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<ミャンマーで今、何が?> Vol.493
2022.05.09
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■英語と日本語、そしてバカ息子とバカ娘 その3

 ・01: 大物2人、夢の競演

 ・02: あと1ヶ月続く熱帯夜

 ・03: ゲリラ商法がビジネスの原点

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01: 大物2人、夢の競演

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本日は英語の勉強

と見せかけて、最後の猛暑月、汗びっしょりの熱帯夜、ヤンゴンのゲリラ商法、そしてお上による無差別捕物帳など無法地帯化するヤンゴンの実情をお届けしたい。

アンチ・コラプション(汚職)取締り法が前のテインセイン政権末期に制定された。

まだ成立すらしていないスーチー政権をターゲットとし、それを壊滅させる陰謀とも取れる。
だがその推理は、テインセインが懇願したスーチーの国政参加と矛盾し、ましてやタンシュエ&スーチーの極秘会談の意味がなくなり、論理性に欠ける。

更に言及すれば、今回2021年2月2日のクーデター蜂起をタンシュエから2000年にお墨付きを貰っていたとする総司令官の説明は口からでまかせで全く合理性に欠ける。

小男は理路整然とした説明が出来ないという重大な欠陥を暴露してしまった。

その顕著な例がインドネシアで開催されたアセアン首脳会議であった。

独り善がりの空虚な屁理屈が披露され、アセアンの他の首脳が「オマエさん本気かい!」と全員凍り付いた動画を覚えておいでであろう。

国軍内部で訓示を受ける士官・兵隊も困惑した。その内幕を暴露したのが、イラワジ通信社の“情報源”による例の記事であった。

小男の病状は悪化の一途をたどり、内外の記者会見では、忖度する記者しか質問を許さず、民主化とは対極のファッシズムの世界となった。

情けないことに、このような狂気に擦り寄る海外の投機家、政治家、外郭団体も出てきた。

悪ふざけもいい加減にしてほい。
“ヒューマニタリアン・アシスタンス・ツー・ミャンマー”と言って、その大元凶の極悪人に相談を持ち掛けている。世界の一流紙から火事場泥棒のように非難轟々である。
当然である。

一方では、世界市場で叩かれる時代となった。ミャンマー国軍との協同事業は不利と判断し、合弁投資事業から撤退する国際企業も出始めた。

ミャンマー側もしたたかだ、そう簡単には合弁解消に合意しない。
結婚より離婚に手間ひま掛る。
手切れ金が嵩むのは世の習いである。

話を戻すと、クーデター蜂起後、汚職取締官の上から下まで全員が交代させられ、総司令官の命令を忠実に実行する軍人が後釜に配属させられた。

クーデターはタンシュエの意向を完全に無視するのみならず、タンシュエが孫を通じてSNSで発表したスーチーとの約束事を踏みにじるものであった。
別の言葉で言えば、タンシュエの面子を潰す行為であった。

それが唯一可能と思われるのはタンシュエの黒目が白濁した時で、頭脳が末期症状の混濁化した時とメルマガは判断した。

その論理の根拠は、タンシュエ自身が先輩である前任の独裁者ネウィンを始末した手口がまったく同様の状態だったからである。
その二番煎じと断定した。
それが出来るのは唯一人の男しかいない。

タンシュエ一家は厳重な警護の下、完全に一人の男の監督下にあり、外部との接触は堅く禁じられている。

だがタンシュエのネイピード自宅に先月4月3日その一人の男がUSDP議長、その他将軍を引き連れて元上司であるタンシュエを訪ねたとイラワジ紙が衝撃の特ダネを流した。

元上司とは憲法があろうがあるまいが、隠退しようがしまいが、常に国権のトップに君臨してきたブルドッグ顔の怪物である。
言ってみれば、地獄の黙示録のカーツ大佐のような人物である。
ドイツ語読みのクルツ大佐とする副読本もある。

ここに登場する一人の男などカーツ大佐の黒目の前では小便をチビる小僧みたいな存在である。

だがその小僧が豹変と言うよりも、大きな見込違いをヤラカシタ。それが昨2021年2月2日のクーデター蜂起である。

原始的な手計算で何度もシミュレーションを繰り返してみた。
だが論理的なアルゴリズムではタンシュエの“黒目が白濁した”の一点に結論は戻ってきた。
アルゴリズムとは計算手順のことである。

頭脳が絶対に回復しない末期症状と判断したから、安堵したのだろう。
それでも心配で先遣隊を派遣して再確認させた。
医療的に抹殺に等しい何らかの処置を加えているかもしれない。
小男が恐れるのはゾンビのように黒目がランランと輝きを取り戻すことである。

その瞬間、あの肝っ玉が異常に小さい一人の男が、後先も考えずに行動に出たとメルマガは分析した。

それが証拠には、お気付きだと思うが、2021年2月2日以降の小男の言動には異常さが目立つ。狂気の言動である。

地獄の黙示録の下敷きとなった、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』その最後の言葉“Horror=恐怖”を聞いた人間しか抱かない異常さがこの小男の顔面に取り憑いている。

2023年には公正で不正の入らない総選挙を実施するとあらゆる機会に訴えている。
国軍に抵抗する政党はスーチーを槍玉に全てテロリストグループとして弾圧し、法令で除外してしまった。
残る政党は国軍をバックアップする巨大政党USDPと国軍系の弱小政党のみである。

2023年の選挙結果を尊重し、多数を制覇した政党が、どこであろうと国権を担うことを保障すると公言している。

冗談じゃない。
スピードを重んじる今の時代、2023年11月まで、2年近くもこの不安定な非常事態を続けるなど、クーデター政権の無能さを証明する以外の何物でもない。

国民は5月の猛暑と無差別の停電にも参っているが、それよりも国家経済を世界最貧国に貶めたネウィンの悪名高きビルマ式社会主義に匹敵する、否それ以上の無能な経済政策を取り続けるクーデター政権への怒りは爆発寸前のように見える。

自称公正とかいう総選挙を二・三ヶ月後にでもさっさと実施して、喉から手が出るほどなりたかったという大統領職に就任したらどうだ。

どうせ非公開で、国民の目を避けコソコソやる極秘裁判だ。スーチー国家相談役やウィンミエン大統領に200年位、否500年でも構わない、の刑期を負わすぐらい、法律をちょろまかせば簡単に出来るはずだ。何をグズグズしているのだ。

最近ヤンゴン国際空港の再開に伴い、海外からの特使が総司令官と直接面談しているようだ。

多忙な総司令官と、意外に簡単にアポが取れる親しい仲ならば、是非ともお願いしたいことがある。

アセアン議長国であろうが、国連事務総長であろうが、スーチーと面会できたところで、次の進展は何一つ期待できない。ロシアのプーチンで分かる通り、スーチーとの面会がかなった所で、根本問題は何一つ解決できない。

そうであればな総司令官に直接提案してほしいことがある。

それは国軍の干渉が一切入らぬ場所で、タンシュエとスーチー2人だけの直接極秘会談を再度実現させて欲しいという希望である。

前回に倣って、タンシュエの信頼する孫だけが同席するという条件でどうだろう。憲法上も何ら権限を持たぬ青年だが、あれから一回りも大きく成長しているかもしれない。ひょっとしてタンシュエの、あるいはスーチーのスポークスマン役を果たしてくれるかもしれない。

タンシュエの健康状態が許すのであれば、この申し出に小僧っ子のバカ息子がYes/No言えた義理ではない筈だ。それだけの恩義があるのだから。

この申し出の瞬間のバカ息子の顔色の変化をじっくりと楽しんで貰いたい。

そしてダメ押しは、タンシュエ&スーチー極秘会談の前か後に2人だけの、あるいは孫を含めたビデオ証拠を、後刻公開するようお願いしてほしい。

この申し出に堪えられるタマかどうかを試してみたいものだ。



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・02: あと1ヶ月続く熱帯夜

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アマゾネスのモットーは“スマホ is mightier than the military”である。この手法で論理的に詰将棋を終わらせたい。
目には目を、歯には歯の、若者たちとは一線を画し、最新近代兵器のスマホで勝負してみたい。

町奉行の旦那方!!
ハリウッド映画を真似して“キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン”と挑戦状を叩きつけることから始めよう。
トム・ハンクスとデカプリオの共演作品である。
“オマエさんに出来るなら、捕まえてみな!”と和訳しておこう。

まず最初にヤンゴンの典型的なアパート室内を紹介したい。

設置されているエアコン横には必ずSAFEGURDが付いている。
深夜の停電時には真っ暗で何も見えない。

だが電気が回復した瞬間、このセーフガードが3段階の色彩でボルテージを教えてくれる。電流は15アンペアとなっている。

赤=240V以上の過剰電流
緑=中間の安全運転領域
橙=175V以下の過少電流

部屋の電気を全て消灯していても、この3色のどれかが、深夜にクッキリと表示される。停電が復旧した瞬間である。

その瞬間、アマゾネスは歓喜の声をあげる。
寝汗をかいた寝苦しい真夜中、全員がホッとする。そして辺り一面が騒々しくなる。

最初は必ず赤で次に橙、安定する緑になる迄10分ほど掛る。その待ち時間がもどかしい。

アマゾネスの解説は明解だ。
水祭り連休は工場・会社事務所が閉鎖され電力が大量消費されなかった。その余剰電力が一般家庭に流れ込み、連休中は結果的に停電が緩和された。
と言うよりも過剰電流となり赤色信号ばかりが目立った。

某コメントでは「国軍は水祭り連休中、電気の供給を配慮した」とあったが、それは間違い。配慮するような連中ではない。
アマゾネスは冷静に情況を把握している。

連休後、下街事務所の電気切替時間を午前午後に拘らず、1時、5時、9時の4時間シフトと見破ったのも彼女たちである。4時間シフトは船乗りの鉄則である。

電気の停電・回復時間を今では5分単位で言い当てる遊びにアマゾネスは夢中だ。読心術で国軍の停電作戦を見透かしている。まるでKGBのような老獪さである。

水祭りは先月だったが、それ以上の猛暑があと一ヶ月続く。
外気温は38−40℃、室内でも30℃を超えている。熱帯夜の4時間は苦行である。シャワーを浴びても汗が次々に吹き出してくる。

プラスチックの団扇で扇ぐが、スナップが効かず、余計熱量を取られて、汗だくとなる。

あと3時間、2時間、1時間15分・・と甲斐の国・恵林寺の快川和尚を思い出し「心頭滅却すれば火もまた涼し」と唱えたい。
だが団扇を扇ぐ手に力が入る。暗闇の中で更に汗だくとなる。

5月のスーパー・ホッテストを知らずに、地球最後の経済フロンティアもあったものではない。

先進国の労働時間、午前9時−午後5時をトロピカルに持ち込み、強制するのは軍事独裁以上の悪政である。

5月だけは、ミャンマー独自の早朝サマータイムを独創し、事務所・工場は全て昼飯の12時で退社すべきだ。

失われた午後の労働時間は10月11月12月01月のフェア・シーズンの早朝時間に振当てれば、能率も上がり簡単に調整できる。

事務所・工場が5月に費す自前の発電機の燃料費は時節柄、馬鹿にならない金額だ。
それにも増して従業員の集中度はかなり落ち込む。
経営者なら、これらネガティブ要因をポジティブに転換すべきだ。
それにはサマータイムしかない。

総司令官に助け船を出してやろう。ミャンマー独自の5月、学校はすでに夏休みだ。
実業界、大人の世界だけ、どうして過酷なのだ。
午後の時間は非常事態でなく、シエスタ・タイムを宣言するのだ。
副産物として若年労働人口が急速に増加するかもしれない。
軍人訓令の精神論では乗り切れない時代だ。

これは冗談ではなく地球規模の大事業である。
灼熱のミャンマーで成功したら、北半球・南半球でのトロピカル熱帯ゾーンという広大な経済圏に“早朝サマータイム”を輸出し、この経済圏での盟主を目指すのだ。

総スカンをくっている“アセアン”などに固執するよりも、遥かに影響力が大だと思うが、総司令官およびその一派に検討する余裕、あるいは能力があるだろうか???

この経済圏では、高原地帯、乾燥地帯、海岸線、島嶼国家によって、多種多様なアグロ産物が地元土壌から自然に産出する。

料理・健康食品として欠かせないスパイス類。
スタバやネッスルに利益の大半を搾取されているコーヒー豆。

緑茶・烏龍茶・紅茶などのお茶類。医薬品・嗜好品両方に使える阿片。
食糧油の原材料も多種多様だ。

自動車タイヤの原料となるゴム・プランテーション。生ゴムの輸出をストップしたら、世界の自動車産業はお手上げだ。

ヤシ油・椰子酒・ヤシ砂糖・マーガリンの原料となるヤシの実。P&GやKAOが世界制覇できたのはタダ同然でヤシの実を入手したからだ。

水に沈む高密度の高級材木。
塩水とUV光線に曝されても反り変わらないチーク材。最初は帆船のデッキに使用された。

高級車のダッシュボードに使用されるマホガニー材。
バルーンにぶら下がる乗り物籠として使用される超軽量のラタン材。あるいはマダム・エマニュエルに愛された籐家具。直立はしないが世界最長の植物である。

ほとんどが天からの贈り物と言って良い。トロピカル・ゾーンで発見された農産物である。だが白人国家が無断で持ち帰り付加価値を付け、我が物顔で世界市場を席巻している。

自由闊達なアマゾネスとの授業が熱を帯びると、世界の食品業界・医薬品業界・化粧品業界・サプリメント業界が血眼で探す原材料がトロピカル・ゾーンに眠っていることが良く分かる。

これまでの軍事独裁政権は、その貴重な資源を最低価格で世界の巨大産業に叩き売り、付加価値の研究など全く頭になかった。
だが独裁政権トップを占める一握りの将軍の懐は潤った。
その結果が世界最貧国のレッテルである。
そのスタイルが染み付いた軍人社会に未来を託すのが、公正で正義なのか、総司令官と若者たちに問うてみたい。

その罪はアンチ・コラプション以上に大きいと思われる。その責任は総司令官およびその一派が全員で負うべきではないのか?



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・03: ゲリラ商法がビジネスの原点

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歩いて5分の路上にモヒンガー屋台がある。取り囲んだ背の低いママゴト椅子7脚が全て早朝から埋まっている。それだけではない。後ろに数人が順番待ちしている。現在朝の7時である。

オヤジは一言も英語を話さない。こちらもビルマ語はからっきし駄目である。だが意志は通じる。オヤジは下を向いたままひたすらに仕事をこなしていく。

一段落つくとオヤジがふと顔をあげる。その刹那を逃すと一生チャンスはやってこない。オヤジが指を一本立てる。首を横に振り、すかさずアマゾネスの人数分、指を立てる。この気合は宮本武蔵の五輪書に相通じるものがあり、私の英語学および言語学の原点ともなっている。

朝は早いが、土日祝日は休業で、朝の10時−11時には店仕舞いし帰宅する。先進国で高まる労働条件の不満に比べると、遥かに優雅な勤務体制のようだ。

最近黒髪の頂点を金髪に染めた若いオニイちゃんが手伝いに来てモヒンガー修行を始めた。
やせ細ったオヤジの息子と想像し、そろそろ代替わりのようだとアマゾネスに話をした。とんでもないと、たしなめられた。

ヤンゴン進出のタウン誌や海外企業の情報よりも彼女たちの話題は正鵠を得ている。

金髪オニイちゃんは息子ではなく使用人だそうだ。
このモヒンガー屋のオヤジはこの下街にアパートを三軒所有し、その家賃収入で充分以上の生活を楽しんでいるという。

アマゾネスの情報は具体的だ。
息子はケチな商売などやる必要はなく、家庭教師をつけている。奥方は肉体労働には不向きで、専業主婦とのこと。
やせ細ったオヤジの好みはでっぷり太った女性で、この専業主婦はゴールドの指輪・腕輪・首飾を幾重にも重ねて身に着けていると語ってくれた。

すべてはヤンゴンのゲリラ商法で貯め込んだ財産である。

貧農の出身だが、10数年ほど前に都会に出てきて、元手も特別なノウハウも、そしてライセンスも必要としないモヒンガー屋を始めた。

YCDCや警察の一斉検挙に、商売道具を抱え逃げ惑うこともある。
だが事が収まれば又元の場所に戻ってきて商売を続ける。
賭け事もしなければ酒もやらない。ただ地道にこの堅い商売一筋でやってきたという。

だが故郷に帰れば、ヤンゴンで成功したリッチマンとして名が通っているそうだ。地元から連れてきた金髪オニイちゃんを自分のアパートに住み込ませゲリラ商法の極意をゼロから教えている。

取り囲む客がまばらな午前10時過ぎのことだった。
オヤジは3メートルほど離れた所に置かれた長椅子に座り、一人ゆったりとタバコをくゆらせていた。だがその目は愛情に満ちた眼差しで新弟子の手付きに注がれている。その姿は大店の大番頭そっくりの貫禄であった。

もうひとりのアマゾネスから、そのモヒンガー屋から数軒先に、ラカイン州の名物料理をカートで移動する路上店舗を覚えていないかと謎を掛けられた。

辛めのスパイスを利かした焼そば、焼メシ、それにグリーンチリの入ったビーフンサラダが人気で一品せいぜい500−600チャットの低価格がポイントのようだ。職場の仲間にまとめ買いが一般的で、売上単価は5000チャットから1万チャットにもなるという。
すべて持ち帰りの店頭販売である。こちらも頭のてっぺんを金髪に染めたオニイちゃん2人が手際良くその場で作ってくれる。
薄い透明のプラスチック袋に詰め、さらに透明のプラスチック箱に入れるので、モヒンガー屋のような皿洗いが省ける。

先進国ではプラスチック絶対反対の大合唱だが、これほど清潔な食品容器はない。先進国が喰い荒らした地球上のツケを、後進国に持ち込まれても当惑する。温暖化の非は誰にあるのか原点を追及したい。フィリピンのスモーキー・マウンテンなどすり替えのスケープゴートである。

話を戻すと、このラカイン州フードが下街の要所要所でゲリラ商売を行っているそうだ。すべて金髪のオニイちゃん2人で賄っている。

アマゾネスと私の立場は完全に逆転した。それからどうなったと、教えを請うて聞きまくっている。

ゲリラ商売の後ろにはラカイン州のオヤジが控えているそうだ。手押しカートやプラスチック等の備品、それに安っぽい食材はすべてオヤジが用意する。手際良くクックするノウハウもこのオヤジが教える。そして1日の売上の何十%かを、オヤジが毎晩回収しているそうだ。

このオヤジもヤンゴンの一等地・下街にアパートを何軒か所有し、ラカイン州から連れてきた若者とその内の1軒に同居して、朝昼晩三食の面倒はもちろん、金髪の手入れ費用、細身のズボンに黒いシャツ、お揃いのエプロン、生活のすべてがこのオヤジに掛かっているそうだ。

ヤンゴンでは無名のオヤジだが、国元へ帰ると、ジャック・マーやイーロン・マスクに譬えてもよさそうな人物となる。
金髪のオニイちゃん全員が、将来はこのオヤジのようになりたいと彼に夢を託しているそうだ。


新潟の友人から郷土史の分厚い本を読まして貰ったことがある。

越後の国では長い冬の間、深い雪に閉ざされる。仕事を求めて日本全国へ出掛けていった職人や商人たちがいた。

そこにはミャンマーの国軍では考えもつかない叡智の歴史物語がいっぱい詰まっている。

欧米の白人文化に略奪されてきたインドやビルマの悲しい過去を覆す可能性を秘めた東洋の叡智である。

日本全国へ散らばった越後の職人や商人は、各地が抱える問題点を国元へ持ち帰り、改善した試作品を翌年各地へ届けた。ミャンマー人の大好きなソリューションである。
それが評判を呼び、越後の職人や商人のテクノロジーやノウハウは国元に蓄積されていった。
寒冷地で農作物も限定された地方国家がテクノ・ビジネス・情報国家に大変革していく第一歩であった。

友人はこれらの職人や商人こそゲリラ商売の元祖と含蓄のある言葉を吐く。

そこにはミャンマー人に欠けている辛抱強さがあり、情報収集能力があり、創意工夫する思考があり、顧客を開拓する道筋があり、信頼を勝ち取る叡智があり・・と数えていったら際限がない。

だがこれらを実践出来れば、グローバルな今の時代でも通用する基本の基本が語られている。
それを越後の職人や商人は辛抱強くやってきた。
誰も彼もがAIに飛び付くような、そんな軽率な発想ではない。

ミャンマーでは公正を守るためと称して政府機関は入札制度を採用している。最高額/最低額を確認し、自治体は利益を追求しているようだが、内実は汚職の発生源でもある。
それを軍事政権下で半世紀以上繰り返している。改善・改革の発想が欠如しているからである。

イラワジ紙がすっぱ抜いたように、今の国軍内部は、そして総司令官は、八方塞がりで打つ手がない。

そこで2年近くも先の2023年末まで時間稼ぎをしている。
時間を掛ければ解決出来る問題ではない。
観念することだ。
軽率な悪あがきは、事態を益々悪化させるだけだ。
熱帯夜と停電が続く5月は、これ以上勘弁してほしい。

以上

東西南北研究所






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