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 <ミャンマーで今、何が?> Vol.430
 2021.04.26
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
 
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 ━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
 
 ■ジャカルタ首脳会議に出席
 
 ・01: GNLM紙は3月1日以降コロナ統計数字を一切発表せず!
 
 ・02: ゼロゼロセブンのスパイマスター
 
 ・03: ブレーキング・ニューズ(アセアン出席)
 
 ・04: ア首脳会議は丁と出るか半と出るか?
 
 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)
 
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 ・01:2021年03月02(火)午後8時発表(前回のまま)
 
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 陽性感染者数合計:141,965名
 新感染者数:49名
 死者数合計:3,199名
 退院者数合計:131,534名
 現在検査中:名(*数字判明せず)
 出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
 (GNLM紙は2月一杯は前日のコロナ数字を掲載していた。だが3月に入ってからはコロナの統計数字を一切発表せず。国民の健康無視どころか、国民の生命を大量虐殺しはじめた。自国民のジェノサイドを糾弾すべきである。ジェノサイドとは大量殺人のことである)
 
 
 
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 ・02:ゼロゼロセブンのスパイマスター
 
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 ジェームズ・ボンドの映画をゼロゼロセブンと発音するのは日本人特有のものである。本場の英語だとダブル・オー・セブンとなる。だがこの世が複雑なのは、日本通の英米人が和製英語を面白がりわざとゼロゼロセブンと言ったり、アジアの国々で和製英語を本物の英語と誤解して流行してしまうこともある。和製英語が世界共通語になる時代となった。
 
 その手の最大ヒットが“Long Time No See”である。これは英文法を無視し、南洋の植民地で大流行したメード・イン・華僑のBusiness Englishである。英米人の発音する“ビジネス”が何度聞いても華僑には“Pidgin”(*発音はピジン)としか聞こえない。
 
 いつの間にか“Business English”が“Pidgin English”として定着し、ついには英語の辞書にも採用されるようになった。このように言語は生きており生モノである。、英語も時代と共に変化する。変化についていけない習近平、日本の政治家、MAHは真面目すぎてオモシロくない。
 
 積極的にヨコ文字に挑戦したらどうだろう。スモール・ワールドから脱出できるかも?
 そこでお勧めするのがゼロゼロセブンの映画だ。
 例えば悪役でナンバー・ワン(*No.1)とナンバー・トゥ(*No.2)が登場する。
 
 No.1は小児語で“おしっこ”、No.2は“うんち”を意味する立派な英語である。
 この映画を製作した英国は冷戦時代、小児スラングを使用して徹底的にソ連や中国をバカにした。そしてこの映画を世界中で大ヒットさせた。ソ連人や中国人にはこの小児語は難しすぎる。
 
 ゼロゼロセブンは冷戦時代のプロパガンダ映画なのである。しかもソ連や中国では風俗に反すると禁止された魅力タップリの女性が小さな布キレで肝心な所を隠し、欲求不満のソ連や中国の男性を刺激した。
 
 これこそルーデンドルフの描いた“Der totale Krieg”(*国家総力戦)の極意である。
 日本では今頃になって中国のハニートラップを憤る。だが中国は経済大国になって初めてゼロゼロセブンのシャレを理解し、今頃になって実践に移しているだけである。
 
 だから連中の鈍さ加減に拍手してあげようではないか?
 憤っては連中と同じレベルに陥るだけだ。連中も僅かだが進歩していると、ここは拍手しかない。馬鹿は死ななきゃ治らない宿命的な問題は阿Q正伝(*魯迅著)から学べばよい。
 
 ロシアには英国人ほど老獪なジョークはない。だが自国指導者をバカにするアネクドート(*政治小話)はいくらでもある。ロシアの防衛省副大臣からMAHが本場物を仕入れたというウワサは聞こえてこない。折角のチャンスだったのに!
 
 世の中セルフィッシュな人間はどこにでもいる。自分のことしか話せない。
 ロシアの広大さが読めず、時代の激動が見えない。
 それがMAHである。
 
 会見の翌日3月27日は国家の威信をかけた国軍の日であった。ネイピードで軍事パレードが行われた。小さく見えるMAHが自分を大きく見せようと精一杯背伸びする日である。目立ったのがロシア産の重車輌、戦車、最新戦闘機、地対空ミサイルなどがパレード会場を埋め尽くし、延々と行進したことである。
 
 軍事力に圧倒された子供たちの素朴な疑問がある。
 国軍記念日とはロシア産軍需物資の見本市ですか?
 どこにミャンマー産の武器はあるのですか?
 
 “だから”司令官は昨日、手作りのナイフや刀をロシアの防衛副大臣に直々に紹介したようだ。それも半分照れながら。これらが唯一のミャンマー国産です、と言いたがったが、ナゼか気後れし暴徒たちが使用した武器です、と口を濁したのでは、と疑問が沸いてきた。
 
 この文章は何一つ断定していない。疑問を呈しているだけである。どこから突かれてもフェークニュースとは言わさない。
 
 
 
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 ・03:ブレーキング・ニューズ(アセアン出席)
 
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 4月25日(日)GNLM紙。表題は「ミャンマーはアセアン憲章に基づきメンバー諸国と親密に協力する:上級司令官語る」で、インドネシアのジャカルタに降り立ったばかりのMAHが出迎えの人々と挨拶する写真が大きく第一面を飾っている。
 
 記事は第3頁に続き全面を使用して写真も5枚配置されている。
 記事内容を説明したい。
 
 特別機でネイピードを昨24日朝出発。午前11時にスカルノ・ハッタ飛行場到着。ブルネイ国ボルキア王を議長としてアセアン事務局Excom Bali Hallにおいてアセアン首脳会議が開催され、司令官もスピーチを行い、共同声明が発表され、会議は成功裏に終了した、となっている。
 
 司令官の発言としては、アセアン憲章およびその細目規定に従い、ミャンマーは地域回復と引き続き持続可能な努力を行い、アセアン加盟諸国と緊密な協力をもってアセアンの目的実現、ミャンマーの政治改革および将来の作業計画を遂行する、と記述してある。
 
 この発言は、MAHがミャンマーの2008年憲法について常々発言している姿勢と同様で、煎じ詰めれば、アセアン憲章およびその細目規定を遵守すると、述べたに過ぎない。そして最後は議長を務めたブルネイ国王の声明で成功裏に終結したとGNLMは報じている。
 
 その後最高司令官一行は飛行場に向かい、空港ラウンジで駐インドネシア・ミャンマー大使館員に本国の現況を説明した。特別機がネイピードに帰着したのは同日午後10時45分。首脳会議の時間および各首脳の討議内容に付いては触れていない。
 
 叛乱軍政府の日刊英字紙報道では、実態は何一つ掴めない。だがネイピード空港出発時および帰着時に誰と誰が送迎に出向いたか、記載順で政府部内での序列が読み取れる。そして重要なのがMAH側近として誰々が同行したか、これらを丹念に拾うと見えてくるものがある。
 
 アセアンの日程が決定され加盟国首脳に参加が要請された。最初MAHは国内取り込み中につき出席不可と逃げていた。だが議題のひとつがミャンマーのクーデター関連で、逃げられないと知ったMAHはオンラインZOOMでの参加に調整してもらうように依頼した。アセアン事務局は意外と強硬で、前日になってMAHは腹を括り本人出席を受諾した。
 
 ミャンマー国内では言論封じが厳しいが、アセアン他国では報道の自由が保障されている。それらを徹底的に当たってみた。
 その中でも“The Straight Times”(シンガポール)とAl Jazeera Englishが理解できる内容だった。
 
 前者は『South-east Asian nations say concensus reached on Myanma』のYouTubeで見れる。
 世界は国軍の叛乱をクーデターと捉え、4月25日時点で745名の殺戮が行われたと報じている。
 
 議長を務めたブルネイ国王の声明では暴力を終了させるコンセンサスが得られたこと、アセアン加盟国が特別調査団を派遣するという建設的対話が行われたことが発表されたが、政治犯釈放に関しては触れられていない。
 
 アセアンには加盟国の国民自決、内政不干渉という基本方針がある。だがミャンマーでクーデター発生以来、危機解決の調整努力に乗り出した国際機関は今回のアセアン会議が最初となる。
 
 後者は『Can ASEAN help end the crisis in Myanmar?/Inside Story』これはAl Jazeera英語版で、中東寄りの報道と偏った見方をしない方がよい。元BBCのスタッフが経営に参加しており、必ず賛否両論の専門家から意見を聞く態度が徹底している。
 
 マレーシア首相のコメント:期待した以上の成果を挙げた。
 シンガポール首相:MAHはアセアン代表団のミャンマー訪問を反対しなかった。さらに、ミャンマー危機解決にアセアンが一役買うことに反対しなかった、と重要な二点を語っている。
 
 通常のアセアン首脳会議であれば、横一列に並んだ首脳が胸の前で交差させた両腕を窮屈そうに両隣の首脳と握手する和気藹々の雰囲気だが、今回のビデオは出席者全員が苦虫を噛み潰した様な顔付きで笑顔は見られない。実に重苦しい雰囲気の動画だった。
 
 さらにAl Jazeeraの司会者の解説が続く。
 アセアン会場前庭に集まったデモ隊は、MAHのアセアン首脳会議参加はJunta(*クーデター軍事政権)の合法化を認めることになるので、MAHの参加を非難している。
 
 前々回CRPHについて解説したが、ミャンマーの動きは速い、CRPHが認められなければと反政府の民主派が出してきたのが“NUG”(*挙国一致政府)である。その新NUGが声明を出し、今回のミャンマー問題はアセアンで話し合うべきであると声明を出していた。
 
 ミャンマー国軍はNUGは追放されたスーチーに指導されているとして、NUGの設立メンバー26名の逮捕令状を発している。『「民主派政府」26人に逮捕状 ミャンマー国軍が弾圧強化』(テレ東BIZ4月23日)YouTubeで検索。
 
 以上が本日現在判明したことだが、ノンポリの分析を付け加えたい。
 
 
 
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 ・04:ア首脳会議は丁と出るか半と出るか?
 
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 アセアン諸国はミャンマーで進行中の危機を解決するために5点計画を全会一致で合意した。ミャンマーを代表したMAHも同意したと言うことである。
 だがアセアン10カ国は決して一枚岩ではなく、それぞれに思惑があることを知らねばならない。
 
 とくにシンガポールはミャンマー最大の外資投資国であり、ミャンマーの政情安定、民主化に関心を持ち、特にリー・シエンロン首相はスーチーの崇拝者とも言える言動で知られる。スーチーがミャンマーの大統領になれないなら、アセアン諸国のリーダーになって欲しいと語ったこともある。
 
 だから前回までのアセアン首脳会議には国民から選挙で支持されたスーチーが参加していて、今回なんでクーデターで政権を奪取したMAHが出席するのだ、との憮然とした顔付きであった。
 
 だがミャンマーの殺戮がストップしないことには問題は解決しない。そこで上記のシンガポール首相の指摘した二点は実務的で非常に重要である。
 
 問題はネイピードに帰着したMAHがアセアン会議をどのように受け止めて、実際に行動に移すかということに掛かってくる。あるいは未熟な老獪さでまったく何もしないか?
 その両方が考えられる。それが見えてくるのに一週間、十日ほど掛かるだろう。
 
 クーデター後の政府報道でハッキリしているのは、MAHが徹底的にスーチーを毛嫌いしていることだ。そして弾圧を強めているのはスーチー一派の撲殺である。それをアセアン会議後MAHが簡単に方針転換するとはあまりに楽観的過ぎる予想だ。
 
 アセアン会議で同意した通り、MAHはアセアン代表団は受け入れ対話を開始するだろうが、ノラリクラリと時間稼ぎして、殺戮の中止には至らないことが、悲観的なノンポリとしては想像される。単主絵時代の国連特使がすべてこの手法でやられてきた。
 
 分析にも多様性を持たせたい。
 MAHにとって、打つ手打つ手が裏目に出ている。そして若者を主体とした独裁政治反対派はスマホ戦略で逃げ回りながらSNS攻撃を仕掛けてくる。出だしのクーデターが無茶なのだから、それは当然なのだが、MAH本人が分かっていない。今現在、四面楚歌の八方塞となっている。
 
 そこで“チビ”のMAHに一分ほどの思考力が残されていればの話である。
 ぬるま湯のアセアンを利用することで“落し所”を探る。アセアンの今回の呼び出しは、ひょっとして助け舟になるかも。だが一方でスーチーだけは許せないとの内面からの声が聞こえる。
 
 そららの兆候が見えるのはここ一週間、十日間である。
 ロシア物語がまたまた延期になってしまった。今後にご期待。
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 ただいまのヤンゴン時間4月26日(月)午前9時05分。
 これから発信トライします。
 
 
 
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