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<ミャンマーで今、何が?> Vol.115
2014.10.08
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■カカボラジ続々報
・01:カカボラジでの捜索活動を断念
・02:ナンマ・ジャンセンの甥も遭難機に搭乗
・03:先輩からのコメント
・04:1996年尾崎さんのケース
・05:山と渓谷社発行の「幻の山、カカボラジ」(尾崎隆)
・06:ウ・テイザーへの伝言
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携帯電話のWiFi接続不調でメール発受信に苦労している。
10月6日(月)サムソンのサービスセンターに出かけたが閉店していた。イスラム教のイードデイ(盛大な祝宴)に配慮しての休日(官報休日)のようである。そして弊メルマガ発行日の8日(水)は満月のダディンジュ(4月の水祭りと対照的に6ヵ月後に挙行される“火祭り”)でこれまた盛大な休日となる。
その狭間の7日(火)のみで、メルマガ今週号は仕上げねばならない。
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01:カカボラジでの捜索活動を断念
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登頂に成功した二名のミャンマー人登山家の行方不明捜索活動に多大な援助をしてきたHtoo基金は、連日の悪天候に阻まれ捜索を断念し、悪天候が回復する次の季節(通常3月)に捜索を再開、と正式に発表した。
しかし、中国のブルースカイ救助隊はカカボラジ・ベースキャンプのHtoo基金からの支援を受け、中国側から捜索活動を継続中とのことである。
故尾崎隆と初登頂に成功したナンマ・ジャンセン(ネパール族のミャンマー市民)も5,486mを越えた辺りで二人の登山家を捜索したが、山頂付近は深い雪に覆われ、雪崩の危険もあるとのことでベースキャンプに戻ってきた。なお別動隊は二人のリュックサックを4,900−5,200m付近で発見し、地元当局に手渡した。
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02:ナンマ・ジャンセンの甥も遭難機に搭乗
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9月27日深い霧の中で行方を絶った、Hoo基金がタイの民間会社からチャーターしたヘリコプターには、タイ人とミャンマー人のパイロット、そしてナンマ・ジャンセンの甥、合計3名が搭乗していた。そしてプタオ飛行場を午後2時20分に出発し、20分後に連絡を絶った。
同基金の所有する2機、およびミャンマー軍の1機、合計3機のヘリコプターが消えたヘリコプターの飛行計画に沿って捜索中。そして新華社電によれば、中国は無人飛行機を二人およびヘリコプターの捜索に従事させているとのことである。
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03:先輩からのコメント
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冬山を含めた登山の大ベテランである先輩からは「この山域は湿った雪の多雪地帯です、二人は夕方の登頂で帰路ルートを見誤り事故につながったのでしょうか、尾崎隆さんも苦労していたようです」とのコメントを頂いた。今回の午後5時登頂成功という、長い帰路を考えると余裕のない時間のような気がする。本来早い時間での登頂を目指したのであろうが、尾崎さんですら、登頂時間は午後3時12分である。最終キャンプから頂上までの行程がいかに時間を消耗する難しいカカボラジであるのかということが良く分かる。
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04:1996年尾崎さんのケース
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登頂成功の運命の日、尾崎隆とナンマ・ジャンセンは朝6時半に最終キャンプを出発した。登頂日和のいい天気というのに、最初から胸まで潜る深雪のラッセルだ。固定ロープが深い雪に埋まり、ピッケルで掘り起こす作業に時間を取られる。雪に覆われたピークまで高度差にして100mしかない。だのに、4時間もかかってしまった。ピークに立ったころには、すっかり視界が閉ざされ、時折吹雪いた。天気は相変わらず悪く、視界がきかない。それでもたまにチベットの山々が望め、真下にベースキャンプが見え隠れする。(注:このピークまでは昨年到達し、固定ロープを敷設していた)
ここから先、カカボラジの頂上までは未知の世界だ。岸壁はそそり立ち、ヨーロッパ・アルプスのドリューのように威圧する。
アクロバットのように一瞬空中に飛び、岸壁にしがみついて登る。途方もなく難しい。慎重に、慎重に、尾崎隆の記録は続く。
尾崎隆は、登山家として最高の技術だけではなく、装備にも万全を尽くした。カカボラジの氷河には厄介なクレバスがある。頂上に登った後の帰りをどのように安全に確保するかというのが、当面の緊急課題である。解決策は極めて単純明快だ。それは“梯子作戦”で、この登山隊のトップ・シークレットである。だが、これは理論上のこと。
重大な問題がひとつ残っている。どうやって長い梯子を担ぎ上げるかだ。クレバスだらけの氷河までは垂直の岸壁を二日もかけて登らねばならない。長い梯子を隊員が担いで、あの岸壁は登れない。不可能だ。
尾崎の凄さは大胆さだけでなく、緻密な計算にもある。出来合いのアルミ製梯子を買ってきて、1メートルごとに切断。それを現地で組み立てることにした。そして一週間かけて氷河突破用の特製梯子を三本作成した。全長はぞれぞれ4m、最長8m近くまで伸ばすことが出来る。材料費10万円の秘密兵器である。そして8mの梯子の両端に椅子を置き、20kgの消火器を両手に持って(注:合計40kg)、その上を歩いて往復してその安全を確認した。(注:一部勝手に尾崎さんの記述を短縮編集)
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05:山と渓谷社発行の「幻の山、カカボラジ」(尾崎隆)
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尾崎隆の勇気は1995年の初登頂を間近かまで迫りながら撤退していることにある。それからの再挑戦に臨む努力がこれまたすごい。そして翌年の1996年9月15日に世界の登山史に残る偉業をナンマ・ジャンセンと達成した。そしてポーターや、麓にある数々の村人に対する配慮など、英語では簡単にインテグレイドとかシステムなどというが、やはり日本語で“総合的な組織”の勝利といいたい。
是非とも、山と渓谷社発行の「幻の山、カカボラジ」(尾崎隆)を読んでいただきたい。そして彼の家族を含めて掲載された写真が実に美しい。この写真をパラパラめくるだけでも、心を洗われるような気にさせる見事な写真である。
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06:ウ・テイザーへの伝言
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実は、もう一人この本をお勧めしたい人物がいる。Htoo基金の総帥であるウ・テイザーである。カカボラジ初登頂を目指すフランク・シャートンとのことも、もうひとつのライバルである一橋大学山岳会のことも正直に書いてある。
当然ながら、尾崎には先を越されたくない。自分がカカボラジ登頂の初征服者としての名前を歴史に刻みたいとの名誉欲はあった。だが、それは浮ついた名誉欲ではなく、最新の配慮をほどこした準備に合ったといってよいだろう。
ウ・テイザーのグループは捜索活動中に、ヘリコプター失踪という、決して起こしてはならない第二次遭難を引起してしまった。そして今、捜索活動には衛星通信の設備が不足していたとのコメントも流れてくる。だが、北極・南極の探検にも匹敵するような極寒のカカボラジ登山で、何か基本的な心構えが欠けているような気がする。それは現代的最新鋭の装備ではない。尾崎は一番最後の章を“慎重に、慎重に。登って、登って”と書いている。尾崎の判断には、大企業のトップに要求される、それに似たような配慮と毅然とした決断があるような気がする。それを「幻の山、カカボラジ」から読み取ってほしい。これは開発中のカカボラジ自然公園に対する配慮だけでなく、そして今回の緊急を要する救援活動という危機管理だけでなく、将来あるは現在進行中のウ・テイザーのありとあらゆる企業活動、そしてフィランソロフィー活動に影響する根幹の問題であるからだ。
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■■臨時速報■■
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昨火曜日の午後4時、プタオ地区ナグモン町区ランサ村でパイロット二名は軽傷を負っているもの、三名とも無事なことが確認された。本日火祭り朝一番の朗報である
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