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<ミャンマーで今、何が?> Vol.11
2012.9.18

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■週刊メルマガが変わる
・01:伝説的な文化遺産の保護を弁護士が訴える
・02:テインセイン大統領が異例の訓令
・03:中国のトップ外交
・04:60年ぶりにコカコーラがミャンマー再上陸
・05:最近のホテル事情
・06:Mr.ゾー・ゾー
・07:外国人ミャンマー投資新法案
・08:オバマ政権がミャンマーに対する更なる禁輸解除を検討
・09:テインセイン大統領の寄り道
・10:米国でのスーチー議員とテインセイン大統領
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・ミャンマーで今、何が?

■週刊メルマガが変わる



週刊メルマガ<ミャンマーで今、何が?>を7月10日(火)に創刊し、あっという間に2ヶ月が経過しました。その間に貴重なご忠告、ご批判、そして建設的なご意見をお寄せいただいた読者の皆様に厚く御礼申し上げます。

ミャンマーが大きく豹変している現在、この週刊メルマガも皆様のご要望を受け止めながら、過去1週間の出来事、すなわち<ミャンマーで今、何が?>起こったのかに焦点を当て少しずつ変貌していきたいと思います。もちろん、歴史的な経緯をさらに知りたいとのご意見もありますので、ニュース性を考慮しながら、バランスをとるつもりです。引き続き続き、ご意見をお聞かせ願えれば幸甚です。



<01:伝説的な文化遺産の保護を弁護士が訴える>

ミャンマーは大英帝国植民地時代の伝説的建築物が手付かずで残されたアジア唯一の国といえるだろう。旧軍事政権はこれらの建物を占有使用していたが、2005年のネイピード移転にともないヤンゴンの由緒ある文化遺産は透明性のない入札方式で民間に売却された。
現在、問題となっているのはスーレーパゴダ近くにある1911年建造の赤レンガの荘厳な高等裁判所で、これはデベロッパーが買取り、博物館およびレストランに改造されることになっている。もうひとつは、高等裁判所から歩いて5分とかからない、大英帝国植民地時代の警察委員会本庁で、これまでは裁判所関係の多数の法廷・事務室・法律事務所などとして使用されていた。これが中国人経営のホテルに改装されることとなった。これに対して、最近ミャンマーの弁護士団体が文化遺産の保護を訴え始めた。


<02:テインセイン大統領が異例の訓令>

大統領は最大の保守強硬派とされたティン・アン・ミエン・ウー副大統領の交代劇を完了させた後12日目に大幅な内閣改造を行い、約20名の新副大臣を含む新任の9名の各大臣に対して汚職に染まらず、政府の政策・目的を理解し、省としての義務を全うし、60百万の国民に奉仕するよう異例の訓令を下した。外から見ればなんと言うことはないが、軍人が支配していた国家でこのような正面切った訓令が行われること自体が変革への第一歩といえる。


<03:中国のトップ外交>

中国人民議会常任委員会のWu Bangguo議長が先週水曜から土曜までミャンマーを訪問した。両国間では1950年以来トップ外交が相互に行われており、今回もテインセイン大統領の国連総会出席および米国訪問前に中国・ミャンマーの関係強化を意図したものと思われる。あるいは見方によっては、あまり米国べったりになるなという警告とも受け取れる。



<04:60年ぶりにコカコーラがミャンマー再上陸>

コカコーラ社はミャンマーでの同社ブランドの瓶詰め製造と国内物流事業へ早い時期に着手したいと発表した。すでにコカコーラ製品はミャンマーで販売されているが、これは隣接国からの輸入で、直接コカコーラ社が関与しない非合法な取引と見ている。米国政府は2ヶ月前に米資本によるミャンマー投資の禁止を解除したが、先ほど発表したペプシコーラのミャンマー参入とともに、米国の砂糖飲料水の巨大企業2社がミャンマーというグラウンドで闘うことになる。これでコカコーラが正式に進出していない国は世界でキューバと北朝鮮の2カ国となる。


<05:最近のホテル事情>

ヤンゴンで4つ星とされるトレーダーズが今年8月に一泊320ドルを記録した。昨年初旬の80ドルと比較するとなんと4倍である。この高騰ぶりに観光省はスタンダードルーム150ドルの上限設定を同クラスの全ホテルに通達したが、ホテル側は旅行代理店との契約や予約を受け付けず、巧妙にも予約なしのお客だけを相手として需給次第の上昇相場を提示する戦略に切り替えた。

主に米・仏・独・北欧のバックパッカーを相手とするスーレーパゴダ近くの低予算ゲストハウスも共同トイレ・シャワー使用で一泊5ドルだが、10月のピークシーズンからは6ドルに値上げを予定し、最近は満室状態が続いている。

隣国のタイはバンコクのみで客室数50,000室だが、ミャンマーの宿泊施設は全国で26,000室と今後もこの不足状態は続くものと予想される。

ミャンマーは2013年のアセアンSEAゲーム競技、そして2014年のアセアン諸国連合サミットの主催国を引き受けているが、一握りの4-5つ星ホテルの建設予定だけでは更なる悪化が予想され、現在急増している海外からの旅行客も本物のミャンマーブームが到来する前にミャンマーを見ておきたいとの思惑もあるようだ。



<06:Mr.ゾー・ゾー>

複合企業集団マックス・ミャンマー・グループ創設者で、今年45歳のMr.ゾー・ゾーはミャンマー有数の億万長者だ。米国財務省は軍事政権の取巻きとして海外資産凍結のブラックリストに掲載しているが、EUは今年初めに経済制裁から解除した。

同氏は1988年からタイ・マレーシア・シンガポールで船員として働き、日本でミャンマー向けの中古自動車輸出を開始した。続いて、中古重機を取り扱い、1994年に帰国し、1995年にマックス・ミャンマー・グループを創設し、ミャンマー国内での道路やダムの建設で旧軍事政権との密着度が深まったといわれている。

今では、ベンガル湾に面するリゾート地および首都ネイピードなどでの高級ホテルの経営、2013年のアセアンSEAゲームのサッカー・スタジアムの建設権利を取得し現在ネイピードに建設中、当然許認可および規制の厳しい銀行経営にも手を出し2年前にイラワジ銀行を創立、そして現在はミャンマー・フットボール連盟の会長を務める。

現在は、旧軍事政権との関係を極力払拭しようとしているが、イメージチェンジによってその関係をさらに水面下に潜行させる戦略とも受け取られている。



<07:外国人ミャンマー投資新法案>

ミャンマー議会は外国人のミャンマー投資新法案を先週可決し大統領に送付した。これまでミャンマーの基幹産業である農業、環境問題に発展する可能性のある鉱山などは微妙な産業として13業種に絞っていたが、その外国人が所有できる株式は49%を上限とした法案であったが、これに1%上乗せし外国人とミャンマー人の株式保有割合を50対50とすること、そして合弁企業の資本金を最低5百万ドルとしていた規制枠を撤廃したものである。一部経営者・投資家からは50:50であれば意見が分裂した場合に決議ができないとして不満の声も上がっている。

これまでミャンマー事業を魅力あるものとして外国人投資家を呼び込みたい大統領が、この法案を了承して署名をするのか、投資改革案としては更なる修正が必要として議会に差し戻すのか、現在は大統領府が検討中で、その動きが注目される。


<08:オバマ政権がミャンマーに対する更なる禁輸解除を検討>

4月からミャンマーに対する経済解除を行ってきた米政府だが、スーチー議員およびテインセイン大統領の米国訪問を前に、軍需品関係の制裁を除いて輸入禁止解除の検討を始めた模様だ。これまでのミャンマー政府に対する経済制裁解除は議会を通さず、すべてオバマ政権のホワイトハウス主導で行ってきた。しかし、問題の輸入禁止の解除には米国議会の承認が必要で、11月の大統領選挙前にはその可能性はほとんどありえない。そのため、オバマ政権はテインセイン大統領の米国滞在中に、オバマ政権としては禁輸解除の意思があると発表するにとどめるものと思われる。


<09:テインセイン大統領の寄り道>

テインセイン大統領は9月25日に米国へ向け出発するが、その前の9月19日に中国を訪問すると突然発表した。これは中国のトップ外交としての中国人民議会常任委員会議長の先週のミャンマー訪問と関連するのか否かは不明だが、最近のミャンマーの民主化への動きが非常に早いスピードで展開していること、中国ビジネスに対する不協和音の解消、そしてスーチー議員と時を同じくして米国を訪問し、テインセイン大統領は国連年次総会に出席したあとでの、米国首脳との会談予定がいまだ発表されておらず、北京政府に対する何らかの説明が必要となったか、あるいは米国政府に対してミャンマーは米国カードだけではなく中国カードも依然手にしているとのブラフを使い始めたのか読めないところである。

<10:米国でのスーチー議員とテインセイン大統領>

スーチー議員の米国における予定表は少しずつ明かにされてきたが、テインセイン大統領に対する情報はほとんど発表されていない。民主党議員のみならず共和党議員にも人気の高いスーチー議員、そして人権問題活動団体を初めとして国際的に知名度の高いスーチー議員、それに対して国際知名度がほとんどないテインセイン大統領。あまりのバランスの違いに、その両名に対する対応で苦慮し始めたのが、現在の米国政府であり、同時に国連本部事務局であることが前週一週間の動きで見えてきたような気がします。

それが証拠には、スーチー議員の米国滞在は華やかな顕彰のセレモニーを数々こなして、米国東海岸・中部・西海岸に散らばる同胞の政治避難民との集会にも出席する合計17日間の旅、そしてテインセイン大統領は主に国連総会での仕事を片付けたらさっさと帰国の途につく米国滞在は3日間の旅。前回のメルマガでは両者は同じテーブルで脚光を浴びるというのが読みでしたが、ワシントンの発表するスケジュールは極力二人のニアミスを防ごうとする神経質なほどの気の配りようです。

これはテインセイン大統領がそれを嫌っているのか、あるいは米国政府がまだその機は熟していないと読んでいるのか不明なところです。

結果的にスーチー議員の米国東海岸でのスケジュール、すなわちワシントンDCとニューヨークでのスケジュールを前半で片付けてスーチーさんは東部から、中部、そして西海岸へ移動する。一方のテインセイン大統領は東海岸のワシントンDCとニューヨークのみの行程のようです。


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