられ子供と二人だけ、ワタシが“サンタ・マリア”だと自己紹介した。英語ではST.MARIA、すなわちキリストの聖母マリアである。大事なモノが壊れてしまったときに、欧米人は“サンタ・マリア”と嘆く。そして東洋の日本人は“お釈迦”になったと語る。お互いに自分たちの宗教の元祖を持ち出して嘆く。文化人類学とはこの辺りから入門するのかと気づかされた。
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