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<ミャンマーで今、何が?> Vol.421
2021.03.21
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■国軍の汚い手口
・01: GNLM紙は3月1日以降コロナ統計数字を一切発表せず!
・02: 悲しい出来事
・03: 2021年3月10日GNLM紙第3面
・04: メディアの報道禁止
・05: 問答無用!!
・06: クーデターは内政干渉!
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:2021年03月02(火)午後8時発表(前回のまま)
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陽性感染者数合計:141,965名
新感染者数:49名
死者数合計:3,199名
退院者数合計:131,534名
現在検査中:名(*数字判明せず)
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
(GNLM紙は2月一杯は前日のコロナ数字を掲載していた。だが3月に入ってからはコロナの統計数字を一切発表せず。国民の健康無視どころか、国民の生命を大量虐殺しはじめた。自国民のジェノサイドを糾弾すべきである。ジェノサイドとは大量殺人のことである)
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・02:2021年3月10日GNLM紙第3面
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・・が身近でついに発生した。
こうなることは分かっていたがあまりに悲惨でやりきれない。
女子生徒のボーイフレンドの母親の話しだ。
癌を長患いし、その上COVID-19にも感染していた。
そこでヤンゴン総合病院への入院が許可され酸素吸入の治療を無料で受けていた。
クーデター以降、病院の医師・看護婦たちはCDM運動へ賛同し叛乱軍政府反対の声明を出した。
そこで病院長など幹部から順次更迭され、代わって軍人が乗り込んできた。
入院患者に退院命令が下され、ボーイフレンドの母親も自宅療養を強いられた。
問題は高額な酸素吸入費用である。
最初は親戚・友人からの善意の献金で凌いでいたが、ついに力尽き酸素吸入が外された。
遺体は数日自宅に置かれ、親戚・友人・隣近所が弔問するのがミャンマーの伝統である。
だが非常事態下、伝統が破られその日に火葬場へ運ばれた。寂しい野辺送りとなった。
女子生徒はまだ50数歳の遺体にせめてもと、眉を描き、唇に紅をさし、タナカーで頬と肌を化粧し、バラの花でお棺を一杯にしてきたと涙ながらに語ってくれた。
もともと痩せた身体が、通夜・葬儀・火葬場の二日間で憔悴しきっていた。
この一家に残されたのは絶望的な多額の借金である。
ニュースにならないが、多くの家族が同様の悲劇を抱えるようになった。
これが今回のクーデターの実態である。
陸軍病院を市民に開放したり、僅かな現金・食料を市民に配布したり、市民の人気取り策を発表したが、カネで国民を国軍側に取り込もうとする旧態依然の政策である。なびかない市民にはそれ以上の恐ろしい報復措置が講じられる。
なんのことはない単主絵時代の恐怖政治のモノマネである。国軍もスマホ時代に適応しないオジさん世代であることを曝露している。それだけにすでに始まった国防軍および警察隊の暴走が怖い。その総責任者はミンアウンラインである。
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・03:2021年3月10日GNLM紙第3面
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ミンアウンラインの3月2日(*クーデター翌日)のスピーチが大きく掲載された。
「今回取った手段は他諸外国よりもはるかにソフトなもの」とタイトルがついている。
COVID-19の最中に引き起こされた不正選挙にむかついた連中がデモを行い、ミャンマー警察隊は事態沈静化のために、最も被害の少ない最低限の武力を行使した。この武力行使はデモクラシーの慣習に従ったもので、他の諸外国に比較してはるかにソフトなものである。
これが叛乱軍政権の文章能力である。この文脈の中に幾つの自己矛盾と、意図的な表現のマチガイがあるか読み取って欲しい。署名は叛乱軍革命評議会議長ミンアウンラインのスピーチより抜粋となっている。大虐殺責任者の名前である。
これは政府系マウスピースである日刊英字紙から引用したもので、メルマガがでっち上げた記事ではない。一応日本語に翻訳したが、この記事だけでもクーデターの正体を見透かすことが出来る。
一時は民主化に貢献したGNLM紙も記事のレイアウトから編集内容すべてが単主絵時代の独裁政治報道に戻ってしまった。ミツヒデのアイデアは独裁政治の覇者・単主絵を超えるものではない。単主絵に頭を撫でられるペットの内はよかった。その単主絵に異変が起きたのであれば怖い。国民との約束を裏切るからだ。
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・04:メディアの報道禁止
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同様に3月10日日刊英字紙第1面囲み記事。
革命評議会は国家転覆を支持するメディア各社に対してライセンス取り消しの許可を情報省に対して与えた。(*反政府デモ報道を、国家転覆支持と断定している)
その情報省はMizzima、DVB、the Khit Thit Media、Myanmar Now、7Dayというメディア5社の発行およびオンライン報道を3月8日以降禁止した。
いまの時代言論統制を行うのは共産国家と独裁国家ぐらいなものだ。
賛否両論、双方の意見を尊重するのが“デモクラシー”のいろはである。
日本は別として、欧米の一流紙は“Op-Ed”と称して署名入りで社説欄の向かい側のページに反対記事を堂々と載せ、両論併記の紙面づくりに努力している。それが世界の動きだ。
だが革命評議会はお手盛りの2008年憲法を金科玉条とし、“デモクラシー”を分解した上で状況に応じて許認可してやると屁理屈を述べ始めた。
お情けで“デモクラシー”を認めてやるが、反政府デモが続くなら、“デモクラシー”の完全否定も有りうるという脅しを露骨に実行中である。
街角の新聞スタンドでは、政府系メディア以外はすべて発行禁止となった。新聞配布の業者は仕事がなくなったと嘆いている。いわゆる路上商売の零細ビジネスは日銭が稼げなくなり、大半がその日の暮らしにも困窮するようになった。
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・05:問答無用!!
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3月16日(火)GNLM紙第12頁の写真2葉が特に目を惹いた。記事見出しは「ジョージ・ソロスとアレキサンダー・ソロスからオープン・ソサエティー・ミャンマーへ不法入金された現金を凍結」となっている。
ジョージ・ソロスといえばイングランド銀行を破滅させた男として有名で世界屈指のカリスマ投資家として知られる。ハンガリー・ブダペストのユダヤ人家庭に生まれ、ユダヤ人迫害の恐ろしさを体験し、民主主義の有難さを身に沁みて育った。
NYに渡り、証券会社のアナリストとして頭角を現し、ヘッジファンドで驚異的な運用成績を上げた。その利益の一部でオープン・ソサエティー財団を創設し、大規模な福祉事業に乗り出し、慈善活動家としても知られる。
弊研究所長はヤンゴン一貧乏な日本人と豪語しているが、アンドリュー・カーネギー、ビル・ゲーツなど世界の大富豪が巨万の富を稼ぎ出した後、どういうカネの使い方をするのかには興味を惹かれる。
イエロー・ジャーナリズムの世界で死闘を繰り返したランドルフ・ハーストとジョセフ・ピュリッツァー、共に大富豪となったが、後者はコロンビア大学に200万ドルを寄付して、同大学に新聞学部が創設され世界屈指の記者養成大学となり、ピュリッツァー賞でも燦然と名前は輝いている。
日本人はカネの稼ぎ方では名を残す。だが大富豪になった後で実践する欧米人の人生観とは大きな開きがある。死の商人が世界的権威のノーベル賞に変貌したり、音楽の殿堂カーネギー・ホールやリンカーン・センターのパトロンになったり、古代トロイ遺跡を発掘したハインリッヒ・シュリーマンと、それぞれが次世代への夢を育ててくれているような気がしてならない。
余談となるが、ヒラリーがスーチーのインヤー湖畔の自宅で記者会見を開いた直後だったと記憶する。ジョージ・ソロスがヤンゴンへやってきた。そして弁護士界のベテランたちを集めて円卓会議をやっているセルフィー写真を友人の海運弁護士から見せてもらったことがある。
英国の弁護士制度を踏襲するヤンゴンではバリスターとソリシターの分類のみならず英国法の複雑な仕組みが取り込まれている。軍政から民政に移管する前の段階でミャンマーに目をつけるソロスの鋭さと、情報収集を弁護士のヒアリングで開始するところに、カリスマの片鱗を見せつけられた思いがした。
それからかなりの年数が過ぎた頃だったか、記憶は不確かだが、ジャーディン・マセソン商会の現在の当主がネイピードでスーチーと握手している写真を日刊英字紙GNLMで見たこともある。中国でアヘン戦争を仕掛けたあの阿片の大商人である。
歴史的事件を弄んだあのジャーディン・マセソンがネイピードを訪れた事実と、それを惹き寄せたスーチーという人物、そして自分がヤンゴンでそのレポートを記録している蓋然性に不思議な気持となった。
話を政府ご用達のGNLM紙に戻そう。
90歳にならんとするジョージ・ソロスの息子の存在は初めて知った。そして自分の事業を息子のアレキサンダーに引継ぎ中というのもナルホドと理解できる。
ここに掲載された写真は、ジョージ・ソロスとスーチーが二人だけで対談し、もう一葉は父親が息子をスーチーに紹介しアレキサンダーとスーチーが笑顔で握手している二枚の写真である。
クーデター後GNLM紙に登場する写真は、ミンアウンラインが差配する軍服会議ばかりだっただけに、久しぶりのスーチー登場は目を惹いた。
記事内容はオープン・ソサエティー・ミャンマーの事務所設立で同銀行口座に多額の入金があったが報告がなされておらず、銀行法・マネーロンダリング禁止法・外為法違反であること。その事務所役員が現金を持ち逃げし現在逃走中とのこと。
逃亡犯の保護は犯罪なので密告を期待すると、Martial Law(*戒厳令下で施行される軍規)でなんでもかんでも法律違反とする体制作りに持ち込もうとしているのがミエミエである。
この件に限らず最終的な目的は、現在のCDM運動にしてもすべてスーチーおよびNLDに関連付け、スーチーを生涯監禁する戒厳令法に着手し、一年後に施行される公正な総選挙は銃と脅しの管理下に置く手筈のようである。
その兆候はスーチーの母親の名前を冠したDaw Khin Kyi財団にも不正入金ありとして国防軍の監査が入った。これもGNLM紙で大げさに報じられている。国防軍の監査・査察が問題なのは、自分たちのグループは伏魔殿そのままにして、都合のよい証人や密告者を仕立て上げ、反対弁論もなく天敵のスーチーやNLDを大悪人に陥れる怖さである。
理屈が通らないので問答無用と射殺や撲殺で始末される怖さが潜んでいる。この恐怖期間は一年間継続すると叛乱軍革命評議会は最初に公言している。今年の2月1日から来年2022年2月1日までという意味だ。
UEC(*中央選挙委員会)も即座に国軍の息の掛った委員に替えられた。本来であるならば、2020年11月8日の手続きで、どこに不正があったかを前任の委員ひとりひとりから聴取して検証すべきだが、即刻UECの全員を新しい委員に入れ替えた。そしてクーデター後即座に不正があったと大騒ぎしている。
単純ミツヒデの意図は明白だ。
周到に準備した2008年憲法はスーチー個人を大統領にさせない目的で作成した。ところが知恵袋ウ・コーニーの発案でスーチーは大統領の上に君臨することができた。“クヤシー!”とミツヒデは地団駄を踏んだ。
単主絵の瞳が確認できぬまま、ミツヒデが決行したクーデターは、スーチーを政治的に抹殺するためである。気が狂ったミツヒデが何をヤラカスか分からない。それが怖い。
マウスピースと化したGNLMの記事はすべてその方向に向かって発表されている。
従って国連の動きも駐緬外交団の“スーチー解放依頼”もまったく効果がない。
サイバー攻撃時代の外交官ならA案がダメなら、ハイテクを活用したB案、C案に即座に切り替えるべきである。“虐殺を即座に止めて欲しい!”も同様である。
その柔軟性と速攻性、そしてスマホ性がない。若者たちが次々に殺戮・撲殺されていく。
言うだけ言ったから、あとは国防軍が悪い、CDMの若者たちも悪い、と大使館に籠るのだろうか?あるいは母国へ避難するのだろうか?
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・06:クーデターは内政干渉!
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3月もすでに後半だ。2月1日のクーデターからすでに二ヶ月近くになった。怖いのは叛乱軍が今の状況を当たり前としStatus Quo(*現状のまま)に持ち込むことだ。物事は反乱軍政権の計画通りに進んでいる。
国連および駐緬諸外国代表が間違ったメッセージを叛乱軍革命評議会に伝達し、人民大虐殺を即座にストップできなかった。叛乱軍兵士・警官による撲殺・射殺の総死亡者は現在約200名に上る。今後はさらに怖ろしい数が予想される。
そういう意味でミャンマーは非常に危険な事態に陥っている。
叛乱軍と接触できる立場にある国連機関や駐緬外交団が、彼らの言い分を聞いてやったところからスタートしたことに失敗の原因がある。
その点で市民側あるいは国民側の視点は叛乱軍の意図を見抜き一貫している。
どうしてそれを汲み取らないのか。叛乱軍の主張を汲み取ってはいけない。
叛乱軍には一喝あるのみ!
例えば叛乱軍の嫌う“クーデター”という言葉。
現地の民間日刊紙、週刊ジャーナルは「正当な国民投票で選出された政府を叛乱軍は不当にも武力で転覆させた」と反論し、これこそフランス語のCoup d’Etat(*国家に対する一撃)そのものだと主張を続けた。
ミャンマーの言論界は個々に事業停止、収入ゼロ、スタッフ逮捕のリスクを冒してまで叛乱軍に楯突いている。そして彼らの事務所は深夜に暴力団に襲撃されたかと思うほどまでに叩き壊され、金庫の現金・重要書類まで、立会いもなしに持ち去られてしまった。
それでもジャーナリスト魂を貫いている。サラリーマン化したマスコミではない。ノンポリのメルマガですら背骨を鍛え直された気がする。
暴力団であればまだマシだ。警察に訴えれば被害金額など検証できる。だがヤンゴンで起こっていることは警察=暴力団だから始末に終えない。念押しすると、この警察は国防軍の管轄下でその指示に基づいて行動している。
国連の叛乱軍に対する態度も急速に変わってきた。Veto(*拒否権)を実行する中国やロシアの弊害はあるが、ミャンマーからの現地報道は最新で迅速である。「調査して後刻報告します」という甘ったれた態度は微塵もない。
だが国連の機能にも限度がある。ミャンマーがメンバーであるアセアン各国の協力にも温度差があり限度がある。
3月19日(金)GNLM第一面の記事および写真
「第18回アセアン国防軍首脳がビデオ会談を行った」と表題が付いている。ミャンマー代表はもちろんミツヒデだ。その発言は参加者全員がコロナに罹らず健康であって欲しいと、記事の中では一言もクーデターには触れない発言で終わった。
簡潔な記事内容を目指すが、三つ子の魂で治らない。ご勘弁いただきたい。
先週のヤンゴン事情でした。
ただいまのヤンゴン時間3月21日(日)午前9時00分。
これから発信トライ。
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