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<ミャンマーで今、何が?> Vol.168
2015.11.04
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■明日ありと思う心のあだ桜・・・
・01: 何が起こるか本当に分からない
・02:夜空を彩る豪華な熱気球
・03:火祭りには停電が似合う
・04:女性大統領の登場
・05:歴史的な演説場所
・06:大統領の全国遊説
・07:テインセインとスーチーの対決
・08:エッ今頃!?!?
・09:ここは異国の何百里、お互いに気をつけましょう
・10:選挙運動の制限時間
・11:国会は11月16日に再開
・12:NLD政党の3名が刀で切り付けられ入院
・13:一部シャン州で総選挙が延期
・14:投票用紙が間に合わない?
・15:下院議長シュエマンの動向
・16:スーチーの戦術
・17:選挙結果を恐れることは無いのよ!!
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01:何が起こるか本当に分からない
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運命の瞬間まで5日を切った。泣いても笑っても、待った無しだ。かと言って、その瞬間に結果が判明するわけではない。投票箱をひっくり返し、PCなどに頼らない、人手で一枚一枚確認するという、古式ゆかしい方法が大勢の手で展開される。ミャンマーでは待つ楽しみを味わって欲しい。逆転劇の悪魔が介在する危険も見え隠れする。この待つ楽しみを奪う出口調査など誰が開発したのだろう。急いだところで、人生行き着く先は墓場である。そして政治の世界は一寸先は闇である。ジョセフ・コンラッドのHeart of Darknessが限りなく展開する。
外野席に陣取る野次馬諸氏に手作りのツマミを用意した。ビールや水割りは自前でヨロシク。
順序はメチャクチャなので、イラワジの濁流のように、清濁併せておツマミください。
ご参考までに、USDPは最大与党の軍人派閥、NLDは反体制派の民主化推進組みの略語です。
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02:夜空を彩る豪華な熱気球
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火祭りの10月28日夜、USDPのスローガンを印字した巨大エアバルーンが首都ネイピードで炎上落下。午後7時ころ、最初は木の高さまで昇ったところで、熱気球が炎に包まれた。
地上に引き戻し、主催者側は必死に消火。まわりでは、小型のバルーンが灯りを点し次々に空高く舞い上がっていく。二回目に挑戦したが、またしても炎に包まれてしまった。ヤシの樹の高さまでは上がったが、そこで燃え落ちてしまった。国会議員候補のUSDP高官および大勢の支持者が見守る中での見事な演出だった。午後8時に、イベントは終了した。
観覧者はしらけて家路についた。この手の話は、即座にトィッターされる。ミャンマーの評論家は、このようなことからも、選挙結果を占う。吉か凶か?と。
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03:火祭りには停電が似合う
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10月28日の火祭りの夜にヤンゴン広域にわたって、長い時間、停電が発生した。あるメルマガ読者からは不気味ですとのメールももらった。ウワサの評論家によれば、太陽光線のまぶしい昼間、花火大会を催すバカはいない。火祭り行事の暗闇効果を熟知する当局は、思いやりの停電を提供したのだと解説する。技術系の情報によれば、USDPの熱気球が高圧送電線に接触、送電をストップしたと理論的なトゥイッターもあったそうだ。ミャンマーの“M”はミステリアスの“M”で、マジックの“M”でもある。当地では、それを楽しもうではありませんか。
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04:女性大統領の登場
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10月28日、ネパールのカトマンドゥーで同国初の女性大統領が誕生した。女性後進国のアメリカでも来年ひょっとしたら・・の様相である。地球規模で、男性天国の時代は終わったのかもしれない。それがどうした!!ミャンマーとは関係ないじゃないか!!まあまあそう目くじらを立てずに。大統領・首相の肩書きは別にして、ミャンマーでもひょっとしたらとフッテおこう。詳細は前回の第168号をご参照。
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05:歴史的な演説場所
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2011年作品、ルック・ベッソン(仏:ベッソー)監督の「ザ・レディ」はご覧になりましたか。ミッシェル・ヨウ演じるスーチーが1988年8月に一般民衆の前に初登場する。軍の武力弾圧で殺戮された学生たちを供養するため一分間の黙祷を呼びかけた。それからレディのスピーチが始まった。実に印象的なシーンだ。場所はシュエダゴン・パゴダ西門近くの人民公園。母親の病気看護のためロンドンより急遽帰国。そこからレディの人生は、そして運命は翻弄されていく。歴史的な大事件で、何十万人という聴衆が集まった。
その正に同じ場所で11月1日に選挙演説をしたいとのNLDからの申請が当局から却下された。スーチー党首は9月から全国で選挙キャンペーンを繰り広げているが、行く先々で多数の群集をひきつけてきた。そして歴史的なこの場所を総仕上げに選んだ。連邦選挙委員会とヤンゴン地方政府は、YGN市内中央部ではない、不便で遠い代替場所を何度も提供したが、NLDが受入れるはずもない。10月29日、当局は最終的に申請を却下した。当局と反政府の両者が何を意図しているか、行間から読み取ってほしい。
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06:大統領の全国遊説
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テインセイン大統領は、中央政府の側近、およびUSDPの地元候補者を引き連れて、ヘリコプターや軍用機で、ミャンマー全国をカバーしている。特に洪水・山崩れの被災地を中心に、緊急救援物資を大量に供給し、義捐金を配り、子供や母親にお愛想を振りまいている。これが選挙キャンペーンのバリエーションであることは、皆さんお見通しのとおりだ。
洋の東西、政治家のやることに変わりはない。ヒラリー・クリントンでも安倍首相でも然りである。その大きな写真が、半官半民の日刊新聞、週刊ジャーナルを大きく飾る。
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07:テインセインとスーチーの対決
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本来はUSDP党とNLD党の対決であった。すなわち、8月13日のクーデター前の図式では両党党首シュエマン対スーチーの対決となる。だが、USDP党内クーデターでテインセインがUSDP党首に担ぎ上げられた。そこでテインセインとスーチーの対決に摩り替わった。テインセインが表立ってスーチーと対決することは、一般民衆を敵に回すことになり、その愚は避けるべきと自覚し、テインセイン自身は一歩も二歩も距離を置いていた。この党内クーデター劇は、テインセインがノーと言えない雲の上で決定したと見るべきではないのか?
そこでテインセインは、渋々それを飲まされたとの推理が成り立つ。雲の上の判断によれば、過去4年間の民主改革の実績で、海外からの評価が高いというところにある。それがスーチーを越えられるかどうかは別問題だ。とにかくUSDPには看板スターは他に誰もいない。
テインセイン個人の煩悶は、過去4年間の実績を、一般国民はいっこうに評価してくれない。海外での評価はあれほど高いのに。だが、彼が期待した国民側からのテインセイン・コールは起こらなかった。それならば、予定通り半期5年間だけで潔く大統領職を下り、ミャンマー史に燦然と輝く名前を残す選択肢はあった。大統領選に再挑戦して、泥を被ることは、彼のプライドが許さない。そこに鶴の一声である。
彼は進退窮したはずだ。自分の体力は2011-2015年間で消耗しつくした。心臓病も抱えており、体力と精神力に自信がないとの口実は通用しなかった。有無を言わさず大統領を前提にUSDP党首に担がれたというのが下種の勘繰りである。元将軍といっても所詮は使い捨ての駒。だから今回の党内クーデターはテインセインの思惑外で進行したと見るが、どうだろう。
東西南北研究所は何度も言い訳するが、ノンポリ学生の成れの果てで、政治にはまったく関心なく、単に英語学の学徒でしかない。国内外英文一流紙の行間を読み取る訓練をしているだけである。政党党派のどちらに肩入れするなど、まったく興味がない、単に野次馬である。その点を誤解の無いように。
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08:エッ今頃!?!?
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総選挙に関する法律およびそれをカバーするメディア規正法に関する説明会が地方の各町村で先週行われた。こういうところが愛すべきミャンマーの凄いところであり、醍醐味でもある。エッ今頃!?!などと驚いてはいけない。引き続きミャンマー劇場をお楽しみください。
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09:ここは異国の何百里、お互いに気をつけましょう
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主に欧米人が頻繁に出入りするバーを出たところで、今年5月、ヤンゴンに住む一人の米国籍女性がタクシー運転手に性的暴力を受けた。間もなくアメリカ大使館は駐緬の自国民に注意を喚起した。その関連性は不明だが、その後、地方政府はヤンゴンのバー・飲食店に対する午後11時以降の閉店命令を出し、それは選挙間近の現在も継続有効だという。だが、一部有力者がバックのナイトクラブはその時間を過ぎても営業しているという。
ということで、時計が午後11時を打ったら、シンデレラごっこのつもりで、おとなしく自宅に帰りましょう。まだ宵の口という友人もいるが、11月8日の選挙前後は何が起こるか分からない、アナタの人生を護るも台無しにするもアナタしだい。ご自愛のほどを。
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10:選挙運動の制限時間
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UEC(連邦選挙委員会)は11月1日、すべての選挙運動は11月6日の深夜12時をもって終了するよう、そして同時に選挙ポスターもその時刻までに撤去するよう各政党に通告した。制限時間までに残置されているポスターは市町村当局が撤去し、撤去費用は各政党に請求するとしている。
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11:国会は11月16日に再開
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これは選挙結果、新選出議員とは関係ないと推測するが、上院議会議長および下院議会議長は11月16日午前10時にネイピードでそれぞれ第13回定例会議を開催すると発表した。そして上院・下院の第13回定例合同会議は同日午後1時30分から開催すると発表した。各議員は出席は14日までに、遅くとも15日までに登録することと義務付けている。
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12:NLD政党の3名が刀で切り付けられ入院
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10月31日付GNLM紙によれば、ヤンゴン郊外のクンヤ売店で口論が発生し、近くで選挙キャンペーンを張っていたNLDの群衆に無差別に山刀で切りつけ、地元のNLD立候補者を含む3名が負傷しヤンゴン中央病院に担ぎ込まれた。警察は3名の容疑者を拘留した。
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13:一部シャン州で総選挙が延期
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UEC(連邦選挙委員会)は地域一体が中央政府軍と地元武装勢力との間で不安定となっており4町区での選挙を延期すると発表した。UECは全政党とネイピードで協議し、満場一致でこの決定は支持された。
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14:投票用紙が間に合わない?
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情報省のPPE(印刷発行局)は、10月31日(土)までに投票用紙の注文に応じることは保証できないとUECに連絡した。PPEは10月22日までに1億3千枚以上の投票用紙を印刷している。エッ!!!なんで?などといわないで欲しい。ここはミャンマーなのだから。
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15:下院議長シュエマンの動向
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8月13日にUSDP党首から追放される直前、シュエマンは選挙区を軍の影響下にあるネイピードから故郷のバゴー地区ピュー市に移し、しかも党の公認を受けていた。同時に、自分の仲間を党公認の立候補者リストに入れることにも成功している。
そしてこれまでは、大統領選出など重要事項はUSDP内の秘密会議で決定されてきたが、シュエマンは、ここに至って、民主的な投票システムを採用しろと公言している。選挙結果と併せてシュエマンの動向が気にかかる。
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16:スーチーの戦術
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11月1日、シュエダゴン・パゴダを拒否された、NLDはヤンゴンのトゥワナ・パゴダで総選挙一週間前の集会を行った。この日、MT誌推定で40,000人が集まり、今回の選挙運動で全政党を通して最大の規模となった。もちろんスーチーの二ヶ月間の選挙運動で記録的な規模である。
そしてスーチー党首は、軍人が支持する現政党は、何一つ変える意思は無いと訴えた。NLDのスローガンは“変革の時”である。
スーチーの演説は鋭い。テインセイン大統領のイラワジ地区における10月29日の演説を引用して、これまでに軍事政権から民主政権に充分すぎるほど移行してきた。これ以上、国民は何を望むというのだ。これ以上の変革を望むなら、それは共産主義しかない。と言ったとスーチーは紹介し、これは現政権はこれ以上の変革をする意志はないという表明で、真の民主化は望まないということであると呼びかけた。
今回は、オバマ米国大統領も、藩基文国連事務総長も異例の関心を示しており、公正な選挙が実行されるのを願っている。外交団もそれ相応に動いているはずだ。
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17:選挙結果を恐れることは無いのよ!!
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前回もお伝えしたが、スーチー党首は今回の選挙がすべてではなく、この次も選挙がある。それが民主主義というものよと壇上から訴えた。だから、今回の選挙結果を恐れる必要は無いということである。
どうも紙数が尽きたようだ。これ以上ツマミを用意すると、飲み過ぎの恐れがある。今回は一日早めに11月2日(月)夜で自主的に原稿を締め切る。火曜日に突発事件が起きれば、それは次回に。
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