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<ミャンマーで今、何が?> Vol.178
2016.01.20

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■東西南北研究所の「ものの見方」

 ・01: ウワサが走る

 ・02:ウワサの追っ掛け

 ・03:東西南北研究所の「ものの見方」

 ・04:賢人の推測

 ・05:お伝えするニュースはあまりない

 ・06:2016年を

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01:ウワサが走る

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この国、最強のストロングマンが死んだ。入院先のシンガポールでだ。
その第一報を聞いたのは、先週のメルマガ発行翌日14日(木)の早朝だった。郊外の茶店で月一回行っている早朝会議でのことだ。

12月4日夕方、ネイピードの自宅でNLD党首スーチーと異例の会見を済ましたあと、この元独裁者はシンガポールに運ばれ入院したという。その事実は地元紙でも報道されている。

それが突然、昨夜13日午後4時30分に死亡したという。その数時間後、午後8時にこの話を聞いた友人は、即座にタンシュエを支持する軍人グループ、それから野党NLD、それぞれの情報通に連絡を取った。だが、その時点では、両サイドともに、そんなバカなと相手にしなかったという。

14日朝の時点では、裏づけは取れていない。だから、この信頼置ける友人は、いまのところは単にウワサとして伝えて置く、責任は持てないからなと念押しされた。



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02:ウワサの追っ掛け

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野次馬としては、気が気ではない。自宅に戻り、各方面の情報通に当たってみた。フェースブックなどのソーシャルネットワークではこの話題で持ちきりだという。火のないところに煙は立たない。火元はここだったのか?ヤンゴンは一気にソーシャルネットワークの世界に入った。だが、まだ、ウワサネットワークも根強い。

顔なじみの新聞スタンドのオヤジとは、片言の英語だ。だが、以心伝心の間柄である。100紙以上の週刊誌・日刊紙を扱っているだけに、かなりの早耳で、情報通だ。こちらの疑問を察して、“それはない!”と一発で断言された。だが、その理由、裏づけまでは、こちらに通じない。不満が残る。

例の路上喫茶に行ってみる。案の定、ある省庁の高官とパイプを持つ友人が、出勤前にひとりラペッイエを飲んでいる。許しを乞い、同じテーブルに着席する。疑問をぶつけると、ケータイで、ウワサの元のフェースブックを開き解説してくれる。すべて、ビルマ語だ。

数日前に日本の友人からメールをもらった。「今年はビルマ語の会話ができるように頑張りたい」とあった。その時、英語と日本語だけでミャンマーに居候するなんて、実に不遜だと反省したばかりだ。アルコールハイマーの頭脳が機能するか自信ないが、今年は何とか挑戦してみよう。

このラペッイエの友人も、これはウワサに過ぎないと断定した。



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03:東西南北研究所の「ものの見方」

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そういえば、このストロングマンの24歳になる孫NSTAはフェースブックの愛好家だった。もし、このウワサが事実でなかったら、それを打ち消す情報を流してもよさそうなものだ。それが流れないということは、ウワサが事実と見るべきか?

もうひとつ突っ込んで考えると、NLDスーチー党首にとっては、あと二ヶ月ちょっとだが、政権の平和裏の移譲、そして新政府の発足までは、このストロングマンの軍部に対する睨みは、コトを荒立てずにスムースに運ぶためにも、絶対に必要なところだ。だから、少なくとも3月31日まではなんとしても延命していて欲しいところである。

荒くれものの下卑た極悪漢を酒とヤク漬けにして、アウンサンスーチーを撲殺しようとした張本人であるタンシュエの命乞いをするというのも、おかしな話だが、政治家スーチーのいまの立場を理詰めで推測すると、そういうことになる。

話は逸れるが、スーチーがその人生をどれほどの精神的、肉体的、迫害に追い込まれて生き延びてきたかというドキュメンタリーは、「アウンサンスーチー愛と使命」に丁寧に詳しく記述されている。イギリス『インディペンデント』紙の外国特派員であるピーター・ポパムが数多くの関係者にインタビューして、600ページを超える大著に編纂した。

そして、幸運にも単にサバイブしただけでなく、自宅軟禁という逆境を利用して、仏僧の指導の下、スーチーは瞑想の世界に入っていく。そこで頓悟したと思われるのが、「許す」という偉大な思想だ。西洋世界では、歴史を振り返ると、リベンジの繰り返しだった。日本でも、忠臣蔵をはじめとして、敵討ちは最高の、そして名誉の忠君であった。だが、それを繰り返すとリベンジの輪廻に陥る。それをスーチーはスパッと断ち切り、相手を許すという心境に至っている。

父アウンサン暗殺の黒幕といわれるウ・ソウの孫娘の結婚式に「王家の花」を贈呈し、自分を殺害しようとし、多くの同志たちを殺害したタンシュエを許すという儀式を昨年12月4日夕におこなっている。このときの立会人はタンシュエの孫ネイシュエトゥエイアウン(NSTA24歳)であった。

NSTAはアンティ・スー(ミャンマーでは年上の女性に対する敬称)に感謝の気持ちをフェースブックで流している。

これを裏読みすると、死の影を間近に感じたタンシュエが、自分の犯した重大な罪過が自分の輪廻に、そして末裔たちに影響を与えると、虫のよい許しをスーチーに求めたのではないだろうか?それをスーチーは瞑想によって到達した悲母観音の心で対応した。

それとも、ルビーやヒスイなど莫大な国家財産を着服した罪を見逃してくれという勝手な嘆願だったかもしれない。

どちらにせよ、NSTAの「スー叔母さん、ありがとう!」には、単なる感謝ではなく、意義深いメッセージが隠されているはずだ。



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04:賢人の推測

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ミャンマー人の「ものの見方」が分からなくなったときに、おもしろい解決案を示唆してくれる貴重な友人がいる。

1月14日の、フェースブックも朝一番にチェックしたという。

「生きている!」というのが、彼の結論だ。カカボラジ山で密造されているという怪しげな液体を飲みながら説明してくれた。

「この人物が好んで使う手だという。戦略だという。」そして「この一報で、すぐ動き出す軽薄な部下がいるとしよう。数日たつと、彼の首は大臣職から挿げ替えられているという。」

彼の部下でなかったことに、そして大臣職についていなかったことに、ワタシはホッとした。



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05:お伝えするニュースはあまりない

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米国や日本であれば、当選した次期大統領や総理大臣は、その日から俄然脚光を浴び、現職はレームダックに陥る。ミャンマーではそうならないところが、おもしろい。新聞の第一面を飾るのは、相変わらず、テインセイン大統領と、ミンアウンライン最高司令長官の写真だ。

そして逆にスーチーさんがレームダックに陥っているような感すらする。スーチー党首にとってはいつ揚げ足を取られるか、気がかりなのだろう。細心の注意を払い、ロー・プロファイル(低姿勢)に徹している。

報道関係も、民主化を応援するような、そぶりを見せながら、結果的にはミーハーな態度で、スーチーさんを潰しかねない様相である。

だから、圧勝したとはいえ、3月31日までは、スーチー関係のあまり派手なニュースは出てこないと推測される。



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06:2016年を

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そこで提案である。このメルマガを4月1日以降、どうしようかというご相談である。いくつかの反応もボチボチいただいている。御礼申し上げます。

当研究所としては、読者と画期的なコラボができないか、という希望がある。ヤンゴン発信だからこその、新鮮味のあるメディアで。

例えば、「落語の三題話」のようなものができないかという漠然としたアイデアである。
広辞苑によれば、お客から任意に三つの題を出してもらい、これを即座におもしろおかしく綴り合せて、一席の落語とするもが「落語の三題話」とある。

過去三年半の試行錯誤から、まったく無知の領域の話題でも、東西南北研究所のスタッフ、データベースの総力を駆使すれば、割と短い期間で何とか、デッチ上げの話題は提供できる。だから、別に三つを無理矢理合作させるのではなく、最近のミャンマー関連でこれを知りたいととのひとつのご希望でもあれば、それを徹底的に追い詰めるという手法である。

しかし、他紙がすでに取上げているような問題では、二番煎じであまり興味を引かない。
このあたりのところを読者の皆さんのお知恵を拝借して、ヤンゴンから、何か新しいものが発信できないかなというのが、当研究所の希望です。

レームダック期間の3月末日までは、時間がまだたっぷりあります。

その反応を、もしいただけるならば、勘案した上で、このメルマガのプロバイダーと相談の上、2016年を考えてみたいと思います。特になければ、NLDの圧勝メデタシメデタシということで、このメルマガは雲散霧消とさせていただこうかなと、いうところです。



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