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 <ミャンマーで今、何が?> Vol.461
 2021.08.09
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
 
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 ━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
 
 小バカが大馬鹿に!?!その25
 
 ・82: 道草は漱石の小説?
 
 ・83: ヤンゴンの今を語る
 
 ・84: abcxyzに話を戻そう
 
 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)
 
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 ・82: 道草は漱石の長編小説?
 
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 道草を食うのがノンポリの得意ワザである。
 
 ヤンゴンで出遭い、今は頻繁に情報を頂く、博多の中洲出身の御仁がいる。父上がインパール作戦に出征し、敗戦後も一年間帰国できず、ラングーンで捕虜生活を強いられた。帰国後は日本での経済繁栄を一瞥しながら、故郷の地で人生を全うされた。
 
 その父上は下士官どまりで、将校ではなかった。そして先の戦争および捕虜生活についてはほとんど語られる事がなかったそうだ。
 
 その話を聴き合点がいった。
 それから神田神保町でインパール関係の書籍を渉猟し始めた。
 
 その中の一つに相良俊輔著『菊と龍』 (光人社昭和47年)があったのを思い出した。本箱から引っ張り出し今再読し読み耽っている。
 
 インパール作戦を側面から援護するために、北ビルマから遠く中国の雲南省まで兵を進めた。それが北九州で編成された“菊”と“龍”の兄弟師団である。
 
 “菊”と“龍”は、日本陸軍の最精鋭と言われた強兵であった、と帯に書かれている。
 “宵の口さん”への返事は記憶違いではなかった。
 アマゾンなどでの一読をオススメします。
 
 私が読み耽ったのは、坂口睦の名前を本の中で探せないかと思いついた事と、2021年の今この瞬間と当時があまりにも掛け離れ、先の大戦が忘却の彼方の歴史話になってしまった事に改めてショックを感じたからである。
 
 ヤンゴンでも電波不調とはいえ、日本のみならず、世界中のニュースをほぼ一日遅れで閲覧出来る。
 
 天皇陛下がオリンピックの開会式に出席した外国の要人を皇居宮殿に招き、各国別に立ったまま距離を保ち接見されていた。
 音声はミュートされ、会話内容は傍受出来ぬよう配慮されていた。
 
 そこで“語学に堪能な陛下”と解説者の声が聴こえてきた。語学に異常なほど関心を抱く英語教師はその言葉に好奇心を抱いた。
 これについては章を改め触れてみたい。
 
 オリンピック、デパ地下、お酒提供の有無、弁当箱の盛付け工夫、コロナワクチンへの賛否などのニュース話にも追い付いていける。
 
 しかし火野葦平が苦しい逃避行の中で語った「真に戦争を否定し、平和を希求するならば、まずその戦いを正しい史観によって見つめなければならない。そうでなければ、今なお白骨と化したまま眠っている兵の霊は浮かばれない」、は実に重たい言葉である。
 
 私自身、太平洋戦争時代の両親、それから日露戦争の祖父母世代と、彼等が生きた時代の話を敢えて聞き出せなかった事を、天涯孤独の今、後悔している。
 
 日本人は忘れやすいと言い、言われてきた。右だろうが左だろうが全く構わない。賛否両論こそ、健全な民主主義だ。
 歴史を正しく教えられて来なかったと語ったのが、民主国家と信じこまされてきた米国のオリバー・ストーン監督である。これもメルマガに取り上げた事がある。
 
 ありのままに世代ごとに語り継ぐべきだ。それが歴史である、と今になって考えるようになった。
 それが成されずに今日の祖国が形成されてしまったような気がする。
 ビルマに眠る白骨街道と政治家が自慢する日本の繁栄とが結び付かない。広島の被爆式典を見て強くそう思った。
 
 最大の責めを負うのは、我々の両親世代で、我々だったと、今になって痛感している。それがノータリンのMAH世代を生み出した。
 
 師団長、連隊長など将校の名前は書籍の中で必ず記録されている。だが下っ端の下士官以下は特別の事件が発生しない限り、使い捨てとなり、無名の兵士として忘れ去られてしまう。
 
 古本屋では最下級の二等兵物語も何冊か購入した 。
 彼等には作戦目的も知らされず、インパールやコヒマがどこにあり、マンダレーとの位置関係も説明されず、後世の者が読むと全体像が掴み難い。
 相当数の地図も挿入されていた。だが失礼ながら、東西南北の約束事が守られず、各地図がばらばらの方向を向いている。
 
 しかし食材を求め調達に走る炊事班の必死。炊事の煙は敵に位置を覚られる。食事の仕度と敗走行軍は夜間が原則となった。
 気温の上がる昼間は木陰やジャングルで息を潜め仮眠する。ほとんどがマラリア・デング熱・アメーバ赤痢を患っている。医薬品も医療班もない。日中は爆撃機が大挙してやって来る。
 
 自然と渡河作戦は夜間決行となる。
 深夜に逆巻く急流での渡河作戦。
 痩せ細った半病人の体がロープにしがみつく。戦友が次々と暗い波間に消えて行く。
 
 インパール関係はかなり読み漁ったが、中洲の父上の名前は見出だせなかった。
 坂口睦の名前もこの本には登場しなかった。
 非情な言い方をすると、彼らも使い捨てだった。
 ヤンゴンから世相を眺めると、今の世にも我々自身の体内を通じて、この日本人のDNAは脈々と流れているような気がする。
 
 数の上からはその大多数を占める兵卒を日本軍はこの敗走街道で見捨てて行った。そしてそこには白骨の山が築かれていった。
 
 兵隊の位は定かではないが、落ち穂拾いのように遺骨を掘り起こし、懇ろに弔う事ができるのは、国家でも元将軍でもなく、使い捨ての一兵卒だけなのかも知れない。
 
 将軍や高級将校がトラックや軍用機を徴用して、北ビルマを後にタイまで南下して、さっさと日本へ逃げ帰ったことは、多くのビルマ戦記に書き遺されている。
 
 これが我が祖国の流儀で、そのDNAが我々の体内を通して次世代に引き継がれるかと思うと、いたたまれない気持ちになる。
 
 そこに思い至ると、他人事のようにMAHだけを非難して片付く問題ではなさそうだ。MAHのような馬鹿モノを産んだ責任の一端は我々自身にあるのではないだろうか?
 
 その系譜は鈴木敬司大佐→アウンサン将軍→ネウィン→単主絵→MAHと脈々と続いてきた。
 
 人道的な経済援助との大義名分だけで、国際社会に胸を張ってミャンマー支援を行っていると言えるのだろうか?
 
 イケナイ、イケナイ、また横丁に迷い込んだ。話を戻そう。
 
 あくまでも憶測だが、軍人の位では使い捨ての下士官が敗走街道で使い捨てにされた無数の白骨を弔う。
 身体が動くうちはと、ビルマを訪うて、涅槃像を造っては、鎮魂碑を建立する。
 
 陸軍士官学校で俊才と言われた数多くの佐官クラス、将軍の中で、敗戦後の人生に、そして日本が経済復興を成し遂げる過程で、このように巡礼という晩年の旅を歩んだ真の軍人はいただろうか?
 
 確か乃木将軍が詠んだ「一将功成りて万骨枯る」がその全てを物語っているような気がする。
 
 情報過多の日本では、これほどたっぷりの時間を勝手な妄想に費やす事は出来まい。今の時代ヤンゴンに留まれる自分は幸福ですらある。
 
 Stay-At-Homeの醍醐味はヤンゴンに限る。落語の酢豆腐と同じ感覚で味わっている。
 
 
 
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 ・83: ヤンゴンの今を語る
 
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 大メディアが伝えない、表の事件の深層に潜む小市民の今を報告したい。
 
 友人からは、三人娘との付合いはほどほどにと忠告を受けた。
 ウワサに振り回され、その日その日を精一杯生きるこの三人娘こそミャンマーの縮図そのものである。
 戒厳令下のミャンマーを有りのままに語ってくれるメルマガの広報担当官ではないかとすらノンポリは見ている。
 
 今朝は一仕事前にとモヒンガーを持参して、朝から屋根裏部屋でささやかな大饗宴が始まった。そこで飛び交った玉石混交の話題から拾ってみた。
 
 イ:叔母が臨月を迎え、逆児のため帝王切開が必要だ。ヤンゴン下街東部にある政府系イースタン病院(*旧ガンジー病院)を指示された手術予定の数日前に家族ぐるみで訪ねた。ミャンマー方式は鍋かま食器持参の泊まり込みである。
 軍隊が駐屯しており、臨月家族は問答無用で追い払われた。
 これが政府系病院の実情である。
 不服従運動の対立は深刻で、政府系病院では目の敵にされている。
 政府系への入院は無料だが、処方されたクスリ・注射液は患者が購入する規則だ。ベッドの配列や建物から野戦病院を彷彿させる。
 
 待ったなしの臨月家族は困ってしまった。私立病院は高額で下層民には手が出ない。親戚友人に頭を下げ金策に必死だ。
 
 ロ:突然の訃報が身の回りで急増している。それが中途半端な数ではない。一家の働き手だと翌日から途方に暮れる。その前に遺体処理と葬儀に涙を流す余裕も無い。
 
 結婚式に呼んでくれた40歳の壮年が3日前に亡くなった。葬式は済んだと言う。そんなに段取り良くと、一瞬思った。
 そうだ彼はヒンドゥー教徒だった。子供はいないが、寡婦が遺され、大きな悲劇がこれから始まる。
 
 宗教でいえば、戒厳令下の仏教が一番ヤッカイだ。他の宗教は原則土葬である。焼き場の問題はない。土地さえあれば何とかなる。
 
 コロナ犠牲者に加えて、国軍に虐殺された大量の遺体が次々に運び込まれる。順番待ちの成仏できぬ仏が腐敗し始めている。
 生身の人間を虐殺するのに手馴れた国軍は、死体処理も乱暴だ。
 焼却炉の中に遺体を数体まとめて放り込み、まるでゴミの焼却炉だ。
 人間の尊厳などどこにも無い。
 
 それでもMAH夫婦は仏教行事のパトロンを装い、表面的には神妙な態度を取り続ける。
 殺生を禁じる仏門が国民を虐殺するMAH夫婦をどうして相手にするのか、ノンポリにはどうしても理解できない。
 
 火葬場では無く地獄の業火に送り込むべきはこの夫婦である。続けて国軍No.2のソーウィン夫婦である。
 
 これ以上尊い人命を殺戮させてはイケナイ。即刻止めさせるべきだ。
 人倫を踏み外した行為で、人道に背く行為を無垢な千人に繰り返して来た。
 子々孫々の代まで償って貰おうではないか?
 だが生涯を掛けて償えるほど小さな罪ではない。
 輪回転生の苦しみを未来永劫繰り返して貰おう。
 
 妖しげな宗教家なら、他宗教への改宗を迫る絶好のチャンスかも知れない。火葬場で順番待ちする必要の無い土葬が売りですとチラシに刷れば良い。
 
 ハ:年老いた母親がコロナで亡くなった。数日前の事だ。厳重な感染予防線がはられ、遺体は救急車で運び出された。それをベランダで見送る年老いた夫が「女房を返せ!」と突然大声で叫び、そのまま心臓発作で旅立った。同居していた中年となる娘はアメリカ在の姉を頼って祖国を後にするとウワサされている。
 
 ニ:コロナで死者が出ると町内にタンクローリーがやって来る。消防ホースの様な噴霧器で消毒液を辺り一帯に撒き散らす。コロナを殺虫してくれると勘違いした子供達が水祭り気分で消毒液を浴びる。学校の教育でも家庭の躾でもこの勘違いは教えない。
 
 ホ:ある家族からコロナ患者あるいは死者が出ると、その家あるいはビルの前に“石灰”が撒かれる。
 ミャンマーではこの真っ白なパウダーを消毒用として多用する。
 この白い粉が撒かれていると時節柄コロナの犠牲者が出たビルと判断できる。
 
 困るのが犬の糞を拾わずに、そのまま石灰で被う風習だ。これだと石灰の下に何が隠れているか分からない。それを車輪やサンダルがムニュと踏みつぶして行く。これは教育分野でも保健衛生の担当だろう。
 
 ついでにミャンマーで経験する話だ。
 泊り掛けのドライブで深夜に並木道を走る事がある。反射板も無いのに樹木の下部がまっ白に光り、道なりのカーブを誘導してくれる。これは石灰による深夜の反射板である。
 
 
 
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 ・84: abcxyzに話を戻そう
 
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 高温多湿のヤンゴンで保管状態も信用おけない、バングラ製有効期限残り4ヶ月をやっと手に入れた。
 
 値段は10錠入りアルミシート包装が10,000チャットだった。ムスレム商人は抜かり無い。1錠1米ドル以下だから十分に利益は確保している。
 
 読者から全員正解の製品名を頂いた。ハズレは一人もいなかった。
 
 年齢60ウン歳の母親がコロナ陽性だという。一助になればと安易に考えた。abcxyzの説明書きは既に熟読してある。それだからこそ、はたと困ってしまった。
 
 年齢的に妊娠の恐れは無く、注意書きの奇形児は心配無い。問題は持病の心臓病だ。大丈夫かと質問された。医師資格のない人間が、太鼓判を押したら、この国でも刑務所行きは間違いない。
 
 かと言って、注意書きを逐一説明して理解してくれる家族でもない。アナタならどうします?
 
 しかもこの効能書きは、寄生虫や疥癬についての説明で、コロナに関しては何も書いて無い。
 
 実は私も心臓病患者である。かと言って、この母親と全く同病とは言えない。
 
 かなり無茶だったが、目の前で2錠をグラス一杯の水で飲み干し、先ずは安心してもらった。それからYouTubeの成功例をいくつか説明して鑑賞してもらった。
 
 私は医者じゃない。
 かと言ってクリニックの医者に相談したらややこしくなるだけだ。
 手に入れたこの薬品を2錠分けてあげた。
 同居する娘・孫と相談の上、自分達の責任で服用するしないを決めなさい、とクドイほど説明した。
 
 私の責任逃れを理解する程、知的訓練は受けていない。普通の田舎出の家族である。
 
 結果オーライで2日後から、熱も取れ、全く咳もしなくなった。これまでビルの階段を上り下りするのも嫌がっていたが、嬉々として朝市に出掛けるほど元気になった。素人判断でこの母親はコロナから完全に回復した。
 
 ノンポリ自身も2錠服用した。副作用も全く無く。飯も酒も毎日が愉しい。腐ったミルクも鼻でききわけられる。今のところ元気ぶっている。
 
 効果が本物なら、次は同居する43歳の娘と20歳の男孫にabcxyzを服用させたい。
 目下ジギルとハイドの心境で悩んでいる。
 実はこの二人ともコロナの症状と疑いがある。
 薬効が母親同様なら、手持ちの薬品が品切れになる前に分けてあげたい。
 そのような候補者は何人かいる。事前調査で探りを入れると、糖尿病とか高血圧とか、長いこと薬を服用してしているという。
 そこで素人の赤ひげ先生は困ってしまう。
 
 このように外地で異国の人とコミュニケートすることは非常に難しい。
 
 海外交流・外交の歴史を本から仕入れるが、その大半は誤解の上に成り立ってきた事が分かる。
 
 天皇陛下の接見の場でも面白い光景に気付いた。東洋と西洋の隔たりである。これについては別の機会に譲りたい。
 
 只今のヤンゴン時間8月9日午後3時40分。
 
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