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<ミャンマーで今、何が?> Vol.211
2017.4.27

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■メルマガ復活

 ・01: ありがとうございます

 ・02: 悲しき日本人

 ・03:スーチーのモノの見方

 ・04: 他人の屁

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01: ありがとうございます

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ヤンゴン在住3年半というNSさんから応援のエールをいただいた。それを東京の
プロバイダーから転送してもらった。

何度か読み返すうちに、メルマガ復活の気力が蘇ってきた。本当に嬉しかった。

幾人かの友人からも、メルマガが届かないと文句をもらっていた。

今回は、NSさん一人に話すように、感謝の気持ちを込めて、メルマガの試運転を
始めたい。

久し振りなので、何を口走るか予測がつかないが、表看板はあくまでも「ミャン
マーで今、何が?」である。その基本を踏み出さないようにエンジンを始動した
い。



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02: 悲しき日本人

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日本の友人から 新聞記事を幾つか送ってもらった。どうして日本のマスコミは
あれほどまでに皮相的な見方をするのだろう。問題を掘り下げずに、分析を加え
ずに、と心底ガッカリした。ランドルフ・ハーストとジョセフ・ピュリッツァー
の扇情的イエロー ・ジャーナリズムを思い出す。

ニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントン・ポスト紙の気迫までは求めない
が、これでは芸能記者のゴシップ記事を読むようで、本当にガックリした。これ
がメルマガ長期休暇の直接原因である。読者の方とプロバイダーにご心配ご迷惑
をお掛けしたこと、お詫びします。

巨大タンカーは急ブレーキをかけても、すぐには止まらない、とメルマガで何度
も指摘した。軍事政権は1962年から半世紀以上もかけて巨大タンカー以上に肥大
化していった。ひ弱な国民はその恐怖に飼い習わされて育った。その年に生まれ
た赤ん坊なら55歳になる。あと5年で定年退職だ。

エリートではない、そのようなお役人がお役所には充満している。管理職の上席
に陣取った軍人の顔色と鼻息を窺いながらコソコソと何もしない生活術を身に付
けさせられた。同時に、陳情に来る民に対してはふんぞり返ってワイロを要求す
る生活の知恵も身に付けていった。上に楯突く正義漢などインセインの監獄にぶ
ち込まれるか、辺境の地に飛ばされるのがオチであった。窓際族などという温情
溢れるポストなど用意されていない。骨の髄まで染み込んだミャンマーの役人根
性は次の世代、そして自分たちの子供に順繰りにインプットされていった。

このお役人には緑の制服の女性教諭たちも含まれる。その授業を受けて育つ幼い
生徒も全員その影響を受ける。赤い制服の病院の事務員・看護婦さんもお役人の
重要な構成要因である。ミャンマーで薄給とはいうものの定職についた国民の大
多数は、軍事政権が50年以上かけて編み出した、このようなシステムで家畜化さ
れてきたのである。

それを外野席に陣取った日本のマスコミが、スーチーの新政権のお陰で経済発展
が停滞し始めた。インフラ整備がスムースにいかない。ラカイン州の暴動も治め
られない。などと、ほざいている。アホらしくて読んでいられない。

巨大タンカーの惰性のついた行き足は一年やそこいらで止まるはずがない。新政
権が新方針を打ち出しても肥大化した役人たちの牢固たるシステムはそのまま遥
か彼方まで突き進まざるを得ない。

その責任をスーチーの無能力さが露見したとか、後継者を育ててこなかった、優
秀な取り巻きがいない、外遊ばかりで国内の政治を無視している、ロヒンジャー
問題に沈黙し人権のチャンピオンの役目から逃避している、などなどの本質を突
かずゴシップ記事を垂れ流している。軍事政権時代には声を上げなかったマスコ
ミに言いたいが、それ以上にお粗末な軍事政権は民のためには何ひとつ経世を行っ
てこなかった。それを日本のマスコミは知っているのだろうか?

挙げ句の果ては、日本が8千億円という巨額の資金援助をしてあげているのに、
日本に冷たい態度をとるのはケシカランとか、法制を含めてビジネス環境を整備
するどころか混乱させている、などという批難する。その日本人読者が、その受
け売りで新政権に石を投げつける。自国内に重大な問題を抱えながら、カネの力
で他国を支配しようとするなぞ、中国そっくりの現象ではないだろうか?



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03: スーチーのモノの見方>

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8千億円という巨額の資金援助はミャンマー政府が物乞いしたのではない。日本
政府が自身の勝手な思惑で決定したものである。その思惑には、各国の支援規模
を目測しながら、アメリカが経済制裁を解除するなら欧米各国に先んじて新政権
とコネを持ちたいというのもあろうし、中国・韓国には負けたくない、というの
もあるだろう。だが、その真意はミャンマー政府・国民の為というのは口先だけ
で、日本の国益をミャンマー領土で確立したいというのが本音である。アウンサ
ン将軍と鈴木敬司大佐が裏切られた日本の大本営のDNAソックリである。

ビルマを独立させると約束しておきながら、大英帝国をビルマから追い出した途
端、大日本帝国はビルマを植民地化した。父親のアウンサン将軍も、南機関の鈴
木敬司大佐も、日本国の豹変に激怒した。その歴史を何ひとつ整理しないで、21
世紀の日本政府と経済人たちは、涼しい顔して、ミャンマーの経済発展に協力し
たいと申し出ている。成人して父親の足跡を追いかけ、日本にまで来て探り当て
た事実をスーチーは日本政府の誰よりも詳細に学習した。

スーチーのスマートさは、表面的には日本同様に見えるかもしれないが、全く別
個のムゴイ仕打ちをイギリスからも受けている。だが、それをエレガントに微笑
んで、イギリス政府とも日本政府とも、実質上の元首として付き合っている。過
去の仕打ちに拘泥せずにである。おくびにも出さない。だが日英現政府が過去と
同じ仕打ちを繰り返す兆候を示せば、厳しく叱責する。それが外交のプロという
ものである。老獪な英国は過去の経緯を充分過ぎるほど自覚している。だが日本
人は忘れっぽい性格である。特に加害者としての過去について。スーチーは政治
経験もなく、どうも日本が好きでないようだ。これが日本のマスコミのコメント
である。トンデモナイ。

今の世界はそして政治家は、歴史から大英帝国とイギリスの老獪さをタップリと
学んでいる。

英国は勿論のこと、米国も、中国も、ロシアも、インドも、中東産油国も、スー
チーへのアプローチは遥かに巧妙である。政権党のみならず野党の重鎮、元現国
家元首などが、スーチー、最高司令官、上院議長、下院議長、シュエマン、地方
政府の首脳をかなりの頻度で訪問し、意見交換のみならず相互訪問まで果たして
いる。それは日刊英字紙GNLM紙を毎日チェックすれば、その出入り多彩さに驚く
だろう。日本の総理大臣を遥かに凌いでいる。

ひとつの例として、中国の人民解放軍なども三軍の総司令官のみならず、陸軍、
海軍、空軍の総司令官が個別にミャンマーのカウンター・パートナーを訪問して
いる。だから、日本の首相が歴史的にアメリカ一辺倒でその庇護を求めるのとは
全く異なる次元の話で、スーチーはどの国ともお互いに尊重し合い友好な関係を
確立したいと明言している。

だから、日本が8千億も援助するのだから、 日本の政策をサポートしろとか、ア
セアン各国が利害関係を持つ南シナ海問題では、反中国の立場を支持してほしい
との新聞報道には、主権国家であるミャンマーはついていけない。

世界の指導者には、マハトマ・ガンジーの子供たちが大勢いると言われる。スー
チーもその一人である。だが、スーチーの偉大さはそれを乗り越え、過去の非道
を「赦す」心境に達したところにある。

スーチーの虐殺工作を命じたタンシュエを赦し、自分の祖先(アウンサン将軍の
祖父)の首を切り落とした大英帝国政府、そして父親アウンサンを暗殺させた疑
いが非常に濃厚な英国を、現に許している。日本の武士道では親の仇を討つ忠臣
蔵は最高の鑑とされる。だがこれでは敵討ちの輪廻が永遠に回り続ける。スーチー
の哲学はその輪廻を断ち切った。

世界の歴史を読むと、敵討ちの戦が21世紀の今の今まで継続している。戦争の悲
惨さを無視して戦争へ戦争へと突き進む。人間は歴史に学ばない動物だと言った
のは、確かアーノルド・トインビーだった。本当に愚かな人類である。その人類
至上主義が人権人権と声高く世界を動かそうとしている。人間などクソ喰らえで
ある。人間を糞袋と喝破した禅坊主には単純な潔さがある。一神教の西洋人には
理解しにくいかもしれない。



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04: 他人の屁

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このメルマガが新政権を全面的に支持するのは、否定すれば軍事政権に戻る以外
に道はないからである。あなたの家族がミャンマーの将軍であるなら、それも良
いだろう。だが他国ものが余計な嘴をはさむのは慎みたい。

ヤンゴンに居候する身で、当然ミャンマー国政に関与する選挙権はない。それを
スーチーが外遊ばかりして、自国の国家運営の能力もなく、失格であるとの烙印
を押すのは、あまりにも驕り高ぶった、余計なお世話ではなかろうか。それでは
言わせてもらうが、日本が人様から指をさされないようなユートピア国家である
のだろうか? 漱石に言わせれば、何発放ったと他人の屁を勘定するようなもの
だ。

実は今、日本に戻っている。昨年後半から何度目かの帰国である。

毎回数週間の滞在である。古くからの学友(昨日は50年ぶりの旧友とマジマジと
にらめっこした)、昔の仕事の同僚、ヤンゴンで出会った友人との再会は楽しい
が、小ぎれいな日本そのものが粗野なミャンマーの田舎と比べて面白くない。こ
れは当然ワタシ個人の感想である。

老人と語らっても、中堅どころと語らっても、たまには若者たちと語らっても、
「夢」が見えないのである。だがミャンマーは違う。ミャンマーには135の民族+
ビルマ人が住んでいる。それにプラスして、人権グループが認知しろと主張する
ロヒンジャーもいる。海外のISキャンプで訓練を受けたテロ集団もロヒンジャー
部落に紛れ込んでいる。さらには巧妙に住民票を取得した国民党崩れの中国人も
いる。その中でもワ族やコーカン族は麻薬の国際マーケットを牛耳るやり手のビ
ジネスマンである。

ユニバーサルスタジオやディズニーランドを遥かに越えるバーチャルではない現
実世界のアドバンチャーがここミャンマーには溢れている。多彩な「夢」を見る
ことができる。だが、いくら投資していくらリターンを得るというチャチな「夢」
ではない。

久しぶりのメルマガで疲れてしまった。近々続きをお届けしたい。


東西南北研究所





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