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 <ミャンマーで今、何が?> Vol.309
 2019.5.31
 
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
 
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 ━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
 
 ■地球が飽和状態、病んできた
 
 ・01:春眠暁を覚えず(孟浩然)
 
 ・02:未病を直す
 
 ・03:遠くの友人より、近くの友人
 
 ・04:食事中の読者は、飛ばしてください
 
 ・05:トナカイのリーダーが、孤峰の断崖から飛び降りる
 
 ・06:フルーツは今が賞味期限
 
 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)
 
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 ・01:春眠暁を覚えず(孟浩然)
 
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 前川清の言葉を借りると、ヤンゴンは今朝も雨だった。
 まだ夜明け前だが、トタン屋根を叩く雨音がなぜか心地良い。
 干乾びた脳みそに、干天の慈雨がじわっと染みわたっていく。
 
 気温が下がったせいだろう。眠くて仕方がない。
 まさに春眠暁を覚えずである。
 電気が戻ったのに、またベッドに戻り、惰眠を貪る。
 身体のリズムが、自然なバランス調整をしているのだろう。
 
 『眠いときは、寝る』『腹が減ったら、メシを喰う』
 『催したら、トイレに行く』
 ヤンゴンで習得した、健康の三原則である。
 
 この自然のリズムは、晩年になって学んだ。
 だが、文明社会は、ソレを許さない。
 
 出社前に朝飯を済ませ、9時までに会社に駆け込む。
 12時の時報で飯屋を探す。1時には会社に戻る。
 5時までに片付かない。O/Tの残業だ。
 先進国はこのように飼いならされてきた。
 
 いま、メイド・イン・外国のその飼育マニュアルが怒涛のごとく流れ込んでくる。
 乾季と雨季で様相がまったく異なる、この国にである。
 漁師には漁師の暦があり、農家には農家の暦がある。
 外国製ブルドーザーが力で抑えるか、自然のリズムが生き残るのか、誰も知らない。
 
 朝・昼・晩、規則正しく食事をしろという。
 バランス良く、オールラウンドに栄養を摂取しろという。
 ヤンゴンに居候し、ソレに疑問を持つようになった。
 
 
 
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 ・02:未病を直す
 
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 乳幼児と育ち盛りの子供、青年、壮年、老年、そして死と対峙する晩年。
 すべて状況は異なる。
 
 そして、とつき十日胎児を育む女性と、ただの男では、要求は異なる。
 それを一緒くたに、マニュアル医師はマニュアル通りの処方をおこなう。
 今の時代、黒澤明監督の「赤ひげ」先生は、影を潜めてしまった。
 
 ちなみに、黒澤明の全DVDはここヤンゴンで収集できる。もちろん海賊版だ。
 ヤンゴンの黒澤・三船ファンは一杯いる。日本人よりも詳しいくらいだ。
 
 三皇五帝のひとり、黄帝は“未病”を治すといった。
 “未病”すなわち、病気になる前に、それを治癒するという。
 不可解で矛盾するようだが、深遠な言葉で、古代中国の偉大な哲学である。
 そして漢方薬のバイブルとなっている。
 
 中国の偉大な皇帝、毛沢東、は漢字を破壊した。そして文化も破壊した。
 中国が一生背負わねばならぬトラウマで、永遠にその傷は残る。
 古代中国には知恵があり、夢があった。
 それは日本人の知の故郷でもある。
 
 
 
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 ・03:遠くの友人より、近くの友人
 
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 日本は世界最大の文明国から漢字という素材を輸入した。
 原材料の漢字はそのまま残して、それを加工して、ひらがなとカタカナを製造した。
 古事記と日本書紀もその上に成り立つ。立派なメイド・イン・ジャパンである。
 
 それだけではない。
 平家物語・源氏物語の深淵さ、ドナルド・キーンが舌を巻いた日記文学の多様性、簡潔表現の極致“俳句”の世界と、そのバリエーションは日本独特のものだ。
 
 宮中晩餐会を、不敬ながらビール片手に、YouTubeで観覧させてもらった。
 そして思った。
 無教養な成金に日本文学をレクチャーする識見が本当にあるのなら、中国の国家主席を国賓に迎え、日本文化の大本である“漢字”の国に対して、最大の敬意を払うべきではないだろうか。
 
 中国は立派な素材を発明しながら、偉大な国家主席・毛沢東閣下は苦悩の末、迷いに迷い、簡体字を製造した。これでは、漢字の由来が骨抜きになってしまう。
 
 ところで、習閣下殿、アナタは“体”という字を旧字体で書けますか?
 あっそうか、アナタは簡体字の世代ですね。ご存じないのは当然だ。
 旧字体では“骨偏に豊”です。今の“体”は骨も豊もナシです。骨抜きなんですヨ。
 
 ミャンマーにも原材料は豊富にあるそうです。だが貴国から安く買い叩かれ、軍事政権も大いに悩んだようです。ですが、毛沢東閣下と同じで、答えが出ない。結局は買い叩かれるだけでした。知恵のない指導者は国を滅ぼすようですネ。
 
 貴国と陸続きの韓国も同様です。
 世界に誇れる立派な素材は、猫に小判だったのでしょう。
 価値ある漢字を、ハングルという偉大な文字に変換してしまった。
 
 こんな話をGサミットで話しても、連中には理解できません。
 東洋の国家として、二国間だけで話を続けましょう。
 
 ご承知のように、日本というチッポケな島国は、買い叩かれるだけの素材に、付加価値をつけたのです。英語で言えば、日本が産み出したValue-added Cultureです。ごめんごめん、アナタはドナルドではなかった。このところ英語づいているものだから、失礼しました。
 
 この付加価値は、閣下がお気づきかどうか分かりませんが、コロンブスの卵、あるいはコペルニクスの発想に匹敵する、画期的な大事件だったのです。
 
 外へ外へと覇権を拡大する貴国と違い、チッポケな島国のことですから、その住民も考えがみみっちいものです。バカ正直に努力する、そして工夫する。工夫するとは、頭を使って考えるということです。昼夜なけなしの頭で考える訳です。大国の閣下からすると、チッポケな島国の住民なんてアホらしいと思われるでしょう。
 
 それが、100年、1000年のスパンで見ると、日本独自の文化に育つのです。しかも、精妙な芸術作品に仕上がっているわけです。自動車産業でも、和食の世界でも、その延長でしかありません。これが日本文化というものです。
 しかも、日本文化には終着駅が無い。
 欧米ではビッグバンとやらで、宇宙は外へ外へと膨張していると言いますが、島国なんてものは、その小宇宙の中でちんまりと、牛歩のスピードで膨張するしかありません。
 
 これを戦後の近視眼的な目で、日本の奇跡と経済面で捉えたのでは本筋を見失います。
 このチッポケな島国の特質は、欧米の老獪さと対極にあり、聖徳太子以来の文化の精妙さにあります。今、イギリスもアメリカも、これまで支配してきたパワー外交が轟音を立てて崩壊する最中のようです。それを見習えば貴国も同様の憂き目に会うことでしょう。
 
 もしお望みならば、僭越ながら閣下殿に、日本文学の真髄をレクチャーしましょう。
 アメリカの大統領閣下殿も、識見に富んだ私の話に聞き惚れていましたから。
 欧米のマスコミも私の教養の高さを絶賛しているようです。
 
 文学、文化は覇権ではありません。
 覇権主義で近隣諸国から恨まれる心配はありません。
 なんといっても文化ですから。
 
 一衣帯水の、貴国とチッポケな島国の関係ではありませんか。
 遠慮は要りません。
 ドナルドが感心した私の識見を無償で提供しましょう。
 
 レクチャーの場所は我が国固有の領土、尖閣諸島の魚釣島にでも設けましょうか。
 あそこはマスコミも含めて、近寄り難いところですから。
 
 セキュリティの観点からも、両巨頭のひざ詰め談判に最適の場所です。
 ご心配なら、海上自衛隊の護衛艦にでも遊弋させましょう。
 ミサイルが時折頭上を飛び越えますが、まあ線香花火だと思ってください。
 
 ドナルドは炉辺焼きでしたが、ここにはスシ職人でも連れて行きましょう。
 海底資源などタブーですよ。日本文化が嫌うのは、そんな野暮ったい話です。
 そんなことより、荒海に揉まれた魚で一杯いきましょう。
 これこそが、付加価値文化の真髄です。
 
 というところで、催してきた。
 我慢せずにトイレに立った。
 
 
 
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 ・04:食事中の読者は、飛ばしてください
 
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 白い便器を見て思い出すことがある。
 ヤンゴンの気取ったホテルのレストランのことである。
 
 男性用便器を正統な日本語では優雅に“朝顔”と呼ぶ。
 源氏物語にも通じる日本の文化、古典の世界である。
 
 ついでに飛躍すると、英語の小児用英語ではナンバー・ワンが“おしっこ”で、ナンバー・ツーが“うんち”である。
 老獪な英国のスパイ映画、007シリーズではこのナンバー・ワンとナンバー・ツーが頻繁に登場する。
 その軽薄なジョークを大いに楽しんでいただきたい。
 
 物の本によれば、朝顔の種子は利尿剤に用いたというから、便器の命名にも日本文化の香りが漂ってくる。欧米人の何でもかんでも“シット!!”の文化とはウン泥の差だ。
 昇華された日本文化では、この程度の話はウン蓄といって、おやじギャグの範疇でしかない。
 
 話がまたまた逸れてしまった。
 言いたかったのは、ヤンゴンの高級を気取るレストラン・ホテルでは欧米製朝顔(ここだけの話、ブランド名はアメリカン・スタンダードとなっている)を高い位置に取り付け、背の低い人種を侮辱する仕組みになっている。
 
 女性陣はご存じないと思うが、短足の私レベルでは、片足を上げて努力する。
 情けないワン公スタイルが、セキュリティにCCTVで録画されているかと考えると、それが強迫観念となりトラウマとなる。
 
 この国でも、私同様の、あるいはそれ以下のこじんまりした男性はいくらもいる。
 それを知る賢明な彼らは、朝顔を利用せず、最初から個室に飛び込む。
 
 この老獪で陰険な朝顔作戦は、間違いなく英国の植民地時代に遡る。
 現在の王室を見るがいい。
 エリザベス2世女王の夫、フィリップ殿下、その息子のチャールズ皇太子、さらにダイアナ妃の遺児ウィリアム、ハリーの王子たちまでが、間違いなく長身である。
 
 英国人好みの一流ホテル・レストランでソレをご確認いただきたい。
 最近は長身の若者が増えたせいか、ソレをマネするアメリカ系、日系、中国系の業者がいることだ。ミャンマー男性のナニの高さを測定して、トイレの設計をお願いしたい。
 
 何の話をしていたのか、忘れてしまった。
 
 あっそうだ。
 未病を直すのではなく、表層面の治癒対策しかしない、ということだった。
 これでは根本の原因が分からない。
 
 
 
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 ・05:トナカイのリーダーが、孤峰の断崖から飛び降りる
 
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 愚かな指導者に導かれたトナカイの集団は、何も考えずに指導者に従う。
 このような寓話を聞かれたことが無いだろうか。
 何も考えない集団にも問題が有りそうだ。愚かな指導者を選んだのだから。
 
 かっては陰険で老獪だったイギリスで大混乱が起こっている。
 それに振り回されるヨーロッパもガタがきはじめた。
 アメリカも国内は二分されてしまった。
 
 中国もロシアも、“Skeleton in the Cupboard”という国内事情を抱え込んでいる。
 公然の秘密だが、他人には話せない。
 日本は優雅に宮中晩餐会を世界に発信する。
 
 だが、今では国内のチッポケな事件が、このヤンゴンにも飛び込んでくる。
 英文日刊紙GNLMの海外ニュースに掲載される。
 食器棚の誰にも知られたくない家庭の秘密が世界に知られるようになった。
 
 夫が真冬の冷水で幼子を折檻する。子供を守るという母性本能を妻は亡くしてしまった。自分の子を見殺しにする。万物の霊長と名乗る資格が果たしてあるのだろうか?
 
 川崎登戸でスクールバスを待つ児童たちを、二本のナイフを両手に突然襲い掛かる。
 仮に犯人の過去の精神病歴をウンヌンしてもはじまらない。
 CCTVを設置するとか、弁護士による相談所を設けるとか、担当教育大臣に対応策を検討させるとか、すべて表層面の言い訳で、事後の対策である。
 未病を治すという古代中国の知恵が重厚に浮かび上がる。
 
 適応能力はヒトそれぞれである。
 それに脱落した人間が、仮病、引き篭もり、薬物、刃物、銃器の世界に逃避する。
 病院には、その初期症状の患者で一杯だ。特に精神科医は大繁盛する。
 マニュアル医師が、マニュアル通りの処方箋を書いてくれる。
 医学評論家が、余計なことに、口出しをする。
 
 文明社会は、身体と精神に悪いことを、強要してきた。
 エリートサラリーマンにもドロップアウト組にも、病巣は宿る。
 政治家はもちろんのこと、お役人も病んでいる。
 
 文明社会は病んだ夫と妻を増産する。
 それを両親とする子供は、現代病の第二次・第三次の被害者である。
 
 それが小学校での殺人、高層住宅からの飛び降り、秋葉原事件、川崎登戸駅でのスクールバス待ち児童無差別殺戮、エリート会社でも発生する。脈略なくあちこちで暴発する。
 
 日本だけではない。類似の事件が、欧米でも、スリランカでも、否、世界中で発生している。
 それに便乗したゲーム感覚の多発ゲリラが、さらに世界を混乱させる。
 
 発生直後に、担当大臣および責任委員会に対し、しかるべき処置をとるようにとの指示は出されたというが、経済最優先の国家戦略そのものが人類破滅の針路をとらせているのではないだろうか。G20では、そんなことより、経済の後退を最も怖れている。
 
 誰もが予想しない無防備の弱点地域は、この広い世界地図の上で無数にある。
 その事件がこのヤンゴンにも飛び込んでくるようになった。
 
 民主化新政権がテーマとする透明性、報道の自由のお陰である。
 便利な反面、困ったこともある。
 ミャンマーの実態を学習せずに、自国マニュアルを持ち込み、強要することである。
 
 春眠とは日本では春だが、ミャンマーでは酷暑・灼熱のアトに春眠がやってくる。
 その辺りが外国人投資家には理解されていないようだ。
 
 前にも書いたが、散髪シャンプーを頼むと、アッと驚くことに耳の中に冷水を注いでくれる国である。この辺りからフィールドワークしないと、ミャンマーのことは何ひとつ掴めない。
 
 
 
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 ・06:フルーツは今が賞味期限
 
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 強烈な季節の影響を受けるのは、人間だけではない。
 トロピカル・フルーツは酷暑、灼熱で、甘みは完熟する。
 だが、雨季に入ると豪雨に叩かれ、完熟したフルーツが地に落ちる。
 
 昔レーグーに住んでいた友人が、パイナップルを栽培していた。
 畑の中を近隣の住民が通り抜けていく。パイナップルなど見向きもしない。
 完熟したパイナップルはこの世のものとは思えない甘露ですよと招待された。
 
 熟れごろの、その日、完熟したパイナップルはすべてもぎ盗られてしまった。
 地元の住民は、食べごろを知っているのである。
 
 今、毎日完熟したマンゴーを楽しんでいる。
 もう暫くすると、豪雨で叩き落され、痛んだマンゴーが市場に出回る。
 値段は下がるが、傷んだ部分を捨てると、食べる部分は僅かである。
 
 私の好みはセイタロン種よりも、なんといっても大柄のマチス種である。
 干上がった脳みそのせいで、話題もバラバラだ。
 ご辛抱願いたい。
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