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<ミャンマーで今、何が?> Vol.171
2015.11.25

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■超巨大タンカーの例え話し


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真の民主主義を標榜する新政権が、2016年3月31日から発足する。
新政権は、まさにその日から、これまで馴染まされてきた軍事政権のシステムに、急ブレーキを掛け、スピードが落ちてきたところで、初めて見せ掛けではない、真の民主主義に向けて大きく舵を切る。

約50年間、この国を牛耳ってきた軍事政権を、超巨大な50万トン・タンカーに例えてみたい。

超巨大タンカーは急ブレーキを掛けても、すぐには止まらない。実際にはブレーキでなく、“フル・アスターン”と呼ばれる、プロペラを全力逆回転、すなわち“全力後進”させるのだが、それでも何キロも、何キロも、この超巨大タンカーはこれまでの惰性で前進を続ける。

何が言いたいのかというと、いまどきの世代は、便利な世の中に慣れてしまったので、翌日の4月1日から、すべてが民主主義の世の中にチェインジしていないと、許容しない精神構造になっていることが気がかりである。

国民自身が50年間も旧体制に、そして旧システムに、飼い慣らされてきたので、一年そこいらで急転するとは思えない。だから、お役所が旧態依然だとかの不平不満が至るところで噴出ことだろう。そして、その風当たりの対象はNLDであり、スーチー党首となる。

しかも、その不満の声は、外国の投資家から、駐ミャンマーの外交団からも、沸きあがる。さらにそれを悪化させるのが、マスコミの存在である。センセーショナルな話題が彼らの飯の種であるからだ。

これらが、次の政権のカオス状態をつくりだすのだが、そのカオス状態を密かに待ち望んでいるグループもいる。「そーら見ろ!政権を担当した経験のないNLDでは、国の舵取りは不可能だ」、当然、彼らはマスコミの扱い方も、過去5年間で充分学習してきた。

2016年3月31日の新大統領就任式で浮かれて安心してはいけない。

米国や日本の総選挙であれば、選挙結果が判明した時点で、旧政権の大統領・総理大臣は、完全にレームダックに陥る。だが、この国ではレームダックに陥らない。それどころか、最後の最後まで予断が許されないのだ。それだけではない。3月31日以降も2016年を通して許されないと考えたほうが良いだろう。

最大野党に投票した国民自身が、新政権のスローな改革政策に不平不満を漏らす可能性が非常に高いからだ。

アウンサン将軍はビルマの独立に向け、韓信の股くぐりともいえる、不屈の忍耐と冷静な判断を堅持できた。その故事が、来年のミャンマーに求められる最大の試練だろう。


過去一週間の英文情報を見比べて、今週は上記の感想が頭をよぎる。

引き続きミャンマー・ウォッチを続けたい。


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