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<ミャンマーで今、何が?> Vol.14
2012.10.9
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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■ミャンマー最新情報
・01:工業開発地区7ヶ所を新規に開設
・02:ネスレ社
・03:ティラワ地区開発計画に日本のコンソーシアムが参画
・04:マレーシアがヤンゴンで貿易ショーを開催
・05:フィリピン・ミャンマー・タイの3社がコメの供給でコンソーシアムを組む
・06:ミャンマー初の投資銀行がオープン
・07:テインセイン大統領が韓国を訪問
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・ミャンマーで今、何が?
■ミャンマー最新情報
<01:工業開発地区7ヶ所を新規に開設>
ミャンマーには現在18ヶ所の工業開発地区があるが、それに7ヵ所が新たに追加されることになった。
この新たな工業開発地区はネイピードのTatkon、マンダレーのYadanarbon、カレン州のパーアン・ミャワディ・Phayathonzu、ラカイン州のPonnagyun、シャン州のNamoumの7ヵ所となっている。
パーアンとミャワディの工業開発地区に関しては、タイの協力を得て現在計画が進行中である。
これらが完成すると工業開発地区はミャンマー全土で25ヵ所となるが、これによって大量の雇用を創設できるものと当局は期待している。
これ以外にも、ヤンゴンのティラワ港ティラワ地区、南部タニンタリ地区のダウェー、ラカイン州西部のチャオピューなどで特別経済地区(SEZ)が計画されている。
このティラワ特別経済地区に関しては、今年9月に日本の3商社とミャンマー政府との間で特別経済地区建設の協定書が締結された。
ミャンマー政府は韓国・中国・シンガポール・タイ・マレーシアなどにもこのティラワ特別経済地区計画に参加するよう呼びかけている。
2011年1月に旧軍事政権は特別経済地区関係法案を統合したが、その3ヵ月後の2011年3月に現在のテインセイン新政権が発足した。
<02:ネスレ社>
“ネスカフェ”ブランドでお馴染みのネスレ社はミャンマーから一度も撤退しなかった数少ない国際多角企業の一社である。
同社はタイの貿易業者が同社のインスタント・コーヒーやその他製品を輸入することを黙認し、小さな事務所を通じて目立たぬようにミャンマーの成り行きを見守ってきた。
米国企業は2003年からミャンマー国内でのビジネスが大統領および米国議会による経済制裁の影響を受け、実質的にミャンマー国内での事業は不可能となっていた。しかし、EUは事情が異なり、貴金属宝石類と武器のみを対象とした取引を禁止し、政府と関係するブラックリストに掲載された個人および会社との取引を禁止していた。しかし、スイスに本社のあるネスレ社は消費者製品を取扱い、法的にもEUによる経済制裁の対象とはなっておらず、これまでもまったく自由にミャンマーでの事業展開が法的に許可されてきた。
それにもかかわらず、同社はミャンマー国内での広告販売や販路拡大を避けてきた。これは米国当局による経済制裁の期間中、米国・EU双方の消費者による反発を避ける配慮がなされてきたものと思われる。キューバ制裁の例に見られるとおり、米国の報復という脅威は常に存在しており、それを避けるためにネスレ社はいったんミャンマーから撤退したと思わせる戦略を貫いてきたものと思われる。
このようにネスレ社が自己規制してきた間に、タイの廉価なブランドの‘スーパー・コーヒーミックス’や‘ゴールドロースト’などがミャンマーでの市場シェアを拡大していった。
しかし、EUおよび米国による経済制裁の終了とともに、このスイスを基盤とする巨大企業はインスタント・コーヒーに限らずミャンマーへの大々的な復帰を図るものと思われる。
65百万とされるミャンマー市場で首位の座を確保するには、先ずは物流のインフラを整備しなければならない。しかも、一般の消費者は一ヶ月$70-$100で生活しているといわれ、ネスレ商品を享受できるリッチな消費者が集中しているのは、ヤンゴン・マンダレー・ネイピードの3大都市に限られている。
一方、長い目で見ればミャンマーはコーヒーの生産には最適の気候帯で、しかも人件費は安い。このことを考慮すると、ただ単に販売網の拡張だけではなく、コーヒーの生産拠点としてのメリットも大きい。
スイスのネスレ本社はミャンマー戦略について正式のコメントを控えているが、来月ミャンマーを訪れるスイスの経済委員会代表団とともにネスレ社の経営陣も参加する予定になっている。
<03:ティラワ地区開発計画に日本のコンソーシアムが参画>
ヤンゴンの北400kmにある首都ネイピードに今年9月三菱商事が事務所を開設した。同様に丸紅および住友商事もネイピードに事務所を構えた。
そしてこの3社がコンソーシアムを組みティラワ地区の開発計画でミャンマー政府および国際協力機構(JICA)と協定書を締結したと発表した。
ティラワ地区はミャンマー最大の都市ヤンゴンに隣接し、しかもベンガル湾・インド洋につながる水深の深い港湾地区でもある。
ヤンゴンから23km東にあるティラワ深海港に隣接する2,400ヘクタールの敷地に住宅地区・商業地区・工業団地を建設する開発計画で、最初はその内の400ヘクタールを開発し、初期投資は$450-$500百万と見ている。このコンソーシアムの持株は49%となっている。
<04:マレーシアがヤンゴンで貿易ショーを開催>
マレーシアの海外貿易開発公社(Matrade)は10月18-21日にヤンゴンで開催される‘2012年マレーシア展示会’にマレーシア企業50社が参加すると発表した。これはマレーシア・ビジネスのミャンマー市場参入を狙ったものである。
これらマレーシアの参加会社は食品・飲料・建設資材・家庭内用品・電気製品・産業製品・繊維・衣料・医薬品・健康器具・情報産業関連・オイル・ガス・電力などの分野が含まれている。
“この期間中、マレーシアの各社は輸入業者、物流業者、物資購入代理店などミャンマーを代表する業界の人たちと意見交換する機会を持ち、同時に政府関係者や業界の決定権を握る人たちとの話し合いも望んでいる”としている。
<05:フィリピン・ミャンマー・タイの3社がコメの供給でコンソーシアムを組む>
フィリピン・ミャンマー・タイの主要農産物ビジネス・グループがコンソーシアムを組み、フィリピンのSL Agritech Corp社が特許を持つ産出高の大きいハイブリッド種高級コメを生産し東南アジア地区での販売チェーンを確立する計画である。
SL AgritechのCEO兼会長であるHenry Lim Bon Liongは最近ミャンマーのIBTCグループおよびタイのCapital Rice Co. Ltdの3社間で覚書(MOU)を取り交わしたと語った。
これはアセアン地区最大のコメのコンソーシアムとなる協力体制を目指すものだと同会長は語った。
フィリピンのSL Agritech社はコメの種類と技術を提供し、ミャンマーのIBTCグループはコメの生産に必要な土地を確保し、タイのCapital Rice Co. Ltdは世界のコメ市場を開拓する。
この覚書によれば、今年の12月末までにはコメ生産の土地を決定し、フィージブルスタディを行い、3社間での契約内容を確認し、来年から生産が開始できると同会長は語った。
ミャンマーを生産拠点に選んだのは、生産コストが非常に安く上がり、ミャンマー政府が税制上の優遇策を約束してくれたためで、このコンソーシアムの会社もミャンマーに設立することにしたと同会長は語った。
このミャンマーのIBTCグループはミャンマーでもアルコール飲料に関しては大手の製造会社、物流配送会社でもある。同グループの農産物事業はISMSA International Sun Moon Star Agricultural Co. Ltdの名前で運営されている。
Capital Rice社はSTCグループの傘下でタイのコメ輸出では最大の輸出業者である。2011年のコメ輸出は2.2百万トンであったが、年平均は1.8百万トンとされる。
SL Agritech社は最初は産出高の大きいSL-8Hハイブリッド種コメを提供するが、これは単なるスターターで将来は高級種のDona Maria種コメを提供したいとしている。
SL Agritech社は1998年にハイブリッド種のコメの研究機関としてスタートしたが、中国の限られた耕作地にもかかわらず生産高が余剰となりコメの輸出が可能となった成功に刺激を受けたことがきっかけとなっている。その後中国の高名な科学者Yuan Long Pingの協力を仰ぎフィリピンの熱帯性気候に適合するハイブリッド種を開発してもらった。
<06:ミャンマー初の投資銀行がオープン>
外国人投資法が発表待ちの足踏み状態を続ける中、コロンビア大学とオクスフォード大学で教育を受けたウズベキスタン人がミャンマー初の投資銀行Mandalay Capital をオープンすると10月3日に発表した。
投資家のAlisher Alihasは自己資金の$1百万とは別にロシア・モンゴル・ウズベキスタン・カザフスタンなどの投資家から$25百万の基金を掻き集め、先月その基金募集を締め切った。同氏の説明によれば、この投資銀行はミャンマーへの投資を求める外国の投資家と事業資金を必要とするミャンマーの事業家との橋渡しをするもので、事業資金の提供と事業案内を行うとしている。
その事業形態は同氏自身が2008年にモンゴルのウランバートルで創立した小規模投資銀行のEurasia Capitalがモデルとなっており、これまでに忠実な顧客を獲得し事業経営は成功してきたとしている。
ミャンマーは長い間世界のビジネスから孤立し、欧米の経済制裁が解除されたばかりで、今世界中のビジネスが洪水のごとくに雪崩れ込もうとしている。ミャンマーは今世界経済に参加しようとしている。外国人投資法、電気の供給などインフラだけでなく、工場の作業員・事務所の従業員の訓練・教育を含めた問題は山ほどあることは十分承知しているが、この国にはリスクをとる価値があると同氏は語る。
ヤンゴンの全体の事務所スペースはちょうど63,000平米で、バンコクの超高層ビル‘エンパイヤタワー’一棟分にしかならず、この供給不足が価格の高騰を招いていると不動産会社のColliers Internationalは語っている。
この価格高騰が欧米の投資家たちをミャンマーに引き付け、約60百万の人口と一人当たりの月間給与がUS$ 150にも満たないとして、世界中で唯一残された最後の投資先としてとらえている。
このような状況下でミャンマー参入を躊躇する欧米企業もいるが、私の顧客である投資家はこの機会をぜひとも掴みたいと考えていると同氏は語った。
<07:テインセイン大統領が韓国を訪問>
ミャンマーのテインセイン大統領は国賓として韓国を訪問するために10月7日(日)夜ヤンゴンを出発した。
これはLee Myung-bak大統領の招きに応じたもので、テインセイン大統領にとっては歴史的な米国訪問からわずか一週間後の精力的な海外再訪となり、韓国には3日間滞在する予定である。
5月にミャンマーを訪問したLee大統領はエネルギー・資源開発での協力と資金援助の拡大を約束し、一方、テインセイン大統領は北朝鮮からの通常兵器購入を中止することを確約している。
Lee大統領はミャンマーの最近の政治改革に向けた努力を認め、新しいシステムによる新しい国家建設への正しい選択および民主主義・人権問題・国際社会における友好国の拡大などの促進を高く評価した。
今回の訪問で、テインセイン大統領は韓国側と貿易・投資・エネルギー・人的交流などで両国間の関係強化を話し合うものと期待されている。
今年になって、両国間では相互協力の話合いが継続してもたれており、4月には、韓国側民間企業86社から120名の経営陣、そしてミャンマー側ビジネスマン260名を首都ネイピードに迎えて経済協力フォーラムが行われた。
6月には、韓国商務省が組織した韓国繊維業連盟を含めた事業家がヤンゴンに集結し、ミャンマー側と繊維・衣料・染付け・服飾プリント・原材料などに関する業務について話合いがもたれた。
9月には、韓国・ミャンマー事業フォーラムがヤンゴンで発足し、衣料事業・観光事業・情報技術・農業・森林業・宝石・自動車などの分野に関する相互協力が討議された。
9月末には、韓国・ミャンマー間での第6回エネルギー・天然資源共同実行委員会がネイピードで開催された。
公式統計によれば、韓国は1988年から2012年までにUS$29.59億をミャンマーに投資し、外国投資の順位では第4位となっている。両国の相互貿易は、2011年の数字でUS$970百万となっていると韓国統計は示している。その内、韓国のミャンマー向け輸出はUS$660百万で、ミャンマーからの輸入はUS$300百万となっている。
韓国がミャンマーから輸入するのは主に衣料・繊維・材木製品・農業製品・水産物で、ミャンマー向けの輸出は建設資材・機械・鉄材・鋼材などとなっている。
2012-13年会計年度の最初の4ヶ月間(4-7月)のミャンマー・韓国相互貿易の金額はUS$158.06百万となった。
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