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<ミャンマーで今、何が?> Vol.468
2021.10.02
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■スマホこそ強力な武器

 ・01: 時の流れに身を任せ♫

 ・02: アイバーメクティン≒IVM

 ・03: 住めば都のヤンゴンより

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01: 時の流れに身を任せ♫

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無駄に時を過している感がする。あっという間の9月だった。大騒乱に巻き込まれた2021年もあと3ヶ月しか残されていない。安心安全の日本とは異次元で、不安不満のミャンマーはこのまま現状が固定されていくのではと絶望感に覆われている。

9月は例年ニューヨークに本部のある国連で各国首脳が集まりUNGA(国連総会)が開催される。今年もそうだった。
正にその時期に首皮一枚の首相が米国ワシントンの首都に専用機で降り立った。だがNYにも国連にも立ち寄らず島国に帰国していった。
情け無いのが報道陣である。大手TV局も新聞社も米国にはかなりの数の特派員を配備しながら、国連総会には一言も触れず、一年で辞職に追い込まれた自国首相の自画自賛のコメント報道に終始した。

この9月の国連総会をウオッチすれば、世界各国は今どんな問題を抱えているのかという世界の潮流を観察できる。日本のマスコミは世界のジャーナリズムから何周も遅れていると思い知らされた。
それだけでは無い。マンハッタンのど真ん中で、長髪を後ろで束ねた弁護士の卵に、日本語で執拗にパパラッチしていた。米国で鍛えられたジャーナリストなら、Lowenstein Sandler事務所に直接乗込みCEOなどの責任者に話を聞く手はずを考える筈だ。高級レストランに入店する姿を望遠でこそこそ盗撮して取材終了とする。これだけで国内の報道番組が騒然となる。ヤンゴンに居候するノンポリは何かオカシイと思う。

ヤンゴンに居ても、NYの国連総会をスマホでウオッチできる。世界は分針秒歩だからだ。
ドイツ、フランス、トルコ、カタールのドーハに本部があるAl Jazeeraも、それぞれに母国語には強い誇りを持っている。だが英米語を意思疎通の単に道具と割り切り、それぞれに英語版のTV番組を創設し、世界の出来事を刻々と24時間のストリームラインで流している。それぞれに国家の威信を賭け、下さい世界を網羅する国際感覚を備えたスタッフを配備した国家プロジェクトである。しかもニュース報道には賛否両論を取り上げ、ナショナリズムに走らず中正を保つよう、細心の注意が払われている。
その先駆者は英国のBBCにあり、米国のCNNにある。
彼らの取材能力は綿密で、準備立ても万全で、世界の潮流をバランス良く報道している。

だから自民党総裁選が決着した瞬間の日本時間9月29日午後3時過ぎにCNNは、たった今入電として第一報を世界中に発信した。その後は朝昼夕と定時に発信される日本のメディアより遥かに速く、情報量も増えていく。

スマホ時代はメディアを恫喝する幹事長の凄味とか、完敗を認める環境大臣の本音をビデオのアップで捉え、7派閥の舞台裏の権力闘争にまで言及する。何事も隠蔽出来ないという事をスマホ時代が正直に物語っている。待機する評論家が島国のコップの中の嵐について懇切丁寧に解説してくれる。
恩義の貸し借りなど複雑な国内事情は外国人には分からないと高を括っているが、スマホ時代は海外に居たほうが傍目八目かもしれない。

日本ではNHKがBBCの立場にあり、海外向け英語番組も組まれている。だが、どう言う訳か、日本の伝統芸能とか、観光名所、食事処の紹介に追われ、『世界で今、何が?』を正確に報道していない。カブールのタリバン報道もそうだった。日本が世界の潮流から取り残され、島国に閉じ籠もり、それで満足して良いのだろうか?それが問われているような気がする。

思い出す事が山ほどある。このメルマガVol.1が発足したのは2012年7月の事である。その直前に2本の宣伝用見本メルマガを書いた。その書き出しが9月の国連総会だった。

参考までに、本文目次は二人のノーベル平和賞受賞者、オバマ大統領よりの電話、2014年アセアン・サミット、ヒラリーとスーチー、アウンサン将軍の5項目である。

どうしてアメリカの巨大都市NYに、米国の司法権・行政権が及ばない特例の敷地が与えられ、国連が設置されたのか?などの基礎知識をあの時、徹底的に調べた。
そして例年9月という月は、諸外国首脳が自国を離れNYという大都会で個別外交を極秘裡に繰り広げる特殊な月であるという舞台裏も学ぶことが出来た。

日進月歩はもう古い。今の時代は超音速ミサイルのスピードで世界は動いている。
個人個人が高速で大容量のPCを手にしている時代だ。ヤンゴンですら年寄が、そして子供がスマホを弄んでいる。

スマホは単に電話機でもゲーム機でもない。大百科事典でもあり、専門分野別に相談も出来る。超高速の検索機能も備わっている。未知の事物や動植物をカラー写真で、そしてビデオで覗く事ができる。個人図書館を手中に収めたようなものだ。
それだけでは無い。
七面倒臭い文献をコピーし、膨大なデータを保存も出来る。激動の瞬間をビデオに収め、仲間内での共有も、地球上に張り巡らされたwebで無数の受信者に拡散もできる。

スマホという非常に強力な武器を手にしながら、ミャンマーの若者たちはそのチャンスを活かせず、未だ“独裁軍事政権のクビキ”から抜け出せず、A Space Odysseyを彷徨っている。

MAHが最も恐れるのはスーチーでもコロナ変異株でもない。
それはSNSであり、スマホである。国軍の脳力では御すのは無理だろう。



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・02: アイバーメクティン≒IVM

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島国ではイベルメクチンと呼称しているが、国際的医学・薬学・ジャーナリズム界では通用しない。発音するならアイバーメクティンが常識で普及している。今後メルマガは字数3文字のの“IVM”に統一したい。これまでの暗号abcxyzは廃止する。

読者TTさんからの紹介でCOVID-19の特効薬“IVM”を初めて知った。その背景には複雑な事情がありFLCCCを参照とあった。
これは2020年4月に結成された医師および元ジャーナリストによる米国の小さな団体である“The Front Line COVID-19 Critical Care Alliance”の略称で“コロナ変異株重篤患者を支援する最前線の同志たち”と勝手に訳してみた。

FLCCCのwebページに行くと、差別なく米国のみならず地球上の実践医師と報道関係者に参加を呼びかけたパンデミックと闘うプロ集団である事が分かる。膨大な数の動画と図式が参照でき、世界共通語は“アイバーメクティン”である事も確認できる。

だが話の中味はかなり専門的で咀嚼するのにコツがいる。そこで日本語なら“イベルメクチン”、英語では“Ivermectin”で検索すれば、それぞれの言語で膨大な資料および動画を閲覧できる。

それらを要約すれば、“IVM”は寄生虫の駆除剤あるいは疥癬の治療薬として米国のCDC(*米国感染症予防センター)およびFDA(*米国食品医薬品局)の製造販売認可は受けており、安全性に関しては約40年の実績がエビデンスとなっている。

では何が複雑で問題なのかと言えば、1975年北里大学薬学部教授に就任した大村智の話から始めねばならない。

1979年に静岡県伊豆のゴルフ場隣接地の土中の微生物から、家畜の寄生虫駆除に劇的な効果を示す化合物エバーメクチンを発見した。
同教授の取り組みは当時アメリカの大手製薬会社メルク社と北里大学薬学部産学連携研究の仕組みを築き、大学研究への民間資金導入の先駆けとなった。
メルク社は1981年にこの薬品を化学変換して“IVM”を製造し動物薬として発売した。1988年にはヒトにも効果があると分かり、アフリカと中南米の寄生虫病オンコセルカ症を対象にメルク社と北里研究所が薬の無償提供を開始した。オンコセルカ症は寄生虫により失明する事もある病気だが、“IVM”服用で数千万人が感染を逃れた。その後の功績も含めて2015年同僚医学者と共にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
(*ブリタニカ国際大百科事典より抜粋)

ここで突然だが“FLCCC”の主唱者であるDr.Paul Merikへと物語は大きく展開していく。
Dr.MerikはSepsis(*敗血症)の治療法をCOVID-19の治療に転用できることを発見し、2020年4月にプレスリリースを行った。すなわちビタミンC、heparin(*血液の凝固を防ぐ物質)、hydroxycloroquine(*水酸基を含むクロロキンまたはマラリアの特効薬)などの使用が有効であると発表した。これが“IVM”に注目する切っ掛けとなった。2020年10月の事である。

2021年1月FLCCCは坑寄生虫薬である“IVM”をCOVID-19に使用する新発見をNIH(*米国国立衛生研究所)に提出した。だが当局は臨床試験も行わずに“IVM”をCOVID-19に使用する認可を下すにはデータ不足であると、即座に切り捨てた。

この話は地球全体を自社マーケットとして暗躍する現代の怪物である巨大医薬品メーカーの実態を浮き彫りにした物語でもある。

地球上には、有り難いことに難病が突然襲いかかる。特に特効薬の無いパンデミックの世界的流行は千載一遇の好機である。
ノーベル賞クラスの優秀な科学者・化学者を大勢抱えた巨大医薬品メーカーがアメリカ、イギリス、スイス、ドイツ、そして日本などで巨額資本を投下してしのぎを削っている。そして新薬(*先発医薬品)は特許さえ取得すれば莫大な利益が何十年間も保証される国家プロジェクトとなる。

その製造販売認可の国際基準を握っているのが、なんと言っても米国のNIH、CDC、FDAなどである。それに準ずるものが、英国とEUにもある。日本では厚労省がその許認可権を握っているが、実態はアメリカのNIH、CDC、FDAがOKを出せば、後はめくら判のお役所仕事が今回のコロナ騒動でより鮮明となってきた。

この医薬品業界は裾野が広く、先進国だけでなく、ミャンマー近隣の中国、インド、バングラ、パキスタン、中東など、そしてロシアまでもが先発医薬品の特許切れを待ち受け、同じ有効成分で独自のブランド名で、しかも廉価にコピー医薬品を競って製造販売している。すなわち発展途上国の一大産業となっている。

これが読者のTTさんから教えて貰った“IVM”物語で、業界では後発医薬品あるいはジェネリック医薬品と呼ばれている。
ヤンゴンの薬局で販売されている医薬品の大半はこの範疇に入る。

ここでFLCCCがナゼ苦戦しているかをもう一度整理していきたい。

“IVM”は約40年前に寄生虫駆除の経口薬として製造販売の認可を受け、爾来ヒトに対する大きな薬害事故も起こさず世界中で服用されてきた。これはこれで結構な事である。

だがFLCCCが申請した、現在世界を恐怖に陥れているCOVID-19の廉価な治療薬としての“IVM”の転用は、グローバルな巨大医薬品メーカーにとって、それこそ寄生虫のような発展途上国にビジネスの旨味を無手勝流で奪われる悪夢である。

想像してると良い。ファイザー社、モデルナ社、メルク社、デュポン社、ジョンソン&ジョンソン社などの巨大産業が政府に圧力を掛ける。要人に鼻薬を利かす。その秘めたパワーは半端でない。
A small organizationのFLCCCが世界のパンデミックを救うと正義を振りかざしたところで、相手にされない。
これが醜い現実世界で、ミャンマーの若者に説明するに最も苦労するところである。



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・03: 住めば都のヤンゴンより

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TTさんに教えて貰った“IVM”は奥行きが深い。これを自家薬籠中の物にできたらヤンゴン生活がさらに楽しめる。
先日も丸秘ルートでコロナ治療の妙薬を四人分確保出来ないかと問い合わせを受けた。現在見知らぬ薬局を当たっている最中だ。これは商売ではない。その内に寄進できれば僅かだがヤンゴン居候の恩返しができる。お上の締め付けが日増しに厳しくなっている。

昨日もヤンゴン地区の首席大臣だったピョウミンテンが軍事法廷に呼び出され、スーチーが非合法な金塊だか宝石を隠し持っていたという証言が流布していた。

吹けば飛ぶようなノンポリだけに、身辺に十手が迫るとは思わないが、用心に越したことはない。
小人閑居してスパイス料理とメニューにない地酒カクテルを楽しんでいる。私の特技は二度と同じメニューは作らない事である。

これはTTさんの専門分野になりそうだが、漢民族の始祖とされる中国古代伝説上の帝王“黄帝”が黄帝内経唱えた「未病を治す」という思想が私は大好きだ。
病気になる前に、その原因を取り除くという、現代人に欠けた高邁な思想だ。
結果しか見ないコロナの専門医、そして政治家に一服献上したい。

余計なことを言えば、自民党新総裁の党内人選は国内の評論家よりも、海外の見立てがより正確に分析しているようだ。

一本指でのタイプだが、本日の情報収集はすべてスマホが調査してくれた。若者たちの個人教授に感謝したい。日暮れて道遠しではあるが、一歩脚を前に出さねば、決して前進しない。

人生を豊かにするには音楽は欠かせない。時間にリッチな読者がいれば、下記のYouTubeを共有したい。
『Most Popular Song Each Month in the 60s』これは70s, 80s, 90s, 2000sと続く。

そして映像を楽しみたければ;
『The Evolution of Cinema (1875-2017)』をお勧めしたい。

東西南北研究所


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