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<ミャンマーで今、何が?> Vol.256
2018.5.23

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■スーチーの2年間の実績

 ・01: スーチーが指摘した重大なポイント

 ・02: スーチーバッシング

 ・03: スーチーは自分の頭で考えた

 ・04: スーチーの国内固め

 ・05: スーチーのフレンド

 ・06: スーチーの経済効果

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)


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01: スーチーに代わる人物はいるのか?

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軍事政権が半世紀以上も国内秩序を破壊しただけに、その修復には最低10分の一の5年位は掛かると見ていた。それを行き足のついた巨大タンカーに例えてみた。覚えておいでだろうか。

この国の暗い出来事だ。

為政者に反抗できないようにレベルの低い教育を施した。海外のニュースも制限された。大学キャンパスでも5人以上集合すれば、政府への陰謀を企んでいると刑務所に収監させられた。僧侶が読み書きを教える子供相手の寺子屋でも監視の目は厳しかった。50歳以下の国民は、国家によってそういう風に飼い馴らされた。恐ろしいことに50歳以下の国民はすべてその影響かにある。ジョージ・オーウェルが風刺した「1984年」という未来小説そのものの全体主義の絶望感がみなぎっていた。ミャンマービジネスを企画するなら、出発点をソコに置くべきだ。

念のために、ジョージ・オーウェルとは、名門イートン校を卒業し、大学に進まず植民地ビルマで警察官となった変り種のイギリスの作家だ。

自分の農地や宅地を当局から突然、無理やり没収されても、泣き寝入りが当たり前だった。
スーチー新政権は、これら国民の直訴をひとつひとつ取り上げ照合し精査し、法律に従って、元々の持ち主に返還する努力を現在行っている。すでにダムの底に沈んでしまった村落の土地なら、復元は不可能である。その場合は、査定した上で、金銭による補償を行おうとしている。だが、テインセイン軍事政権から引き継いだ国庫は補償費も捻出できないカラッポであった。

さあ、ここで頭の体操だ。この状態でアナタがこの国のトップを引き受けたら、どうする? 小中大企業それぞれの経営者になったつもりで、あるいはMBA授業のケーススタディとして考えてほしい



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02: スーチーバッシング

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自分の頭で考えない人、他人の意見に左右されやすい人、ソーシャルネットワークの根も葉もないウワサを信じる人なら、スーチーさえ引き摺り下ろせばすべては解決すると回答すればよいだろう。なんと言っても、スーチーはこの国の最高で、そして最終的な責任者なのだから。

だが、賢明な読者なら、その結論には何かすっきりしないものを感じるだろう。スーチーバッシングだけでは何一つ解決できないのだから。

賢明な読者にお願いしたい。上記の問いに、アナタ自身のご意見を編み出してほしい。



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03: スーチーは自分の頭で考えた

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第一の基本はすべてを透明にして国民に開示することである。

日本のお役人の習性を知れば、あるいは日本の国会答弁を聞けば、それがどれだけ至難の業であるかがお分かりだろう。スーチーなら、多分、アンビリーバブル、信じられな〜い、と言うだろう。

だから、スーチーはそれを自分の配下の各大臣・省庁の役人、そして自分の権限が及ばない国軍の管轄下にすら巧妙にも徹底させた。今では、国防軍の最高司令官ミンアウンラインですら、海外の賓客を応接するたびにTRANSPARENCYを連発する。それこそアンビリーバブルがこのミャンマーで起こっている。

第二の基本は、すべてを国内法に従って処理するということである。各将軍の横暴で乱れに乱れた軍事政権時代の規律を、国民一人ひとりを公平に扱うために、唯一の拠り所を国内法にすると徹底させた。将軍によって歪められた悪法はイッパイある。それは正せばよい。

第三の基本は、190ヶ国以上が参加する国連の基本精神・枠組みに則るということである。ここにも不公平は存在する。それは国連の場で堂々と議論すればよい。この点でも、日本の外交ポリシーとは大きく異なる。スーチーならば、国連安保理常任理事国のメンバーになりたいと裏工作をするのではなく、戦後体制の不公正を正す方向へ再構築する論陣を堂々と張ることだろう。70年以上前に設定されたVETO権を世界の情勢が変化しているにもかかわらず、どうして特定数カ国に与えているのかと、スーチーなら噛み付くことだろう。

第四の基本として、近隣のASEANとの相互理解を深め、強力な協力関係を構築する努力を国家として行っていることである。英国のEU離脱や、米国の自国ファーストの動きと逆行するだけに、スーチーの光る哲学である。そのASEANを軸として巨大な隣国である中国とインドに等距離で相対する外交に、軍事政権時代の屈辱的外交を修正する意図が読み取れる。

スーチーは中国に屈服した等のマスゴミ記事を見かけるが、それは歴史を知らぬ意見である。タンシュエ時代の北京に対する朝貢外交は、現在の北朝鮮の北京に対する屈辱的外交に匹敵するものであった。



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04: スーチーの国内固め

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上記の基本方針に基づき、スーチーは後継者育成教育をも初年度から開始した。

スーチーは後継者を育ててこなかったとの意見を聞くが、それは間違っている。スーチー政権発足後の第一年目、そして第二年目の節目には、日刊英字紙GNLMに中央政府の担当省庁、7州8地区の地方政府それぞれ、かなりの数の特別委員会それぞれに、この一年で、この二年で、何をやってきたかの詳細なレポートを報告レビューさせている。その報告は日刊紙見開き2ページにわたって写真付きでたっぷりと掲載されている。日刊紙上の報告書は各年3月から4月にかけて一ヵ月半ほど続く。

この社説のような中身の濃い2ページにわたる詳細なレポートを熟読すると、多数の各担当部署がどれほどスーチーの意向を反映して行政を担当してきたかが、理解できる。日本の何とかチルドレンとはまったく異なり、スーチー配下への教育スタイルは米国の巨大企業のCEOに匹敵するものがある。

そしてスーチーはそれら責任者を海外政府、NGO団体、マスコミなどと直接、交渉させている。

これから判断してもスーチーの後継者は立派に成長していると言えるだろう。



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05: スーチーのフレンド

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スーチーは演説の中で「フレンド」という言葉を使用している。

英語で演説したものの海外のスーチーバッシングは増加するばかりである。だが、これもスーチーが言うとおり、その一方でスーチーを支援する仲間は大勢いる。彼らをジックリと見極めてスーチーは「フレンド」と呼んでいる。だが、マスゴミは表面的なバッシングだけを取り上げ、スーチーと親密に連絡を取りミャンマーを支援するこれらの重要な動きを取り上げない。

国連元事務総長のコフィ・アナン博士は精力的な調査団を引き連れて何度もラカイン州に入り、地元政府、支援団体、多種多様な一般住民にインタビューした。そして一年後に詳細な、そして膨大なレポートをスーチーに提出した。

ソロス基金を主催するジョージ・ソロスも何度もミャンマー入りし、その度にスーチーと会見し意見交換をしている。

英国の中央銀行であるイングランド銀行を破産させ、1997年のアジア通貨危機ではリンギットを弄び巨額の利益をかっさらって当時のマハティール首相を激怒させた男である。その一方で、白人に支配された南ア連邦の反体制派を強力に支援した骨のある男である。

このハンガリー生まれのユダヤ人が、どういうわけかスーチーに肩入れし、空っぽだった国家予算の資金作りなどを指南している。税収の確保、それだけではない麻薬問題、鉱山などに関する技術的ノウハウをスーチーに授けている。2017年1月12日付GNLM紙を参照願いたい。写真入りでスーチーとジョージ・ソロスのツーショットが掲載されている。

アヘン戦争で有名なあのジャーデン・マジソン商会の現在の総帥がスーチーに会いに来た。GNLMでそのニュースを見るまでは、この名前はグラバー亭を初めとして、坂本竜馬を思い出させる、ワタシにとっては歴史上の人物でしかなかった。歴史を辿ると、出自は麻薬の密売人である。そして怡和洋行という中国最大のイギリス資本に化けていく。信じられますか? それがスーチーとツーショットでGNLMに写っている。

GNLM紙を隅から隅まで熟読して整理していると、このようにアッと驚く事例がスーチーの周りには、散りばめられている。

スーチーというこの稀有な人物の、独特の人脈ネットワーク効果を鑑定した経済評論家および日本のマスコミは皆無である。

マスゴミとは興味の対象が180°異なるが、東西南北研究所にとっては、こうやって選別してみると、モゴックとは異なる宝の山が埋もれている。



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06: スーチーの経済効果

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大阪で万博をやれば、あるいは東京で国際オリンピックをやった場合の経済効果は?と経済評論家は無意味な皮算用をヤル。

その手法を真似してみたい。

上記のセレブのみならず、スーチー目当ての面会名簿は、諸外国の元大統領、首相、実業者、無名だがパワーのあるNGO団体、宗教関係、軍事関係、教育関係、芸術関係、有りとあらゆる人々が長い列を作っている。

しかも、ありがたいことに彼らの大半が低利、無償の資金協力まで申し入れてくれる。資金がなければ技術援助、経営ノウハウ、もっと凄いアイデアである。軍事政権が貯めるに溜め込んだ巨額の借金を帳消しにすると申し出てくれる太っ腹な総理大臣もいる。本当にその国の国民がそんな大金をOKしたのかと感心してしまう。

それらを一つ一つ加算していけば、信じられないほど膨大な金額がミャンマー一国に集まることになり、スーチーこそ21世紀の錬金術師ではないかと、スーチーが魔女に見えてくる。

スーチー政権になってから、経済発展のスピードが落ち込んだなどと、よくぞほざけるものだ。しかも、それらの不平を述べる人間が、大半は投資家とか、ビジネスマンという外国人だから嫌になってしまう。あるいは、巧妙にもヤット見つけたミャンマー人のパートナーの言い分のように装って。

何かがオカシクないだろうか?



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