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<ミャンマーで今、何が?> Vol.336
2019.11.28

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■YouTubeは奥行きが深い

 ・01: 朋あり遠方より来る

 ・02: ヤンゴンはキャッツアイの如く、クルクル変わる

 ・03: 浜の真砂でひとつのYouTubeを探すのは至難の業だ

 ・04: 海賊版DVD“SNOWDEN”

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:朋あり遠方より来る

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屋根裏部屋にサンタクロースがやってきた。

暦を見るとまだ11月。ひと月早い。真っ白なコットン製の民族服。赤い衣装ではなかった。
煙突がないので、急階段を上階まで歩いて上がってきてくれた。肩で息している。
先ずは一杯!!冷えたビールで乾杯した。

突然だった。何年振りだろう再会は。懐かしい友人である。
僧院などで日本語教師をやっていた。もちろんボランティアで、生徒からは愛された。
旧いヤンゴンを語れる日本人は少なくなった。秘密警察の目と耳を背後に、周りを気にしながら話す絶滅種に近い人物でもある。

ひと月早いサンタは「お口に合いますかネ〜?」と、大きく膨らんだバックパックから小分けした真空パックを幾つも取り出す。
先輩にもかかわらず、言葉遣いも丁寧で相変わらず低姿勢である。礼節をわきまえる日本人はすがすがしい。

地元海産物問屋で仕入れたという多くの珍味が次々と出てくる。
風光明媚な海岸線に恵まれた彼の故郷を夢想する。
自分で組み合わせたのだろう。ひれ酒セットまで用意してある。
私のハッピーアワーを知る、小憎らしい演出だ。

一つ一つが独り酒の宴会に適当な分量だ。
たっぷりの酒粕に寝かされた奈良漬、ニシンやサケの昆布巻きと、あごのだし塩。
「お口に合いますかネ〜?」と遠慮がちに広げていく。

「トロロ芋はお嫌いじゃないですか?大丈夫ですか?」、嫌いどころか大好きだ。
バックパックの底をガサガサ手探りし、幅広のアルミ製おろし金を取り出した。
まだ土のついた皮を「洗って薄く剥き、このおろし金で上下に軽くすりおろして下さい」と至れり尽くせりのサンタクロースである。これには感激した。

形式的なプレゼントではない。真心のこもった一つ一つにジーンときてしまった。
だが私の心はこの日一日、ミャンマー晴れの気分であった。



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・02:ヤンゴンはキャッツアイの如く、クルクル変わる

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昔はお互いに“まだ宵の口”とエンドレスの酒量を意気がった。が、今ではお互いに体調を気にする境遇となった。飲酒へのこだわりは無い。酒が無くともOKだ。話題次第で人生に酔えるコツも覚えた。二人とも“酔生夢死”の達人である。

お礼を兼ねて昼飯でも誘おうと、近くをうろついた。下調べである。
ストランド通りにある赤十字ビルの一角を占める“ユニオン・バー”を覗いた。この通りには英国大使館、MI6の出店イギリス領事館、オーストラリア大使館が近くに並んでいる。
だからこの店は欧米系の連中で昼夜賑わっている。値段は張るが味は悪くない。

だが様子が違っている。上を見上げて店名をチェックした。“PORT AUTHORITY”と縦書きで書いてある。“港湾局”という意味だ。埠頭の目の前でこの名前は不自然ではない。だが、店名が違う。中に入りこみメニューを見せてもらった。何とメキシコ料理店に変わったばかりだという。タコスなど宅配も出来るという。

新しい店が出来ると、「今日は、食事は済ませてきた。次回の参考に!」と真っ赤なウソをつき、テーブルに着席してメニューを持ってこさせる。そこでメニューの調査が開始する。品数の種類、そして価格帯をジックリと読み込む。自然とヨダレが出てきそうなメニューは少ない。だが、気になると写真を撮り、次回誰かを誘おうと、メモしておく。

そのときの店員の応対、メニュー製作の優劣、そして価格設定、それから店内の雰囲気で、その店が一年以内に撤退するかどうか、大体予測できる。ときには何も注文しないのに、トイレまで拝借する。メニューを盗み見する覆面客は図々しい。それでも熱いミャンマー茶を出してくれる新規店舗もある。そういう店が好みの店となる。

そして次の日、日本では絶滅種のサムライと街角で待ち合わせした。
双方の中間地点マハバンドゥーラとボーガレーゼイ通りの角。旧総督府の南面である。
1902年建造で植民地風のYWCAビルの外れまで来る。その向かいに「Buthee」はある。この店にはビールも酒も置いてない。だがミャンマー料理が美味くセンスのある内装だ。
“ブティー”とはひょうたんの青い冬瓜を指すビルマ語である。

看板に気付かず通り過ぎてしまった。驚いたことに、ここでも看板が見つからなかった。オーナーが変わり欧米風レストランに模様替えされていた。
またもやメニューを要求した。各種のカクテルもあり、メニューはすべて欧米人に親しまれた料理である。そしてお決まりの値段設定は、ローカル価格ではなく、外国人価格となっている。昼飯は済ましたので次回また来ると、老獪なウソをつき、店を出た。

ヤンゴンはこのように変化が激しい。“Buthee”は3週間前には営業していた筈だ。確か?
町並みが魅力的でロケーションが良いと、内装を衣替えし、新しい店がオープンする。

だが、大半はメニューの価格設定で失敗すると私は判断する。開店初日は友人・招待客で盛況だ。そのあと閑古鳥の一年がやってくる。一年分前払いの家賃契約が切れると、オーナーが変わり、新店舗が開店する。ヤンゴンは地球最後の経済フロンティアである。そういう外国人投資家や、ビジネスマンが大量にやってくる。そういうオーナーはど素人の経営者としか思えない。

メニューを調査し、ビールなどの値段設定で、そのレストラン、バー、ゲストハウスが一年Sustainableか、大体勘は当たるようになってきた。シンガポール系、日系、欧米系、失敗例は山ほどある。

将来、この国のリーダーにしたいと目論む学生たちと、新規店舗の覆面調査を続行中である。洒落た店舗に、最初はおどおどしているが、学生たちも今では私の意図を充分に汲み取ってくれる。そして最低価格の飲料水のペットボトルが幾らで、ミャンマー茶はサービスで無料だと情報収集に協力してくれる。

そして生徒たちに、店名・住所、それから仕入れた情報をノートに記録させる。
ホリエモンから学んだビジネス・アイデアをミャンマー版に置き換えただけだ。路上喫茶に席を変え、学生企業家への第一歩を学生たちと熱く語り合う。ホリエモンがヤンゴンに乗り込んだとしても、そう簡単に成功できるとは思えない。

だが、彼らにはカネ以外のすべてが備わっている。若さがある。楽天家である。希望があれば辛い努力も苦にならない。スマホは全員所有している。時代は変わった。もう一度、彼らが書き取ったノートを順番に読み上げさせる。
シンガポール人、日本人、欧米人がどうして失敗したのか、自ずから見えてくる。事業に成功したら、私をドア・ボーイに雇ってくれと彼らに懇願する。

ドア・ボーイには年齢制限があります!と答えが返ってくる。



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・03:浜の真砂でひとつのYouTubeを探すのは至難の業だ

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最近多くの友人との交信がストップしたままだ。
YouTubeやネットワークの追っかけに時間をとられているからだ。
日本の情報もキャッチアップしなければならない。

だが、日本のニュースは暗すぎて精神衛生上、人体に危険な状態だ。
台風19号は観測史上、経験したことのない最大級であった。日本が危ない。それは気候変動だけではない。日本の中枢が本来の機能を失っている。狂気の沙汰ではない。
その情報を入手しながら大手マスコミが報じない。森全体が大きく揺れているのに、チッポケな木々には危機感が無い。

それを論理的に説明していきたい。

まずはYouTubeで「デジタル監視と人権〜エドワード・スノーデン氏インタビュー」とググって頂きたい。2017年11月10日付けでアップロードされている。

私の勤めた海運会社は地下鉄東西線竹橋駅の上にあった。皇居に面した一等地のビルである。国際競争の厳しさを最初に経験した業種のひとつだっただろう。
護送船団行政の方針で、吸収合併される運命を辿り、海の藻屑と消えてしまった。怨み節を唱えるつもりはないが、会社は消えてしまった。その名前はもうない。

そのビルの裏手に懐かしの一ツ橋講堂がある。そこでJCLU70周年記念シンポジウムが行われた。
舞台正面には大きなスクリーンが掛かり、国際同時中継でエドワード・スノーデンのビデオインタビューが行われた。スノーデンの発信地は不明だ。

インタビューワーは国谷裕子(くにやひろこ)。彼女ひとりが壇上の脇にテーブルを置き、スノーデンに英語で質問し、英語で答えが返ってくる。このYouTubeがアップロードされた2017年11月10日時点では、国谷とスノーデンとの遣り取りが日本語字幕で表示されているので。編集してアップロードしたのであろう。

会場では同時通訳がついていたのかもしれない。
国谷裕子はNHKの「クローズアップ現代」の名物キャスターで、英語は堪能であった。この時点ではすでにNHKは退社していたはずだ。

このビデオは日本人として是非とも鑑賞してほしい。インタビューの遣り取りはスノーデンと国谷裕子の二人だけである。会場の視聴者の声は何一つ入っていない。そして日本語の字幕が出るので、どなたでも鑑賞できる。

話題は変わるが、最近私は、ヤンゴンで開催された国際会議の遣り取りを末席で見学させてもらった。がそのとき、諸外国の人たちが日本という国に注目していること、そして日本の内部事情にも詳しいことも知り驚いた。

現役を引退し浦島太郎状態だったので、私自身が世界の変化に無知だったに過ぎない。
ハンマーで打たれたような強烈な刺激を受け、はるか昔の現役時代を呼び起こさせられた。

そのあと、気が狂ったようにさらにYouTubeに耽溺していった。何を探求しているのかが分からずに中毒して行った。

井上陽水だったろうか?“探しモノは何ですか?”の歌詞があったはずだ。
そこで出会ったのがスノーデンである。

ヤンゴンでは心安らぐが、日本へ戻ると、どういうわけか苛立ってしまう。
どうしてなのだろう。我が愛する祖国は、こんな国ではなかったはずだ。

テレビは見ないがラジオは偶に拝聴する。NHKの中年、否高齢アナウンサーが若いものに迎合して“アサラジ”“ゴゴラジ”とつぶやく。長いこと意味不明だった。
意味が分かったとき連中を軽蔑した。テレビだけでなくラジオまで嫌いになってしまった。

シンゾー・アベの意味不明な釈明、ヨシヒデ・スガのイエスともノーとも言わない奇妙な記者会見、副総理も含めて、これらの人相はどうしてこれほどまでにヒドイのだろう。高級料亭で“苦虫”しか喰っていないのだろうか?

日米関係だけではない。日本政府の不透明さ、日本外交の未熟さ、スッキリしない原因が判明したのはスノーデンに出会ってからであった。

エドワード・スノーデンの言葉選びは実に繊細だ。
影響を及ぼす相手・国・団体などを慮って、考え込み慎重にボキャブラリーを搾り出す。
その真摯な態度は、思考において理知的で、誠実である。最初の一分間で彼が一流のジャーナリストに匹敵するインテリであると理解できた。

米国ブラウン大学で国際関係・国際経済を修めた国谷裕子が、この時点でNHKに籍を置いていたかどうかは私は知らない。彼女が一瞬ひるむと言うか、マイクを握る手が硬くなった。それほどまでに、このスノーデンは日本のマスコミを叱咤するのに、直説法はとらずに婉曲的な表現をした。

スノーデンは東京の横田基地でも仕事をしている。
ビデオの中で頻出するNSAの諜報活動に従事していた。National Security Agencyの頭文字である。国名は出てこないが、アメリカの国家安全保障局を意味する。

もしアナタが日本という祖国に愛国心を抱くなら、身の毛がよだつ戦慄のインタビューである。
日本の権力の中心は、この曝露情報をスノーデンから入手しながら、信じられないコトに、米国当局を批難するどころか彼らに尻尾を振るぼんくらに成り下がってしまった。

権力の中心だけでなく、優秀だと言われる官僚までが、そしてこの曝露情報からなにひとつ報道しようとしない大手マスコミまでが、宮台先生の優雅な辞書をお借りすると、ウンコだらけのお尻を舐めているようなものである。

それはYouTubeでアナタ自身が判断していただきたい。
ご参考までにFirst Partyとは米国自身を指す。Second Partyは差別的区分けだが英語を話す白人5カ国を指す。このインタビューの中ではFive Eyesという表現となっている。
そして日本を含むThird Party33カ国がリストされている。

ドイツがThird PartyからSecond Partyに格上げしてくれと米国に迫ったが、米国は「ウ〜ン、NO!」と回答している。この辺りはスノーデンの回答を英語で聞き取って欲しい。日本人からするとアメリカ人もドイツ人も同じく金髪・碧眼に見えるかもしれないが、彼ら自身からすれば人種的にも言語的にも全く異なる。だから、日本語字幕で満足せず、巻き直してもう一度スノードンの機微を英語で感じ取って欲しい。

差別的区分と書いたが、これは欧米人の社会では厳然と区別される越えるに超えられない壁である。

この恐怖の物語は、アメリカから見た場合Third Partyには協力するが、同時に情報収集の対象国でもあるということである。それも軍事情報だけではなく、どんな国の個人情報もアメリカはネットを通して、携帯電話を通して、吸い上げられる情報システムが完備したと言うことを意味する。くどい言い方をすると同盟国と浮かれていようが、アメリカは日本のどの個人でも簡単に拾えるシステムを持っているということである。

例えば、総理大臣だろうが、官房長官だろうが、あるいは日米貿易交渉の責任者である経産省の次官の個人電話を、メールを一瞬にして拾えるシステムが完備したということである。

欧米諸国は、スノーデンの曝露によって、それを検証し、米国当局、そしてオバマ大統領に強行にクレームした。それを日本の行政責任者は何一つしなかった。

これ以上は時間の無駄だ。アナタ自身が検証し、アナタ自身が判断する問題である。



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・04:海賊版DVD“SNOWDEN”

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副題として“ONE NATION, UNDER SURVEYLLANCE”となっている。
オリバー・ストーン監督の話題作である。

ONE NATIONとはすでにご承知の通り、First Party一国を指す。
そこが世界中のすべての個人情報を、拾える時代になった恐怖を描く。
日本のマスコミはテレビも新聞も沢尻エリカに夢中だが、世界のマスコミはまったく別の世界を追っかけている。

この映画は見れば分かるので解説はしない。ご紹介するだけである。YouTubeと併せてお楽しみいただきたい。


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