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<ミャンマーで今、何が?> Vol.375
2020.07.17
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■コロナ休暇は良いチャンス

 ・01: 2020年7月2日(木)付GNLM紙第一面

 ・02: Facebookの世界

 ・03: 7月19日は殉難者の記念日

 ・04: TIPPING POINT

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:2020年7月2日(木)付GNLM紙第一面

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ここヤンゴンで最近学んだことがある。新聞ニュースは昨日の出来事。今日の出来事ではない。今の感覚なら過去の話だ。だが欧米ではスピードを求め、今日、それも今の瞬間、何が起こっているかを追求した。

1980年CNNが開局した。ニュース専門に、しかも24時間休み無く生放送のTV局である。40年前のコトだった。湾岸戦争勃発(1991年1月)では、第一報をイラクから伝え世界の度肝を抜いた。

2001年9月11日、マンハッタンに聳え立つ世界貿易センター、その北棟と南棟に旅客機2機が突入するシーンが、まるでスローモーション映画のように、繰り返し世界中で流された。

そして今2020年、サイカーの運チャンもケータイ、ヤンゴンの路上喫茶でもケータイ、子供までがケータイを弄び、ゲームからケータイ入門する時代となった。電話だけの活用は私のような化石人間だけである。

ケータイは写真も動画も撮影できる。そして仲間に配信! 高評価でもヘイトでも、二手に分かれ炎上していく・・さらにYouTubeで流れれば全国区当選だ。
このYouTubeが、特にコロナ自粛を機会に、地球規模で蔓延していった。

YouTube社は2005年に創業された。時代を先取りするグーグル社はYouTubeを2006年に16億5千万ドルで買収し傘下におさめた。Tubeとは真空管、そしてテレビのブラウン管を意味する。放送局を持たず、ネットの接続で個人でも動画をアップロードできる。つまりアナタがTV局というお遊びである。

欧米ではとっくの昔に流行していた。ホリエモンも先陣争いに加わった。一歩遅れた日本では、コロナ自粛のお陰で、今頃YouTubeが百花繚乱。中田敦彦のように画期的ビッグビジネスを目論む企業家も出現している。彼を吉本のお笑い芸人と揶揄したら、私同様に化石人間の証拠だ。

彼は若者の覇者で、アップロードするたびに自分を脱皮・変化させている。
進歩と言ったほうが正確かも・・ 中田敦彦のYouTubeはほとんど閲覧した。
中身が濃いので二三回繰り返すのが当たり前となった。

成金は将棋の世界を飛び出した。誰もがチェンジする時代となった。釈迦ですら“有為転変”は占有できない。米大統領選でも、アジアの田舎選挙でも“チェンジ”が叫ばれる。特にコロナの長期化で、YouTubeこそ、起業家を目論む若者には新世界だ。

アメリカの若者は日本人と明らかに発想が異なる。スティーブ・ジョッブスが作り、ビル・ゲーツが世界一となり、ズッカーバーグ、ベゾスが飛び抜け、イーロン・マスクが宇宙を目指す土壌がある。YouTubeを四六時中見まくって、やっとそれが見えてきた。コロナ自粛に感謝だ。

コロナ期間中、少しの時間が有れば、自分の周りの壁を突き抜けて、自由な世界、経験したことのない時間、新しいアイデアに入っていけるとスーチーは語った。私の師匠も「時空をこえる旅」で1億年前のマングローブを巡る世界をご夫婦で駆け回っている。

私は今、YouTubeという途方も無い奥深いジャングルに迷い込んだ。小さな世界でも奥行きが深い。そこまで極めると、その道のプロである。そのプロのワザを素人が盗む。盗人は中国だけでない。世界中の若者が盗人を目指す。

先日も日米ハーフのDAN Takahashiからウォール街の話を聞いた。ヘッジファンドの話しも理屈が通っていて分かりやすい。これはオモシロイと“高橋ダン”のYouTubeは全編見た。英語の話題もヤンゴンでの会話教室に役に立つ。
これらがすべて無料である。理解できなければ繰り返し見ればよい。二回で分からなければ、三回四回と繰り返す。複雑な話しも10回見れば理解できる。


そう言えば、師匠から預かった課題の延長線上に“クラウド・ファンディング”があり、これが難問だった。てっきりCloud Fundingと思っていた。
Crowd Fundingのマチガイだった。無知が少しずつカイゼンされていく。

グーグル検索にも要領がある。一回、二回でへこたれず、頭を柔軟に別の視点からキーワードを考える。10回以上試す。「犬も歩けば棒に当たる」は真実だ。頑固ジジイなど、やっていられない。時代の最先端を行く若者ヨ!
何十年後はテメエらだってジジイだ。オレがその生きた化石だ。

パパラッチはもう古い。世界中の観光地で、人気テーマパークで、立派なアリバイ写真が撮れる。セルフィーというやつだ。今はそういう時代である。
静止画が動画の時代に進化した。世界の人口が70億から100億に・・、ケータイ市場が幾何級数的に拡大していく。アップル、サムソン、フアウェイが自国の政府ぐるみで国際競争の火花を散らす。

化石人間は頑張ってもケータイ。だが若者はスマホの時代。5G、スパコン並みの威力。若者がそれを弄ぶ。危ない時代がやってきた。

藤井聡汰七段が最年少の記録を破る。頭脳の中身はサイボーグらしい。開いているのか眠っているのか分からない八の字目で、一瞬首を傾げ、名人でも考え付かない名言を吐く。可愛らしいあの顔付きに騙されてはいけない。水色の羽織に黒の和服、あのギコチ無さが、サイボーグの証拠だ。

アッ忘れていた。7月2日付日刊英字紙の話しだった。
サイボーグならこんなミスは絶対に犯さない。これが私の得意技である。



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・021:Facebookの世界

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「素敵じゃない! 新しい世界を発見するなんて! それもCOVID期間の自宅でヨ!」Stay-At-Homeの国民にスーチーが語った。これこそ7月2日日刊英字紙の第一面である。スーチーはFacebookをすでに自家薬籠中のモノとした。
ミャンマー全国WiFiさえ繋がれば、辺境地区の政府高官だろうと、小学校の先生、学童たちともテレビ会議が出来る。

自宅に閉じこもっても、時間の過ごし方は人それぞれ。私だったら、少しの時間を作って読書をします。もう少し時間が許せば、何かを書きます。スーチーはこの瞬間Facebookに書き込んでいる。しかし今は、ひとつの仕事が終わると次の仕事と、休む暇がありません。

読書の時間がたっぷりあった昔が懐かしい・・ コロナだからこそ皆さんには読書の時間をお勧めします。仕事関連の本とか、学校から借りた本、ひとによって読むジャンルは異なるでしょう。

私にとっては、読書をはじめると、新しい世界に飛び込むような気がします。
心の堅い壁を打ち破り自由な空間を泳ぎまわる感覚です。そこには自分の知らなかった時間があり、訪れたことも無い場所で、想像しなかった新しいアイデアが湧き上がります。そしてタイトルの「素敵じゃない・・」に繋がっていく。

コロナ制限の緩和で、私のFacebookへの投稿も、コロナ関連のビデオ会議が無ければ、週に三回は続けられそうです。ミャンマー連邦全市民の方たちへ健康で心の安らぎを保ち、どんな難関にも打ち勝つよう祈り、そして“metta”をお送りします。これもスーチーの言葉だ。

“metta”とは、上座部仏教におけるパーリ語で他へ施す慈悲の心を指すと、生徒の一人が電話で解説してくれた。スーチーの国内向け演説には仏語が多用され、都度勉強させてもらっている。

ところでスーチーが始めてFacebookアカウントを開設したと報じたのは2020年4月3日(金)のGNLMである。スーチーの行動はほとんど第一面で報道されるのでどうしても目立つ。
本当はFacebookを使用する意図などこれっぽっちも無かったとスーチーは告白した。

だが今回、現場でCOVID-19と闘い続ける人々と緊急・効果的にコンタクトするためにソーシャルメディアA/Cを開設した。
スーチーはCOVID-19対策を検討するために、大統領府から現場の人たちと連日ビデオ会議を開催している。その二日目、最前線で働く4人の現場関係者とのビデオ会議の模様をFacebookに書いた。

ひとりはパテイン地区の看護婦さんで手袋、マスク、温度計などの支給について報告した。二人目はラインタヤー町区の医師で、市民グループのボランティアや地方政府などが往復の運搬車両を提供してくれたことで話し合いをした。三人目はヤンゴン地区下部組織の関係者で、僧院でのお布施などについて報告があった。そして最後がヤンゴン政府で、二台の通勤バスを提供し、他からの寄贈がなければ10台のパソコンを支給する予定になっていることも語ってもらった。

そしてスーチーは以下のように話を終えた。私たちは人々が必要とするものを満たしてあげ、現場の人たちの声を聞けたことは有益だった。私の父がミャンマー中部地区の僧院に住んでいたときのことです。時にはパーリ語でスピーチを締めくくったそうです。「すべての人たちが危険から解放され自由でありますように!」と、そして「世界中のすべての人が危険から解き放たれ自由でありますように!」と付け加えたそうです。

実はスーチーは私と同年齢だが、現代の武器Facebookに果敢に挑戦し、それを克服していく。現代の武器にも怯まず、活用する努力を惜しまず、頭脳の柔軟性はスーチー独自のものだ。

連日のビデオ会議の相手は政府高官だけでなく、国民のありとあらゆる階層の人たちと親しく直接会話を交わし、そして信頼と尊敬を勝ち取っていく。
スーチーの政治家能力は本能のようだ。海外のメディアは報じないが、当地のGNLMには必ず掲載される。

GNLMの日曜版には若者たちが投稿する見開き、その他のページがある。ヤンゴン大学4年生の女生徒が、私たちのThe Ladyこそ、この地球上の女王様と絶賛していた。国外は別として、国内での絶大なスーチー人気はそこに秘密がありそうである。

内閣総理大臣のように国民の目を避ける極秘の政治力は持ち合わせていない。
スーパー大国の大統領のように豪腕で愛国心を掻きたてることも無い、スーチーはまったくの自然体である。慈悲の心が地球上のすべての人たちに行き渡るようにとパーリ語を引用するスーチーは今の時代には稀有の政治家である。

この辺りから妄想を基本とした推論を組み立ててみたい。年齢的にとやかく言われるかもしれないが、狭い一国のState Counsellorに閉篭らず、コロナで満身装威のリンリープラネット地球を再構築できるのはスーチーの智慧では? ヤンゴン大学女生徒の言葉が響く。

コロナ騒動で世界の指導者が“次の一手”を指せず長考している今の時代。
G5・G8・G20の指導者が無能だと全世界が感づいた。
スーチーには個人的な曰く因縁があり、ミャンマーにはU Thantという輝かしい大先輩がいる。弊研究所の妄想は国連事務総長の椅子とスーチーを結びつける。

突然思い出した。15年間の自宅拘禁を解かれたときのこと・・ あれは2010年11月13日だった。軍事政権に監視されていることを承知の上で、インターネットの自宅設置を申し出た。当時65歳のスーチーがその日からパソコンを勉強し、インターネットで世界と連帯する戦略を思いついた瞬間である。その絶え間ない努力がFacebookに繋がる。

スーチーは柔な女ではない。岩窟王の粘り強さを身につけた怪物である。バックナンバーの一番最初を読み返した。2012年7月4日配信でこう語っている。

「自宅監禁中は海外ニュースを一日6時間ラジオで聞くのが私の義務でした」、そして世界の歴史書、人物伝、宗教書、特に仏教書を読み漁っていたという。
その精神力が今のスーチーをつくり上げた。



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・031:7月19日は殉難者の記念日

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話しはさらに飛躍する。スーチーの選挙区はヤンゴン郊外のコームー町区にあった。だが今年11月8日の国民総選挙にスーチーはまだ立候補者届けを出していない。それだけでなくコームーの選挙区は他党の女性候補に譲ったことが判明した。東西南北研究所の“妄想”に一歩近づいた。

だが懸念がないことはない。
オランダの国際司法裁判所における、ガンビアのスーチーおよびミャンマー批判だ。世論を味方につけるパフォーマンスではムスレム勢力が勝利した。

だがロシアのZvezda国営TVとのインタビューで、ミンアウンライン三軍最高司令官が発した爆弾宣言は世間を驚かせた。自国ラカイン州を不安に陥れるテロ組織は中国製武器を使用していると曝露した。中国政府がこれらテロ組織をバックアップしているとの発言である。ミャンマーとそれを代表するスーチーは中国の言いなりというマスコミ情報を覆す発言である。

狡猾な習近平は、テロ組織が中国製武器をどこから入手したか調査すると、白を切る。ミャンマー劇場がオモシロくなってきた。間違いなく舞台が動き始めた。
ミャンマー国軍もスーチーに逆らわず、情報の透明性を重んじるようになった。コトあるたびに記者会見を開いている。

国防軍が指名した副大統領のミエンスエは、国父アウンサン将軍が銃弾に倒れた殉難者記念日の総指揮を忠実にこなしている。

明後日の7月19日(日)、シュエダゴンパゴダ北口の殉難者廟、ヤンゴン中心地の旧総督府、日本大使公邸裏のアウンサン記念館で、それぞれの場所で厳かな式典が行われ、暗殺された午前10時37分にはミャンマー全国の公道で全車両がストップし、哀悼のクラクションが一分間鳴らされる。

消防自動車も庁舎の前に整列し、悲しげなサイレンを鳴らし続ける。ヤンゴン港に停泊する船舶も同様に霧笛を鳴らし続ける。歩行者もその場に佇み、頭を垂れ黙祷する。

この式典の総指揮を執るのが副大統領のミエンスエである。彼がビルマ人で無く、モン族の出身で最高位にまで上り詰めたことに複雑怪奇なミャンマーの謎がありそうだ。副大統領はスーチーの直接の指揮下には入っていないが、スーチーの父親である国父の式典を忠実にこなすという意味を考えたい。

今年に入ってからの日刊英字紙GNLMで構わない。一週間分をパラパラめくるだけでよい。アウンサン将軍が書き残した短い名言が掲載されている。民主化、135の少数民族、憲法草案、そのテーマはイロイロだが、とにかくアウンサン将軍の演説、ノートからの抜粋である。

これ以外にも全国各地に設置されたアウンサン将軍の銅像、アウンサンの名前を冠した公園、などからミャンマーの今を、概観すると、一部海外メディアが報じる、“ミャンマーの今、何が?”はまったく様相が異なる。

ミャンマーも海外の圧力に屈したのか、今年の殉難者の記念日の翌日7月20日は振り替え休日となっている。どちらにせよ、国内でのスーチーにとってネガティブな空気は見当たらない。



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・04:TIPPING POINT

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師匠からは深刻に考えさせられる問題も頂いた。この地球がもう後戻りできない不可能な、瀬戸際に刻々と近づいているのでは? という難題だ。時間が無い! 時間が無いのですと、親しいノルウェー人博士の言葉を繰り返す。


スーチーは海外との航空便が復活するのは10月以降と腹をくくったようだ。
そして次世代の若者に、この自宅待機の時間は各人それぞれが考える貴重なチャンスだと楽観的に夢を託す。
師匠も時間が無いとされながらも、一方では、Paleobotany(地層内に化石として存在する植物を研究する古植物学)という1億年を遡る進化の謎解きで時空を越える人生をご夫婦で謳歌されている。

スーチーや師匠の思考方法からすると、コロナ騒動の統計数値でオタオタする人間がちっぽけに見えてくる。

私には次世代の若者たちと未来を語る仕事が待っている。


追伸:アインシュタインを京都・奈良に案内したのは旧制第三高等学校時代の西堀岳夫で、『とにかく、やってみなはれ 西堀榮三郎語録』(2009年PHP研究所)のP.214「アインシュタインとの出会い」には若い西堀榮三郎とアインシュタインお二人の写真が見られる、と師匠から指摘をいただいた。ここにお詫びして訂正します。


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