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<ミャンマーで今、何が?> Vol.166
2015.10.21
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■まったく先が読めない
・01: 先が読めない
・02:外国人の意見は屁の突っ張りにもならない
・03:自由で公正な選挙?
・04:疑心暗鬼を生ず
・05:75%選挙
・06:国内統一の平和協定
・07:元USDP与党党首
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01:先が読めない
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あっという間に一週間が経ってしまった。カウントダウンすると国民総選挙まで、
あと18日間。ミャンマーはじまって以来の、あるいは25年ぶりの、自由で公正な
選挙と言われているが、本当にそうなるのだろうか。ニュースを追っかけてみた。
目をとおせば通すほど、読めなくなってきた。まったく先が読めないのだ。そう
いうことで、今週のメルマガはごめんなさいと丁重にお詫びして、筆をおくのも
一法である。
だが、週刊メルマガと名乗る以上、もういちど、ジャーナル・デイリー・インター
ネットなどを片っ端からを点検してみた。
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02:外国人の意見は屁の突っ張りにもならない
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和食料理屋の日本人も、英国式パブの欧米人も、所詮は外国人である。どんなに
立派な弁舌をまくし立てようとも、全員で合唱しても、彼らには一票の投票権も
ないのだ。来月11月8日の命運を動かすのは、投票資格のあるミャンマー市民だ
けである。
ということで、外国人の意見は屁の突っ張りにもならない。だが、ただひとり、
それを気にする人もいる。それは、政権を担うトップの人物である。外国人の遠
吠えは、彼らのぎらぎらの欲望が正直に語られているからだ。外国人が、外国人
の利益確保のために、ミャンマーをどの方向へもって行きたいのか、極秘のネッ
トワークでたっぷりと吸い上げている。アンケート調査といってよいだろう。
だが、一般の慎重なミャンマー人は簡単には外国人に心の内は見せてくれない。
アナタが現政権贔屓なら与党USDP有利の、アナタが反体制派なら最大野党NLD有
利の、意見を心地よく語ってくれる。それで満足できればアナタは幸せである。
ミャンマー人の優しさは、アナタの嫌いなことは決して言わない。これはアナタ
の私的な旅行ガイドも、仕事上での公式な通訳も同じである。これらの一般市民
の声を自分だけが入手した情報として、得意げに外国人は語っている。
そこで今回のメルマガは、外国人が得意になって語るレストランやパブでの意見
は、すべて無視することにした。そして初心に戻り、マスメディアに現れたレポー
トの中から、事実として確信の持てる情報を拾って分析することにした。もちろ
ん行間の余白を含めてである。
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03:自由で公正な選挙?
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これまでの25年間で初めての“自由で公正な”選挙とされているが、本当にそう
だろうかという疑問が指摘されている。
バンコク南西45kmにマハチャイというタイの漁港がある。ここには30万人強の出
稼ぎミャンマー人が住んでいる。彼らは先週末バンコクへ行き投票しようとした
が、大使館から、手持ちの臨時パスポートおよび身分証明書では投票資格はない
として拒絶された。ここに住む多くのミャンマー人は1988年の民主化運動弾圧の
際に逃げ出した人たちで、自宅軟禁を解かれたスーチーNLD党首が初の海外旅行
で2012年にバンコクでの世界経済フォーラムに出席した際に、このマハチャイを
訪問し同胞を慰問している。当時、政府はNLD党首が提出した海外旅行申請理由
以外の政治活動をしたと非難している。
政府発表によれば、海外に居住する2百万人のミャンマー人同胞のうち、34,000
人しか選挙資格登録を済ませていないとのことである。
先週、UEC(連邦選挙委員会)の議長は主要政党を招集し、最近の大洪水被害の
ため、総選挙時期の延期を示唆した。これにはメディアが最初に騒ぎ出し、そし
て諸外国の外交団からの電話攻勢で、ネイピード政府は、慌てて選挙は予定通り
行うと声明を出した。これなどは、透明性に欠ける政府干渉の例である。
UECによれば、正確な数字は把握不可能だが、洪水被害による投票棄権は約400万
で、これは選挙投票の有資格者3,350万人の10%以上となっている。
約80万人のムスレム(ロヒンジャー)は“仮市民”とされ投票権が奪われている。
国内出稼ぎも大半はヤンゴンのスラム街に住み投票権がなく、その数は10-50万
人とされている。そして政府所有地から強制的に立ち退きを強いられた人たちに
も投票権はない。その数は数万人とされる。
そのほかにも、選挙人名簿に同じ名前が5回も繰り返されたりと、初歩的なミス
なのか、意図的なモノがあるのか、疑問視されています。
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04:疑心暗鬼を生ず
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1990年の総選挙は、比較的に自由で公正な選挙だったと見られている。結果は、
反体制派のNLDが約80%の議席を獲得した。
そこで、軍事政府にとっては、これは悪夢でしかない。だが、この総選挙の結果
は軍事政権によって完全に無視されただけでなく、党首の逮捕・自宅軟禁となっ
た。したがって、最大野党にとっても、この1990年は悪夢でしかなかった。
したかって、2015年の国民総選挙を迎えた今、与党と最大野党との間には、疑心
暗鬼が渦巻いている。与党にとっては、1990年の選挙結果が再現するのではと。
最大野党にとっては、またもや、軍事政府はどんな手段を用いても選挙結果を踏
みにじるのではと。
政府指導で、特に民族系の政党が多数認められ、それぞれが公式に登録した。表
面的には多政党参加の民主的な選挙であると、政府は言いたいのであろうが、裏
返すと、これは過去の選挙のように、最大野党が雪崩現象で勝利するのを恐れる
政府の策略でであるとの見方もある。
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05:75%選挙
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欧米の一部批評家は、今回の選挙は75%選挙であると公言している。その理由は
25%の国会議席はすでに国軍用としてリザーブしてあり、一般市民が投票して自
分たちが意思を表明できるのは総選挙結果の75%しかないためであるとしている。
これでは100%民主的ではないという理屈だ。
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06:国内統一の平和協定
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政府は自分たちの手柄にしようと、国内での平和協定を必死になって模索し、努
力もした。だが、招待した15のエスニック少数民族グループの、たった8グルー
プしか平和協定に署名する意志を表明しなかった。
過去にも、何度か平和協定の個別交渉が行われたが、結果的に、中央政府と少数
民族側のどちらか一方が武力攻撃によって平和協定を破棄して、結局は不信感を
抱いたままで今日まで来た。だが、国内融和の平和協定を過去に成し遂げたのは、
ビルマ史上でアウンサン将軍だけである。であるから、一部の少数民族グループ
は、現在の中央政府を信用せず、アウンサン将軍の血を受け継ぐ、スーチー党首
が政府代表になるまで、態度を保留しているとの見方もある。
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07:元USDP与党党首
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インドから見たミャンマー、そして中国から見たミャンマーという視点もあるが、
今回は割愛しよう。
むしろ、8月12日の政変劇で与党USDPの党首の地位を追放された、シュエマンの
動きを追ってみたい。
シュエマンは自分の選挙区であるバゴー地区のピューで選挙活動を行った。
公表されていないシュエマンのマニフェストおよびデータ情報によれば、最悪の
シナリオでは今度の選挙でUSDPは全滅する可能性があるとしている。国会の下院
議員では最悪USDPは16議席しか取れない、その他の議席はNLDとその他政党が押
さえるとしている。
側近の顧問団によって最悪のケースを手直しして、もっとも好意的な予測をした
場合、USDPは105議席を押さえるが、これはNLDの117議席には及ばないとしてい
る。
シュエマンとテインセイン大統領の関係は完全に悪化しているが、NLD党首との
関係はどうなっているか、皆目見当がつかない。しかし、シュエマンは党首の地
位を追い出されたが、USDPのメンバーとしては残っている。
と今週はバラバラの情報となったが、皆さまの酒のツマミにでもなれば、ハッピー
です。新大統領が決定するまで、引き続きモニターを継続します。また来週。
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