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<ミャンマーで今、何が?> Vol.473
2021.12.08
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■今日もかくてありなん、明日もかくてありなん
・01: 複雑な下街情報
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01: 複雑な下街情報
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本日6日の軍事法廷における非公開裁判でスーチーの収監は4年と宣告された。これは刑事訴求された一部の判決のみでまったく意味をなさない。すべての罪状を積み重ねると100年前後の収監が予想されている。独裁者ネウィンの男系家族廃絶の刑期も100年前後だった。決断力のないMAHには前例をマネする能力しかない。クーデターで大統領職を剥奪されたウィンミエンもスーチー同様に4年の収監が宣告された。
同日午後にはMAHのお情けで両名の収監は4年から2年に半減された。突然の朝令暮改だが驚くに値しない。チープなこのクーデター政権の常套手段である。MAHのお慈悲で刑の執行を半減してやったと演じるのは茶番劇で物笑いの種だ。
一国の法律が最高司令官の一存で朝令暮改される。クーデター政権には法の支配が存在せず、アウトローの世界であることを裏付ける明白な例証である。
問題は些細なコロナ規制違反、笑ってしまうウォーキートーキーの不法所持、大げさな国家転覆罪などあらゆる言いがかりを加算してスーチーとウィンミエンに何年の実刑が科されるのか、100年あるいは1000年? それだけがポイントとなる。これによって最高司令官の頭脳の中身を推し量ることが出来る。今後も刑事訴追を小出しにして軍事法廷が秘密裏に開催され、その都度MAHが刑期半減というお慈悲の茶番劇が続くことだろう。
今年76歳のスーチーがあと100年=176歳まで長寿を全うするだろうか。国軍側の腹積もりは2年後の総選挙をスーチーとウィンミエン抜きで決行することにある。両名の所属する政党NLDは国家転覆のテロ組織と断定されて排除された。選挙後に仮に釈放されても両名にはMP(国会議員)資格はなく、二人は権力を持たぬただの一般市民となる。この汚い手口は前々回の総選挙で実施され、そしてテインセイン政権が誕生した。このテインセイン選出の選挙こそ国軍が総力を挙げて仕組んだ巧妙な不正選挙であった。その不正選挙の実績を逆手にすべてスーチーに押し付けたのが2020年の総選挙であった。当時このメルマガはテインセインを民主化の旗手のように誉めそやしたが、今歴史を振り返ると自分の不明を恥じるばかりである。テインセインもMAHも単主絵の子飼いの悪玉である。
こういう状況下でアセアンの一角カンボジア・フンセン首相が来年1月にネイピード入りすることが報道された。カンボジアはシアヌーク国王以来伝統的に中国共産党の経済的庇護下にあり、他のアセアン諸国とは異なり、中共の手先と見るべきである。国際的に孤立化を深めるミャンマー国軍にとって、数少ない国際的軍人仲間として、赤絨毯の栄誉礼などでミャンマーのいじけた国際性を演出してくれることだろう。
同様に親密なアセアン・メンバーを紹介すると、軍事政権およびMAH個人は隣国タイの軍事政権トップとかなり緊密な関係にある。ミャンマー国軍がクーデターを起こす直前には必ずNo.2クラスの国軍幹部がバンコクを訪れ、国外逃亡を企てるミャンマー学生などが国境線を越え不安定な様相を醸しだす、彼らは射殺してもかまわない。だがいかなる状況下でも、国軍同士は協力し合うとの了解を取り付けてきた歴史的経緯がある。
蛇足となるが、現在のタイ政府もミャンマー同様にクーデター政権である。そして国民に敬愛された前国王亡き後、女狂いの二代目が国王に就き、タイ国内ではロイヤルファミリー問題を含めて民主化運動が活発化している。
ここまで書き進んだところで、下街は停電となった。12月7日午後0時から午後2時30分まで。日中の温度が最も高くなる時間帯に気力が削がれてしまった。本日中に完了発信できるか心配になってきた。
話をミャンマーに戻す。MAHは確実に追い込まれてきたようだ。外部からも国軍内部からも気狂いするほど追い込まれているように見受けられる。それが昨日のティンウー元将軍とキンニュン元首相の自宅訪問だ。両名共に自宅は首都ネイピードではなく、ヤンゴンにある。わざわざネイピードからヤンゴンを訪ねたところに異常さがある。
特に経済的破綻は目も当てられない状況である。国軍には集金マシーンとして巨大な二つのコングロマリットがあり、商工会議所も一皮向けば国軍の元幹部で占められている。これら大組織のトップには元国軍のコワモテが就任しており、海外投資家離れ、および海外投資の激減で甘い汁が吸えなくなった。国軍のかっての大先輩たちから不平不満がMAHに集中しているはずだ。
国内のミャンマー通貨の流通はクーデター後激減してしまった。そこで中央銀行に命じて手持ち米ドルを市場で売却してしのいでいる。これが米ドル高のMチャット安を引き起こし、結果的に中国やロシアから輸入するコロナワクチンの輸入価格や輸入外国商品の価格高騰に拍車をかけている。
MAHが蛇蝎のごとくに嫌うスーチーの民主化政策を純粋に経済面から見てみたい。クーデターが引き起こしたミャンマー経済への波及的効果はいかほどだったかをMAHに問うた外交官はいなかったのだろうか? もちろんCOVID-19への転嫁・言い逃れはナシとしての計算である。卑しくもライフルの打ち方しか知らぬ軍人であっても、将軍という肩章を見せびらかす以上はルーデンドルフのDer totale Krieg(国家総力戦)ぐらいは学習しているはずだ。COVID-19の言い訳は別にして、貴顕が引き起こしたクーデターの経済的効果はプラスと予見したのか、あるいはマイナスと判断したのか、閣下の胸の内を伺いたい、と正面切って問い詰めるサムライはいなかったのか?
参考までに今年のクーデター以降、中央銀行が売却した米ドル金額は以下のとおりである。
2021年2月6800万ドル、3月ゼロ、4月1200万ドル、5月2400万ドル、6月1200万ドル、7月3900万ドル、8月2800万ドル、9月6300万ドル、焼け石に水でこの売却はさらに深刻化する。
なお12月3日には1500万ドル売却したが、換算率は1ドル当たり1780チャットであった。
今の時代は世の中が乱れている。海外の投資家も隙あらば国軍トップに取り入り他国を出し抜きたいと虎視眈々と狙ってきた。だが国際監視の目が厳しい時代になってきた。ミャンマー市場で黒いウワサがたつと、グローバルな国際市場でそのブランドはボイコットされる恐れがある。一時はミャンマー市場を席巻したキリンも国軍ビジネスから足を洗うのに苦労するはずだ。世界が注視している。今後ミャンマーを取巻くビジネス環境はスーチーが基礎作りをしたクリーンさと透明さを求められるだろう。
2年後の総選挙が終われば、スーチーとウィンミエンは外交カードの切り札として使用される運命にある。MAHのみえみえの政治決着である。すなわちMAHは海外の圧力・要望に答えお慈悲で《恩赦》を発表する。二人には100年の刑が取り消され、無罪放免で釈放される。だがそうなってはすべてが手遅れである。
MAHとそれに追随する国軍トップ10名ぐらいは家族共々、政治的にそして社会的に抹殺する必要がある。それだけの悪事を働いてきたのだから。スマホは従よりも強し、若者はスマホを活用することを学ぶべきだ。
話しは変わるが、12月6日(月)の日刊英字紙GNLMが先日のティンウー元将軍とキンニュン元首相訪問を第1・2面で取り上げている。一つ訂正を加えると、MAHが訪問したのは5日(日)午前中となっている。ということは国軍の車両がデモ行進していたグループに突っ込み死傷者を出した時刻とダブル。
それぞれの写真が一葉添付されており、ティンウーはマスク姿で憎憎しげな表情で椅子に座り、MAHは隣の席からにやけた顔付きで大先輩の両手に手を差し伸べ、無理な笑顔を作っている。マスクは着けていない。
キンニュンとMAHはたったままで握手をした写真で、こちらはMAHがマスクを着け、キンニュンはマスクを着けていない。ともに笑顔は見えない。
二つの写真共にそれぞれのヤンゴンの自宅内で撮影されている。
文面からは肝心な事は伝わってこないが、国軍工場で製造した燕の巣と食料品を土産物として手交し、大先輩の健康状態似た異するご機嫌伺いと国軍病院でのヘルスケアはいつでも用意できること、そして国内の最近の政治状況およびネイピードで建設中の仏像の進捗状況について説明したとなっている。MAHは1人でなく大勢の部下を引き連れ、二人に対してはそれぞれ全員を紹介している。
この二人以外に、同日国軍車がデモ隊轢殺し事件を起こした正にその場所、同じ午前中という時間帯に、MAHはシュエゴンダインにあるSSC特別病院で治療を受けているSithu Bogale Tin Aungという人物がいる。この人物は今年99歳で、10台の若い年齢でBIA(ビルマ独立義勇軍)に参加し、その後多数の音楽作曲、映画・舞台監督などで有名となった芸術家である。だが写真から見て取れる様子は集中治療室に寝かされ管パイプを通じて呼吸する状態で、話が出来るとは思えない衰弱した状態である。国軍車の轢殺し事件を起こした同じシュエゴンダインに、会話も出来そうにもないこの人物をナゼ訪ねたのか、MAHの不可思議なパフォーマンスに逆にいろんな疑惑が沸いて来た。?????
以上が12月6日の日刊英字紙の情報である。
しかしヤンゴンでは生徒たちの家族が毎日毎日、まったく無計画で突然出現する兵士たちの銃弾を掻い潜り、何とか生き延びている。
停電さえなければYouTubeに張り付いて世界のニュースを眺めているが、極東の島国ではクリスマスのイルミネーションで街中が彩られ、食い物のニュースで一杯だ。クリスマスケーキが技を競い、お買い得のおせち料理に注文が殺到している。ヤンゴンから見ているとこれがかっては仏教国として栄え、詫び寂の禅、儒者が道を説いた歴史ある国とは想像もできない。
だがノンポリも間も無く朽ちていく身、いま必死にYouTubeを無闇矢鱈に検索している。
ネコの額ほどもないQガーデンに毎日腰を降ろし土いじりに挑戦している。私の師匠はこれもYouTubeである。
英語でPlanting,Cutting,Graft,Propagation,Organic soil,Compostなど思いついた単語をキーワードとすれば、中南米、米国サンディエゴ、ハワイ州、東南アジア一帯から地元の菜園・果樹園・農園づくりのノウハウを無限に教授してくれる。
ここで一つだけコツが必要だ。その番組を呼び出したら、設定を、そして次にSubtitle(字幕)を、それから字幕言語で〈英語〉を選択クリックする。
これで南米のオバチャンが語るスペイン語が英語の字幕で読めるから、英語の勉強にもなる。分からなければ英和の電子辞書でチェックする。字幕が早すぎて読み切れなければ停止ボタンをクリックすればよい。こうやって生徒たちと農耕民族の世界の知恵を無料で学習できる。
これに没頭すると日の出から、日没まで、時間があっという間に過ぎてしまう。最初は韓国製化粧品にしか興味なかった生徒たちが、自前のオーガニック食品に興味を抱き始める。そこでJunk Foodなどの英語も自然に覚え教室は俄然騒々しくなる。キミたちが美しくなるにも二つの方法がある。外面を韓国製美肌コスメで飾るスタイル、もう一つが自分で作ったオーガニックの野菜・ハーブ・フルーツ類で身体の内面を磨く方法だ。と古臭い話をノンポリが語り始める。だがYouTubeがキーワード一つで山盛りの番組を提供してくれる。話題が盛り上がると新鮮な野菜を使った料理番組に移っていく。先日も大量のバナナを差し入れしてもらった。
早速バナナ料理に挑戦だ。最も人気があり手軽そうだったのが「バナナ・フリッター」、だが私の料理教室はMAHのような物まねはしない。常に要点だけを把握して、あとはすべてアドリブである。手許にある小麦粉と鶏卵にブラウン・シュガーとシナモンのパウダーをゆっくり溶かす。当地では高価なオリーブオイルは自宅にない。安価な桟フラワーオイルで代用だ。シュガーとシナモンが決めてだった。キツネ色に揚った一口大の「バナナ・フリッター」は大成功だった。取り合いであっという間になくなった。
ミャンマーの若者に受けの良いテーストが見えてきた。老獪学を修行中のノンポリは若者たちとスナック店の展開をビジネス物語として語り始める。
正直言って朝・昼・晩定時の日本発のニュースはオモシロくもなんともない。ヤンゴンで覗くYouTubeの世界は大宇宙に匹敵する。笑ってしまうのが最初は遠慮がちだった生徒たちが、いまでは英語の単語でPollination(受粉)とかGraft(接木)など専門用語を多用するようになった。このまま続けば、生意気な欧米人にプロの英語で一泡吹かす人材が育ってきそうだ。MAHなどの小者に構っている暇はない。12月ともなればYouTubeの世界も欧米はクリスマス一色となる。砂漠で乾燥しきったベツレヘムの馬小屋で生まれたキリストの聖誕祭なのに、ナゼ雪に閉ざされた北欧からまっかなユニホームを纏った白ヒゲのサンタがやってくるのか、その繋がりがヤンゴンの若者には分からない。それこそがノンポリの思案のしどころである。こうしてノンポリの老獪さにも磨きがかかると言うよりも、どうして物語を構築していくか、非常に勉強させられる。人気のあるYouTuberはほぼ全員Story Tellerである。話が達者なのだ。
日没近くなると安物のマンダレーラムにStar Aniseと蜂蜜で味を誤魔化し、ノンポリのハッピーアワーが始まる。そしてYouTubeの曼荼羅の中に没頭していく。ミイラ取りがミイラになった瞬間だ。
今日はやけに時間が掛かってしまった。気がつくと今日が明日になっていた。
ただいまのヤンゴン時間12月8日(水)午前9時15分。若者は知らないが、思い起こせば新高山登れで真珠湾攻撃の日である。またまた本日調べることが出てきた。オミクロンにも負けす、宮沢賢治の作法で今日を生きたい。
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