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 <ミャンマーで今、何が?> Vol.206
 2016.11.07
 
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
 
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 ■アナログからデジタル移管を目指して
 
 ・01: 読者からのご提案
 
 ・02: 幸せを皆で分かち合おう
 
 ・03:恥ずかしい思い出
 
 ・04: 情報収集に、日本語は不利
 
 ・05: 米国の層の厚さ
 
 ・06: ちょっと言い過ぎだったかもしれない
 
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 またしても金曜日になってしまった。
 時間がない、どこまで書けるか、自分との闘いだ。
 
 
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 01: 読者からのご提案
 
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 千葉県在住のYAさんから11月1日付で、ご提案をプロバイダー宛に頂いた。
 
 スーチーの日本訪問を含めてマスコミが伝える「ミャンマーの現実、魅力は他にもあるはずだ、それをもっと世間に広く伝える方法は無いものか?」という貴重なご提案である。
 
 実は同根の悩みを抱え悶々としていたので、他の読者で妙案をお持ちであれば是非ともご教示いただきたい。現在慣らし運転中のiPad導入を機会に、当研究所もアナログからデジタルへの脱皮を図ろうと密かに謀略を練っているところである。化石人間の口癖として、もうしばらくのご辛抱をとの言い訳しか出てこない。
 
 このYAさんは30年前のビルマ時代から、ビルマ・ミャンマーにお仕事で何度か関わられたことがあるという。ご本人はお忘れかもしれないが、実は、ワタシ自身がこのYAさんからISOの書籍を幾つかご紹介いただいたことがある。
 
 本日はYAさんのご提案に刺激を受け、ピント外れの話題で話を進めたい。
 
 
 
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 02: 幸せを皆で分かち合おう
 
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 このヤンゴンに長いこと居候していると、どうして日本のマスコミは、そして日本の政府首脳は、それに日本の一般人までもが、経済、経済、経済発展、経済発展と一斉に口にするのだろうか?不思議で仕方が無い。人生で考えるべきことは「経済」以上に重要なことがあるのでは?
 
 ヤンゴンで働いている若い女性が(乱暴な邦貨換算で)20数万円やっと貯まったと、二日間休暇を取りイラワジの農村へ帰って行った。これで二人分の僧侶の僧衣や身の回り品すべてが整うという。母親の名前で、僧侶を自宅に招き、僧衣贈呈の儀式を挙行するそうだ。父親亡き後、女手一つで自分たち姉妹兄弟を育ててくれた母親への長女としての誇らしげな恩返しだという。
 
 ミャンマー国軍に勤めていた弟が死亡したとある女性が話してくれた。死因は不明。姉のアパートで、田舎から出てきた母親は僧侶を招き、質素だが懇ろな葬儀を行った。そして田舎に帰って行った。国からいくばくかの弔慰金が出たそうだ。母親はその弔慰金で自宅の庭に井戸を掘った。そして近所の人たちに無料で自由に使えるようにしたという。これまではタンク一杯が何百チャットした。この女性は嬉しそうにそう話してくれた。
 
 僧侶のパーリ語をなぞるように、ミャンマーの仏教徒は「ダードゥ、ダードゥ、ダードゥ」と三度唱和する。「手にした美点が皆に行き渡りますように、そして幸せを皆で分かち合おう」というブッダの言葉が三度聞こえてくる。
 
 
 
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 03:  恥ずかしい思い出
 
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 もう10年以上も昔の話だ。南のダウェイからマーグイに旅したことがある。山道を散策していたら、一軒の前庭に奇妙な木を見た。堅そうなトゲで覆われたゴツゴツした大きな果実を直接幹からぶら下げている。それも見事なほどたくさん実をつけている。ドリアンという言葉は知らなかったが、その果実を目にしたのは、この時が初めてである。
 
 遠慮会釈もなく庭に入り込み写真を撮っていると、家人が出てきて、縁側に招じ入れてくれた。そしてお茶まで出してくれた。話は通じないが、こちらの関心はこの不可思議な果実である。身振り手振りが伝わったのだろう。中に声をかけると、山刀を手に若者が出てきて、このドリアンの殻を破ってくれた。
 
 種の周りの豊潤なクリームは上質のチーズをも上回る味であった。仏教でいう醍醐味とは、この果物に違いないと、そのとき思った。餓鬼道に迷い込んだように、出されるままに、いくつ平らげたことだろう。これが銀座の千疋屋か、新宿の高野フルーツパーラーであれば、目の玉が飛び出るほどの勘定でも、納得せざるをえない。
 
 そこで、お代は全部でお幾らでしょうと、やってしまった。
 もちろん言葉が通じないので、財布を出すふりをしたのか、今は覚えていない。
 家人はとんでもないという仕草で、お代を受け取ろうとしない。逆にお土産に何個か持っていくか、という仕草で応対する。
 
 金銭的な打算のない、本当に心のこもった"おもてなし"に対して、こちらは恥知らずの"エコノミック・アニマル"で処した。今、思い出しても恥ずかしくなる。
 
 今回のスーチーの日本訪問でも、世界が減速経済に入る時に、ミャンマーは最後の経済的フロンティアなどと、恥ずかしげもなく公言する日本人がいる。本当に日本人は「経済」でしか、この宇宙を、そして世界を、それから人生を見ることができなくなったのであろうか?
 かっては金勘定しかできない商人を士農工商というカースト制度の最下層に置いた。今は行政のトップに立つ人物が商人の領域に入り込み、経済発展のスピードを停滞させてはいけないと指南する。
 
 
 
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 04: 情報収集に、日本語は不利
 
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 ミャンマーという国の価値観は、ありとあらゆる国の価値観とは異なる気がする。その国を構成する人々の考え方が、多分異なるせいであろう。特に短期決戦で、ひと旗あげようとするビジネスマンは苦労するはずだ。
 
 この点では、ミャンマーにやってくる日本人も、欧米人も、アジア人も、そして中国人も韓国人も、同じに難しさを感じているはずだ。だが、そのハンディキャップは、大きく異なる。
 日本語しか話せない大半の日本人は、日本語のできる通訳やガイドを頼りとする。だが、本当に日本語のできる良質の通訳は非常に少ない。非常に少ないため、彼らは過大評価されている。そこに日本人の陥りやすいワナが潜んでいる。
 
 欧米人もミャンマー人と意思の疎通を図るのに苦労している。だが、日本語の分かるミャンマー人よりも、英語の分かるミャンマー人の方が絶対的に数は多い。ということは、この国での情報収集には、日本語を用いるよりも、英語の方がはるかに有利ということである。
 
 したがって、英語に自信のない日本人は、ヤンゴンの日本レストランに群がり、日本語での情報収集ということになる。これでは二次情報、三次情報、あるいは噂の情報しか共有できない。これで商売を勝ち抜くなど土台無理な話である。
 
 
 
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 05: 米国の層の厚さ
 
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 思い出して欲しい。米国は国策として、英語教授の実戦部隊をミャンマーに大量に送り込むと発表した。アメリカのビジネスマンも、ミャンマーでの意思の疎通が非常に難しいと、その問題点を汲み取ってのオバマ大統領の決断である。
 
 欧米のマスコミ報道では、米国が厳しい制裁を軍事政権に課している間に、中国、そして日本がチャッカリとミャンマーに侵入してしまったとみている。それは真珠湾攻撃をジャップの騙し討ちとする論調と全く同じである。それが証拠には、最初に日本の廃棄車が路上を満たし、続いて日本車の中古車がすでに街を覆い尽くしているとの論法である。これを日本は米国の経済制裁下で成し遂げた。
 
 今は、日本は隣国の中国、北朝鮮、韓国、極東ロシアとすら、対等外交を行う気概も、努力もしなくなった。アメリカを引き入れたり、アセアンを引き込んで、近隣諸国に立ち向かおうとしているように見受けられる。
 
 スーチーはその点では全く異なる。
 
 全くの素手で米国と対等に話し合い、中国とも独立国としての気概を見せている。
 卑屈な前軍事政権とは全く異なる。
 
 前政権が乱暴狼藉の限りを尽くして貴重な自国財産を略奪した後の、荒涼とした祖国を立ち治すには、5年やそこらの期間では到底無理な話である。だから、このメルマガでは50万トンの巨大タンカーがブレーキ(実際はプロペラを逆回転させ全力後進させるのだが)を踏んでもすぐには止まらないと書いた。
 
 だから、スーチーの政策がお粗末だから改革が停滞するとの議論は、角を矯めて牛を殺すようなものだ。もしスーチーを非難するのであれば、どのマスコミも「軍事政権の方が良かった。ミャンマーは軍事政権に戻るべきだ」との論陣を堂々と張るべきだ。
 
 しかも、それが犬の遠吠えのように、経済大国と言われる海外の学者先生方が偉そうに言うものだから、よけい腹が立ってくる。他国の内政干渉よりも、自国の経済立て直しで、もう少し立派そうなご意見を聞かせてもらえないものであろうか。
 
 
 
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 06: ちょっと言い過ぎだったかもしれない
 
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 話題を変えよう。
 
 昔からの友人で、ジョージ・ソロスから声をかけられた男がいる。
 
 ソロスがミャンマーに飛んできて、最初に会ったのが当時のテインセイン大統領、そして反体制のスーチー党首。そのあとで極秘でお声がかかったのが、ミャンマーの著名な弁護士たち。私の友人もその一人だ。場所はヤンゴンの一流ホテルの一室。
 
 マレーシアのマハティール首相からは、アジアの通貨危機を引き起こし、莫大な利益を独り占めした人物として、嫌われたのがこのソロスである。
 世界のマスコミも、ミャンマーで一儲け狙っているとの憶測が大半だった。
 最近も、英国の国民投票前に英国のEU離脱を予測した恐るべき調査能力を持った人物である。
 
 そのジョージ・ソロスとスーチーが今回の米国訪問でオバマ大統領との会見のあとで、密談を交わしている。中には売国奴のスーチーとするインターネットの記事もあった。
 
 最近の日本の風潮で見ると、ウラを取らずに簡単に一括りにしてシロクロをつけることだ。これは危険な兆候だ。例えば、ソロスを貪欲で冷酷な守銭奴、典型的なユダヤ人とする見方。
 だが、スーチーが密談したのは、フィランソロピストのソロスである。
 
 このハンガリー生まれのソロスは、ユダヤ人ゆえに生きるか死ぬかの辛酸な人生を歩んできた。そして1992年の英国通貨危機で英国銀行を破滅させ、巨万の富を手中に入れた。それ以前から、例えば1970年代から、南アで人種差別に遭遇する黒人学生への援助を行い、鉄のカーテンの向こうで闘う反体制派への支援などを行っている。これはユダヤ人として差別されたソロスの過去が信念となっているのだろう。
 
 そして小泉首相が米国大統領とルンルン気分の時、一貫して痛烈なジョージ・ブッシュ非難および米国の中東政策反対の論陣を張った骨のある男でもある。
 
 有名なOpen Society Fundationの創設者がこのソロスである。
 金融市場から巻き上げた、その潤沢な資金をソロスは自分の信念とする、開かれた社会の実現に、それこそ湯水のように投入している。
 アメリカ版の鼠小僧次郎吉、あるいは現代版のロビン・フッドとも言える人物である。
 
 話を友人の弁護士に戻そう。
 
 ソロスは頭の切れる女性四名を引き連れてミャンマーに乗り込んだ。そしてミャンマーの民主化促進のためには、自分は何をすれば良いのか高密度のネットワークを通じて真剣に模索した。多くの分科会に分かれた弁護士グループを通じて探り出したのは、金儲けではなく、自分はミャンマーのために何をすれば良いのか?ということであった。
 
 スーチーとの米国におけるソロスとの密談の前には、このような伏線が張られていたのだ。このような桁外れの支援を獲得できるのはミャンマーにはスーチーという人物しかいない。
 
 ビルマの独立はアウンサン将軍が自分の生命を賭して成し遂げた。
 そして今、将軍のインポッシブル・ドリーム、これは国民の夢でもあるが、叶えられるのは、その血筋を引いたスーチーしかいないであろう、というのが東西南北研究所の見方である。
 
 
 金曜日中の発行を目指したが、アナログ作戦では話にならない。多分、来週初めの発行となるだろう。
 
 
 
 
                   
                
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