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<ミャンマーで今、何が?> Vol.35
2013.3.13

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■国民の“ヒーロー”として大統領を出迎える

・01:AAA:(政治)
・02:BBB:(経済)

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<AAA:(政治)>

○A1:国民の“ヒーロー”として大統領を出迎える

3月9日の国営新聞NLM紙(ニューライト・オブ・ミャンマー)はヤンゴン国際空港出口で大勢の国民に迎えられる花輪を首にしたテインセイン大統領のカラー写真を第1面に掲載した。いつもは気難しい顔しか見せない大統領だが、そこには小旗を振る歓迎の人波ににっこり笑って右手を振る大統領が映っている。そして人々が手にするのは欧州旅行の成果に敬意を表した温かい言葉に満ちた横断幕だ。“我々の誇り”と書かれた大統領の大きな顔写真も見受けられる。そしてこの写真・記事の見出しが上記の“ヒーロー”である。

このような光景はこれまでは反体制派のスーチーさんの独壇場であった。しかし、その対極にあるテインセイン大統領に同じ‘スーチー現象’が伝播した。ミャンマーが変わったということを示すだけでなく、自分たちの指導者としてテインセイン大統領を国民が受け入れた写真と解釈したい。

前言を取り消し、もしテインセイン大統領が2015年の総選挙に出馬することになれば、大統領選出馬の意欲を表明したスーチー議員にとっては最大の強敵となるだろう。ひょっとして大統領の続投を望む声が国民の間から出るかもしれない。テインセイン大統領とスーチー議員は2015年に70歳となる同じ1945年の生まれである。

そして見逃してはいけない変化は有名な映画女優を含む一般の人々が自発的に飛行場に駆けつけたことだ。ミャンマー・レストラン協会の事務局長は「11店舗のレストランから130名の従業員が大統領に感謝の気持ちを伝えたくやってきた」と語っている。

「旅行客の増加で若者の職域が拡大することを期待している」、「ここに集まった人たちは皆笑顔だ。こんな素晴らしい光景はかってなかった」、「大統領は政治・経済の改革に心血を注いでいる。目に見える成果を示してくれた大統領を誇りに思う」、「内閣と協力して指導力を発揮する大統領の下でミャンマーはこれからもっともっと成長するだろう」と一般の人たちの賞賛の声は続く。欧州におけるテインセイン大統領の高い評価をすでに国民は知っているのだ。


○A2:ヤンゴン空港の送迎風景

成田空港が開港する前の、旧羽田空港を思い出させる送迎風景が今ヤンゴンで繰り広げられている。日本人にとっては懐かしい甘酸っぱい気持ちをミャンマーの人たちは今、そしてこれから味わっていく筈だ。初めて海外に渡航する人たちの家族が、そして叔父さん、姪っ子までがヤンゴン空港に駆けつける。長期の出稼ぎでも短期の出張でも大げさとも思われる送迎風景はおんなじだ。

社長の海外渡航なら副社長以下がずらりと整列する。ましてや政府の高官・大統領となればお役所・国会が空っぽになるほどの見事な整列だ。だが笑ってはいけない。日本だって旧羽田空港時代、東京オリンピック前はそれに近い送迎風景だった。

何を伝えたいかというと、皆さんがヤンゴンに事務所を構えたとしよう。現地スタッフの気持ちと日本人の所長にはものの考え方には時間差(ズレ)があるという老婆心である。確かに街を走る車は新しくなり増加の一途を辿っている。今では若者、そしてタクシーの運ちゃんまでが携帯電話を使用している。世界のマスコミでミャンマーの露出度が一気に爆発し、世界の投資家がミャンマーに殺到し始めた。だが表面の動きに騙されてはいけない。

ヒラリー前国務長官が鎖国の殻を破りこの国をブレークスルーした。この国には豊富な資源だけでなく6千万人を越える大市場がある。一部は中国のお手つきになったものの、未開発の分野は無尽蔵にある。そして世界中が今ミャンマーを資金・技術・ノウハウという持参金付きで攻略しようとしている。遅れてやってきた米国はブラックリストに指名してきた銀行・実業界の大物をなりふり構わず解除し始めた。米国だけではない、EUの巨大産業も、中東のオイルマネーもミャンマーに焦点を合わせている。あなたが日本の大企業ならばミャンマーを戦場として熾烈な闘いを彼らと繰り広げることになるだろう。そんなデカイ話でなく零細企業でも、個人商店でも構わない。大切なのはミャンマーの人たちと信頼に基づくチームを作れるかどうかではないだろうか。当地のカウンターパートナーの心情は米国ではとっくに喪失し、日本でも壊れかかっている家族の絆であり、両親を敬う心である。

自分の誕生日に久しぶりに田舎に帰る友人に誘われビレッジを訪れる。大家族の全員に迎えられ、部屋に上がると、友人は両親の前に深々と額ずき長々と口上を述べる。頭は床に伏したままだ。多分、ここまで育ててくれた両親に感謝を述べているのだろう。そして用意した両親への土産物を感謝を込めて差し出す。仏壇を背にした父親は胸を張って威厳のある顔付きをしている。そして母親は立派に成長した自分の子供の挨拶を満足げに受けている。このように美しいセレモニーは日本ではもう見られないだろう。欧米人はこの儀式を理解するだろうか。日本は豊かだと人は言う。ミャンマーは貧しいと人は言う。本当にそうだろうか。

欧米日の合理性が巨大ブルドーザーのごとくにミャンマーをこれから改造していくのか、それともビジネスを超越したところで逆に欧米日がミャンマーから学ぶのか。欧州の中でも特に北欧は教育・社会保障・ゆとりある生き方で自然と共存しているように思われる。米国とはものの考え方が大きく違う。そういう土産物で詰まったテインセイン大統領のカバンの中身が楽しみである。


○A3:テインセイン大統領がNZを訪問

これまでにネイピードを訪れた世界のVIPは何百人にも上る。そしてミャンマーの元首テインセイン大統領は今、時の人でもある。外交プロトコールによれば海外の元首の訪問に、こちらの元首もその国を訪れて答礼するのがしきたりだ。

米国のオバマ大統領は経済制裁と共にビザ発給を禁止していたテインセイン大統領を昨年ブラックリストから外した。これによって昨年9月のNYの国連出席が実現した。これが欧米社会へのテインセイン大統領のデビューといってもよいだろう。だが当時は人気者のスーチー議員に比して地味な苦虫を噛み潰したような元将軍の対応にヒラリー国務長官もオバマ大統領もどう対応すべきか神経をすりつぶしていた。そしてスーチー議員とテインセイン大統領との米国内におけるニアミスを避ける戦術を採用した。

それから僅かに半年しか経っていない。いまでは民主化改革の旗手としてテインセイン大統領に世界中のリーダーから国賓としてのお呼びが殺到している。今回の欧州訪問がそうであった。そして今週は引き続いてニュージーランド(NZ)訪問の予定である。ミャンマーが変貌したがゆえに、世界の見る目も変わってきたのだ。


○A4:NLD党大会で再びアウンサンスーチーを党首に指名

9月8-10日の3日間NLDは894名の代表団を全国からヤンゴンに結集し党大会を開催した。1988年9月27日の党設立後、NLDはこの25年間ではじめての党大会を開催することができた。2015年の総選挙を視野に入れ、党を活性化するために中央執行委員をこれまでの7名から女性4名+少数民族数名+若年層を含めて合計15名に拡大し、設立以来の党首アウンサンスーチーを改めて党首に指名した。一方では、NLDはあまりにもスーチー党首のカリスマ性に依存しすぎるとの声もある。

ミャンマー人口の半分は25歳以下の若い国民で、スーチー党首も新しい血を注ぎたいと表明していたが、これまでの70-80歳代の老執行役員をそのままに今回の中央執行委員全員の平均年齢は60歳を上回った。スーチー党首も現在67歳である。



<BBB:(経済)>

○B1:ジャパン・フェスティバル2013がヤンゴンで開かれる

日系企業106社が参加した高品質・最先端の日本ブランドを展示するジャパン・フェスティバル2013がジェトロの主催で3月9日-11日の3日間ヤンゴンのMCCで開催された。開放経済に入ったミャンマーに注がれる日本の目は熱く1階のブースだけでは足らずに2階の合計135のブースが日本製品で満たされた。出品製品は電子機器・電気製品・機械類・バイク・室内装飾品・食品・文房具と多岐にわたった。


○B2:米国フォード社がミャンマーで車を販売

米国の自動車製造会社フォード・モーター社はミャンマーのCapital Automotive社と販売契約を締結し、ミャンマーで乗用車とピックアップ・トラックを販売することを明らかにした。同社は今年5月にはヤンゴンにショールームを開設すると語っている。

ミャンマーの急速な政治・経済改革により、米国からの進出がラッシュ状態で、すでにペプシコ・コカコーラ・キャタピラなどの米国各社がミャンマーでの販売協定書に調印した。


○B3:米国のゼネラル・エレクトリック社がミャンマーに進出

米国の複合企業体ゼネラル・エレクトリック社(GE)はミャンマーでの事業進出に意欲的で、今年はGEタイランドの20%相当の売上げを期待していると語った。

同社はすでに航空機2機のリース契約、発電所用タービン発電機の販売、病院施設の設置をミャンマー政府および民間病院と契約済みである。GEはすでにミャン
マーでの事務所開設準備を進めており、今月末には正式にオープンする予定にしている。


○B4:ヒルトン・ホテルがミャンマー上陸

世界的な米国のホテルチェーンであるヒルトンワールド社が“ヒルトン・ヤンゴン”の管理契約をLP Holding Co., Ltd社と調印した。

場所はダウンタウンの象徴トレーダーズ・ホテルを南下し、スーレーパゴダを越えマーチャント道路との角にある21階建てのセンターポイント・タワーである。客室数は300室で、世界のビジネスリーダーおよび観光客に定評のあるホスピタリティを提供したいと2014年の開店を急いでいる。


○B5:米国企業のスピーディーなミャンマー進出

これまでは米国政府の経済制裁でミャンマー進出に足止めを食っていた米国企業ではあるが、このように超有名ブランドの米国企業が続々とミャンマー進出に乗り出した。

良く言えば慎重な、悪く言えばなかなか決断しない日本企業に比べると、米国企業の動きは速い、その巨大な図体にも関わらず決断が速い。

かなり早くから先行していた中国、それに対して高品質のイメージで事業展開を開始した日本、そして競馬で言えば、第4コーナーまでは足踏みしていた米国の超有名ブランドが一気にゴールをめがけて突進してきた。ミャンマーの産業地図が大きく塗り替えられようとしている。






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