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<ミャンマーで今、何が?> Vol.366
2020.06.01

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■東洋人に欠落した科学的視点

 ・01: Time and Tide wait for no man.

 ・02: オリバー・ストーンに学ぶ

 ・03: 現代日本人の原点はどこに?

 ・04: GAFAの最初のA

 ・05: 世界一流のインテリ

 ・05: したたかな中国

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:Time and Tide wait for no man.

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日本語では“歳月人を待たず”(諺)と訳すが、正確ではない。
“時と潮の満ち引きは、人を待たず”が正解だ。理屈っぽくなるが、中国の詩人・陶淵明は、年月は人の都合に関わらず過ぎていく、少しの間も止まらない。今の時を大切にして努力せよ、と戒めている。これは東洋人の視点で、科学的観点がすっぽり抜けている。

西洋人の考えはまったく異なる。
時という観念にプラスして、太陽・地球・月の位置関係によって引き起こされる自然現象の潮汐を対にしてコトワザとして教える。ジュニアダック・レストランでビールを飲りながら、ヤンゴン川の潮の満ち引きが観測できる。川の流れが下流から上流に逆流することもある。それを知ったとき、アルキメデスの“ユーレカ”に匹敵する発見だと思った。

科学的思考、論理的な会話、ともに私に欠けた重大な欠陥である。典型的な日本人である。理数系の医学部を断念し、楽な文科系に私は逃げた。漱石の故事にあやかり、潮の満ち引きを習わぬ風土で育ったからだ、と強弁している。

私的なことなら放って置けばよい。だが国会の答弁、ホリエモン・チャネルへの質問を見ていると、この風土病は国の指導者から若者に至るまで蔓延している。ヤフーCEOの安宅和人が指摘するとおり、日本には理工系学生がほとんどいない。アメリカはもちろん、インドや中国から大きく水をあけられたとグラフで示してくれた。次世代を考えると空恐ろしくなる。

西洋と東洋の比較なら、第二次世界大戦でも、日本は、科学的な戦略、戦術の前には絶望的なほど無力であった。戦後の指導者も同じDNAをなぞっている。島国に閉じこもり、世界の発展に目をつぶった。世論の形成も島国の見方しか出来なかった。何周遅れのミャンマーと何ら変わりない。それをここヤンゴンで考えた。世界的コロナ騒動は、良い機会を与えてくれた。

世論は発信側のマスメディアだけに責任があるのではない。受信側の読者・視聴者が反対もせず受け入れ、形成されていく。今回の香港デモを見ていて、それを強く感じた。世論の形成には、日本独自のスタイルがある。残念ながらお上に従順なのである。マスメディアまでがお上に従順となっている。

ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、両紙を見比べて残念ながらそう感じた。その原因はどこにあるのだろう。また考え込んでしまった。だが時間はたっぷりとある。第二次世界大戦よりさらに歴史を遡らねば。ヤンゴン川の逆流思考である。日本が天下泰平の世から目を覚ました時代に行き着いた。



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・02:オリバー・ストーンに学ぶ

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明治維新前夜が格好のテキストとなる。
時間だけは世界一リッチな男はその手の本を片っ端から読み漁る。それに加えて現代の武器YouTubeを日本の友人から教えてもらった。映像による記録で、歴史の片鱗を覗くことが出来た。出島の写真、グラバー邸の映像、その当時の海外の動き、これほど厖大な記録がビジュアルで見ることが出来る。

メルマガにも何度か書いたが、海賊版DVDのコレクションにオリバー・ストーン監督の“UNTOLD HISTORY OF THE UNITED STATES”(*語られなかった合衆国の歴史)がある。この4枚版DVDでストーンが語る。「語られてきた米国史は真実ではなく、極秘文書として封印されてきた正式文書がある。」とストーン監督はそれを一つ一つ映像で暴いていく。

ストーン監督のジャーナリスト的追及は厳しい。
例を挙げれば、アメリカの大統領選挙はお祭り騒ぎで民主党・共和党二大政党が一年間を掛けて指導者となる大統領候補をそれぞれに絞り込んでいく。そして最後の最後に決選投票となる。

その際に副大統領候補は名誉職ではあるが、言ってみれば刺身のツマでしかない。形式的な身分調査、経歴は紹介されるが、大統領候補の精査に比べれば、欠点があっても大統領の陰で見逃されてきた。

ストーンが指摘する。
大統領にもしものことがあれば、能無しの副大統領であったとしても、大統領職を引き継ぐ要職にある。アメリカの歴史を冷静に見ると、アメリカは“もしも”と“まさか”で建国されてきた。リンカーン然り、JFケネディ然り、現職の大統領がこれほど暗殺された野蛮な国はそう多くない。そこで、ぼんくらの副大統領が大統領に就任したらどうなるとストーンは鋭く問いかける。

1945年4月、暗殺ではないがフランクリン・ルーズベルト大統領が急死した。学歴もパッとしない、外交も未経験で、国際的な見識にも欠ける副大統領が第33代アメリカ合衆国大統領に就任した。ハリー・トルーマンという副大統領だ。FDルーズベルトが健在であれば、大統領になれる器の男ではなかった。

これが世界の歴史を変える。アメリカだけでなく、世界にとっても、日本にとっても最悪の大統領が出現した。気の小さい狭量な人間ほどミエを張る。その重大さを慮ることも無く決断力を誇示したがる。

それが広島・長崎への原爆投下命令であった。

話しは逸れたが、このDVDは日本の大手マスメディアに是非とも鑑賞して欲しい一品で、歴史観を見つめ直す、真実を追究する視点、報道の原点などを考えさせる大作である。



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・03:現代日本人の原点はどこに?

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時代は明治維新前夜であった。
この時代は日本が島国を脱皮するチャンスであった。だが当時の登場人物で真に“日本”という概念を描けた役者がいただろうか?“日本”という一国ではなく、長州・薩摩・土佐などの狭い“藩”からの脱藩が精々だったのでは?

1853年ペリーが浦賀に来航。1864年英・仏・米・オランダ四カ国連合艦隊が下関を砲撃。
江戸城も京都御所も蜂の巣をつついたような大騒ぎ。だが先送りは天下の宝刀で結論は出ない。
我々ご先祖様のDNAは脈々と今日のお役所仕事に生きている。

一方下級武士たちはいとも簡単に刀を抜き、佐幕派・討幕派、尊皇攘夷派と国内は分断され、同胞同士で殺し合いが続いた。国内が二分され、三分されていく。この時点で日本国という観念は存在しない。明治維新という出来事が起こるとは、誰一人想像しなかった時代である。2020年の視点で歴史を読んでは大きな怪我をする。

老獪で狡猾な外国勢にとっては漁夫の利を狙う大チャンスである。イエズス会のクリスチャンにとっても、フリーメーソンという秘密結社にとっても。島国の野蛮で狭量な国内事情が写真付きで、あるいは精密画描写で英米の新聞に報道されている。紳士の国イギリスは賭博大好きな国民性で、ブックメーカーが何でもかんでもギャンブルの対象にしてしまう。Shogunが勝つか、Emperorが勝つか?掛け率は寡聞にして知らない。

吉田松陰がペリーの軍艦に乗り込み、海外渡航を企てのは1854年。勝海舟が咸臨丸で太平洋を横断したのが1860年。渋沢栄一が幕府の遣欧使節団として渡欧したのが1867年。“Seeing is Believing”である。軍艦の内部をその目で見て、欧米諸国の土を踏み、世界を見回して、初めて日本という島国の後進性に愕然とする。

到底勝てるわけが無い。攘夷から開国派にコロリと転向する。だが帰国して島国の同胞に説明しても、なかなか理解してもらえない。これはコミュニケーション力の問題ではない。人間は自分の頭でイメージできることしか理解できない。先進国の軍事力・国力は島国の人たちの理解の限度をはるかに超えていたからである。

桜田門外の変(1860年)、生麦事件(1862年)、蛤御門の変(1864年)を経て、1867年10月14日第15代将軍・徳川慶喜は大政を奉還し、翌16日朝廷がそれを勅許した。この時点ですら明治維新が達成されるのか、誰も知らなかった。後世の人間は、それを知っているから、その前提で話をするが、未来のことは一寸先も読めないのが、人生である。その証拠に、アナタはポスト・コロナがどうなるか読みますか?



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・04:GAFAの最初のA

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現代日本人の原点は奥行きが深い。難しい話は、日本人のDNAに従い、先延ばしにしよう。
その対極にある欧米人の“今”を知るYouTubeに出遭ったので、それをご紹介したい。ひとつは『アマゾンCEOジェフ・ベソスが語る、ビジネスを成功に導くマインド|GQ JAPAN Oct 30、2018』

これはアスペン・インスティチュートのWalter Isaacsonがジェフ・ベソスに一対一でインタビューした長時間モノだが、ベソスの半生を徹底的に調査した上で質問しているので中身が実に濃い。日本のテレビ番組で見る相手に気配りした甘さはまったくない。

それだけにジェフ・ベソスは真剣に考え考えて応答する。だが導入部分はベソス独特の“大笑い”についてその秘密を嗅ぎ出していく。両親・出自についても、事前調査は正確である。当然応える側のジェフ・ベソスも、このインタビューワーがタダモノでないことを認識する。

細かいところで言えば、アレクサの音声認識に対するベソスの本音も聞かせてもらえる。日本人の若者がホリエモンに群がるが、世界最先端の頭脳が“今”何を考えているかを知りたければ、絶対に見逃してはならないYouTube番組である。何といってもGAFAのアマゾンCEOである。



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・05:世界一流のインテリ

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これもYouTubeで出遭った最新のお勧め番組である。
『新型コロナ:元CIAスノーデンに聞く接触者追跡と監視社会 May 21, 2020』

質問者はVICEファウンダーのShane Smith。Walter Isaacsonもそうだが、アメリカのマスコミ業界で活躍する批評家、インタビューワー(質問者)の洗練された質問は、会話のボクシングを見ているような気がする。事前調査も徹底しており、用意された質問事項も容赦ない。かといってセンスの良い、時には皮肉なジョークを交える。日本のインタビューワーも、たまには笑いを取るが、大半は駄洒落が多い。

スノーデンの指摘を何度も咀嚼した上で、ドナルド・トランプの発言、ボリス・ジョンソンの発表を読む・聞くと、今日の国家社会が何を目指しているのかが、見えてくる。
それと同時にアメリカの巨大国際複合企業GAFAの意図も読み取れるようになる。

この二つのYouTube番組を熟読した上で、中華人民共和国の習近平の言動を注目すればよい。米国のインテリとのレベルはまったく異なる。それをドナルド・トランプVS習近平だけで対峙させると何かを大きく見誤ることにならないだろうか?



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・06:したたかな中国

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もう一枚、海賊版DVDの中から取って置きをご紹介したい。
少し古くなるがDISCOVERYチャネルが編集した『THE TRUE STORY OF THE INTERNET』である。中身は「Bubble」と「People Power」の二部構成となっている。

インターネット業界を各企業家であるその創業者にインタビューして徹底的に調査した優れモノなので、アメリカの先端業界がどのレベルなのか勉強させてもらえる。これを鑑賞した上で、上に挙げたジェフ・ベソスのインタビューを見れば、その後アマゾン・ドット・コムが王者に伸し上がっていく経緯をよく理解できる。

話をここで打ち切ることも出来るが、再度リマインドしておきたい。
なぜこのメルマガでは海賊版DVDとくどいほどにリピートしているか、ということである。前にも説明したとおり、これは著作権を所有する欧米のDVDを中国が無断でパイレーツしたDVDである。そして字幕は元々挿入されている日本語は削除して北京官話および台湾語が挿入されている。そして一枚残らず厳格な中国当局の検閲を受けている。

特に私の好きなドキュメンタリー部門では、インターネットだけでなく、先端技術、最新医学情報、宇宙の歴史、欧米の超一流大学、軍事情報、と無際限のカテゴリーが存在する。これらの海賊版DVDは広大なアジア地区を初めとしてそのマーケットは世界に拡がっている。

もう一度繰り返す。すべて中国当局の検閲を受けたものである。
ということは、欧米の超一流の知能が分析した世界最先端の科学技術を中国当局が無断で保有しているということである。今頃になってトランプがHUAWEI攻撃をやっているが、気付くのが遅いのではないか?

追伸:
アムパーン台風はインドには甚大な被害を出した。国家相談役のドー・スーはインドのモディ首相に即座にお見舞いのメッセージを送った。インド洋・ベンガル湾では引き続きサイクロンが発生している。ヤンゴンではその後一日一回雷雨が一時間ほど襲ってくる。黒雲に遮られ気温が下がるのでホッとする。だが雨が上がると地平線・水平線には入道雲がニョキニョキと現れる。モンスーン雨季まではもう少しの我慢だ。


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