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<ミャンマーで今、何が?> Vol.136
2015.03.11

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■オーストラリアとインドネシア??

 ・01:麻薬と国内法

 ・02:入国書類に署名したら、逮捕されても文句は言えない

 ・03:麻薬の不法所持が恐ろしい結果に

 ・04:死刑制度をアナタはどう考える

 ・05:品格に欠ける節操もない外交

 ・06:外交とは魑魅魍魎の世界

 ・07:白人優先社会

 ・08:アヘン問題はその発端に戻らないと解決できない

 ・09:支離滅裂な結論

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今回はインドネシアとオーストラリアの問題を取上げたい。

なあ〜んだ、看板に偽りありじゃないか、と不愉快に思われる方は恐縮ながら、今週はスキップしていただきたい。

無理矢理こじつければ、ネシアはミャンマーと同じアセアンの一員である。そして、これはビルマとインドが痛めつけられてきた白色人種と有色人種の紛争でもあり、ミャンマーお得意のアヘン問題でもある。もうひとつ言い訳すると、これはすべてミャンマーの日刊英字紙GNLMの海外ニュース欄に掲載された情報である。



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01:麻薬と国内法

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いまインドネシア大統領とオーストラリア首相の間で激論している超ホットな問題がある。
両国はインド洋・ティモール海を挟んだ隣国であるがゆえに、漁船の領海侵犯や不法入国など、長いこと紛争の絶えない間柄でもある。

ヘロイン密輸犯として33歳と31歳の二人のオーストラリア人男性が死刑判決を受けた。2005年のことである。二人はバリ・ナイン(バリ島での犯罪者9名)といわれる麻薬取引グループの首謀者である。インドネシアは麻薬取引には厳しく、2013年には5年ぶりの死刑が復活し執行され、ブラジル・マラウィ・オランダ・ナイジェリア・ベトナムを含む外国人が銃殺刑となった。今の時代に銃殺刑というのもショッキングだが、イスラム国では刑罰は見せしめという観念のためではと推測している。

オーストラリア人二名は他の外国人とともに夜明け前に収監されていたバリ島刑務所から、銃殺刑が執行されるジャワ島沖合いの監獄島につい最近移送された。この二人を含めて現在11名の死刑判決囚がここに収監されている。自国民もいるがフランス・ブラジル・フィリピン・ガーナ・ナイジェリアと外国人が目立つ。この11名はすべて麻薬取引法違反による死刑囚である。

オーストラリアのアボット首相は超法規的な大統領特赦を求めて嘆願したが、ウィドド大統領は、主権干渉として、その訴えを退けた。特に欧米のマスコミ、特に欧米主導の人権団体は現在インドネシアを人殺し国家、そしてウィドド大統領を殺人鬼のように扱っている。



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02:入国書類に署名したら、逮捕されても文句は言えない

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どの国でもそうだが、入国書類は検疫・入管・税関の3点セットが必要である。申請書類に記載した事項に嘘偽りがないこと、その国の国内法を遵守すること、違法の場合は国内法に服すこと、これらを確認する形で本人が自筆署名することになっている。入国しようとする国と入国する外国人との個人契約である。

だから、同意した以上は、国内法が死刑とするならば、ソクラテスのようにあえて毒杯をあおるのが道理ではなかろうか。それを、一国の首相が超法規的な処置を他国元首に求めるというのは筋が通らない。各国それぞれに憲法があり国内法がある。アボット首相は他国の主権をどう考えているのだろう。オーストラリアには死刑制度がないから、仮に終身刑を言い渡されたインドネシア人がいた場合、ウィドド大統領が恩赦を嘆願すれば、それに応えられる法制度になっているのだろうか。スミマセン理屈っぽくなって



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03:麻薬の不法所持が恐ろしい結果に

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話は他に跳ぶが、麻薬犯罪を軽く考えて、というよりも考えないで、麻薬不法所持でバンコクなど海外の刑務所で服役している日本人は多い。そして、インドネシアに限らず麻薬取引は死刑という極刑に処す国も多い、バリ島、バンコク、パタヤビーチ、ネパールなど欧米人天国のリゾート地では、これらのドラッグが簡単に手に入る。そこでその感覚に麻痺した無知な若者、大のオトナが、わずかな小遣いで運び屋に雇われ、残りの人生を刑務所暮らしというのもよくある話だ。



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04:死刑制度をアナタはどう考える

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ワタシ個人としては、死刑制度そのもの、すなわち尊厳ある個人の生命を屠殺する権利を国家に与えるなどとんでもないと思うが、ここで問題にしたいのは、1970年代まで、オーストラリアは白人優越主義で、有色人種を迫害してきた歴史がある。そして虫けらのように扱ってきた。その事実を若い人たちに歴史教育として継承しないで、人権問題としてすり替え、しかも欧米のマスコミを総動員してキャンペーンを行うところに問題があると言いたい。

自国民二人を救済すれば片付く問題ではない。死刑制度そのものをこの世から抹殺するキャンペーンなら理解できる。かといってことはそう簡単ではない。家族のみならず周りの友人たちから愛された幼い女児が誘拐されてレイプされ惨殺されたら、身内の身にあけなれば死刑以外の判決には承服しかねるだろう。目には目を、歯には歯をは、ハムラビ法典の時代からある。その辺りの両者の溝をどうやって埋めていくかが、世界の指導者たちの叡智ではなかろうか。



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05:品格に欠ける節操もない外交

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アボット首相は、大統領恩赦の嘆願が退けられると、手を変え品を変え、アプローチしてきた。

もし死刑が執行されるなら、2004年インドネシア・アチェ地方を壊滅したインド洋ツナミ災害にオーストラリアが拠出した約10億豪ドルの支援を後悔することになると、関係のないことをリンクさせて、一国の首相としての威厳をかなぐり捨てた。恥ずかしくないのだろうか。これに対してネシア政府は脅迫は外交用語ではないと当然の反応を示した。

オーストラリアのメディア・グループは人気リゾート地であるバリ島への旅行をボイコットするよう呼びかけている。



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06:外交とは魑魅魍魎の世界

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ブラジルとオランダは今年1月に自国民の死刑が執行されたあと、すでに大使を召還している。

ワタシは人種差別につながる発言は極力控えているが、それにしても外交官とは恥も外聞のないというか品性に欠ける人種である。外交辞令は朝飯前、二枚舌・三枚舌は当たり前、笑顔で右手を出して握手をしながら、左手はいつ相手の頬をひっぱたこうかと機を窺っている。

その魑魅魍魎の世界での話である。

駐ブラジルのインドネシア大使が選ばれたのは昨年10月であった。ご承知の通り、大使が決定するまでには接受国の同意が必要で、これを外交用語でアグレマンという。通常はこの同意を受けてから、大使を派遣し、信任状を接受国の元首に提出し、接受されてから外交活動をおこなう。

この外交儀礼の最後の最後の式典、すなわちブラジリアの大統領府に正式の礼服で信任状を手に赴いたところで、接受式をキャンセルされたのである。考えてもみてほしい。皇居の松竹梅のどの部屋かは知らないが、そこへ外交のトップ使節が正式な礼装で赴いた途端、ドタキャンである。それはないでしょうというところである。外交的な侮辱モノである。浅野内匠頭でなくとも刃傷沙汰ですよ。

オーストラリアの外務大臣も、刑が執行されれば、自国大使のインドネシアからの召還を考慮すると発表している。これも内政干渉であり外交的脅迫以外の何モノでもない。

そして国連のトップまで、ウィドド大統領に刑の執行を思いとどまるよう説得にまわっている。これでは、主権国家に、法を曲げて何とかしろといっているのと同じことで、これは別の見方をすると、国連が白人社会に牛耳られていることを意味する。その一方で国連は麻薬撲滅などと気の抜けたようなキャンペーンを張っている。世の中おかしいのではないだろうか。



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07:白人優先社会

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何故このようなことをいうかというと、オーストラリアという国は1960年代まで白豪主義を貫き、有色人種を排斥してきた。英語で言うとWhite Australian Policyである。いわゆる白人優先主義である。この実態を覗くと有色人種を人間として尊敬しないどころか、家畜同然の取り扱いである。この白人優先主義の思想が第二次世界大戦まで世界中で横行していた。それまでは人権どころではない、アフリカ人・アジア人・中南米・両大洋州などの諸島国家で、人を家畜並みの扱いをしてきた。その残滓が白人国家のオーストラリア人の心底にあるのではないだろうか。



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08:アヘン問題はその発端に戻らないと解決できない

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この辺りでやっと先週のアヘン問題に関連して、無理矢理ミャンマーへ話題を振るが、今世界中のアヘン問題はすべて大英帝国が清国を砲艦外交で脅したアヘン戦争に起因している。

理性ある昔の中国人であれば、そこのところを整理して英米に対峙するはずだが、いまは東洋や南方のちっぽけな小島や岩礁の線引き合戦に夢中である。

その肝心要なことを世界の若者たち、ひいては良い子たちに教えないで、すべてを糊塗しようとするから、英国は老獪だといっているのである。それに追随する国々が多すぎる。それを真に受けるアメリカさんも本当に単純だと思う。同じことを繰り返しているから、今のアメリカさんは、イスラム問題も泥沼化するだけだ。ベトナム戦争時代から何も進歩していない。イラク侵攻も同じだ。むしろ退化しているのではないか。これではIS国家問題は絶対に解決できない。人類は21世紀に入ってますます退化しているのではないだろうか。

どなたか協力してくれる方がいたら、チャールズ・ダーウィンに対抗して、「退化論」の論文にでも挑戦したい。種の起源の選択がネガティブな方向へ向かうという画期的な論文である。



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09:支離滅裂な結論

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ヤンゴンはもう真夏である。停電が頻繁だ。この原稿を書きながら、イライラすることもあって、話が支離滅裂になってしまった。ゴメンナサイ。

今回はメルマガの読者から、ある疑問を呈されたので、それに対するワタシの考えを支離滅裂に述べてみました。また、チャーチルが大日本帝国を太平洋戦争に引き入れた陰謀についても別途コメントをいただきましたが、機会があれば、それに言及したいと思います。

ひとつだけ申し開きを:

東西南北研究所にはアメリカ人・イギリス人・オーストラリア人など、かなりの外国人が友人として訪ねてくれます。先日はスウェーデン人が話題のウクライナ人を連れて訪ねてくれました。このメルマガで、非難しているのはあくまでも彼らの国家・政府であって、その国の善良な市民ではない。それも千差万別あって、会話を楽しませてくれる。そのところを誤解なきようお願いします。

更なる停電が危惧されるので、本日はこの辺で。もしコメントをお寄せいただければ、今後ともにまじめに対応させていただきます。





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