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 <ミャンマーで今、何が?> Vol.303
 2019.3.22
 
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
 
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 ━━【主な目次】━━━━━━━━━━━
 
 ■♪センチメンタル・ジャーニー♪
 
 ・01:貧乏暇なし
 
 ・02:イラワジデルタとは?
 
 ・03:5年前の出来事
 
 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)
 
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 ・01:貧乏暇なし
 
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 あっという間に時間が経過して行く。
 
 精神的には最も危険な兆候だ。
 
 時間だけは世界一リッチと豪語していたが、このところヤタラと忙しい。
 今、屋根裏部屋では、日本から持ち帰った書籍、パンフレットを含めた冊子、印刷物データ、小物類など広げたはよいが、足の踏み場も無いくらいに散らかっている。
 
 そこへ九州・佐賀県の友人からイラワジデルタの最西端へ行くが、同行しないかとお誘いを受けた。多忙とストレスから脱け出せる。これはありがたいと、二つ返事でお受けした。
 
 この友人グループは同地域Pyindaye一帯で、マングローブ植林活動を20年間ほど継続してきた。
 
 渋沢栄一の流れを汲む日本でも超一流の大企業が後押ししてくれている。同社の創立120周年を記念して、1999年から、このマングローブ植林の支援ははじまった。支援はするが、口は出さない。植林活動は日本とミャンマーの活動家グループに全面的に任されている。
 
 地球の未来に対する保険だという。そして、その支援もダテではない。100年間続けるという。
 
 欧米には博愛的な活動を支えるフィランソロピーという言葉がある。それが、日本にも輸入された。だが、今では企業イメージ向上の宣伝に使われている。あるいは税金逃れの慈善事業となっている。そうなってくると、フィランソロピーが安っぽく聞こえる。
 
 東洋には伝統的に“陰徳”という言葉があった。今では死語に近い。
 世のため、人のために役立ててほしいと、名前も住所も明かさず、人目をはばかるように、そっと大金の包みを置いていく。
 老紳士のときもあれば、未亡人であったりする。
 けっして売名行為ではない。
 
 実は、今から5年前の2013年12月31日前後の2週間、このイラワジデルタに滞在したことがある。そのときの感激は、このメルマガで4回にわたってドキュメントした。
 慌ててバックナンバーのVol.77、78、80、82を参照してみた。
 改めて、そのときの感激が蘇ってきた。
 
 
 
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 ・02:イラワジデルタとは?
 
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 大都会ヤンゴンから、フェリーボート、マイクロバス、バイクタクシー、水上ボートと乗り継いで約8時間の行程である。
 
 世界の屋根ヒマラヤ連峰の東端。その氷河が春の気配に融け、一滴が大地にしみこんでいく。高山を削り、渓谷をめぐり、谷を穿ち、山裾に下り、急流となり、大河イラワジ川となっていく。
 
 その地球の営みを映像で見たければ、海賊版DVD「GANGES」または「LAND OF THE MONSOON」で疑似体験できる。この手のドキュメンタリーは、BBCが格段に優れている。地球のこの地域一帯が英国の旧植民地ということもあり、歴史の中で蓄積されてきたデータ量は中途半端ではない。
 
 大河の一生を地球規模というよりも、気象衛星から撮影した雨雲の発生をデータ処理し、追いかけていく、二次元・三次元の映像が、一万年の時間を数秒で早送りされていく。
 
 エジプトのナイルと同じく、大河の河口水域には沖積扇状地が形成される。
 上流から肥沃な土砂が押し流されて、肥沃な土壌が用意される。
 この肥沃なイラワジ平野は大河イラワジ川の賜物である。
 
 このイラワジ一帯に大量のインド人が投入され、世界一の“ライスボウル”と呼ばれるようになった。Rice Bowlとは“ご飯茶碗”のことである。
 英語で形容されるように、これはすべて大英帝国の仕業である。そして太陽の沈むことが無いと豪語するように、世界中に散らばる自分たちの植民地へ、主要食料として商業ルートに乗せて輸出されていった。
 
 米作地帯の労働者として大量に移民させられたインド人は、ビルマ人より考えが一捻り老獪だ。歴史的にビルマ人より先に“老獪学”をイギリス人から学んだからだ。
 貯め込んだ小金をビルマ人の農家に貸し付けた。収穫期が来れば、カネを返せばよいと。
 日本のサラ金などは歴史が浅い。まだまだ洟垂れ小僧である。
 
 だが、農業には照りつける猛暑期、イナゴの被害、洪水など、リスクは常に存在する。
 気がつくと、作物は異常気象で、大ダメージを受けている。
 収穫期が来てもカネは返せない。米櫃も空っぽだ。
 
 金貸しはシャイロックの時代から、いや、もっと古く古代エジプト、その前から、情け容赦ない。
 気がつくと、ビルマ人の農地はすべてインド人の持ち物となっていた。
 かっての労働者が地主になったのである。
 
 “老獪学”を学ばなかったビルマ人は、土地を騙し取られたと泣き寝入りする。
 だから、今でもインド人を憎む。肌の黒さを馬鹿にして、彼らのことをColoured(=どす黒い)、ビルマ語訛りでは“カラー”と蔑む。
 ここには、もうひとつのロヒンギャ問題を潜在的に内包しているのだが、まだ爆発にまでは至ってない。
 
 まさにイギリスの“老獪学”が産み出した産物である。
 だが、彼らはイギリスの悪行を、ビルマ人対インド人に巧妙に摩り替えたのである。
 
 それらすべてを欧米のマスコミはスーチー攻撃の題材とする。スーチー新政権の無能行政と。
 本当にそうだろうか? このメルマガはそれを問題にしたい。本当にそうだろうかと。
 もっと悲しいことがある。そのイギリスの巧妙な磨り替えを鵜呑みにしてスーチーを攻撃する日本のマスコミもレベルが落ちたものだ。大統領職の上に君臨するスーチーを引き釣り下ろして、問題が解決すると、日本のマスコミは本当にそう思っているのだろうか。
 
 それに付和雷同する日本人ビジネスマンも多数見かける。
 DVD“Amazing Grace”を今からでも遅くない、学習してみてはどうだろう。
 このメルマガでは、英米を敵に廻し、徹底的に闘うつもりだ。
 
 だが、英米と言っても、イギリス人・アメリカ人のすべてをケナスつもりは無い。
 このDVDの主人公ウィリアム・ウィルバーフォースやピット首相のように気骨のあるイギリス人もいれば、オリバー・ストーンのように骨太の映画監督もいる。
 
 スーチーも言うとおり、それを見分けることである。
 何でもかんでも一緒くたにしてコンビニ的結論付けを急がないことである。
 それを見分ける知的訓練が試される。
 
 ドナルド・トランプをノーベル平和賞に推薦するなど、世界のモノ笑いになるようなことを見分ける知的訓練は必要だろう。
 
 話はまた、とんでもない方向へ彷徨しはじめた。元に戻そう。
 
 
 
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 ・03:5年前の出来事
 
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 自然の奏でる光のシンフォニー、一切音が消えた蛍のオーケストラも見せてもらった。
 川面で目だけを輝かすクロコダイルも見た。あの巨体を支える食物は何なんだろう。少なくとも我々グループに犠牲者は出なかった。
 
 深夜に北極星と天体を覆い尽くす天の川を観察した。
 振り返って南の地平線ギリギリに、探し求めた南十字星を見ることができた。
 この北極星と南十字星は古代から、船乗りが夜間航海の指針とした星である。
 
 このミャンマーの、イラワジ川デルタ付近では、期せずして、この両極星を仰ぎ見ることができる。
 
 世界銀行が一日1ドル50セントと言った世界がそこにはあった。
 空港の免税店で売っているブランド物の豊かさは無い。
 だが、学童たちの、そして村人たちの、心の豊かさは、金持ち連中の豊かさでは買えない人間としての気高さがあった。これはヒューマンライトではなく、ヒューマニティのワンダーランドであった。
 
 世界のビジネスマンが飛行機を乗り継いで、ヤンゴンに降り立っても、そこでは体験できない豊かさが、イラワジデルタの最西端にはあった。
 これは体験せねば、筆舌には尽くせない、未知の世界である。
 
 イケナイ、イケナイ、こんな悠長なことを書いている時間は無い。
 もう直ぐ、出発の時間が迫っている。
 
 この数日間、パソコンの奥底、どっかに仕舞ってあった5年前の写真アルバムを選択して、現像印刷した。そこには学童たち、村人たちの懐かしい笑顔があった。
 
 あまりの懐かしさに、これもこれもと、大型サイズで印刷した。
 重さにして約10kgになった。写真だけで10kg。これ以外に身の回り品もパッキングせねばならない。
 印刷代金も合計ウン十万チャットになった。あのときの感激の対価としては、安いものだ。インド人の高利貸しに頼らずに、自前のカネで賄えたので、その点は安心だ。
 
 5年間で彼らは大きく成長したことだろう。若者たちは村に残っているだろうか?シニアの村人たちは元気だろうか?
 
 出来ることなら、ひとりひとりにこの写真を手渡したい。
 だが、どうやって?
 集合時間がやってきた。
 
 
 
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