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<ミャンマーで今、何が?> Vol.356 2020.04.27
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
■世界中が武漢ウィルス-19に汚染された
・01: Time flies!
・02: 中国の思い出
・03: 小人閑居して、下手な考えで時間をつぶす
・04: 世界中がオタオタする中、驟雨を愉しむ
・公式ツイッター(@magmyanmar1)
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・01:Time flies!
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光陰矢のごとし[諺]。日本語は実に優雅だ。時が過ぎ去るさまを弧を描く
矢に例えた。
英語には矢(Arrow)は出てこない。時が飛んだ、あるいは時間が飛び去ると
表現する。
一ヶ月の休刊と宣言したが、タイム・フライズで三ヶ月間が経過する。
前回の最終便はNo.355で1月31日付だった。すでに4月も最後の週だ。
世界中で異変が起きている。日本でも異常事態でのゴールデンウィーク突入
だ。
すべては武漢ウィルス-19の所為である。
ご当地ミャンマーも、最大行事の「水祭り」がキャンセルされ、弊研究所の
あるBotahtaungおよびミンガラドン、タムウェ地区の三地区に“
Stay-At-Home”令が4月25日に発令された。これでヤンゴン町区のロックダウ
ンは合計10地区となった。街には異常なほどの静けさが支配している。
MYANMAR TIMES紙はこの最中でも洒落っ気がある。4月24日(金)付第一面の
写真は真っ暗な中にマハバンドゥーラ公園の真っ白な独立記念塔がライトア
ップで浮かび上がり、後方のPULLMAN HOTEL最上階のロゴが電気を消さずに輝
いている。一番手前には公園内の池の端に唯ひとり警察官が銃を抱えて座り
込んでいる。
写真はYCDCおよびスーレーパゴダ前の人っ子一人通らぬ公園の様子で4月20日
に撮影された。キャプションによれば、4月18日にヤンゴン地区7つの町区に
部分的ロックダウンとCurfew(戒厳令)が施行されたとなっている。この写
真のタイトルが振るっている。
“The Sound of Silence in Yangon”だ。サイモンとガーファンクルのデュ
オが奏でる古典的名曲で非常に意味深な曲だ。英国のECONOMIST誌もロッジ内
でのフリーメイソンの儀式を写しだしている。そしてキャプションが気が利
いている。「ハンドシェークではなく、ハンドウォッシュだと!」
世の中、深刻な暗闇でも、エスプリを利かした洒落た言葉を楽しみたい。大
本営発表ではそれは不謹慎だと言う。この非常事態に何を抜かすかと抹殺さ
れる。屋根裏部屋に隠れたアンネ・フランクの家族もユーモアでお互いの心
を励ましあった。その気性の違いに私は強い興味を抱く。それこそ文化人類
学者の格好の餌食である。
今回のパンデミック、その国民性に大きな違いがある。特にクソ真面目な日
本人のリアクション(反応)に笑ってしまう。どうしてここまで画一的に飼
育されてしまったのだろうかと。今時間はたっぷりある。屋根裏部屋に閉じ
こもって東と西、日本人と欧米人、その対応の仕方にラドヤード・キップリ
ングの詠った「東は東、西は西のバラード」に想いを馳せる。
近くのCity Martは小規模でコンビニに毛の生えた商品しか陳列していない。
入り口で顔見知りのセキュリティが笑顔でおデコを照射して検温してくれる。
だが先日は違った。フェースマスクをしていないと入店を厳しく拒否された。
入り口の薬局部でマスクを購入すると言い張ったが、すべて売り切れだった。
数日後にマスクで口を覆って再訪した。今度はレジの前でお馴染みの青いマ
スクが10枚ワンセットで5000チャットで置いてあった。
ヤンゴン市内のレストラン・喫茶店はすべて営業禁止となっている。入り口
を店内のテーブルでブロックし、テイクアウトのみ受け付ける。店内で待つ
のも禁止だ。炎天下に外で待つか、先にカネを払い何十分か後に受け取る約
束をする。
緊急事態宣言やロックアウトの先進国以上にミャンマーの打つ手は早い。東
京・NY・ロンドンの先を行っているかもしれない。東西南北研究所のある下
街では、ツール・ド・フランスのレーサーを想起させるバイク乗りが細身の
自転車で颯爽と大通りを駆け抜けていく。背中に蛍光カラーの縦長バッグを
背負っているので、その大半はテイクアウトの宅配便と推測される。
レイ・ブラッドベリ描く古典的SF小説「華氏451」のようで不気味だ。人
通りが極端に減り、交通渋滞も解消し、町全体がガランとしてしまった。そ
れだけに大通りを我が物顔で通り抜けるバイク便がヤケに目立つ。蛍光色の
ヘルメット、ゴーグル、マスクで顔は見えない。スピードを上げる細身の自
転車。なぜだか不気味に思われる。
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・02:中国の思い出
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「華氏451」はアポ無しインタビューでお馴染みのマイケル・ムア監督が
無断で題名を借用している。華氏451度とは摂氏233度のことで、紙の書籍が
自然発火して灰となる温度である。1950年代アメリカで台頭したマッカーシ
ズムの赤狩りを徹底的に皮肉った焚書坑儒の近未来小説である。
赤狩りとはソビエトと中国シンパが対象であった。
ソビエトはベルリンの壁で崩壊し、中国はしぶとく生き残った。その影には
日本とアメリカの大きなミスリードが影響している。
遅れてやって来た日本では、今頃になって習近平を血祭りに上げる赤狩りが
パンデミック以上に猛威を振るっている。
1989年の第二次天安門事件の一年前、北京で一年間中国語の基礎を勉強した
身としては、今頃なぜ習近平?という疑問で一杯だ。北京の学院路は中国を
代表する著名大学が点在している。あの頃政府を批難する壁新聞が大学の掲
示板に続々と掲載された。現在の香港デモ以上の大民衆が天安広場に中国の
大地から沸きあがってきた。さすがに世界一の人口大国である。半端でない
民衆の大群が中南海の共産党指導部に半旗を翻したのである。
中南海とは中国の永田町である。自転車で大学町を駆け回ったが、北京の良
心的な知識人・学生たちは真剣に中南海と対峙していた。その数はイナゴの
大群どころではない。だが狡猾で老獪な?小平が三度目に起き上がり、重戦
車で民主化運動を崩壊壊滅させた。最近の香港デモを考えて欲しい。中国・
中国と言っても、一枚岩どころか大きく分断されている。中国の内陸部には
反中共の一般大衆が次々に誕生している。
それから30年が経過した。その歴史的評価は既に確立したものと私は思って
いた。
習近平小者一匹が悪いのではない。あのときに民衆を重戦車で轢き殺した?
小平を初めとして江沢民、胡錦濤と非民主化を進めてきた歴代の共産党独裁
政権に大問題があるのであって、その最後の小者・習近平をターゲットに狙
い撃ちしても何の意味も無い。
三度失脚し三度復活した?小平にしても同様である。
中国問題の大元凶は毛沢東が始祖であり、1966年から1976年まで続いた文化
大革命が切っても切れない中国の何千年の歴史をぶっ壊してしまった。家族
の絆を断罪してしまった。
毛沢東の悪事を隠蔽して躍り出たのが策士・?小平で、その子分の江沢民、
胡錦濤と次々に小粒になっていく。
彼ら個人を追及しても中国は変わらない。問題は毛沢東が打ち立てた中国共
産党という世にも非常な独裁政権である。それを容認して、台湾を見捨てた
関係諸国に責任はある。
だが過去を過去は覆らない。
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・03:小人閑居して、下手な考えで時間をつぶす
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いま日本が取るべき方向は、台湾を国際的に支援して国連に復帰させること
である。その前提に香港支援のメッセージが必要だ。日本はアメリカの背中
に隠れて、旗幟を鮮明にしてこなかった。だから日本の指導者が北朝鮮の若
造からも公にバカにされるのである。
日本国を率いる一国の指導者にそのイニシャチブをとる胆があるかどうかに
掛っている。
私が最後に行き着いた問題は、祖国日本に戻ってきた。
歴代の日本国総理が情け無いことに、時代時代の中国に朝貢外交をやってき
たということである。だから習近平とシンゾー・アベをどれだけ批難しても、
根本的な本質の解決にはならない。
同様のことは日本とアメリカの関係でもいえる。
憲法問題にしてもマッカーサーを批難する陰謀論がある。ひいては米国の一
ドル紙幣を見せてフリーメイソンの陰謀論、あるいはユダヤ金融の陰謀論を
説く解説者もいる。自分の頭で考えず、それになびく日本人があまりに多す
ぎる。
その大本はどこにあるのか、私は日本に帰国するたびに上野のお山を彷徨し
てきた。そこには多くの美術館や博物館がある。寛永寺から谷中の墓地まで
訪ねた。深川の芭蕉庵を訪ね、高輪の泉岳寺も訪ねた。鎌倉を散策し、縁の
ある円覚寺も東慶寺も訪れた。ヤンゴンに居候しながら、日本人の本質はど
こにあるのかを探るのが私の日本帰国であった。
江戸幕府最後の第十五代将軍・徳川慶喜が住まいした質素な日本家屋と日本
庭園が松戸市の戸定(とじょう)歴史博物館の名前で保存されている。昔の
同僚から教えてもらいヤンゴンに戻る前日の寒い冬季に訪ねた。
西洋のやり方では、全王朝のシンボルを断頭台の露と消し、すべてはリセッ
トするのが得意だ。日本の東条英機首相も欧米式やり方で絞首刑にされた。
だが徳川王朝の最後の将軍・徳川慶喜はギロチンにも掛けられず、舞台から
静かに消え明治維新は成し遂げられた。それが私にとっての我が祖国・日本
の謎?であった。
このコロナ騒ぎは、私にとっては最高のチャンスであった。自宅に閉じこもっ
て、ひたすらに読書し、ひたすらに中国製海賊版DVDを鑑賞する。それだけで
はない。最近友人から教えてもらったYouTubeで、この世の森羅万象が覗ける
ことを学んだ。STAY HOME三昧の毎日を楽しんでいる。
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・04:世界中がオタオタする中、驟雨を愉しむ
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昨日4月26日(日)午後3時15分、このヤンゴンで異変が起きた。屋根裏部屋
の小さな小さなベランダを覆うトタン屋根に雨粒が一滴。ウトウトしていた
が、すぐに気が付き、5階の上階から下の通りを眺めた。真っ白に乾いた路
上が点々と黒くなっていく・・、と思う間も無く大地を揺るがす土砂降りだ。
天と地がバランスを崩し稲光が走り、雷鳴があちこちで響く。向かいのビル
に大勢の顔が現れ、洗濯物が次々に取り込まれていく。
本来であれば、一日のうち最も暑い、いや熱い時間帯で、STAY OUTが命令さ
れなくとも自宅で午睡を強いられる時間帯である。即座に停電となった。そ
してこの土砂降りはキッチリ40分間続いた。水祭り期間の4月には必ず一
日、突然このように大雨の降雨がある。
そして不思議なことにこの時季の黄金の花・パダウが大雨の翌日見事に開花
する。
女性たちは誇らしげにスーチー気分に浸る。老いも若きも、この花を後ろ髪
に挿し飾る。多分今日の朝市にはこの黄金の花が山となって出荷されること
だろう。
とメルマガ原稿を書き始めるのだが、毎回毎回新しいニュースが飛び込んで
きて、世の中が有為転変で、原稿は書いた瞬間から古びてしまう。気がつい
たら4月も最終週で、日本はゴールデンウィーク入りだという。
このメルマガのプロバイダーも、連絡は取っていないが、東京の事務所は当
然閉鎖されているはずだ。
かといって緊急事態宣言で、このメルマガのアップロードを担当してくれる
優秀なT嬢も海外旅行どころか、自宅でSTAY OUTを強要されているはずだ。時
間はたっぷりあることだろう。だが休業中の身としては勝手に仕事をするわ
けにもいかない。
ボスであるK社長の許可も必要だし、それに何よりも世界的に有名なお役所仕
事の逆鱗に触れる危険もある。規則にほんの僅か違反しただけで、難癖をつ
けられ、補助金が下りないという可能性が大である。
東西南北研究所は、今では老獪学の大家を自認している。
ここまでのメルマガ原稿を、何の相談も無く、K社長およびT嬢に添付して発
信する。発信した事実は残る。緊急事態宣言された中でアップロードするか
どうかはお二人の判断である。そしてさらにその先にあるプロバイダーの“
まぐまぐ”が受け付けるかどうかは分からない。
追伸:
休刊中に、有意義な情報や、愉快なビデオ、写真を送っていただいた友人た
ちに厚く、熱く、御礼申し上げます。
皆様も自分の時間を見直し、ご家族の健康を護って、長期戦を生き抜いてく
ださい。
私も遣り残したことが山ほどあります。
バーチャルではない、リアルなサバイバルゲームの勝者となってまたお会い
ましょう。
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