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<ミャンマーで今、何が?> Vol.230
2017.10.2
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■ラカイン問題を、どうお伝えするか?
・01: 駐在外交団の足並み
・02: ヒンズー教徒の遺体を発見
・03: さらに新事実が明らかに!
・04: 再び9月29日(金)付GNLM紙第一面
・05: その他
・公式ツイッター(@magmyanmar1)をはじめました!
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01: 駐在外交団の足並み
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9月29日(金)付GNLM紙第一面見出し: 「国連&外交団のラカイン訪問が延期」となっている。
昨日(木)予定されていた国連諸機関および外交団によるラカイン行きが、悪天候を理由に駐緬外交団会長の申し出で延期された。
全メンバーはヤンゴン空港に集結し、Sittway往き飛行機を待っていた。(*現地悪天候による飛行遅延で)2時間待機した後、全員は空港で協議し、多数決で、旅行を10月2日(月)まで延期することに決定した。
これだけの情報である。
(*ここからはメルマガの陰の声:)
これだけの情報を、読者一人一人が、どう判断するかは、アナタ自身のリトマス紙である。
ラカインの豪雨はウワサではスゴイと聞く。10月に入れば雨季も終わりに近い、当然の判断だ。という見方もあるだろう。
先進国外交団なら衛星気象地図などを活用して日取りを決定すべきでは無かったか?なぜ9月28日(木)の旅程に安易にOKした、という反論もあるかもしれない。
たった2時間の飛行遅延で、ラカイン行きを延期するなど、外交団には元々行く気が無かったのでは?との勘繰りも出てくる。エリート・サラリーマン化した外交団は、家族との週末を最優先に、週末明けの月曜日、すなわち10月2日(月)に変更したのでは?
現地で豪雨ということは、見すぼらしいシェルターで肩を寄せ合い震えている大勢の家族がいる筈である。そんなことより、今夜はヤンゴンの四つ星ホテルで、中華にするかイタ飯にするか、女房に相談しなくッチャ。ワインはカベルネ・ソービニオンのフルボディで良いかナ。
厳しい探究心を持つ外交官あるいは国連職員なら、ラカイン情勢の"今、何が?"を知るには、このドシャ降りの悪天候がチャンスだ。ミャンマー政府に再交渉して、最優秀なパイロットと軍用機またはヘリを用意させたらどうだ。などという硬派の意見は出なかったのか。
それとも、2時間待ってもラチが明かない。オレたちはミャンマー人ほどヒマ人じゃない、大使館には山ほど書類が溜まっている。2時間も無駄にしたんだ、と立派な口実で、待たせていた差回しの公用車に、フンゾリ返って帰宅したのだろうか?
スーチーは演説で、解決を先に延ばすと、問題は永遠に解決出来ない。現地の人々の苦しみは、それだけ長期化する、と語った。
外交団は実に民主的方法で"延期"を決めた。多数決とな! 何とビジネスライクで、スマートなんだ。
スーチー演説と欧米外交団の情熱に、大きな"ズレ"を感じる。否、壁と言っても良い。
これこそスーチーの悩みだと、メルマガは書いた。
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02: ヒンズー教徒の遺体を発見
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これは9月25日の記事。
「9月24日Maungtaw町区Yebawkya村の掘った穴に埋められた遺体多数を発見!」
8月25日、約300名のARSAテロリスト集団がヒンズー村を襲い、約100名の男女を連れ去り、イスラム教への転向を強制された8名の女性は、助命されバングラへ拉致された。その他の村人は全て殺害された。
隣国バングラのKutupalong難民キャンプのヒンズー教徒の家に必死に逃亡した一男性から、同様に別方向のラカイン州Sittwayに逃げたウ・ニマール(ヒンズー教徒支援リーダー)に電話を掛け、この情報が伝えられた。(*お互いに現地を逃れた者同士が電話連絡を取れる。ケータイの恩恵だろう。バッテリー充電が心配だが、バラバラの家族など連絡を取り合うには、今の時代ケータイは最優先の援助物資かも知れない!)
ヒンズー村出身のウ・ニマールと幾つかの仲間グループは、その事実を確かめようと、9月24日早朝、襲われた村近郊を調べた。そして草原で、不自然な土盛りと異様な強烈なニオイの場所を特定した。掘り返すと約3m離れて、約4m x 4mの穴が二つ。最初の穴には12の遺体、もう一つの穴には16遺体、合計28遺体を発掘した。内訳は10歳以下の男の子6遺体を含む、男性8遺体、女性20遺体。詳細な調査が現在進行中。
(*続報…)
翌日、約180m離れた場所からさらに17遺体を発掘した。
死体を解剖した検死官によれば、遺体は後ろ手に縛られ、目隠しをされ、喉を掻き切られていた。中には、両手、両足を切断された死体もあった。これはARSAテロによる大虐殺の証拠だ、と検死官の医師は語った。
現場に立ち会ったヒンズー家族から、今回掘り起こした17遺体すべてはKhamaungseik村の住民と確認された。8月25日に襲ったムスレム武装集団は、ヒンズー教徒多数を殺害し、身に付けた装飾品を略奪し、ジャングルの中に逃げていった。(*ヒンズー女性は、ムスレム女性同様にイアリング、鼻飾り、首飾り、腕輪、指環、アンクレットなどで身を飾る)
(*この記事から読み取れるのは、山間地帯には幾つものヒンズー村が散らばっていること。英語ではForestsと表現してあるが、日本語感覚の"森または森林"ではなく、ジャングルに近い密林である。だからジャングルに潜んで村の様子を窺い、襲撃のあと逃げ込むのも容易で、密林は警察も軍隊も追跡は不可能に近い)
(*話を続けると…)
中央政府の社会救援再定住大臣は25日ヘリで現地に飛びARSA過激テロに殺害された犠牲者の遺族を慰めた。
検死官医師、警察犯罪調査責任者は同大臣およびラカイン州主席大臣と共に犯罪調査・DNAテストの実施措置をとった。
さらにはヒンズー家族に対し、ヒンズーの伝統に則った適切な埋葬を約束した。
続いて、連邦大臣は遺体発掘を手伝った軍隊、国境警察、地元の少数民族の人たちに、総計2,000,000チャット(*乱暴換算=20万円)を配った。
(*このような作業には、どの様な人々が駆り出されるのか?そしてどれ位いの礼金で済むのか?民族ごとに言葉が異なるだけでなく、葬儀の方法も異なり、この点の配慮は少数民族を多数抱えるだけに、ミャンマー政府の苦労が学習でき、よそ者である外国人には、機転が及ばぬところである)
(*さらに話は続く…)
夕方、連邦大臣、ラカイン州主席大臣はButhidaung町区のPazunchaung Ywathit村に行き、ムスレム住民に現在の生活状態を聞き、21家族に一家庭50,000チャット(*乱暴換算=5千円)を配った。
(*単純な国家に住む人は、なぜヒンズー家族ではなしに、ムスレムにカネを配ると異論を挟むかもしれない。スーチーの言う複雑国家とはココにある。
ムスレム=テロ集団と単純思考しないで欲しい。スーチーはこの大虐殺の最中、逃げ出さずに居残り、平和に暮らしている各民族の村が50%以上あると語った。
この大臣たちは、その残った家族たちに僅かながらの慰労金を配布した。
そして金満国から見たら、僅か5千円でも、一家族一時のシノギにはなることも、心に留めて欲しい。
さらには、旧軍事政権であれば、このような面倒見は全く無いどころか、報道など以ての外で、全く遺棄された。
スーチーの新政府だからこその思いやりである。18ヶ月前と比較すると、ARSA武装テロ集団大虐殺という突発事件の中で、現地住民にとっては地獄と天国の差である。
この大虐殺が、ARSAの仕業ではなく、中央政府の軍隊によるものだと、未だもって主張するのなら、現地に行って、自分たちで調査をし、その証拠を示せと、挑戦状をスーチーは西側に叩きつけた訳だ。
そのための安全に配慮した現地入りはミャンマー政府が責任を持って手配するとスーチーはコミットした。
だが、悪天候までは、いくら何でもスーチーはコントロールできない。そして外交団の多数決決定までは、スーチーは文句を言えない。だが、野次馬は文句を言いたい。
そこのトコロをジックリ考えて欲しい。
話を茶化すと、ヤンゴンのレストランは高騰している。9月28日にヤンゴン空港から解散となった外交官は家族を連れて高級レストランに行く。その一回の勘定総計だけで、何家族のムスレム家族が、そしてヒンズー家族が、感謝の涙を流すことだろう)
(*最後に大事な記事が続く…)
先月のARSAによる30カ所の警察辺境駐屯地、同時大襲撃は、いまラカイン州北部を深刻な危険状態に陥れている。駐屯地は壊滅状態で、警察力は弱体化した。一方、残虐な武装テロ集団は放し飼い状態で、この地域は無法状態化している。
(*メルマガのコメントを続ける…。いま、地球上では、不安定な地域が至る所にある。中央アジア、中東、地中海沿岸、中南米、そして朝鮮半島。示威運動の軍事訓練で、あるいは通常軍事パトロールで、超高価な軍艦が、戦闘機が、ヘリコプターが、簡単に接触事故、墜落する。何かがおかしく無いだろうか? これらは軍事的観点の不安定地域。
政治的に不安定な国家・地域となったら、米・英を筆頭にかなりの国が、地域が、重症と思われる。それに、今、ミャンマーが追加されるのかどうかの瀬戸際である。
ところで、日本は今月、政権を刷新し与党絶対多数の安定国家が誕生するそうだ。135の民族を抱えるスーチーは単純国家をどれほど羨ましがることか。
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03: さらに新事実が明らかに!
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28日(木)GNLM紙第一面の写真。
現場で身内の遺体を確認し、慟哭するヒンズー女性が大きく前面に映り、後背はフォーカスがボヤけているが、強烈な太陽に輝く緑の草原で、勾配がきつくなるところから鬱蒼としたジャングルが覆い尽くしている。踏み入るのも難しそうな密林で、ここに逃げ込んだら、捜索隊もお手上げと、一眼で判断できる。
チョット待てよ!
ピントがズレ、ボヤッとしか見えない輝く草原だが、足を投げ出した全裸の死体が並んで横たわっている。ココにもアスコにも。肉親なのだろう、死体から少し離れ、サリーを着た女性が手で顔を覆い呆然と立ち、近くに男の子も。別のところでは、男が数人、軍関係か報道陣か、ボンヤリ見える。左端には、報道人なのだろう、ビデオを撮影中の腕だけが見える。
第一面から二面にかけて詳しい説明が出ている。
(*証言者、当局の責任者、分散した幾つもの村落の名前が出ているが、読者には馴染み薄いと、勝手に割愛した。バングラに拉致された女性証言者はヒンズー名と押し付けられたムスレム名が併記されている)
内外レポーターの一団が、昨日ヤンゴンから飛び立ち、現場の草原地帯に案内された。
今週、保安部隊が発掘した45遺体が生々しく横たわる現場である。
ARSA武装テロ集団の襲撃と中央政府軍の戦闘で、480,000人のロヒンギャ難民がバングラに追い出されたと国連は報道した。これは国軍による民族浄化の軍事作戦であるとの非難が世界中からスーチーに集中した。
(*これはテロによる大虐殺だとスーチーおよび政府は反論するが、世界は聞く耳を持たない)
(*現場からのレポートは続く…)
関係者がロイター記者に語った。
何人かの村人によれば、襲撃したARSAはヒンズー教徒が政府側に立ちスパイ行為をしていると疑っている。
8月末、この村から拉致されたヒンズー女性の一団はバングラでロイター記者に彼女らの愛する男性はラカインの仏教徒たちに殺されたと語った。
同じ3人の女性が、今週、ロイター記者に、バングラに拉致したムスレムは、"仏教徒の暴漢たちが殺戮行為を行った"と言えと脅されたと前言を翻した。
(*情報過多の今の時代、象の一部を撫で摩るようで、話がコロコロ変わる。それだけに、読み手がシッカリしないといけない。特定新聞・マスコミを非難してもラチは明かない。問題はその記事の中身だ。その一行一行を吟味しなければいけない。ここでもロイター通信という名門の名前に負けてはいけない。ロイターの記者と言っても本社派遣の白人記者では決して無い。多分、現地で調達したベンガル語、ヒンズー語、ウルドゥー語、あるいはパシュト語、そして勿論英語の達人だろう。場合によっては、数人で分担し、やっと通じる場合もあるし、何処かで間違った通訳文が名門・ロイター通信報道として掲載される場合もある。
これらを含めて、スーチーは"複雑なんです"と言ったが、西欧社会は理解してくれない。
ところで、日本のエライ人たちは経済大国になった瞬間から一等国民になったと誤解して、西欧社会の一員のつもりでいる。鏡に映せば美肌クリームを塗りたくり、白ギツネか、悲しいコウモリがそこにいるはずだ。中国や韓国の政治家や外務大臣が、またそれを真似する。
金もなく貧しかった頃の日本の政治家には偉人が傑出した。ミャンマーの今が、まさにそれである。
(*野次馬の戯言はそれくらいで、先に行こう…)
この3人の女性は、非常に似通った話を語ってくれた。
「8月25日、約100人のヒンズー教徒が覆面をした男たちに追われて、この大量虐殺の墓場まで行進させられた。男たちは意味の分からない幾つかの言語を話していたが、そのうちに、その何人かはムスリムだとハッキリ分かった。というのも、この地区一帯ではヒンズーとムスレムの方言が話されているからだ。男たちはムスレムではなくヒンズー教徒に交付された公式身分証明書を非難し、それを所有してはダメだと脅した。」
今回、検死を行った医師は「犠牲者たちは目隠しをされ、後手に縛り上げられ、その上で全員のノドが掻き切られた。これは明らかにARSAテロによる大量虐殺だ」と断定した。
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04: 再び9月29日(金)付GNLM紙第一面
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「外交団のラカイン行きが延期」の右端にもう一つの記事が載っている。
小見出しは「ヒンズーの45遺体が火葬にされる」
遺体が発掘された山の麓で、ヒンズー教徒の習わしに従って、遺体は荼毘に付された。
この火葬場の葬儀には、政府関係者、77名の近親者、40名のMro少数民族、30名のラカイン民族が立ち会った。
(*ここから読み取れるのは、ヒンズー教徒だけの狭いコミュニティだけでなく、Mro族も、ラカイン族も、民族は違うが、何らかの交流があり、スーチーが言う通り、テロに襲撃される前は、平和に共存していたのだろう。そうではない、これはスーチー政権のヤラセだ、と見るのもアナタの勝手)
(*当局もその発表には神経を尖らす…)
この火葬は親族の希望により挙行されたもので、国連高官や外交団のラカイン訪問キャンセルとは何ら関係ない。それらの旅程は、遺体の発見前にすでに手配されていた、と連邦大臣は語った。
一方、政府は外交チャネルを通じて、テロリストに拉致されバングラにいる8人のヒンズー女性とその子供たちの帰国を働きかけている。
(*9月30日情報…)
ミャンマーからバングラに、自分たち自身の意思で移住するために多くのムスレムが、バングラ国境に近い町村や海岸端に続々と集合している。一方、地方政府の担当官たちは、民族や宗教に関係なく、コメ、クッキング油、塩、豆類を一人一人に配給すると呼び掛け、全地域に平和と安定を取り戻すよう必死に努力していると説明した。
バングラへの移住を希望して国境地帯に集まったムスレムは、9月26日で168名、27日が771名、28日が1,425名と増加の一途である。
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05: その他
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いろんな善意団体からの寄付や、支援物資が、ラカイン州のそれぞれの地域に、町村に、特定団体に、運び込まれているが、それらはすべて省略し、日本人読者には上記の情報を優先してお届けした。
今朝、10月2日(月)の第一面には、国家相談役スーチーを支持する一般市民が多数(*写真では多数に見えるが、参加者数は記載されていない) 、アローン町区のタキン・ミャ公園に集合し、シティホール前のマハバンドゥーラ公園まで整然と行進した写真で飾られた。
世界からの重圧を一人で受けているスーチーに対する連帯支持を表明し、負けるなとの応援デモである。
世の中は面白いことに、思い通りには動かない。むしろ逆に動く。
スーチーの演説は国際社会へのアピールであった。だが、世界は反応せず、意図しなかった国内の民衆が今、団結しようとしている。
前の軍事政権はラカイン州に住むムスレムをバングラに追い返そうとした。それは失敗に終わった。だが今、武装集団ARSAの襲撃で、ラカイン州のムスレムが大量にバングラに逃げ出そうとしている。
約70万人のムスレムのうち40万人以上が既にバングラに渡ったと言われている。
頭が痛いのは、スーチーよりもバングラのハシナ首相(*こちらも女性)だろう。
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