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<ミャンマーで今、何が?> Vol.431
2021.04.28
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■“恩を仇で返す”は人間のクズ
・01: GNLM紙は3月1日以降コロナ統計数字を一切発表せず!
・02: 切り札をスパイマスターに頼るのか?
・03: ネイピードの御殿で異変が?
・04: スーチー単主絵の極秘会談
・05: 雑談
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:2021年03月02(火)午後8時発表(前回のまま)
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陽性感染者数合計:141,965名
新感染者数:49名
死者数合計:3,199名
退院者数合計:131,534名
現在検査中:名(*数字判明せず)
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
(GNLM紙は2月一杯は前日のコロナ数字を掲載していた。だが3月に入ってからはコロナの統計数字を一切発表せず。国民の健康無視どころか、国民の生命を大量虐殺しはじめた。自国民のジェノサイドを糾弾すべきである。ジェノサイドとは大量殺人のことである)
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・02:切り札をスパイマスターに頼るのか?
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MAHがミャンマーのスパイマスターに顧問役を依頼をし、キンニュンが受諾したとのウワサは、面白いシナリオで、ジョークならばミャンマー最高傑作のひとつとなるだろう。
停電、WiFi不通、ネット遮断と情報不足の中でミャンマーの歴史を振り返ってみた。
キンニュンは初代独裁者ネウィンから特別に眼をかけられた子飼いの部下だった。国軍の情報局とは別に独自のインテリジェンス情報局をつくり上げ、2003年8月軍政序列No.3のキンニュンは第一書記を解かれ、首相に就任した。
その直後にキンニュンは「民主主義への七つの道程」政策を公表した。この政策に従い2008年憲法が制定され、スーチーが解放され、NLDが政党として認められ、ミャンマー民主化への歴史はこの「民主主義への七つの道程」政策に従い進んでいる。
ここまでの壮大な設計図を描いたのは軍政(*当時はSPDC)トップの単主絵議長である。
国連も駐緬各国大使館も見抜いていないが、ソ連のスパイ学校で神髄を会得した単主絵の真の恐ろしさは、国軍幹部の連中でも実際は理解していない。
少数民族武装勢力やビルマ共産党軍との実戦経験もないまま、キンニュンはもっぱら情報畑を歩んだ。その結果キンニュンは軍高官の個人情報を手中に握っていた。キンニュンの存在は、軍事政権内部の各メンバーから恐れられていた。
その双方の心理を熟知していたのが単主絵議長である。キンニュンをまずはSPDC第一書記という重責から解任した。続いて多忙を極める首相職に就任させた。そして「民主主義への七つの道程」を発表させた。近隣アセアン諸国はキンニュンを民主的穏健派と看做し安堵した。
首相職は対外的には重要なポストである。だが軍政第一書記からの解任は、軍政内部の情報が徐々にキンニュンには届かない環境となっていった。それが単主絵の狙いで、水面下で入念に準備を進め、最終的には「汚職」を理由にキンニュンを失脚させた。
KGB仕込みに抜かりはない。その前にもうひとつ大きな仕事が残されていた。
2002年12月独裁者ネウィンが死去した。国営メディアでは報道されず、遺族による死亡広告で国民はその事実を知ることになる。天下を取り権勢を張った独裁者の寂しい最後であった。
ソ連邦では泣く子も黙るといわれたKGBである。その傘下のスパイ学校で爪を磨いたのが単主絵である。その残忍で明晰な頭脳を世界中のマスコミは見逃している。安易に国軍とひと括りにするが間違っている。ひと括りに独裁者と言うがそれも間違っている。
ミャンマーの歴史においてネウィンそして単主絵という二名が“独裁者”と呼ばれた。そして今チンピラのMAHが新規の独裁者としてプロモーションを始めた。だが度胸、頭脳、恐怖心を醸す雰囲気、そのキャパはすべて異なる。その中でも突出しているのが単主絵である。
それを見抜けぬ駐緬各国武官(*インテリジェンスが本業)は誤った情報を本国に伝達していた。ミャンマーに来れぬ師匠から4月7日付日経電子版を送付してもらった。今回のクーデターを顧みて樋口建史前駐緬大使がインタビューを受けている。
在任中20回近くミンアウンラインに会ったと語り、国軍にもMAH自身にも国を率いる資格が全くないと断定している。だがそれを見抜けなかった不明を恥じている、とこの元警視総監は語っている。同大使の分析は正しい。そして正直で、すがすがしい。
だがその他の各国駐緬大使経験者は、わずか4-5年ばかりの駐面経験を評論家気取りで話し、ビルマ・ミャンマーの本質を何ひとつ把握していない。国軍内の勢力図を説明するわけでもなく、国軍内の派閥分析を行うわけでもない。新派閥の顔ぶれも明らかにできない。
話をキンニュンに戻そう。
単主絵はビルマに独裁王国を創造したネウィンの瞳が白濁するのを大石内蔵助の心境でひたすら待った。ネウィンの最後の姿がビデオに盗撮されヤンゴン市中に出回ったのはセドナホテルでのネウィン90歳の誕生パーティだった。当時は元気一杯矍鑠(かくしゃく)としていた。
2年後に機が熟した。単主絵はキンニュンに命じて、ネウィンのみならず男系一族(娘婿+孫三名)の徹底的な処分を命じた。キンニュンにとっては自分を育て上げてくれた親分である。KGB仕込みの単主絵は非情にもキンニュンを試した。2002年12月男系一族は始末された。
その手柄を上げたキンニュンを「汚職」の名目で逮捕し、キンニュンがつくり上げたインテリジェンス情報局を完膚なきまで解体し、キンニュン王国の人脈をひとり残らず収監した。これこそスパイ学校KGBの神髄で、これによって単主絵の権力基盤は磐石のものとなった。
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・03:ネイピードの御殿で異変が?
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ミャンマーのTV報道は単主絵が壇上でスピーチしても音声はミュートされる。必ずや無声動画である。それ以上に単主絵は国民への顔出しを極度に嫌い、その身辺は常に秘密のベールに包まれている。これこそソ連のスパイ学校出身の神髄である。
その単主絵に下心ありと睨まれたのがキンニュンであり、元下院議長であったシュエマンである。この二人に比較したら、下っ端で小者の小者がテインセインであり、MAHであった。
ロイヤルバトル戦で最強のものから順に消されていくのは政財界でもよくある話しだ。
最悪のシナリオは無能力者が勝ち残ることだ。その悲劇が今年2月1日ミャンマーで発生して、そして今現在も続行している。即刻中止させねばならない。そのためには敵の心理状態を知らねばならない。原点は単主絵に抹殺されたキンニュンにお鉢が回ってきそうだ。
「もの言えば、唇寒(さむ)し、秋の風」は芭蕉が座右の銘とした「人の短を言う事なかれ、己が長を説く事なかれ」のあとに添えられた句である。
フェークニュースの名目で逮捕される今日この頃、言の葉には特に注意したい。
何度も述べたが、明智光秀が狂気の沙汰を演じるのは、単主絵に異変が生じた場合以外に考えられない。なんとなれば国家機密の“テインセインとMAHが小者だ”という事実を見破られたからだ。誰に? 見破ったのがスーという名前の女性である。
ミャンマー憲法下では何ひとつ権限を持たず、表面的には引退を装ったが、厳然たる権力の持ち主、それは単主絵と的を絞った。スーチーと単主絵の超極秘会談が2015年12月4日ネイピードの元国家元首の豪邸で密かに行われた。同席したのは単主絵が唯一信頼する孫ひとり。
ここで茶々を入れると、この孫がヤンゴンのど真ん中で経営する“ルビーマート”が戒厳令下の深夜に実に不思議な不審火と爆発で、東西南北四方のレンガ壁を残して完全に消失した。国軍の発表によれば、暴徒の仕業となるが、このウワサを信じる市民はいない。
ウワサはウワサを呼ぶ。戒厳令下の深夜に国軍の協力がなければ、あの火災事故は発生しなかったという分析には合理性がある。そして単主絵の威光に影が差さぬ限りあの火災は発生しないという理屈は妙に納得できる。
シャーロック・ホームズならばもう一度振り出しに戻り現場検証を行う。そしてミツヒデが犯人ではと合理的な判断を下す。すると今日この頃の灼熱で残りの疑問がすべて溶解していく。クーデター翌日2月2日の単主絵88歳の誕生日、ティンジャン明けのミャンマー新正月。
ミツヒデは木偶の坊を三軍の最高司令官にしてくれた単主絵には特別の恩義がある。だがこの誕生日と新正月にも単主絵の豪邸に駆けつけなかった。ミツヒデ自身がこれらの行事を開催させなかったからだ。ミツヒデの三日天下とは世の動きを見抜けなかった小者の浅知恵をいう。
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・04:スーチー単主絵の極秘会談
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単主絵とスーチーの超極秘会談を忘れていた。
「国民の誰もがアウンサンスーチー女史が総選挙に勝利した事実、そしてミャンマーの未来の指導者になるという事実を受け止めねばならない」これは単主絵がスーチーに語った言質で、単主絵の孫がSNSで拡散した。
引退したとはいえ、ネウィンに替り長期軍事政権を思いのままに操ってきた元国家元首の言質である。この言質は重い。
スーチーにだけでなく、国軍全体にとってこそ非常に意味深な言葉だ。
単主絵が六方を踏み国防軍全将兵に世の中は軍事独裁でなく民主主義の世の中に変わると宣言した訳である。六方を踏むとは「歌舞伎で俳優が花道から揚幕に入る時、手を大きく振り高く足踏みして歩く誇張した演技」と広辞苑には説明してある。
だから2月1日のクーデターは単主絵の顔に泥を塗り大恥を搔かせた国際的な大事件である。広辞苑をさらにコピペすれば「恩を仇(あだ)で返す」に当たりMAHは人間のクズと看做されるだろう。
今のところ745名だが、そのひとりひとりの怨念を国民の前で断罪されるか、ジェノサイドとして世界注視の中で裁かれる。MAH一家の末路は誰も読めない。その決着は刻々と迫っている。
また話しは横道に逸れた。
もしミツヒデが自国民の大量殺戮を繰り返し、2020年11月8日の選挙に陰謀論的難癖をつけるのであれば、ミツヒデの前任者・単主絵の言質を反故にするものである。ミャンマーの民主化はおおむね単主絵の描いた壮大な設計図に従い発展してきた。
もしMAHに軍人らしい勇気があるならば、単主絵とスーチーを対面させて、極秘会談の内容を説明責任と透明性の原則に照らして明白にしろ、と要求すべきではなかろか?
ここで重要なのは、2020年11月8日に国民総選挙の監視団として派遣された各国・NGOなどの証言である。ノンポリの記憶では、総選挙はおおむね公正に行われたと公式発表された。
あまりにも突飛で異常なクーデターの性格からして、ひょっとして単主絵に異変が起きたのか、あるいはスーチーを個人弁護士、ジャーナリストから隔離せねばならぬ、極秘情報が背後に隠されているのか推測は難しい。
短絡的だが、もし単主絵の黒い瞳が白濁しなかったら今でも単主絵のニラミが効いているのでミツヒデは動けず、2021年2月1日のクーデターは起こらず、ミャンマーは国際的に大迷惑をかけなかったというのがノンポリの独り言である。
この推論からいえば、単主絵に異変が起きたと見ざるを得ない。であるなら頭の重石が取れるキンニュンに顧問就任をMAHが依頼し、受諾したとのウワサは面白いシナリオと言わざるを得ない。知恵と遠謀に欠けたMAHが元情報局トップの頭脳にすがる思いが伝わってくる。
だがスマホの時代、キンニュンは古い過去の人物だ。スーチー旋風が起きたときに秋波を送ったのもキンニュンである。その出自からして野心家であることに間違いない。そして今回はMAH、このスパイマスターは寝返りの特技を持つ。それだけに危険なウワサである。
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・05:雑談
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話をロシアの防衛省副大臣に戻そう。
会談後格下の副大臣にMAHは“名誉メダル”と“名誉刀剣”をプレゼントした。すると副大臣は“For Stengthening of Combat Companionship-in-Arms”というメダルを副司令官のソーウィン以下合計6名のミャンマー国軍高官にプレゼントしている。
正月明けの4月20日(火)国営新聞第一面にはMAHが国家元首気取りで新年のスピーチを行っている。これほど気高い名誉ある最高司令官が格下のロシア連邦国家から不釣合いの対応を受けていることに気付かないはずはない。それでも会見後一行と司令官は祝杯を挙げている。
恥も外聞もない。
日本のメディアは単純にミャンマーと中国の関係を強調するが、そのメディアが見逃しているのがそれ以上に底堅くて影響力があるミャンマーとロシアの関係である。
ただいまのヤンゴン時間4月28日(水)午前11時05分。
これから発信トライします。
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