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<ミャンマーで今、何が?> Vol.152
2015.07.08

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ネパールからミャンマーへ

 ・01:WFPからの救援食料をネパールが廃棄

 ・02:2008年5月2日のナーギス台風

 ・03:お願いだから、食糧支援を止めてくれ!

 ・04:ウラが見えてきた

 ・05:お詫び

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01:WFPからの救援食料をネパールが廃棄

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という情報を6月30日GNLM紙が報じている。
ネパールといえば、このメルマガの守備範囲を越えてしまう。だが、少し我慢して聞いて欲しい。ネパールとミャンマーとは、民族学、言語学、人類学、山系、動植物相的には非常に近しい親戚のようなものだ。だがそれはこじつけで、今回は地震の話である。

4月25日に襲った大地震の震源地はネパールのグルカ地方であった。国連WFP(世界食糧計画)からの緊急救援物資がさっそく現地に届き、食料倉庫に納められた。ここまではたいへん結構な話である。

ところが、その550トンの豆類とコメが健康に有害で食料に適さないとして処分されることになった。ネパール政府は、このような事件は前代未聞で、国連機関とどのように折衝して、どう処分するか苦慮している模様だ。

政府食品技術品質管理局がこのサンプルを調べたところ、コメは腐敗し、豆類は食料に適さない状態であることが判明した。同じく乳幼児向け食料も賞味期限切れとなっていた

ネパール政府はWFPの救援物資に対して以前から食品検査を要求していたが、これまで一度も実行されなかった。WFPはこれらを納入業者に送り返し、調査するといっているが、ネパール政府は、いったん返還すれば、救援物資供給と同じシステムに乗って再びネパールに最入国する恐れがあるとして、ネパール国内で土中に埋めると発表した。



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02:2008年5月2日のナーギス台風

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実は、このカトマンドゥ(ネパール)発のニュースに接したとき、ミャンマーを襲った同様の大惨劇ナーギス台風のことを思い出した。ただちに、あの悪夢が蘇えってきた。

ミャンマーにも救援物資が、世界中の善意者、チャリティグループ、NGO団体、各国政府から、溢れんばかりに届いた。

フランスとアメリカの軍艦が一番早かった。それぞれ食料・飲料・医薬品などの救援物資を満載して、もっとも災害の大きかったイラワジデルタ沖合いまで近づいた。両国政府の大使館は当時の軍事政権に対し、救援物資の上陸許可をしつこく迫った。最終的な結論は、仏米両国軍艦のミャンマー海岸線接近は許可しない。救援物資はヤンゴン国際空港でのみ、受理するというのが、この軍事政権の発表であった。

このときの軍事政権発表の責任者が、いまのテインセイン大統領、当時のテインセイン首相であった。

5月はじめのナーギスといえば、モンスーン雨季の始まりとも観測された。ヤンゴン空港から、もっとも災害がひどかった、イラワジデルタまでは、幹線道路が一本ある。だが、インフラが不十分、暴風雨被害で多くの道路が冠水、橋梁が破壊されていた。救援物資のトラック軍団が、イラワジ末端にまで延々と続き、大渋滞を引起した。幸運にも現地に到達し、救援物資を卸した空のトラックが、復路でこの大渋滞をさらに倍化させた。

テインセインには、このときの痛い教訓を反省し、一国の最高権力者としては、どのような采配を振るわねばならないか、そして今の時代、世界中の善意というものか、どのようなものであるか、それを心底学習したものと、東西南北研究所は見ている。

それが最高権力者と民衆を結ぶ絆であった。ということで、テインセイン大統領が、君子豹変したベースにはこのナーギス台風の心痛の想い出があったと見ている。

などという話は、今回の本筋ではない。スミマセン、また横道に逸れてしまった。



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03:お願いだから、食糧支援を止めてくれ!

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最初のネパールに戻ろう。このタイトルはケニアの経済学者がドイツの一流新聞シュピーゲルからインタビューを受けたときの見出しである。

「アフリカへの食糧支援は善意以上のものがある。そしてその国の政治家に莫大な利益をもたらしている。支援食料を投票権の買収に利用し、闇市場に横流ししては資金作りに役立っている。そして自国にある小規模農業を最後は絞め殺していく。」

このWFPは平均して、75カ国8千万人の飢餓人口に、毎年食糧支援を行っている。本部はイタリアのローマにあり、世界中に80以上の事務所を開設している。
1961年、国連食糧農業機関会議でWFPは、国連開発グループの一機関として設立された。これらの国際支援はすばらしいことである。

だが、これらの機関が巨大化し、その組織が官僚化していくと、腐敗が始まる。ネパールの場合も、そのシステム化した巨大官僚組織は史上最悪のネパール大地震で、即座に行動を開始した。入札で請け負い業者となった企業・NGO団体を指名し、ネパールのカトマンドゥに、受注した救援物資が納入される。

だが、新聞の行間を読む訓練を続けていると、この納入業者がこの仕事を落札するまでにWFPトップ・中間・末端の過程で、腐敗が発生する可能性があり、御用商人はいったん落札してしまうと、お役所仕事を見透かしたように、品質のダウングレードを計り、利幅を増やす努力をする可能性もでてくる、などといったことが見えてくる。



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04:ウラが見えてきた

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そこで、もういちど、ナーギス台風に話をもどす。あるアメリカの巨大宗教団体が、ナーギス被災者の子供たちにと、ネパール同様の善意の救援物資を大量に送込んできた。賢明なことに、軍事政権の汚れた手を回避して、ヤンゴンにある宗教団体の建物内に
貯蔵し、ボランティアの手を借りて、被災地への配送作業が懸命に行われた。さすがに、アメリカの超有名な宗教団体で、頭も下がる、素晴らしい慈善行為である。

しばらく経つと、その作業が突然ストップした。そして、かなりの食糧が仮置き場に残され、ボランティアを手伝った人たちに配られた。その一人が、かなりまずいけど、食べてみる?とワタシにまでお裾分けしてくれた。英語でその宗教団体名、水道水を加え、20分間ボイルしてと書かれた、絵入りの親切な指図書が貼り付けてある。

被災地でなくとも、水道水が整備されていないミャンマーである。特に災害地では水もなく、お湯を沸かす焚き木にも苦労するのでは。ナーギス直後、湿気てないマッチを現地で入手できるのだろうか、などといろんなことが頭をよぎった。

当時ミャンマーは本当に貧しかった、と欧米の新聞には書いてある。だが、彼らの舌はファーストフードで育った欧米人より、はるかに肥えている。お裾分けを指図書どおりに調理して食べてみた。グルメでないワタシの味覚もこれは“不味い”と一口で止めにした。

確かに、入札時の説明では、栄養分はたっぷりなのだろう。だが、被災地の子供たちまでが「もう要らない」と拒否した味覚を提供する、世界有数の権威団体の無神経さに怒りを覚える。

これはウワサで何ら根拠もないので、名前は明かさない。同じくイラワジデルタのナーギス被災地で、あるアメリカの宗教に改宗したら、救援の現金と食糧を配布すると現地で大キャンペーンを張り、かなりの数の仏教徒の改宗に成功したNGOという名前の宗教団体もいるらしい。あの、ナーギス暴風雨のアトにである。

東西南北研究所は、いかなる宗教、人種、性別、などに偏見を持たないことをモットーにしております。
ただ、ネパールのニュースで何か引っかかるものがあったので、ムリヤリ話をミャンマーのナーギス災害に結びつけました。



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05:お詫び

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今週は、メルマガ原稿をすっかり忘れ、慌てて先週のニュースを見直しているところです。ですから、今週の「ミャンマーでいま、何が?」が一・二日遅れることをお許しください。

ついでに、今日7月8日のGNLM紙一面を見ると、シュエダゴンパゴダとカンドジー湖にかけての空撮写真が大きくでています。問題はその空間地区で行われていた大事業です。

その第一面見出しは「連邦政府がシュエダゴンパゴダ近くの開発計画中止を発表」となっています。この大プロジェクトは軍関係者のいくつかの団体が連合して進めていたものですが、周辺住民から大統領に対して開発計画中止の訴えが多数寄せられていたものです。このプロジェクトはダゴン計画と呼ばれていましたが、最後に大統領は軍関係者よりも国民の声を聞き届けた模様です。

今朝のこのニュースはじっくり読み込んでいけば、どのような軍関係者か、どのような団体が軍の隠れ蓑として、あるいは堂々と営業を行っているのかが、一般民衆の反対意見は、などが見えてきそうなので、ウォッチを続けてみたいと思います。そこそこ見えてきた段階で、何かをお伝えできるかもしれません。

そんなことより、今回は執筆者の怠慢で発行が送れたことお詫びします。




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