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<ミャンマーで今、何が?> Vol.167
2015.10.28

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ビールのツマミ

 ・01: メルマガ発刊の28日(水)はダディンジュ 

 ・02:ビールのツマミ

 ・03:シュエマンの返り咲き?

 ・04:7月29日付の第155号を参照願いたい

 ・05:与党側の動き

 ・06:下院議長は?

 ・07:中国の読みは?

 ・08:選挙の結果を恐れる必要はないのよ

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01:メルマガ発刊の28日(水)はダディンジュ 

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満月の火祭りで祝日となる。騒々しい名物の水祭りから半年後に必ず廻ってくる。年年歳歳、季節は変わり、僧院に篭っていた僧侶の外出が許され、正式に雨安居(うあんご)明けとなる。雨季の期間、謹んでいたお目出度が一気に爆発し、ホテルの宴会場は結婚式ラッシュとなる。

太陽が沈むと、各家庭のベランダや窓辺がLEDで輝き、幻想的なしっとりとした風情が街を包む。あちこちから花火をシュルシュル打ち上げる。夜空にはローソクを点した紙風船がいくつもふんわりと大空を横切っていく。

猫の額の5Fのベランダ、しかも両端で、鳩のカップルが、それぞれ2個ずつ卵を温めている。あと2週間もすれば、ダブルで幸せが訪れてくれる。幸せに逃げられないよう、今年の我が家はひっそりと、向かいのビルの電飾を楽しむつもりだ。



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02:ビールのツマミ

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ビールはいつ飲んでも旨いが、この時期のMビールは格別である。しかも、ラッキードロー付きだ。ついついもう一本追加したくなる。

ところで、ビールのツマミに、大統領選の話でもいかがですか。
海の向こうでは、ショー化されたアメリカの大統領選が、すでにマスコミを賑わせている。来年いっぱいアメリカ人はこのお祭りを楽しむ。民主主義の旗手といわれながら、女性大統領をまだ輩出したことがない。前回やっと黒人大統領が登場した。そんな後進国が超大国を気取り、世界中にお節介を焼く。国内に多くの問題を抱えながら。

その点、ミャンマーの大統領選はどっちに転ぶか、まったく先が読めず、実におもしろい。しかも、来年の話ではなく、二週間を切った。

クールなビールとツマミで、岡目八目を楽しみたい。アメリカに倣って余計なお節介や批判を加えても、一票の権利も外国人にはないのだから。



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03:シュエマンの返り咲き?

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死に体と見做されていたシュエマン議長が大統領選復帰に賭けるという。10月23日付MT誌の第一面および第三面に大きく顔写真付きで掲載されている。野次馬には堪えられない話である。

テインセイン大統領とシュエマン議長の権力闘争は8月13日に決着したといわれてきた。だが、両者の亀裂がまた表面化してきたという。MT誌も両者の側近から裏づけを聞き出すのに躍起だ。

最近のインタビューで面白いのが、証言者が全員“anonymous”を条件に情報リークしていることである。“匿名”という意味だ。秘密警察に後をつけられたり、名誉毀損で訴えられないためだという。賢明なミャンマー人はこうやって学習していく。不注意なアイリッシュがBBCのインタビューに、政府批判らしいことを語ったらしい。BBCは逐一モニターされている。その後、ミャンマー入国は拒否されたままとウワサに聞いた。愚かな西洋人は何一つ学習していないと言うことだ。

だが、与党USDPの事務局長は、今度の総選挙で多数決を押さえたら、テインセイン党首に2期目である次の5年間も続行してもらうよう大統領に指名すると、先週BBCに答えた。だが、シュエマン議長は、そのような決定はひとりの発言では決められないと地元紙に語っている。

匿名側近の話だと、執行委員会は大統領派に牛耳られ、従来の大統領選出システムでは党員はすべて執行委員会の決定に従うことになるが、国会議員の多数は下院議長支持派で、民主的な大統領選出方法をとれば、シュエマン有利と語る。

一方、下院議長はこれまでNLD党首と緊密な関係を保っており、NLDが総選挙で多数を占めれば、25%の議席を独占する軍服組みの受けを良くするために、NLD党首はシュエマンを大統領指名する可能性は高いと、観測筋は見ている。



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04:7月29日付の第155号を参照願いたい

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そこで、強硬派で知られた大物議員死去のニュースをお知らせした。
2014年に米政府は経済制裁のブラックリストにのせ、それを逃れた二人の息子は複合企業IGEグループやユナイテッド・アマラ銀行などを経営する、ミャンマー随一の超リッチ家族といわれている。本人の名前はウ・アウンタウン。だが、もうこの世にいない。

マンダレー大学を卒業し、国軍に入り大佐にまで上り詰め、工業大臣を長いこと務めた。

7月23日シンガポールの病院で死去。7月27日ヤンゴン・イエウェイ墓地で100名以上の政府高官を集め葬儀が行われた。下院議長、両副大統領、国軍最高司令官、そしてNLD党首から見事な花輪が贈られている。驚くことに、スーチー党首は7月24に自宅を訪れ弔意を表明している。しかも、地方遊説中のスーチーさんを暴徒に襲わせ暗殺を企てた黒幕とされる人物である。なにかあると掠めたが、当時は読めなかった。

今回わかったことだが、本人はミャンマー国軍のパトロン的な役割を果たしていた模様で、国軍からは絶対的な信頼を受けていた。この花輪から読み取るべきだったのだが、下院議長とNLD党首との接近を背後では支援し、将来的には國軍とNLD党首との和解へ結び付ける重要な役目を果たそうとしていたようだ。

だが、本人の死去でこの目論見は遠ざかった。だが、そう簡単には言い切れない。そのグランドデザインに同調していた制服組もかなりいる模様で、その動きは読めない。つまり、国軍とNLD党首との和解無くして、将来のミャンマー、ひいては民主化はありえないというのが、評論家の読みである。



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05:与党側の動き

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与党USDPは、何とか全国規模の平和協定を達成し、これを選挙前の手柄にして、選挙に臨もうと必死だったが、ネイピードで10月15日に行われた調印式典には、20以上ある武力勢力のうち、8グループしか参加せず、しかも最大2大勢力のワ州連合軍およびカチン独立軍は参加していない。

これら参加しなかったグループは、次期大統領の顔が見えない時点で、調印してもまったく意味がないという考えのようだ。これまでに、中央政府からは何度も熱湯を飲まされた苦い経験があるからだ。ということは、反体制派を支持しているように思えるだろうが、これらのグループには今回の投票用紙は当然ながら配布されない。だからNLDは彼らを取り込みたくても、票にならないのだ。

ウ・テインセインという人物。
大統領に就任してから、USDP党首との兼務はできないとして、彼はUSDP(=軍人)を去った。そこで、スピード感溢れる各方面での改革に突き進んでいった。それは、マスコミの規制を打破し、NLDとの和解にも挑戦し、政治犯を大量に特赦し、海外投資家も呼込み、最初は信用しなかった西洋の首脳を、懐柔していった。その結果、欧米の制裁は解除され、海外の投資家がなだれ込んできた。そして、深海港、経済特区と、その手腕は見事なものである。

だが、8月13日の与党USDP内でのクーデターが逆にテインセインの致命傷となった模様である。というのも、これまでは、軍部からは完全に離れ、孤立無援の国会で、徐々に協力者を増やし、自分の大統領府側近に据え、民主化路線改革派と見なされていた。そして海外の政府首脳・実業界からも高く評価されていた。だが、クーデターが痛かった。皆はテインセインは軍人だったのだと言うことを思い知らされた。

これは、一般国民にも責任の一端はある。テインセインは、国民が求めるならば、大統領職を継続することを匂わせていたが、一般国民からのテインセイン・コールはついに上がらなかった。そこで、今回のクーデターに担がれてしまったものと思われる。もちろん闇将軍の意向が働き、国軍の上層部が動いたはずだ。軍関係者で、大統領選を戦える候補は、4年間の実績からしてテインセインしかいないことを熟知しているからだ。

テインセインの心情として、海外で評価の高い民主化への実績を、一般大衆はいっこうに評価してくれない。その声が高まれば、押されて次期大統領選に出馬するという形で、もう一段階上の脱皮(軍部上層部)を決意したかもしれない。これは非常に危険な賭けなので、別の形のクーデターを引起す可能性は大である。

結局国民からの応援歌は湧き上がらず、国軍上層部の説得に応じて、USDP党首に戻ったというのが、行間から読み取った答えである。そして、国民一般大衆は敏感である。民主化だ改革だと言いながら、テインセインは結局は国軍の巣窟であるUSDPへ戻った、軍人に戻ったと解釈した。



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06:下院議長は?

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8月13日のクーデター騒動で、スーチー党首はすべての国内旅行を取りやめたとお伝えしたが、そこから何かを読み取るべきだったかもしれない。

だが、前回お伝えしたとおり、シュエマンが大統領になることを条件に、新規に首相職を設けて、スーチーを首相に就任させ、国内行政は彼女に任せるという案は、こうなってくると非常に興味を惹くアイデアだ。

スーチーは現憲法上大統領には就けないが、NLDが過半数を抑えた場合に、自分は背後でNLDを支配すると語っている。しかも、NLDには有力な後継者はまだ育っていない。すると、下院議長が言う、NLDがマジョリティとなった場合、NLDはシュエマンを大統領に指名するとは、ありうる話である。



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07:中国の読みは?

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中国は、これまではミャンマーの軍事政権ぴったりだったが、態度が変わってきた。最近、中国が重きを置くミャンマー、および東南アジア政策は、(1)シルクロード経済圏、(2)21世紀の海上シルクロードでの指導力発揮、中国主導のアジアインフラ投資銀行の三つを挙げている。

一方、中国・ミャンマーで問題となっているのは、ミッゾーンダム、レッパダン銅鉱山、チャオピューの天然ガス・原油パイプライン、それから国境地帯での、中国あるいは中国系民族との紛争などである。

今年6月、中国の国家主席は歴史上はじめて、反体制派のスーチーNLD党首を北京に招待した。だが、その会談内容は聞こえてこない。

そして、中国は、次期大統領が誰になろうとも、次期政府を支持すると公式に発表した。これはこれまでの中国のスタイルからするとありえないことである。ということ、中国諜報機関の読みは、ひょっとして・・・。



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08:選挙の結果を恐れる必要はないのよ

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これが最近のスーチーさんの発言である。
さあ、選挙資格のないアナタはこのスーチーさんの言葉をどう読み解きますか。
まあ、硬いことはいわずに、もう一本注文しましょう。



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